蠱惑の糸




ブギーに追い出されたジャックは結局ハロウィンタウンへと戻ってきていた

街を出てからそれほど時間は経ってはいない


ジャック「サリーはもう起きてしまったかな…」


サリーが待っているであろう自宅へと足早に向かう

途中住人達が次々とジャックに声をかけるが、今は自宅へ戻る事が最優先
軽く挨拶だけを返し足を進めた




自宅の門を抜け扉を開く
もしもまだ眠っていたら起こすのは悪いとなるべく足音を立てないように静かに歩く

螺旋階段を上り、そこから静かに顔を覗かせる

しかしベッドにサリーの姿は無い


サリー「ジャック!」


後方から聞きなれた女性の声
そこにはサリーの姿があった

もう起きてたんだ
そう思いながら軽く手を振り挨拶をする


ジャック「やぁサリー、起きてたんだね!」
サリー「ジャック、ちょっとこっちに来て」


何やらサリーは怒っているようだ
ジャックはどうしようと考えたが再度サリーに呼ばれそれに素直に従う事となった


指示通りベッドに腰かけサリーが目の前に立つ
普段怒られなれていない事もあるが、相手がサリーである為いよいよジャックは戸惑う
とにかくまずは理由を聞いてみようとそっと声をかける


ジャック「あの…何で怒ってるんだい?」
サリー「だって目が覚めたら貴方がいないんですもの!また何かあったんじゃないかって心配したのよっ?」
ジャック「ご、ごめんよサリー…眠っていたから起こしたら悪いと思って」


ジャックの声が徐々に小さくなっていく
サリーが怒ってる

自分が良かれと思ってした行動が裏目に出てしまった
サリーが無言のままジャックを見つめる
目が合ってしまい、慌てて顔をそらしてしまう

どうしよう
ジャックが必死に頭を悩ませる



そこでクスクスと笑い声が聞こえた
なんだろうと見るとそれはサリーのものだった


サリー「反省したかしら?」


その言葉にジャックが慌てて何度も頷く
そんなジャックの手を取り宥める


サリー「ふふ、大丈夫。最初から怒ってなんてないわ」
ジャック「え……そうなのかい?」
サリー「貴方ったらすぐ無茶ばかりするんだもの。だからちょっと意地悪しちゃったわ」


サリーが大成功と楽しそうに笑う
それを見てジャックもつられて笑ってしまう


ジャック「まんまとやられたなぁ…君の勝ちだね」
サリー「ふふ、でも…心配したのは本当の事よ?」


ジャックはサリーの手を握り返す
そのまま口元へと運び指先を重ねた
その光景にサリーの顔が赤らむ


ジャック「本当にごめんよ…もう君に心配かけないようにするから」
サリー「…本当?」
ジャック「……えっと、たぶん」


サリーは思わず苦笑する
しかしそれでもいいかと内心考えていた

私を心配させる本当に困った人



ジャック「あ、そうだ!サリーいつかした約束を今日叶えよう!」
サリー「約束?」
ジャック「素晴らしい店をしっていると言っただろう?一緒に食事に行こう」


どうかな?と問いかけてくるジャック

覚えていてくれたんだ
その事にサリーは笑顔で頷いた

ジャックがサリーを軽々と抱き上げる
自室の窓を開くと外から流れ込む風がサリーの赤い髪を静かに揺らす


ジャック「よかった…さぁ行こう!」
サリー「ええ!」


答えると同時にジャックの首に腕を回す
彼女を抱えたジャックは開かれた窓から飛び降りた

それを目撃した住人達は次々と驚きの声を上げた

華麗に舞い降りたジャックはその場にサリーを下ろし、手を差し伸べる
その手にそっと自らの手を重ね、指を絡め合う

ジャック凄い!と住人達の歓声を浴びながら2人は笑い合う

集まる住人達の中から抜け、2人はジャックおすすめの店へと向かった




本当に困った人
でも

そんな貴方が大好き
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