蠱惑の糸
墓地へと到着した5人は周囲を警戒する、がそこは特に変わった様子はなく見慣れた光景だけ
ジャック「蜘蛛を見かけたのはどこなんだい?」
バレル「あっちだよ!」
バレルが指さした方向にはやはり何の変化もない墓場が広がっている
ブギー「お前ら本当に見たのか?」
ショック「本当に見たわよ!」
ロック「確かだよ!あっちの方に逃げて行ったんだ!」
もしかしてまた小鬼達の嘘なのか
普段から嘘や悪戯ばかりのこの子供達
だが果たしてあの場でまで嘘をつくだろうか
ブギー「こいつら嘘はついてねぇみたいだぜ」
ジャック「…君がそう言うなら信じようかな」
ロック「ジャックそれ結構ひどいよ!?」
ショック「あたし達を少しは信じてもいいんじゃないの!?」
ジャック「君達の日頃の行いを思えば疑いたくもなるよ」
嘘ではないと判断し小鬼達に連れられ指示した方向へと向かう
格子状の扉を開くと変わらず見慣れた光景
今宵は満月
その光に照らされた地を進み、辺りを見渡す
ジャック「いないみたいだね…もうどこかに逃げてしまったのかな」
ブギー「かもな…或いは」
ブギーが視線を向ける先には古びた地下墓所
周囲を蜘蛛の糸が覆い見慣れた小さな蜘蛛が所々に張り付いている
ジャック「あー…確かに怪しいかも」
ブギー「おい、お前らはここで待ってろ」
「「「ええー!なんでー!?」」」
予想通りの反応だったのだろう、ブギーは3人の頭を軽くポン、と叩き
ブギー「いや、駄目だ。お前らは俺達が戻ってくるのを待て。もしも戻らなかったら町の奴らに伝える。大事な任務じゃねぇか?」
それを聞いてジャックはなるほど、と少し関心する
この3人を世話してきただけあって子供の扱いは意外と慣れているようだ
ロック「大事な任務…」
ショック「それってなんだか」
バレル「かっこいい!!」
こういうところは子供そのものなんだよなぁ
そう思いつつ3人をその場に残して蜘蛛の糸に覆われた墓所へと足を踏み入れた
中は薄暗く壁に取り付けられた松明の灯りが2人の姿を薄らと浮かび上がらせる
入り口を少し進むと蜘蛛の巣が所々に張られた長い階段
聞こえるのは自らの足音だけ
ジャック「今のところ何もいないか」
ブギー「もしかしたら本当に何処か他所に行っちまったのかもな」
ジャック「それならいいんだけど」
他愛もない会話を交わしながら階段を下り、目の前に現れたのは一つの扉
特に変わった様子もない
そのごく普通の石扉を開くと最深部だろうか、広い空間が広がっていた
周囲には道中と同じく壁に松明がいくつも取り付けられ、ガーゴイルを象った石像がいくつも並び二人を見据えている
ジャック「え…ここまで来て本当に何もいない?」
ブギー「まじかよ…」
最深部の為、警戒して入ったはいいがそこには道中と同じく『何も』いなかった
そう『何も』いない
ジャック「なぁブギー、おかしいと思わないか?」
ブギー「あ?何がだよ」
ジャック「ここに来るまでの間、どこも蜘蛛の巣だらけだっただろ?ここだってそうだ」
言われて見渡すと確かに壁や天井、石像までもが埃をかぶり蜘蛛の糸が絡みついていた
ジャック「けど、肝心の蜘蛛が一匹もいないのはなんでだと思う?」
ブギー「…そいつらが逃げ出すような相手が潜んでるとかか?」
その時
カサ…カサ…
何処からか、何かが動く音が微かに聞こえた
ブギー「何の音だ…?」
音の正体を探ろうとしていると、石像の影から一匹の蜘蛛が姿を現した
その蜘蛛はジャックの頭ほどのサイズで、見慣れない青い色をしている
ジャック「…これの事かな?青いし」
ブギー「だろうな。とりあえずさっさと終わらせちまうか」
そう言いながら大人しくその場に静止する蜘蛛にブギーが歩み寄る
一応警戒をしてみるものの目の前に近づいても特に攻撃をしてくるわけでもなく、蜘蛛を掴んで持ち上げてみる
まじまじと見つめてみるがやはり何の反応もない
ブギー「これが例の蜘蛛か?大人しいもんだがな」
どう思う?とジャックの方に顔を向ける
すると掴まれていた蜘蛛が小さく震え、薄らと冷気を纏い
次の瞬間
爆発し自らの周辺を凍り付かせた
少し距離を置いていたジャックは一瞬何が起こったのかわからなかった
先ほどまで蜘蛛を掴んだブギーが立っていた場所は氷に包まれ、空気中には今もなお冷気が漂っていた
ブギー「…なんだよ、あいつ!」
声のする方を見るとそこにはあの爆発に巻き込まれたと思われていたブギーの姿
ジャック「あ…無事だったんだ」
ブギー「なんだその意外だって言い方は!…咄嗟に影で逃げたんだよ」
命拾いしたぜ…そう言うブギーだったがよく見ると蜘蛛を掴んでいた右腕は冷気により凍り付いている
ジャック「なかなかいい反射神経してるんだな」
ブギー「んなもんお前わかりきってるだろうが…腕は凍っちまったがな」
ジャック「…しょうがないから一応溶かしてやろうか?」
ブギー「しょうがないってなんだよ。いいから早く溶かせっての」
お願いしますくらい言えばいいのに
そう心の中で思いながらブギーの右手に手を翳し、炎を操る
ゆっくりと氷が解け始め、ブギーの右腕が露になる
ジャック「蜘蛛を見かけたのはどこなんだい?」
バレル「あっちだよ!」
バレルが指さした方向にはやはり何の変化もない墓場が広がっている
ブギー「お前ら本当に見たのか?」
ショック「本当に見たわよ!」
ロック「確かだよ!あっちの方に逃げて行ったんだ!」
もしかしてまた小鬼達の嘘なのか
普段から嘘や悪戯ばかりのこの子供達
だが果たしてあの場でまで嘘をつくだろうか
ブギー「こいつら嘘はついてねぇみたいだぜ」
ジャック「…君がそう言うなら信じようかな」
ロック「ジャックそれ結構ひどいよ!?」
ショック「あたし達を少しは信じてもいいんじゃないの!?」
ジャック「君達の日頃の行いを思えば疑いたくもなるよ」
嘘ではないと判断し小鬼達に連れられ指示した方向へと向かう
格子状の扉を開くと変わらず見慣れた光景
今宵は満月
その光に照らされた地を進み、辺りを見渡す
ジャック「いないみたいだね…もうどこかに逃げてしまったのかな」
ブギー「かもな…或いは」
ブギーが視線を向ける先には古びた地下墓所
周囲を蜘蛛の糸が覆い見慣れた小さな蜘蛛が所々に張り付いている
ジャック「あー…確かに怪しいかも」
ブギー「おい、お前らはここで待ってろ」
「「「ええー!なんでー!?」」」
予想通りの反応だったのだろう、ブギーは3人の頭を軽くポン、と叩き
ブギー「いや、駄目だ。お前らは俺達が戻ってくるのを待て。もしも戻らなかったら町の奴らに伝える。大事な任務じゃねぇか?」
それを聞いてジャックはなるほど、と少し関心する
この3人を世話してきただけあって子供の扱いは意外と慣れているようだ
ロック「大事な任務…」
ショック「それってなんだか」
バレル「かっこいい!!」
こういうところは子供そのものなんだよなぁ
そう思いつつ3人をその場に残して蜘蛛の糸に覆われた墓所へと足を踏み入れた
中は薄暗く壁に取り付けられた松明の灯りが2人の姿を薄らと浮かび上がらせる
入り口を少し進むと蜘蛛の巣が所々に張られた長い階段
聞こえるのは自らの足音だけ
ジャック「今のところ何もいないか」
ブギー「もしかしたら本当に何処か他所に行っちまったのかもな」
ジャック「それならいいんだけど」
他愛もない会話を交わしながら階段を下り、目の前に現れたのは一つの扉
特に変わった様子もない
そのごく普通の石扉を開くと最深部だろうか、広い空間が広がっていた
周囲には道中と同じく壁に松明がいくつも取り付けられ、ガーゴイルを象った石像がいくつも並び二人を見据えている
ジャック「え…ここまで来て本当に何もいない?」
ブギー「まじかよ…」
最深部の為、警戒して入ったはいいがそこには道中と同じく『何も』いなかった
そう『何も』いない
ジャック「なぁブギー、おかしいと思わないか?」
ブギー「あ?何がだよ」
ジャック「ここに来るまでの間、どこも蜘蛛の巣だらけだっただろ?ここだってそうだ」
言われて見渡すと確かに壁や天井、石像までもが埃をかぶり蜘蛛の糸が絡みついていた
ジャック「けど、肝心の蜘蛛が一匹もいないのはなんでだと思う?」
ブギー「…そいつらが逃げ出すような相手が潜んでるとかか?」
その時
カサ…カサ…
何処からか、何かが動く音が微かに聞こえた
ブギー「何の音だ…?」
音の正体を探ろうとしていると、石像の影から一匹の蜘蛛が姿を現した
その蜘蛛はジャックの頭ほどのサイズで、見慣れない青い色をしている
ジャック「…これの事かな?青いし」
ブギー「だろうな。とりあえずさっさと終わらせちまうか」
そう言いながら大人しくその場に静止する蜘蛛にブギーが歩み寄る
一応警戒をしてみるものの目の前に近づいても特に攻撃をしてくるわけでもなく、蜘蛛を掴んで持ち上げてみる
まじまじと見つめてみるがやはり何の反応もない
ブギー「これが例の蜘蛛か?大人しいもんだがな」
どう思う?とジャックの方に顔を向ける
すると掴まれていた蜘蛛が小さく震え、薄らと冷気を纏い
次の瞬間
爆発し自らの周辺を凍り付かせた
少し距離を置いていたジャックは一瞬何が起こったのかわからなかった
先ほどまで蜘蛛を掴んだブギーが立っていた場所は氷に包まれ、空気中には今もなお冷気が漂っていた
ブギー「…なんだよ、あいつ!」
声のする方を見るとそこにはあの爆発に巻き込まれたと思われていたブギーの姿
ジャック「あ…無事だったんだ」
ブギー「なんだその意外だって言い方は!…咄嗟に影で逃げたんだよ」
命拾いしたぜ…そう言うブギーだったがよく見ると蜘蛛を掴んでいた右腕は冷気により凍り付いている
ジャック「なかなかいい反射神経してるんだな」
ブギー「んなもんお前わかりきってるだろうが…腕は凍っちまったがな」
ジャック「…しょうがないから一応溶かしてやろうか?」
ブギー「しょうがないってなんだよ。いいから早く溶かせっての」
お願いしますくらい言えばいいのに
そう心の中で思いながらブギーの右手に手を翳し、炎を操る
ゆっくりと氷が解け始め、ブギーの右腕が露になる