０４－２　　

？？？視点


先に課題を終えた同室の奴と別れ、俺は人の多い通りへ来ていた。


何度やってもこの女装の授業だけはどうにも苦手だった


プロ忍目指す者として好き嫌いなど言語道断なのは重々判ってはいるのだが、無理なものは無理だ！！

そう開き直って今回の課題もごり押しでやりきるつもりだ。



暫らく好奇の中歩いていた時視界の端に男が老人にぶつかるるのが映る、何も言わずに立ち去る男を老人を支えた少女が後を追おうとしていた。


恐らくあの男はスリ、少女はそれに気が付いたのだろう。


あんな子供、しかも少女に何ができるというのか。




そこで潮江文次郎は閃いた


あのスリ野郎を脅して奢らせればいいのだ、そして少女には財布を渡して穏便にすませてしまえばいい。

課題は[町の男性に何かしらおごらせること]なのだ。

手段までは指定されてはいない


そうと決めれば即座にスリ野郎の進路に先回りし、偶然を装い接触し脅す算段を立てた。






策通りに男を掴みクナイをちらつかせればあっさり応じた



そう、ここまではよかった。



振り返った先に先ほどの少女がいた、だが様子が少しおかしい。


顔は走ってきたにもかかわず若干青い、そしてこちらを凝視して固まっている。

（もしやクナイで脅しているのを見られか？）

何かしら誤解が生じているのは明らかで、下手に騒がれる前にと少女に声をる。



「驚かせてす・・ごめんなさい、お・・じゃない、わた・・」

それがより一層少女の不安を煽ったのだろう




『ッッヒイッ！！？』



か細いその必死に絞り出した悲鳴と共に


少女が逃げ出した





ーーそれほどまでに怖かったというのか、というか俺が悪者みたいではないか！！！


しかしこの財布を届けねばならない、少女の誤解も解かなければ託すこともできない。





ならば取るべき行動は一つ


「待て！！じゃない！待ってください～～～！！」



そしてここに少女を追うどえらい顔の女装という奇妙な絵面が出来上がったのであった。