蛭魔妖一が幼馴染になった
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時は進み週末は小学校の卒業式。数週間後から中学生になる。俺達は相変わらずでクラスも一緒、席も隣と四六時中蛭魔と顔を付き合わせていた。ときどき三森さんが腕を絡めてきて蛭魔と口論している。なんだかんだ三森さんとも上手くやっているようだ。
先日、俺がピアス開けて登校したときには三森さんと蛭魔の反応はほぼ同じで、仲睦まじい様子を見せてくれた。それを言ったら不機嫌になったけど。
まぁそんなことはいい。俺はいつも通り蛭魔と帰宅して、米軍基地に向かうところ「今日はお前に話がある。着いてきて。」と端的に伝えて無言で街を歩いていた。いつもの様子と違う俺に蛭魔は少し警戒しながら後をついてきていた。
小学校から徒歩20分歩けば、目的地であるビジネスホテルに到着した。
「こ、こんにちはみょうじさん!」
「オーナー。鍵は?」
「こちらに!! 5階のご指定の部屋です! ご案内しますか?」
「…お気遣いなく。」
ヘコヘコと頭を下げるオーなーから鍵を受け取るとそのままエレベーターに乗り込む。大人しく着いてきていた蛭魔は「なんだよ、ここ。」と不機嫌そうに問い掛けるか「いいから着いてきてればいい。」とそれ以上の言葉を許さなかった。
エレベーターを降りて静かな廊下を歩く。柔らかなカーペットが足音を消していて歩き心地も良い。突き当たりを右に曲がった部屋の番号と鍵の番号を確認して鍵を差し込み中に入る。
中は特別広いわけでも狭い訳でもなかった。クローゼットの中や風呂場、あとは冷蔵庫と電子レンジなどを確認する。まぁ日常生活には困らないな。よし。
「おい。そろそろ説明があってもいいだろ。何なんだよここ。」
「……まぁ、いいか。」
窓の外の景色を確認してから蛭魔に向き直り、持っていた鍵を投げ渡した。
「今度から家が気まずくて俺の家にも行けなくて帰る場所がなくなったらここに泊まれ。」
「はぁ!?」
案の定、蛭魔は俺を睨むと「何勝手に言ってんだよ。」と反論してきたがこればっかりは聞いてやるつもりもない。それに怒っているのは俺だ。
スッと近付くと蛭魔はビクッと一瞬肩を揺らしたが、後ずさることなく俺を反発的な目で睨んでいた。いつもなら俺がビビるところだけど本日はそうはいきませんよ、とアピールするように身長の差を使い上から睨み落とす。
「お前昨日の晩、それから3日前と5日前の夜どこにいた?」
俺の問いに分かりやすく顔を顰めた。蛭魔らしからぬ表情変化だ。変に言い訳するつもりはないんだろうが、素直に口を開くつもりはないようでこちらを睨みつけているだけだった。なんでお前が俺を睨む?
「帰ってねーんだろ。」
「…んで知ってんだよ。」
「へぇ、隠せてると思ってたんだ。」
なんて嘘だけど、見透かしてるふうを装って蛭魔を見ると、拗ねてそっぽを向くので思わずため息が出る。ちなみに情報源は幽也さんです。
昨晩、幽也さんから連絡が来て、俺がどれだけ心配したと思っているのだ。話を聞けばここ数回の話ではないらしい。俺の家に呼びたくても、先日父親が帰って来てしっちゃかめっちゃかにしたばかりだ。
となると家には呼べない。だが蛭魔を放置していれば夜に一人でウロチョロするわけで、その度に肝を冷やすなんてごめんだ。
「幽也さんに話はつけてある。家にいたくないのは分かったからここを用意した。んでもって頼むから連絡しろ。お前まだ未成年なんだぞ。なんかあったら嫌でも親の世話になるんだよ。よく考えろ。」
早口で言い放ち、そのままホテル出た。ペコペコとするオーナーに「彼に何かあったら連絡ください。」と告げておいた。
ちなみにホテルの方は母親からの裏情報をいただき、オーナーとお話して快く一部屋お借りする流れになっている。一応幽也さんから預かったお金をホテルに入れてあるので問題もないでしょう。
蛭魔が一人でホテルを借りるのを待ちたかったけど心配性が出てしまった。ってかなんで俺が脅迫手帳紛いのことしてるんだよ。くそ、蛭魔のせいだ。あのクソガキ、反省しやがれ。