Act 7
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ジョーはロジャーの言い回しに少々気になる部分があったものの折角来てくれたのだからともてなす準備をする事に。丁度つい最近肉を買いに適当な島へ赴いていたため果実だけを提供するような事にはならなそうだ。ただやはり肉にも限りがあるのでどうしてもフルーツメインになってしまうのだが。一応山菜はあるものの限度がある為菜園をしてみようかと試みたのだが場所が場所だけにそう上手くいかず断念している。
酒類も自分が嗜む程度にしか買っておらずこの大所帯に出せるだけの物は残念ながらない。
『ロジャーもてなしたいのは山々なのだけど食料も酒も足らない』
「その事なら気にしねェでくれ!俺たちがいきなり来たんだからこっちで準備するさ!」
『しかし客人に出させるのは…』
「船に食料も酒もそれなりにあるからよ! なぁレイリー!」
「あぁ、ウチでもつさ」
「足らなければこの島動物沢山いるしー…」
『ロジャー…?』
「∑な、なんだよ!」
『この島の動物達は私の家族も同然だ…例えロジャーと言えど手を出せば…分かるね?』
「分かった! 分かったからその顔やめろ! 怖ェよ!」
ジョーの地雷を見事踏み抜いたロジャーはジョーの笑顔なのに目が笑っていない表情を見て慌てた。それを偶々近くで見てしまったバギーとシャンクスも「ヒッ!」と顔を青くして怯えた。もし上陸した時点でここの動物に手を出していたら死人が出てたなと思うロジャー。
これから最果てに行こうと言う時に仲間を兄の手で失う訳にはいかないと心底思う。故にとても真剣な表情で「動物には手を出すなよ!死にたくなけりゃな!」と言った。その船長命令に船員達は誰も反対する者などおらず彼らにしては珍しく真剣な顔をして「了解!!」と声を揃えて答えた。それを聞いたジョーは良しと言うように一度頷いて見せてから何かしら作ろうとその場を離れる。レイリーの指示のもと船員達が船からある程度の食料と酒を持って来る事に。
ジョーが歩きながら頭の中で今ある物で何を作ろうかと考えていると、その後に続くロジャーとおでん。ロジャーはただ何となくついて来ているだけなのだが、おでんはまだ勝負するのを諦めていないらしい。
「やはりおれと勝負をして欲しい! この通り!」
『さっきも言ったろうおでんくん。余計な戦いはしないよ』
「そこをなんとか!!」
「おでんも諦め悪いなァ…やらないっつったら兄貴はやらねェぞ」
「何故じゃあ! おれはジョーの真の強さを知りたい!」
「兄貴の強さか…ガキの頃から強かったがグランドラインにいる事で磨きがかかった可能性は高いな」
『別に大したことないよ? 体が鈍らないように少し動いていた程度だしね』
「………その動いたって具体的には何したんだ?」
『何って…大虎達とちょっと手合わせしたくらいだよ』
「なにィ!? あの虎達とはやっておれとはしてくれんのか!?」
『アレは私にとって必要な事だからしているんだ。おでんくんとの勝負に私は必要性を感じない』
「いや、お前らそこか?! あの大虎達なんでか知らねェが覇気使えるだろ?! っつー事は兄貴も使えんのか!?」
『………………ハキ? なんだそれは』
「「えっ…?」」
ジョーの意外な返答にロジャーはもちろんおでんも驚いたように目を丸め彼を見ている。大虎達は見聞色の覇気を使っていて気配を読まれているような気が上陸した時からロジャーはしていたのである。そんな虎達と渡り合えているあたりジョーも覇気が使えるのだろうとロジャーは思ったのだ。おでんに関しては身を以ってジョーの斬撃を浴びて要るため覇気が使えることを分かっていた。
しかしジョー自身は自覚していないし、そもそも覇気自体を理解していないようでとても不思議そうな顔をして二人を見ている。そう見られている二人は逆にジョーのことをなんとも言えない表情で見ていた。そして少し二人で側を離れたかと思うと何かをヒソヒソと話し出した。
「ロジャー! お前の兄者はどうなってる?!」
「それは俺も聞きてェよ! 無意識に使ってるってなんだ!?」
「おれが分かるわけ無かろう!」
「それにしたって普通分かるよな? 特に見聞色の時なんて色々聞こえてヤバかったぞ?!」
「うーん…となるとロジャーの兄者が異常なんだな」
( 聞こえてるんだけどな…そもそもケンブンショクってなんだろうか… )
「取り敢えず兄貴には覇気のことを知っといてもらわねェとダメだな」
「うむ、そうだな」
と締め括った二人はジョーへ振り返った。ジョーは先ほど話していた事を話されるのだろうかと思っていると、その通りのことを言われた。
覇気というものが存在し、それは厳しい修行を行なった者の中でも極めて稀に発現するのだと。それを使えると
覇気を使っているもなにもジョーはただ普通に日々を過ごし暇さえあれば猛獣達とドンパチしていただけだなのだから。
『うーん…私はその覇気を使えていると二人は思うんだね?』
「おう!確実にな!」
「そもそもおれは身を以って受けてる! ありゃあまるでロジャーの技のようだった!!」
「俺のってーと…
「そう言うことだな! 流石ロジャーの兄者と言ったところか!」
「なるほどな! だからあのウマヘビも兄貴に懐いたわけだ! わははははっ!!」
『なんの話だい? 私にも分かる様に言って欲しいね』
「覇気にはな、色々なイメージが流れ込む見聞色と攻撃を強化する武装色、そして王になる素質を持つ者のみ発現する覇王色の3つあるんだ」
『そうなんだね? だからどうしたって言うんだい?』
「兄貴は恐らくその3つ全てを扱えてるって話しだ!」
…………………
……………………………
『そう』
「Σそれだけか?!」
「わはははははっ! ジョーは実に面白い奴だなぁ!!」
『説明してくれて悪いのだけどあまりピンとこないし実感もないんだよ』
「あー…それが普通だったんだもんな兄貴は…。ならなんか良く聞こえるなァとか睨むとビビって逃げるとかそんな事ないのか?」
『あぁ、そう言うことはあったね』
「「あんのかよ!!」」
「それが覇気だ!」
「同じ力を持つとはスゲェ兄弟だ!」
かなり砕いて説明してようやくジョーは自分に起こっていたことがその覇気だったのだと実感した。「あれが覇気なんだね」となんとも暢気に言っておりロジャーはガックリと脱力する。地頭はいいのに、こう言ったことに全く関心がないのはどうにかならないのかとロジャーは心底思う。この先、己がいなくなったら兄は大丈夫なのかと心配になるほどトンチキな事があるのだから。
色々ツッコミどころ満載な会話であったが一段落しジョーもまたどこかスッキリした顔で止まっていた足を動かす。
元々提供するものを作りに行こうと思っていたのに思わぬ所で足止めを食らってしまったと思うジョー。それも己を思って説明してくれたのだから文句など言えようもないのだが思うだけいいだろうと。なんだかんでジョーとロジャーとおでんは会話をしながら進むのだった。
*
**
***
準備するのに少々時間がかかってしまったが、なんとか中心の場所にみんな集まり酒盛りを始めた。あっちでワイワイこっちでワイワイしており中には既に酔っ払っている者もいる。
そんな中、ジョーの周りに集まるロジャーを始めレイリー、おでん、クロッカス、シャンクスに引っ張られて2人一緒に来たバギーの六名。随分と個性的(見た目)なメンバーたちが集まったなと思いながらも酒を少しずつ嗜む。好き好きに話しをしているとロジャーが先程のことを隣に座るレイリーへと話し出す。
「聞いてくれよ相棒! 兄貴も覇気使えるんだぜ!!」
「ほう…まぁだがロジャーが出来てジョーさんが出来ない理由もないだろう」
「見聞と武装だけじゃねェ! 恐らく覇王色も使えるんだ!」
「 ! それは…想定外だったな…」
「ロジャーやレイリー同様に覇王色を…」
「スッゲェ!!」
「カッケェ!!」
「おでんも使えたよな?」
「$%∞&□$%○$!!」
「飲み込んでから話せよ!」
「あぁ使える!」
『ここに居るだけでも数名いると考えるにそんなに珍しい事もないのではないか?』
「バカ言え! ここに集まってんのは偶々だ!」
「覇王色を持つ者には早々会えんよ」
『そうか…レイリーくんがそう言うのならそうなのだろうね』
「Σおい!? 俺に対して失礼だぞそれ!!」
『悪いけれどロジャーの言葉を鵜呑みには出来ないよ』
そうジョーが言うと、その場はドッと笑いが湧きゲラゲラと笑い転げる船員達。なんでもジョーの言葉にツボったらしく「ロジャー船長肩なしだ」とか色々言っている。言われているロジャー本人は恨めしそうにジョーを見ているのだが彼は全く気に留めてもいない。
レイリーとクロッカスはジョーの言葉を聞いて思わずロジャーに同情の目を向けてしまう。その視線に気づいたロジャーは「その目やめろ!」と二人に噛み付けば二人はソッと目を逸らした。そんな風にされるくらいなら何か言われた方がマシだと思うがロジャーも口を閉ざした。
そんな中ガツガツと物凄い勢いで食べて飲んでいたおでんが突如立ち上がり「勝負だ!」とジョーに言う。いきなりの事に皆が皆「酔っ払ったか?」と思ったが、どうやらそう言うわけではないらしい。真っ直ぐにジョーを見て言っているところを見ると酔っ払って言っている訳ではないようなのだ。ただ言われている張本人のジョーはとても迷惑そうな顔をしながらおでんを見返している。
『おでんくん…君も大概しつこいね』
「どうしても納得いかん! 正々堂々勝負しよう!」
『確かにあれは完全に不意打ちだったけれど君が刀の柄に手を掛けるからであって…』
「戦いたいとは思ったが殺そうなどとは思っておらん!」
『そうだったとしても見知らぬ者が現れて刀に手をかけたら誰だってそう思うよ』
「ぬぅ…! いいではないか!! ひと勝負しよう!」
『やらないと言っているじゃないか』
「おでんの奴本当に諦めねェなぁ…」
「それだけ彼の攻撃が衝撃的だったのだろう」
「実際の所本当にロジャーの兄は覇王色を扱えるのか?」
「多分な! じゃなきゃこんな猛獣だらけの所に住めないだろ」
「そうとも言い切れんがな…猛獣は自分より強い相手には従うだろう」
「確かに猛獣にはそういう性質もあるな…」
「レイリーもクロッカスも硬く考えすぎじゃねェか?」
「お前が軽いんだ」
「同感だ」
「そうかぁ?」
などなど…おでんとジョーのやりとりを見て好き好きに話しをしている。まぁ…二人の会話はずっと平行線を辿っているだけで全く進んではいないのだが痺れを切らしてジョーが折れるか、それともおでんが諦めるかするまでこの会話は続きそうである。
同じ輪にいて話しを聞いていたシャンクスとバギーはおでんとジョーの勝負を見てみたいと思っていた。おでんが吹き飛ばされたと言うのだから、かなり腕っ節のある人なのだと思ったからだ。ただやはり普段そんなに表情が崩れないジョーの顔が心底迷惑だと言いたげに歪んでいるとロジャーは思う。
「やろう」「やらない」の応酬の末…ピキッとジョーの額に青筋が浮かび上がり「あ、ヤバい」とロジャーだけが悟った。ゆっくりと立ち上がったジョーの顔はまるで能面のように笑顔を貼り付けており流石のおでんも「しまった!」と思う。
『そこまで言うのならやろうじゃないか』
「お、おぉ! 漸く聞き入れてくれたか!!」
( おでんの奴平気か…あんな兄貴久しぶりに見たぞ… )
『最近あの子達じゃ少し物足りなく思っていたところなんだ。やろう』
「よしきた!」
( さっきまで言ってた事と正反対なの気づいてんのか… )
笑っているのに笑っていないジョーにロジャーはおでんの心配をするも、おでんはもう
ロジャーだって故郷を出てからのジョーの実力は知らないし、覇気を扱える事から相当鍛えられているのは窺える。おでんには申し訳ないが、ある意味犠牲になってもらう羽目になるかもしれないとロジャーは思う。
今いる場所で皆が集まっている所から少し離れた場所で向かい合う二人。
おでんは二振りの刀を持ちジョーは父から譲り受けた剣を持ちしばしの睨み合い。二人の勝負が始まると言うことで賑わうかと思えばそんな事もなく妙な緊張感が漂う。ゴクリと誰かが固唾を飲み込んだ時、二人同時に動きだし互いに持っている獲物がぶつかり合った。
その瞬間バチバチバチっと互いの覇気までもぶつかり耐えられぬ者はバタバタと気絶していく。それを見たロジャーやレイリーたちは「やはり持っていたか」と内心思いながら戦いを見守る。ギンギンとぶつかり合う度に飛び散る覇気が凄まじく、まだ幼くとも冷や汗をかきながら何とか耐えているシャンクスは武者振るいする。背筋を這い上がるようなその感覚に手に汗握りながら食い入るようにその戦いを見ていた。
因みに隣にいたバギーは残念ながら耐えられずに気絶してしまっている。
動物達も彼らの覇気から逃げるように隅っこのギリギリまで避難しているのだが誰も気付いていない。ヒートアップしていく二人の戦いは更なる局面を迎え互いの技を繰り出し始めた。
「桃源白滝!!」
『神威!!』
おでんは腰を低く下ろした体勢から二刀を勢いよく横一文に振るい強力な斬撃の一閃を放つ。それに対抗すべく先程おでんが不意打ちで食らったものであろう斬撃をジョーも放った。二つの斬撃は丁度二人の真ん中あたりで衝突しバチバチっと音を立てながら相殺された…かと思われた。
確かに相殺された様だったのだがジョーの放った斬撃はおでんの斬撃を打ち消すかのようにしておでんに迫った。それを見たおでんは「なにィ!?」と言いながらその斬撃を咄嗟に避けたことでことなきを得るが…おでんが避けた事で抜けていった斬撃が当たった木々は無事では済まなかった。
なんと今まであった筈の木々が斬られた所から一瞬にして枯れ腐ってしまったのだ。その事実に見ていた誰もが驚きに目を丸め、それをやって見せたジョーへと視線が集まる。しかし本人は今おでんとの戦いに一点集中しているためそれに全く気づいていない。更に追随しようとしたジョーにおでんも直ぐに構え直し迎え打とうとした。
そんな時…これ以上は危険だと判断したロジャーがジョーを止め、レイリーがおでんを止めたのだった。
「そこまでだ!」
「二人とも獲物を下ろすんだ」
「何故止めるロジャー! レイリー!!」
『ここからがいい所だと言うのに』
「これ以上やったらこの島がタダじゃすまねェぞ? それでもいいのか?」
『 ! ……それは困るね。仕方ないこの辺で終いにしよう』
「ぬぅ…!! 不完全燃焼ではないか!」
「これ以上は止めておけおでん。あのまま戦っていてはお前もタダでは済まなかったぞ」
「それは百も承知! まだジョーは本気出しておらんだろう?!」
『それはお互い様じゃないのかな? まぁ…君とこれ以上やったら私もタダでは済まないのだろうからね。止めてもらえてよかったよ。ロジャー、レイリーくんどうもありがとうね』
「兄貴は一点集中すっと終わるか誰かに止められるまで周りなんて気にしねェからな」
そう言いながら呆れたと言うようにため息をつくロジャーにジョーは肩を竦めて見せるだけ。おでん的にはもっとちゃんとやりたい気持ちであったが確かにこれ以上二人がやりあったら互いに怪我をする。戦いとはそう言うものだが今回この場に来たのはロジャーが会いたいと言ったからだと思い直す。
そのため、おでんは二振りの刀を鞘に戻し「感謝申し仕る!!」とジョーに頭を下げた。まさかそんな行動を取られるとは思っていなかったジョーはキョトンとしてから「こちらこそ」と頭を下げた。これにて二人の真剣勝負は幕を閉じて先ほどまで座っていた場所に腰掛ける。
その際、今まで馬鹿騒ぎしていたロジャーの船員達が所々倒れているのを見て不思議そうにするジョー。未だにジョーは覇王色の覇気は「相手をビビらせる」だけだと思っているのだから当然の反応だ。
『皆眠ってしまったのかな?』
「は…? 何言ってんだ?」
『だからそこに倒れている子達だよ。酔っ払って眠ってしまったのかなって』
「マジか…理解してねェのかよ…」
「アレは寝ているのではない。おでんとジョーさんの覇王色の覇気を浴びて気を失っているんだ」
「根性ないな!」
「根性云々の話ではないだろおでん」
『何かがぶつかり合う感覚があったがアレがそうなのだろうけれど…覇王色はビビらせるだけではないのか?』
……………………
…………………………………
「かー!! やっぱり理解してなかったー!!」
「ここまで覇気について興味のない者も珍しいな…」
「ロジャーの兄とは思えん」
「なんだとクロッカス! れっきとした兄貴だぞ!」
「性格が真逆過ぎて似ても似つかんではないか」
『あはは!昔はよくそう言われていたよ』
「笑い事か?! つーかその事は今はいい! 兄貴はまず覇王色の覇気をしっかり理解しろ!」
話がだんだん逸れていきそうなところをロジャーが咄嗟に軌道修正しジョーをビシッと指差して言う。そう言われたジョーは目をパチパチと瞬かせてから「だからビビらせるんだろう?」と不思議そうに言った。
「そうだがそうじゃなくてだなァ!」と言いながら相手を威圧し萎縮させたり戦意喪失させより強い覇気になると気絶させる事もあるのだとロジャーがしっかりと説明した。ふんふんと聞いていたジョーはその説明でようやく全てを理解したようで「そんな事が出来るのか」と心底驚く。確かに昔一度だけ海賊が勝手に泡を吹いて気絶した事があったなと思い返す。
長いこと扱えていた…と思われる覇王色の覇気を何十年もの時を経て真に理解する事ができた。「そうかそうか」と言いた気に頷きながら聞いたジョーに今まで黙っていたシャンクスが食い気味にジョーに問いかけた。
「さっきの技! アレなんだ?! 木が枯れちまった!!」
「そうだった! 確かにおれの後ろの木が枯れたな!!」
『ん? 私そんな事したのか?』
「Σえぇ?! 自分でやっといて気づいてねェのかよ!!」
「兄貴お前…自分の攻撃の威力くらい把握した方がいいぜ…」
「同感だな…余りにも危険すぎる」
『レイリーくんまでもそう言うのかい? とは言え…別に木をなくそうだなんて思っていないが…』
「そうなるような要因はねェのか? あの消え方は斬撃だけの所為じゃないと思うぜ」
『そうだなぁ……もしかしたら私の能力のせいかも知れないね』
「能力って…悪魔の実か。そういや能力者だったんだよな」
「おぉ能力者とな!? 白吉っちゃんと一緒だな!」
「一体どんな能力なんだ?!」
『生あるモノを元に戻す力だよ』
「「「生あるモノを元に戻す??」」」
そうジョーが言うも意味を理解し切れていないロジャー・おでん・シャンクスの三人は復唱して首を傾げる。レイリーとクロッカスは驚いた表情をしながら「もし己の考える通りなら…」と色々考えていた。分かっていない三人はもっと砕いた説明をジョーに求め彼も分かり易く且つ簡素に説明した。
人間であれ動物であれ植物であれ、生あるモノの事象を戻す事の出来る能力なのだと話した。それを聞いた五人は驚きに目を丸めてから思わずロジャーの方へ視線を向けてしまう。そんな彼らの行動に一人意味を理解出来ていないジョーは「?」を飛ばしている。
彼らがロジャーをつい見てしまったのは「不治の病を治せるのでは?」と言う希望を抱いたからだ。しかし船長命令でジョーにロジャーの病の事は絶対に言うなと言われている以上彼らの口から言う事はできない。
ロジャーはロジャーで一瞬同じことを思ったが直ぐにそれをする必要はないと思った。病を患ったのもまた己の人生なのだと既に受け入れているのだから今更足掻く必要もないと思っているのだ。そんなこと言えばレイリー達に何故頼らないと怒られそうだが、決めた事を早々に覆す気はないのである。
「そりゃまたスゲェ能力だな!」
『私もそう思うよ』
「あの時の二日酔いも本当に兄貴が治してくれたしな!」
『うん。本気で辛そうにしていたからね』
「いやー久しぶりにシンドかったぜありゃあ! わっはっはっはっは!!」
『笑い事にせずもう少し考えて飲んで欲しいものだ』
「今更だな! それにしても兄貴の見た目がそんな変わらねェのもその能力のお陰か?」
『うん。大体二十代後半から三十代半ばの時の体をキープしているんだ』
「わっはっはっはっ!! まじでスゲェな!!」
『やはりこの歳になると色々な所にガタが来てね…。ここで暮らすにはそれなりに若くないとキツいんだ』
「だろうな! だが別の島に移り住むって手もあるだろ?」
『そうなったらここにいる子達と離れないとならないからね。言ったろう? あの子達は私の家族同然なんだよ』
「そうだったな!それじゃあ早々に出て行くなんて出来やしねェわな!」
などなど…兄弟で楽しく話しているのとは裏腹にレイリー達は居た堪れない気持ちで一杯だった。このタイミングでロジャーが己の病のことを打ち明けないと言うことは必然的に答えは出た。己の病が治る可能性があろうともジョーにその事を頼むのは勿論話すこともしないのだと。
「なんてバカな男だ」と思わずにはいられないレイリーは見えない所で拳を握る。こちらの気も知らないで近い将来くるであろう死を受け入れ希望を掴もうともしない。そんなロジャーを憎たらしく思うのと同時に彼らしいとも思ってしまうのが不思議な事だった。
この後しばらく経ってから気絶していた者たちも目を覚まし再びドンチャン騒ぎと化す。そして想像通りそれは一日中続き翌朝まで飲むものは飲み明かすのだった。
*
**
***
翌朝
飲み明かした場所で死んだように眠るロジャー海賊団の面々。
目を覚ました者は二日酔いで死にそうな顔をしておりグッタリとその場で横になっている。それはロジャーも同様であり相変わらず飲みすぎて絶賛二日酔いと格闘中である。その中には酒に強そうなおでんも共にダウンしており二人の周りに散らばる酒瓶でどれだけ飲んだのかが窺えた。
ジョーはと言うと既に起きており二日酔いに苦しむ者が多数居るだろと思い水を汲みに来ていた。なぜ亀の甲羅の上で真水が沸いているのか以前から不思議でならない彼だが有難いため気にしない事にしている。そもそも
ジョーは空樽に一杯水を汲みよっこらせと溢さないように二日酔い共がいる場所へ戻った。ジョーがそこに戻った時には二日酔いではない船員達がゴミの処理に追われて走り回っていた。それを指揮するのは勿論レイリーであり「ロジャーは何しているんだ」とジョーは思い見渡す。
見渡した結果ジョーの視界に入ったロジャーは昔同様に頭を抱えながらうつ伏せに倒れている姿。今回も頭痛付きの二日酔いに悩まされているらしい。
『全く…だから考えて飲めと言っているのに』
「あ″ぁ~~…死ぬぅ~~~…」
「おれもじゃあ~~…」
「全く…船長がこれでは示しがつかん…」
『本当にレイリーくんには迷惑をかけるね…。申し訳ない』
「前も言ったが貴方が謝るような事ではないさ」
「ジョー~…水くれぇ~…」
「おれにもォ~~…」
『ふぅ…大きな子供のようだね…。ほらロジャー飲みなさい。おでんくんも』
「おぅ…サンキュー…」
「かたじけない…」
ジョーからコップに入れた水を受け取ったロジャーとおでんはゴクゴクと冷たい水を流し込む。それを横目で見てからジョーは他の者達にも同じように水を配っていった。その際ちゃんと配分を考えていたのか二日酔いになっていないシャンクスとバギーも手伝ってくれた。まぁバギーに関してはレイリーに指示されたから渋々やっている感が否めなかったが。
それでもしっかりやるあたり根はいい子なのだろうとジョーは思った。
水を配り終えてからしばらく経った頃にようやく二日酔い組がゾロゾロと動き出す。今日この島を出る事になっているため出港の準備やら何やらしなければならないのである。
今朝よりはマシになっているけれど決して完治したわけではなく、どこかフラついている者が多い。こんな状況で海に出て大丈夫なのかと思ったジョーがレイリーに尋ねれば「いつもの事」らしい。そう言えば昔会った時もそんな話をしたなと思いながらジョーは苦笑いする。
ようやく出港準備が整ったオールジャクソン号に乗り込む船員達。最後にロジャーとジョーが下で話しているのを甲板から見下ろしていた。
「今回は突然押しかけて悪かったな!」
『いや楽しかったよ。また何時でも来ると良いよ』
「あぁ! そうさせて貰うぜ!」
『これから新世界に戻るのだろう? 気をつけて行くんだよ…って言っても無駄なのだろうけど』
「わははははっ! そうだな! この海もそうだが新世界はもっとヒデェからな!!だが俺は必ず最果てにある島を見て来るぜ! 兄貴もその時を待っててくれ!」
『そうだね楽しみにしていよう。ロジャーが新聞に載る時をね』
「おう! それじゃあ行くな!」
『うん。あまりレイリーくんに迷惑をかけない様に』
「Σ最後までそれか?! 別に迷惑かけてねェよ! ……たぶんな!」
『フフ、それなら良いけど本当に気を付けてな』
「あぁ!じゃあな!!」
そう言いながら握手してからロジャーは仲間の待つ船へと乗り込んだ
そして「出航だ野郎どもー!!」と言えば「おぉお!!」と言う声が響く。降ろされていた錨を上げてロジャー率いるオールジャクソン号がゆっくり動き出す。
甲板には相変わらず多くの人が集まっており「じぁあなァー!」やら「楽しかった!」など言いながら手を振る船員。その中にはロジャーは勿論、戦いある意味絆を深めたおでんや何故かジョーに懐いたシャンクスなど。笑顔で両手を高く上げながら「また来るからなー!!」と言っている。
その言葉にジョーも笑顔で頷きながら手を振り返している。そんな船の横に現れた海王類のウマヘビも「ブルル!」と別れを惜しんでいる様だ。
出航時は渦潮に見舞われる事はなく順調に進み、ジョーはオールジャクソン号が見えなくなるまで見送った。
そしてこの一年後、ロジャーが最果てへ到達した事で「海賊王」として更に名を轟かせることとなる。
( 楽しかったなァ! 兄貴も変わらなくて良かったぜ! )
( ロジャー良かったのか…わしは薬を出すしか出来んが彼の能力ならその病も… )
( いいんだよ先生! これが俺の人生だ! )
( 何を言っても無駄だクロッカス。ロジャーは一度決めた事を変える事はそうそうない )
( レイリー…しかしだな… )
( わははははっ!この話は終いだ! )
( なァおでんさん! ジョーさんってやっぱ強ェのか?! )
( ありゃあロジャーを彷彿とさせる強さだった!! )
( マジかよスゲェ!! )
( いつか赤太郎も勝負を挑めばいい!! )
( え、それはいいや )
( Σ何故だ?! )
( フフフ、楽しかったなぁウマヘビ )
( ブルヒヒン!! )
( そうかそうかウマヘビもロジャーに会えて嬉しかったか )
( ヒヒン♪ )
( ロジャーが新聞に載るのを楽しみに待つとしよう )
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