救済を
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ジョーが
その間に弟のロジャーは己の海賊団を立ち上げ勢いをつけているのを知るジョー。極たまにやって来るニュースクーから買った新聞でその事を知りジョーの顔に笑みが浮かんだのは言わずもがなだ。新聞にはロジャーの手配書も挟まれていて、それは大事に保管され残っている。無論ロジャーの仲間であろう者達の手配書も一緒に取っておいている。
この数年でジョーの髪は随分と伸び邪魔にならないよう後ろで一つに括っている。いるのだがネコ科である大虎がジョーが歩く度揺れる髪によくジャレ付いた。初めこそ微笑ましそうにしていたジョーなのだが如何せん相手は大虎の猛獣。気を遣ってなのか爪をたてずにいた虎が狩猟本能が出てしまい爪をたてて彼の髪を切ってしまったのである。
もちろんその程度でジョーが鬼のように怒るかと言ったらそんな事ないのだが流石に注意した。「危ないから爪を立ててジャレついて来るんじゃないぞ」と気持ち優しめに言ったが大虎はショボンとしょげたのだ。
大きな身体を小さく縮こませる姿に普通のネコを虐めている気持ちにさせられたジョーだった。そんな事があってからジョーは髪が伸びても後ろで括った髪を前に流すようにしたのである。
余談だが流石のジョーもこの島が
*
**
***
それから更に数年経った今ジョーは今日も今日とて変わらぬ日常を送っていた。ただ今回の食料調達で見つける「果実」でジョーの人生は大きく変わる事となる。
それはいつも通り小動物達の案内の元実りある木々から果実を頂戴していた時だ。その中に明らかに他の実とは異なる、ある意味目を引く物を見つけたのである。ジョーは首を傾げながらもその実を手に取り色々な角度で見るも何の実なのか分かりはしない。ただ分かるのは変な渦巻き模様で全くと言って良いほど味気の無さそうな白。
実に怪しい物であるのだが、そこはロジャーの兄と言うか…好奇心の方が勝ってしまいそれを口にした。口にしたのだが口に入れた瞬間からその実の味は形容し難いほどの不味さで流石のジョーも「ゔっ…」と嗚咽きそうになる。顔面蒼白になりながら口元に手を置き流石に吐き出そうかと言う考えがジョーの頭の中に巡るほど不味い実。だが食べ物を粗末にしてはならないと言う精神が働きジョーは吐き出したいのを我慢し全てを食べ尽くした。
『うぇ…何だろうこの果実…物凄く不味い…』
食べ切ったはいいが想像を絶するほどの不味さにジョーの顔色は相変わらず悪く今にも戻しそうだ。その様子に小動物はどこか心配そうにつぶらな瞳をジョーに向けている。それに気付いたジョーは「大丈夫だよ」と小動物の頭を撫でて口を濯ごうと川の方へ。この無人島の川は人の手が加えられていない事からとても綺麗に澄んで飲み水として最適。
申し訳ないが身体を洗ったりする時もその川を使っているからかジョーの髪は見違える程艶々になった。そんな事に無頓着なジョーは全くと言っていいほどその事に気付いてすらいないのだが。ただ「指通りがよくなったな?」程度にしか思っていない。
一先ず川へとやって来たジョーは膝をついて川の水を掬い一口飲む。水に手をつけた際なんだか力が抜ける感覚があったもののそう気にせずもう一口。まだ口の中にあの果実の味が残ってはいるものの水で薄まった事で一息をついた。
『それにしても私の食べた果実は一体…と言うか以前本で読んだ気が……』
……………
………………………
『まぁいいか。いずれ分かるだろうしね』
そう独りごち今回食べた果実に関して考えを放棄する方向へいっていまった。そんな時、何処からか小動物たちが何かから逃げるようにジョーの元へと駆けて来た。
大型猛獣から逃げる必要もなくっている今では稀に見る光景にジョーは目を瞬かせる。側にやって来たウサギは膝をついてるジョーのそこに前足を乗せ何かを訴えているようだ。
『どうしたんだい?』
「きゅっきゅい!」
『んー…何を伝えたいのかな…』
「きゅきゅきゅっ!」
『こっちに何かあるのか?』
ウサギはジョーのズボンを噛みグイグイとある方向へと引っ張っている。その行動に「こっちに来い」と言いたいのだと察する事ができ、立ち上がり其方の方向へと歩き出す。ウサギはジョーを先導するように前をぴょこぴょこ跳びながら時折り確認するように振り返る。
それを幾度となく繰り返していた時ジョーはようやくこの島に己以外の人間がいる事に気が付いた。ジョーは今回生活拠点にしている所から離れた場所に食料調達へ来ていたのだ。その為ある程度戻って来てから人間の気配を感じ取ったのである。
数年この島に住んでいるジョーであるが初めて訪れた人間をもてなそうか考える。しかし動物達の反応からしてあまり良いような感じではないのにジョーは訝しげた。ウサギの案内の元辿り着いた所には如何にも「海賊です」という風体をしている男たち。そしてその男たちの足元には銃で撃たれ満足に動くことの出来ない鹿がいた。
その鹿は最近母鹿になったばかりであり子供を逃すために己が撃たれてしまったのだ。その様子を見たジョーは無言のままゆっくりと近づいていく。
「どうにか食料にありつけるっすねキャプテン!」
「こんな無人島一時はどうなるかと思ったが…食料には困らなそうだな」
「まだ生きてるっすけどこの鹿どうします? もう始末しちまっていいっすか?」
「待て 新鮮な状態で食いたいからな。このまま寝ぐらになりそうな場所まで運ぶぞ」
「了解っす!」
『悪いけれどそれはやめてもらえるかな?』
「 !! 誰だ!!」
「人間っすよキャプテン!」
「見りゃあ分かる!! テメェ何モンだ!」
『その子は最近母親になったばかりなんだ。その子供から親を取り上げては可哀想だろう?』
「人の話シカトしてんじゃねェぞクソ野郎が! お前らやっちまえ!!」
「「「 おぉお!! 」」」
海賊共の言葉を無視し、親鹿を離すよう言うもそう簡単に事が進むわけもなく…。シカトされた事に腹を立てた海賊の船長が手下達に指示を出しジョーを襲わせる。それをただ見ていたのだが何を思ったのかその船長が鹿の上に足を乗せた。しかも丁度撃たれ怪我をしている所にのったようで鹿はとても苦しそうにしている。
それを視界に入れたジョーからビリッと肌を指すような威圧を受け手下たちはその場で泡を吹き意識を失う。むろん鹿に足を乗せていた船長もその場に白目を剥いて倒れていてジョーはただ黙ってその様を見下ろした。その瞳には確かな怒りが宿っており普段のジョーからは想像がつかない程冷たい物だった。
お察しの通りジョーは厳しい修行を積んできた者に稀に現れる「覇気」を扱えている。ただ彼は覇気を認知しておらず「気配がよく分かるな」や「少し睨むと逃げる」などなど…そう言う風にしか考えていない。
そんなジョーの覇気は目の前の海賊達に向けられていたのだが近寄り難い空気を醸し出す。動物達は本能的にジョーの側を離れていてチラリと様子を伺っている。
それにハッと気付いたジョーはポリポリと頬を掻いて「ごめんな」と呟き母鹿に近寄った。母鹿は太腿を銃で撃ち抜かれており必死に立ち上がろうとしても出来ていない状況だ。
『ごめんな。私が遠くに行かずいればこんな事には…すぐ止血してあげるからね』
「くぅ…」
『弾が貫通してるか確認するから少し痛むよ。我慢しておくれ』
母鹿に声をかけ労りながら太腿に手を当てて傷の具合がどうなっているのか確認をする。どうやら弾は貫通しているようで太腿の中に残ってしまっていると言う事はないようだ。
「直ぐには治らないだろうな」と思いながらジョーがその銃創に手を当てそっと退ける。するとそこにある傷がシューっと音と共にみるみるうちに傷が塞がっていく。その事実に目を丸め驚きながらも傷が塞がった事により母鹿はヒョイっと起き上がれた。
『なんだかよく分からないけども…傷が治ってよかった』
「くぅ!」
『ハハハ!擽ったいじゃないか! 早く子供のところへ行っておやり』
母鹿はお礼のつもりなのかジョーの頬に自分の頬を擦り付けた。それを擽ったそう笑いながらも小鹿のところに行けと促し母鹿はそれを聞いて去って行った。それを見送ったジョーはその場に座りながら己の手を見て先程起きたことを考えた。ただ銃創に触れただけにも関わらず怪我が治ってしまった事にジョーは一つの仮説を立てる。
もしや「悪魔の実」と言うものを食べてしまったのではないだろうか、と。
怪我を治したと言うことは治癒系のものなのかと頭を悩ませるも全く解ったものではない。「うーん…」とジョーが頭を悩ませていると、その辺に転がっていた海賊達が目を覚ます。
船長の男が目を覚ました時すぐ側にジョーがいたことに大いに驚きながら後ずさる。そして「うわぁー!!」と言いながら走って行ってしまい、その後をクルー達も慌てて追いかけて行った。
「先程までの勢いはどうしたのだろか」と思うジョーであったが実は彼の背後には猛獣達が居たのである。それを見て逃げたのだが、すでに猛獣達の気配はジョーにとって当たり前になっているためその事に気づいていない。
ともあれ動物達に危害を加えるような危険人物がいなくなったのでジョーも拠点へと戻った。
*
**
***
『さて…私の先程の力はいったい何だったのだろうね?』
「グルル…?」
『怪我を治せるとは…やはり海の秘宝と言われる悪魔の実としか思えないのだけど…』
「ガウガウ」
『あのとても不味かった実がそれだったのかな? まさかこんな所にあるとは思いもしなかった』
と独り言なのか大虎に話しかけているのか分からないがジョーは大虎を背に座り首を捻っている。悪魔の実と言う果実があり、それを食べると超人的な力を手に入れられる代わりに海に嫌われる。それは色々な事に無頓着なジョーでも流石に知っている事だった。
ただどんな見た目でとかそう言ったことに全く興味なかったのが今回のことに繋がっている。そのためジョーは、もっとちゃんと読んで見ておくのだったと少々後悔している。それもその筈でここは無人島であり周りは海に囲まれているのだからカナヅチになるのは避けたい所だ。そう思ったところで後の祭りなのだが思わずにはいられない程あの時は軽率だったとジョーは思った。
『怪我…怪我かぁ…わざと怪我する訳にもなぁ…うーん…』
「グルル…ゴロゴロ…」
『お前は本当に猫のようだね…こんな大きな猫いたら恐ろしいけれど…小さい姿を見てみたいくらいだよ』
「にゃーん」
『えっ!? 何が起きた?!』
ジョーが大虎の顎下を撫でながらそんな事を言った瞬間、大虎は何の前触れもなく視界から消えてしまう。流石のジョーも驚きパッと立ち上がって大虎が横になっていたところを見ると……そこには小虎がいた。
開いた口が塞がらない状態のジョーはポカンと元大虎を見て小虎も目を白黒させ彼を見上げている。恐る恐る近づきそっとその小虎を目の前まで持ち上げ観察するジョーにされるがままの小虎。こう観察したところで先程の大虎かどうかなんて判りもしないのだが思わず取った行動である。
そのまま腕に抱き抱え背を撫でてやれば「ごろごろ」と普段の大虎のように喉を鳴らす。それを見てこの小虎はあの大虎だったのだと直感的に思った。
『お前さんどうして小さく…まさか私のせいか…?』
「ぐるぐる…にゃーん」
『…………随分と可愛らしい鳴き声にもなって…』
「ぐるるるぐるるるる」
『なんと言うか…小さくなって更に甘えたさんになったなぁ…まぁいいのだけど』
小さくなってしまった元大虎は別段気にしていないようで、むしろジョーに抱っこされて上機嫌である。「嫌がっていないのならいいか?」と思えるほど今の元大虎は下に垂れてる尻尾を横に揺らしている。ともあれジョーは意図せず悪魔の実の能力者へとなり、どういった能力なのか知る必要があると理解した。また何かのタイミングで何かを変えてしまう可能性があるため早急に取り掛かろうと決意した。
そしてジョーはその場で色々なことを試してみるのだった。
( 石を触っても何もならないね )
( にゃーん )
( お前さん…私の膝の上に居座る気かな? )
( ぐるぐるぐる )
( 他の子達がすごい見ているぞ )
( ツーン )
(( そっぽ向いた…強かな大虎…いや、今は小虎か… ))
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