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シャボンディ諸島に着いてから早三日
レイリーからコーティングが終了した事を聞いた女性陣を除いたジョー達はついに新世界へ
無法地帯の岬でウマヘビは待機しているためシャッキーの店を拠点としていた彼らを女性陣はそこで見送り、男達はウマヘビの居る場所へ向かう
その際ジョーが手土産として買っておいた酒樽五つを一人一つ持っており、周りから見れば何ともシュールな一行である
ロジャーとおでんは新世界に行ける事が心底嬉しいのかテンション高めに突き進んでいる
暫く何事もなく向かっていると、一人一つ樽を抱える一行が無法地帯を歩いていれば目立つのか一介の海賊が彼等を囲んだ
どうやら目的は彼等が持つ酒樽のようで「命が欲しけりゃそれ置いてけ」的な事をニヤニヤとした顔で言っている
無論そんな要望を聞く訳もなく、ロジャーとおでんは「おっやるか?」と言う雰囲気なのだがジョーからすれば面倒極まりない
レイリーとロシナンテもめんどくさそうな表情をしていて、このメンツでやる気満々なのはロジャーとおでんだけだ
「ただ歩いてるのも暇だからな! 相手になってやるぜ!」
「そうだな! 魚人島へ向かうとなると暫く暇になるし丁度いい!」
「魚人島? ギャハハハハッ!! お前ェらのようなオッサンどもが魚人島に辿り着ける訳がねェ!!!」
おでんの言葉に彼等の実力など知りもしない海賊達はゲラゲラと笑い、「無理」やら「犬死に」やら色々と好き放題言っている
そんな様子をロジャー達から少し離れたところで見ているジョーは「五樽じゃ足らなかったかなぁ」と全く関係ない事を考えていた
近くに居るレイリーとロシナンテはどこか真面目な顔をして悩んでいるジョーに気づき「何か心配事か?」と思っていたりする
ロジャーとおでんは海賊どもの言葉に色々思うことはあるものの、何を言っても意味はないだろうと「さぁやろう!」と戦う気満々である
樽を置いて戦闘態勢に入った二人の姿を見た海賊どもは「やる気か?」「ジジィのくせにか?」などなど相変わらずの言葉であるが海賊達も獲物に手をかけた
それを見た瞬間ロジャーが先手必勝とでも言うように「神避!」と斬撃を飛ばせば、一撃で海賊どもは地に伏せ呆気なく戦闘終了となった
そうなれば不満があるのは戦えなかったおでんであり、ロジャーに対して「一人でやるとは酷いぞ!!」と文句を垂れている
「悪ィ悪ィ! まさか一撃で終わるとは思ってなくてよ!」
「次はおれが相手するからな?!」
「分ーったよ!」
「お前を相手出来るのは限られてるだろうにな」
「言えてる…まぁコイツらが弱かったのもあるんだろうけど」
『………………』
「……ジョーさん何か心配事か?」
「確かに先程から何か考えているようだな」
『え? あーいや何でも無いんだロシィ、レイリーくん』
「でも難しい顔してたぜ?」
「何かあるなら言えばいい」
『大した事じゃ無いんだけれど…シャンクスくんの土産が樽五つで足りるか考えてただけだよ』
「あの海賊は一切関係なかったのか…」
「わはははっ! ジョーさんらしいではないか!」
「そう言われるとそうなんだけどよ…」
『なんか私馬鹿にされてる?』
「おーい何してんだよ!!」
「置いて行くぞ!!」
ロジャーとおでんは海賊どもを倒した後サッサと先に進んでいたのだが、ジョー達が来ていないのに気づき彼等を急かす
その声に三人も互いに顔を見合わせてからロジャー達の元へ足早に向かい五人はウマヘビが首を長くして待っている岬へと急いだ
岬へと着けばそこには見事にコーティングされた船を頭に付けたウマヘビがデンっ!と待ち構えていた
ロジャーとおでんはウマヘビの様相に「わはははっ!!」と大爆笑しており、ロシナンテは何とも言えない表情である
レイリーは自分でコーティングしたこともあり特別反応はしておらず、ジョーは全体ではなくコーティング自体に目を引かれていた
シャンクスの船に乗せてもらった時などにも見ているのだがジョー的には「何度見ても凄い」と感慨深く思っているのである
次々にウマヘビへと乗り込んでいき、ぼんやりとその様を見ていたジョーはロジャー達の促される声にハッとして飛び乗った
酒樽と新世界でこちらに戻ってくる時に必要だろうとレイリーが持ってきたコーティングに必要な道具類を空き部屋に押し込み遂に出発する
「よっしゃあー!!! 行くぞ新世界!!!」
「おぉー!!!」
「ロジャーもおでんも初めてでは無いだろうに」
『こんなに盛り上がれるの凄いよね』
「まぁロジャーとおでんさんだしな」
「そりゃあどう言う意味だロシィ?!」
「場合によっては聞き捨てならんぞ!!!」
「どうって…」
「言われるまでもなく」
『いつまで経っても子供っぽいって事じゃないかな?』
年甲斐なく盛り上がるロジャーとおでんにロシナンテがしみじみ言う言葉に不満そうに突っ掛かる二人なのだが、レイリーとジョーも参戦
知能派の二人がロシナンテに着いた時点で口で勝てるわけもなく「子供っぽい」と言われたけれど、ロジャー達的にはそこまで気にする事ではなかった
ともあれ、全員が船に乗り込んだことでウマヘビは指示される事なく海底へと潜り、ゆっくりと魚人島へと泳ぎ進んだ
本来であれば魚人島へと行くのも命懸けなのだが、彼らを運ぶのは超大型海王類であるため海獣達はウマヘビに近づこうとはしない
それを甲板で見てたレイリーとロシナンテは「有り難い事この上ない」と思っており、ジョーは海獣のいる方をじっくりと見ていた
ウマヘビのお陰で寄っては来ないもののその目は獲物を狙っているそれで、絶対に寄って来ないと言う確証はない為いつ襲って来るか分からない
一先ず海獣が無闇に襲ってくる事はないだろうと判断したジョーは船内へと入り、いつも通り読書へと明け暮れるのだった
**********
海底を進むこと暫く、ずっと甲板に居たらしいロジャーとおでんが「もう直ぐつくぞー!!!」と騒いでいる事から船内にいたジョー等三人は外へ
二人が目を向ける先には相変わらず幻想的な空間を醸し出す魚人島が見え、その前にデデン!と主張する白ひげのシンボルにロジャーとおでんはテンションが上がっていた
「ニューゲートの奴魚人島をナワバリにしてやがったのか!!」
「さすが白吉っちゃんだなァ!!!」
「大海賊時代が幕開けした時に荒れたのがきっかけで縄張りにしたようだぞ」
「白ひげの名に守られれば魚人島も安泰だな」
『そのようだね、ニューゲートくんもシャンクスくんも自分の名前で守れるって凄い事だよね』
「まぁアイツらに態々喧嘩売りたくねェだろうしな」
「うむ、負け戦をするようなものだ」
「腕試しをする奴も中にはいる様だがね」
「それは命知らず過ぎねェか…」
『私もそう思うよ…負けると分かって挑む意味を見出せないね』
「そしゃあ男の意地だろ!」
「時には避けられぬ戦いもある故な!」
『おでんくんは自重して欲しいね』
「むっ!?」
「おでんには前科があるからなァー」
「私も話に聞いただけだがジョーさんの意見に同意だ」
「おでんさんも突っ走るタイプだもんな」
「皆して酷いぞ?!」
魚人島に着く直前までやいのやいの言っていればあっという間に到着し、ロジャーとおでんは話を切り上げ我先にと上陸していく
その姿にジョーも「ここなら問題ないだろう」と特に何かを言う事もなく、レイリーとロシナンテが上陸するのに続いた
「どこに行くか!」などロジャーとおでんで話をしているのだが、「折角だしネプチューンに会いに行こうぜ!」とロジャーが言い出す
魚人島の現王であるネプチューンをジョーが知っているはずもなく「誰だ?」と思っているのだが、話はとんとん拍子に進み彼に会いに行く事になった
おでんとレイリーもまたネプチューンの事を知っているため「懐かしいな」と昔を思い出しているようだ
ロシナンテは魚人島の王が誰だか名前は知ってはいるものの会った事など無いため、「王族に会うのか」と若干気後れしている様子だ
そもそもロシナンテには王族にいい思い出が無いため、あまり乗り気じゃ無いと言った方がいいかも知れない
「魚人島に来るのは何年振りだ?」
「かれこれ十七、八年は立っているのではないか?」
「もうそんなに経つのか…時が経つのは早いものだ」
「俺は魚人島に来るのは初めてだ」
「Σマジで言ってんのかロシィ!?」
「ここに来た事がないとは勿体無い!!」
「ロシナンテ君は前半の海出身なのか?」
「あーいや…俺は元海兵だったからマリージョアの方を通らせて貰ってた」
「「 なるほど 」」
「ロシナンテ君は元海兵だったのか…よくジョーさんが助けたな」
「それは俺もそう思う」
「つか兄貴はなんでさっきから黙ってんだよ」
『いやー…話の腰を折るのも悪いと思ってね』
「どう言う意味だ?」
『あー…正直に聞くけれどネプチューンって誰のことだい?』
四人で会話していても全く話に入ってこないジョーに疑問を持ったロジャーが問えば、想定外の返答で四人とも口を閉ざす
しかしジョーがこの世界に対して無関心で無頓着なのは今に始まった事ではなく、よくよく考えれば辿り着ける結果であった
その為ロジャーは呆れたような表情でジョーを見ており、おでんとロシナンテもまた似たような反応である
レイリーもまた、ジョーが己の興味あるものにしか関心がない事は数回会っただけだが理解しているため苦笑いである
「マジで兄貴はもっとこの世界に興味を持った方がいいと思うぜ」
「うむ、おれもそう思うぞ! すごく勿体無い事をしておる!!」
『それはもう耳タコだよ…それで? 教えてくれないのかい?』
「ネプチューンはこの魚人島の国王だよジョーさん」
『国王?! そんな人に会いに行こうとしていたの君たち…』
「アイツはまぁ友達みてェなもんだからな! つかネプチューンの奴国王になってたんだな!」
「アレからどれだけ月日が経ったと思っているんだ…」
「わはははっそれもそうだな!!」
『笑い事では無いと思うのだけど…』
「俺もジョーさんに同意…」
「って事はアイツのモジャモジャ姫も生まれてるかも知れねェな!!」
何とも失礼な事を言いながら「わはははっ!」と笑っているロジャーにジョーとロシナンテは微妙な顔をしながら見ている
ただその話を知っているレイリーとおでんは「確かに」と思いながら、以前来たときに聞いていた「予言」のことを思い出していた
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