救済を
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ロジャーがローグタウンを出て、その後を追うようにジョーが無人島に行き着いてから早一年の月日が経った
ジョーは無人島に着いてから何日も掛けて一通りこの島がどうなっているのか調べ尽くした
どんな食べ物があるのか、どんな動物がいるのか、寝れそうな場所はあるかなどなど…
結果的に生活する面では何の問題もなさそうである
ただ、動物…謂わばこの島に住む猛獣たちは一様にジョーに戦いを挑んだ
その都度返り討ちにしては負かされた猛獣は彼に平伏し、何故か忠誠を誓うような仕草をした
初めこそ戸惑っていたジョーであるが、そう何度も同じ事が起きれば慣れるもので今や気にしない
そもそもこの一年で島にいる力ある猛獣達は彼に挑み惨敗を喫している
それに伴い力のない動物達はジョーに従えば力のある猛獣達に怯える事はないと察した
その為、弱い動物達は必然と彼の周りを陣取っておりある意味強い猛獣が蚊帳の外に
無論それをよくは思わない猛獣が、一度小動物(それでも通常よりデカい)に手を出した
それを見たジョーが怒った事でそれ以来猛獣が小動物に手を出す事は無くなったのだ
そして現在
ジョーは今日も今日とて動物達を周りに従え(?)島を歩き回り食料調達をしている
小動物たちはどこに何があると言うのをよく知っていて、案内をしてもらっているのである
もちろんジョーには動物の言葉を理解出来るわけもなく小動物の向かう先に歩いているだけ
それでもしっかり実の付いた木まで行けているのだから、その辺は信用していいだろう
そして食料調達を終えれば、生活拠点にしている場所へ戻り猛獣達相手に戦闘訓練を行う、それが今のジョーの日常である
********
場所は変わり…ジョーより先に海へ出ていたロジャーは旅路の仲間を連れて故郷へ戻って来ていた
その中には後に「冥王」と呼ばれるようになるシルバーズ・レイリーその人の姿もある
ロジャーは一年ぶりとは言え帰って来た故郷を前に、ソワソワした様子を見せていた
そんなロジャーを見た初めての仲間、レイリーが訝しげに問いかけた
「ロジャー、そんなに故郷に帰るのが待ち遠しいのか?」
「別にそれはいいんだけどよ、早く兄貴にお前らを会わせてやりてェんだ!」
………………
……………………………
「なんだって?」
「だがら早く会わせてェって…」
「違う、誰に会わせたいって言ったんだ…?」
「あん? 俺の兄貴だ!」
「お前…兄弟がいたのか…」
「話してなかったか? 俺と違って色々出来んだぜ!」
「それは胸を張って言う事ではないな」
自慢気に言うロジャーにレイリーは呆れた表情をしながらため息を溢す
そんなもの全く意に介さない彼は「わはははっ!」と陽気に笑っている
暫くして故郷であるローグタウンへ着港し、ロジャーは我先にと船を降りて走って行ってしまう
他の船員達は目を丸め、その姿にレイリーが再度ため息をついている事などロジャーが知る由もない
ロジャーは故郷を出てからまだ一年しか経っていないのだが、すごく懐かしく感じていた
今まではここで寝起きしていたのが当たり前だったが、今では海の上での寝食が当たり前になっている
たった一年、されど一年とはこの事かと思う
ロジャーは街郊外にある実家へと早く仲間達を紹介したいが為に只管に街を駆け走る走る
暫く走れば家が見え、ロジャーの気分も高揚していき勢いのまま玄関を開けて中へと入った
「ジョー!! 帰ったぞ!!」
元気よく中に入るも、中からいつも暖かく「おかえりロジャー」と言ってくれる声がない
その事に首を傾げながらロジャーは「買い物にでも行ってるのか?」と思い、その場で待つことに
待つにしても家の中の様子が最近は全く使われていないような雰囲気であることに更に首を傾げるロジャー
いつも綺麗にされている部屋の隅に埃が溜まっているし、ソファやテーブルもまた埃を被っている
何より、ジョー専用の本棚はびっちりと埋まっていたのだが所々抜き取られているのだ
それを見て嫌な予感がしたロジャーは急足でジョーの部屋へと向かいバンっと扉を開いた
ジョーの部屋もここ最近掃除された雰囲気はなく、やはり埃がうっすらと積もっている
ロジャーはツカツカと中に入り、クローゼットを思い切り開いて絶句した
綺麗に整頓されていた衣類がなくなっているのである
よく見てみれば整理整頓された部屋は、もうここの家主が帰ってこないと言っているような気がした
それを踏まえてロジャーは兄がローグタウンを出たのだと思ったが、なぜ己に何も言ってくれなかったのかとも思う
モヤモヤとした気持ちを抱きながら部屋を出ようとした時、机の上に紙が置いてあるのに気付く
その紙を手にとれば、そこには「Dear Roger」と書かれている事から兄から己への手紙だとすぐに分かった
拝啓 ロジャー
この手紙をお前が手に取っているのはいつ頃になっているのだろうか
ただ言えるのは、その時には私はもうこの家にもローグタウンにも居ないのだろうね
ロジャーがここを出て暫く経ってから私は一人静かに暮らせる場所を探しに故郷を出る事にした
定期的に戻ると言っていたが私がいなくて驚いたんじゃないかな?
その事に関してはすまない、お前の誘いを断って出ているのだからきっといい思いはしていないのだろうね
でも分かって欲しい…ロジャーにはロジャーの人生があって、それは私にも言えたこと
だからお互いに悔いのないよう生きよう…そして何時かまた会った時は見て来た事を聞かせて欲しい
ロジャーの話しをつまみにお酒を飲めるそんな日が来ることを楽しみに待っているよ
それじゃあまた会う日まで
愛を込めて ジョーより
そうジョーの字で書かれている手紙を読み終え、しっかりと折りたたみ懐に入れて家を後にした
ここで会えなかった事は残念であるが、兄も海に出ていると言うのならいつか会えるだろうと思ったのである
そんな期待を胸に、久しぶりの故郷を楽しむのだった
**********
ロジャーが帰ってきている事など知りもしないジョーは、無人島で持って来ていた数冊の本を大虎を背に読む
超巨大な猛獣だとしても結局は大きな猫と同じだと思っている彼は少し他の人とは感性が違うかもしれない
そんなジョーであるが、一年この島にいれば持ってきていた本も読み飽きると言うもので…
繰り返し読んでいた本を途中でしおりを挟み閉じ、グーっと背伸びをしてから徐に立ち上がる
共に横になっていた大虎は立ち上がったジョーを一瞥するも、直ぐに目を閉じて眠りにつく
その姿をチラリと見てからジョーは久しぶりに海の見える岩場の方へと歩いて行く
この島に住み始めてしばらく海に顔を出さなかったら、ウマヘビが拗ねていたのである
そんな事があったことから、彼は定期的にウマヘビの様子を見に行くようにしたのだ
『おーいウマヘビー、元気にしてるかー?』
「ブヒヒヒン!」
『そうかそうか、ならよかったよ』
「ブルルル!」
とまぁ会話らしいことをしているのだが、残念ながら彼はウマヘビの言っている事など分かっていない
ジョーはこの一年の間に海近くの木を適当に伐採し、座れるように簡易な椅子を作ったのである
もちろん、生活拠点としている場所にも住める場所をきっちりと作ってある
暫くその椅子に座ってウマヘビと話しをしていると、ジョリー・ロジャーを掲げた船が見える
「あ、海賊船だ」と彼が呑気に思っていると、この島の近場に渦潮が出来ていたようでそれに船は飲まれた
その一部始終を見てしまったジョーは椅子から少し腰を持ち上げたが、いくら泳げても生身で渦潮には近づけない
ウマヘビに行かせても、まだ子供の海王類のため海賊船同様にそのまま飲み込まれる可能性が高い
そもそも海賊船を助けようとする事自体間違っているのだが
どうしたものかとジョーが思っている間にも、海賊船は木っ端微塵になってしまい海の藻屑となった
それを見ていた彼は「
未だにジョーは今いる無人島が
海賊船なら船員が居るはずだと思ったジョーは、ここまで泳いで来れる者がいるかも知れないと待つ
しかし待てども待てども人がやって来る気配はなく、誰も助からなかったのだと彼はその場を後にした
そして、嫌なものを見たからと半強制的に猛獣達と戦うのだった
( コラお前達逃げるんじゃない )
( ぐるるる…にゃーん… )
( ウホホッウホ… )
( ガウガウ…ガガウ… )
( なに…? やりたくないって? それじゃあ私の身体が鈍るだろう? )
((( Σ?! )))
( ロジャー…? お兄さんは留守だったのか? )
( あぁ! 俺が海に出た後兄貴も海に出たらしい! )
( ほぅ 海に…ならばいずれ会うかも知れないな )
( そうだな! その間に土産話しを沢山作らねェと! )
( そうか…まぁ程々にな )
4/33ページ