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白ひげ海賊団がおでんに会いにタートル島へ訪問し、彼等が一度旅に出ようと決めてから一ヶ月が経った
その間にジョーとトキは必要物資の調達に出たり戻ったりと忙しく動き回っており、それも今回で全て揃え終え二人はタートル島へ戻った
帰って来た二人を出迎えたロジャー、おでん、ロシィ、ルージュだったのだが、ジョーの姿を見てポカンと口を開き驚きを示す
無論ルージュに関しては口を大きく開くなどせず、口元に手を当てて上品に驚いているのだが
三者三様の姿を見て苦笑いするトキと「何をそんなに驚く?」と言いたげな顔をするジョー
「いや、え、兄…え、兄貴…?! いやなんっ…?!」
『ロジャー言いたい事は纏めてから話さないと何を言いたいか解らないよ』
「いやいやいやいや!! 誰のせいだよ…!!」
「こりゃ驚いた…見違えたぞジョー!!」
「髪、切ってしまったんですね」
「全然印象が違ェ…」
『あぁ 正直邪魔だったし、せっかくの機会だから切って来たんだよ』
「髪型一つで印象が凄く変わりますよね」
「変わるどころじゃねェよ…なんつーか…若く見えるな…」
「確かに言えてるなァ! おれとそう変わらん年頃に見えなくもない!!」
『流石にそれは盛り過ぎじゃないかい? 私とおでんくん幾つ離れてると思っているんだ』
「いやマジでそんくらいに見えるぜ? 何でだ?」
「髪を染めたからではないですか?」
「「 あー… 」」
誰もが驚く変化…それはジョーがずっと放置して来た長かった髪をバッサリと散髪して来た事によるものだった
それもその筈で、長かった部分を切っただけでは無く襟足は刈り上げられており随分と若く見れる様になったのである
それだけではなく、黒混じりの白髪から真っ黒な髪に変わった事で更にジョーを若く見せていたのだ
それを指摘したトキの言葉にロジャーとおでんは納得した様に頷きながら、マジマジとジョーを観察した
「髪型髪色一つでこんなに変わんだなァ…しかも兄貴の場合能力で体も若いままだろ? もう詐欺じゃねェか」
「誰もロジャーの兄貴だなんて思わないだろうな…」
『お前達も大概失礼だね…別に姿形を変えている訳ではないのだから』
「わははははっ! ロジャーとロシィの言いたい事も分かるぞ! 見た目では何方が兄者か分からんしなァ!!」
「ゔっ…やっぱりそうか? 近頃俺も兄貴より老けてんじゃねェかと思ってた…」
「安心しろロジャー! 大抵の人間が間違えると思うぞ!」
「Σいや、それ何も安心出来ねェよ!!」
「わははははは!!」
『思ったけれど、お前達の体だって全盛期の時に戻してあげているのだから私とそう変わらないだろう? ロシィは元々若いけれど』
………………………
…………………………………
「言われてみりゃそうだな?」
「だな! ならはやり見た目の問題ではないか?」
「確かに見た目を変えると印象がガラッと変わる」
『ロシィも初めて見た時道化みたいな化粧していたよね』
「あれは…表情を隠すためにしてただけだ…」
「見た目なァ…俺も白髪増えてきたし兄貴みたいに染めるか…」
「それが一番手っ取り早いな!」
『染め道具一式は買って来たから染められるぞ』
「用意周到かよ」
若い若く無いの話で男性陣四人で盛り上がっている中、女性陣はトキの買って来た物を見るために女性専用の花の家(おでん命名)へ
女性陣がこの場を離れたのを気配でしっかり把握しながらも、四人はタートル島で危険はない為彼らも自分達の事を話していられるのである
髪染め用の道具を「あるぞ」と取り出したジョーの用意周到さにロジャーは呆れるやら感心するやらで何とも言えない
おでんは初めて見るそれに興味津々であり「これで染めるのか?」やら「本当に染まるのか?」などなど色々聞いている
そんな質問されたとしてもジョーも専門家では無いため、ただ染まるだろうとしか思っていなかったりする
なんだかんだロジャーの白髪が目立つようになった髪を染める事になり、要らない布を持って来て肩に掛けてから作業を開始する
少々鼻につく臭いがし物凄く嫌そうな表情を見せるロジャーに「私の時もそうだった」と諭し、渋々ながら大人しく髪染めの原料を根本から付けていく
器用にもジョーはサクサクと作業を進めていき、その様をおでんは側で目を輝かせながら珍しく静かに眺めていた
「これホントに大丈夫か…? 臭いヤベェぞ…」
『さっきも言ったろう? 私の時もこんな感じだったから問題ないよ』
「ならいいけどよ…マジで頼むぜ…」
「これは付けてすぐに色が変わるものなのか?」
『いや、暫く付けたまま時間を置く必要があるよ』
「ほー…一朝一夕にはいかんのだな!」
『そりゃそうだよ』
「おいおい…どんくらいこの臭いに耐えりゃいいんだよ…」
『まぁ小一時間はそのままの方が色むらがなくて綺麗になるって言っていたよ』
「マジかよ…小一時間とか冗談だろ…」
「わははっ! 辛抱せねばなロジャー!」
小一時間待たなければならないと知ったロジャーは心底嫌そうな顔を隠しもせずゲンナリしていた
それを見たおでんはケタケタと笑い「他人事だと思って」とロジャーに思わせているが、彼は知る由もない
ロシナンテも何も言いはしないが興味深そうにロジャーの髪に染める為の泡を塗っていく様を見ていた
ジョーは全体的に塗り終わった為、はめていた手袋を外しゴミ袋へと捨ててから「上出来じゃないか?」と自画自賛
ただ髪染め用の泡がロジャーの髪全体に塗りたくられているので見た目はとてつもなくシュールであり、流石のジョーもクスリと笑う
それを見たロジャーが文句を垂れ噛み付いたのは言わずもがなだ
ロジャーに髪染めが終わるまでその場を動かないように言いつけてからジョーは旅に出る為の準備をする為に一度その場を離れた
おでんは途轍もなく暇であろうロジャーの話し相手としてその場に留まり、彼はロシナンテと共に色々と必要なものをバックパックに詰め込んでいくのだった
**********
一時間後…
ある程度の準備を終えたジョーはあの場に放置してきたロジャーとおでんの居る場へと戻った
その場には彼の言いつけ通り動く事なくおでんと話をしているロジャーがおり、もう流石に臭いにも慣れたのか何時もの表情である
彼らもジョーが戻ってきた事に気づいき、ロジャーは「やっと解放される!」と言いたげな顔で彼を見た
「やっと一時間経ったか!」
『うん、だからそれ洗い流して来ておくれ』
「よっしゃ! 行ってくるぜ!」
『あ…そんなに慌てなくも…』
「わはははっ! 相当あの臭いは堪えていたようだからな!」
『おでんくんは近くに居て臭い平気だったのかい?』
「まぁ多少は臭いはしたが、そんなに気になりはしなかったぞ?」
『そうなの? それはそれでおでんくんの嗅覚が心配になるね』
「おれの嗅覚は心配ない! 正常だからな!!」
『あぁそう…?』
そんなくだらない話しをジョーとおでんがしていれば「見てくれよ!」と洗い流して来たロジャーが駆け寄って来る
声のした方へ二人が顔を向ければ真っ黒に染まり濡れた髪をそのままにしたロジャーの姿
本来であれば髪を濡らしたままでは風邪を引くなどの心配をしそうな所だが、相手がロジャーの為二人ともそんな心配は皆無である
寧ろおでんは「おぉ!!」と驚きの声を上げ、ジョーは「綺麗に染まったね」と納得のいく出来に満足そうだ
黒染めしたロジャーは全盛期の海賊船の船長として名を馳せていた時にタイムスリップした様だ
それを見たジョーは「逆にバレてしまわないか?」と内心思いながら、どうしたら身バレしないか考える
そこでジョーの目に止まったのはロジャーのトレードマークとも言える立派な髭だった
彼が何を考えているのかつゆ知らず、ワイのワイの楽しそうに話す二人は漸くジョーが考え込んでいるのに気づいた
「どうしたんだ? いい感じに染まっただろ!」
「やはり髪色が違うと随分と見違えるな!」
『それはそうなんだけれど…うーん…その姿だと完全にロジャーなんだよね』
「何言ってんだ? 俺は俺だぜ?」
「ジョーもおかしな事を言うな!」
『いやだから、変装しないといけないのにそれじゃあ逆効果と言うかなんと言うか、ねェ?』
「む…確かに今のロジャーは昔会った時の姿と大差ないな?」
「そうかァ? 俺には自分を見れねェからなァ」
『間違いなく誰が見てもロジャーって気付くよ…ただ、その髭を剃ればまた変わるかも知れないね』
「はっ?! 冗談だろ!? 俺のトレードマークだぞ!?」
「髭のないロジャーか! 見てみたい気はするな!」
『その姿でいくら変装しても気付く人は気付くと思うよ? そうなったら此処に強制送還になるけどいいのかい?』
「ぐぅ…それは嫌だけどよ…髭剃らなくても何とかなんねェか…?」
本当に髭を剃るのが嫌な様で如何にかならないか懇願する姿にジョーもおでんも「そんなに嫌なのか」と思った
まさかそこまで髭に拘りがあったなど知らなかったジョーは、そこまで言うのなら何とかしてあげたいとは思う
しかし、現状ロジャーだと身バレしない様に変装するには髭を如何にかするのが手っ取り早いのも事実だ
まぁ髭を剃ったからと言って根本的な性格やら何やらは変えることは出来ない為、結局バレる時はバレるのだが…
「うーん…」と腕を組みながら悩むジョーに対し、おでんも何かを考える素振りをしたかと思えばポンと手を叩き「妙案思いついた」と言いたげな顔をした
「剃るのが嫌ならばアレンジすればいいのではないか?!」
「髭を…」
『アレンジ…?』
「おう! 例えばー…」
「おぉいおでん?! やめろっ!!」
「こんな感じでどうた?!」
『っ……フフ、良いんじゃないか?』
「Σ何が良いだ!! 笑ってんじゃねェか!!」
「うーん駄目か? ならば…!」
「だぁーヤメロヤメロ!! んなヘンテコな格好するくらいな剃った方がマシだ!!」
おでんに髭の端を紐で結ばれ何とも言えないシュールな姿となったロジャーと、それを見て笑いを堪えられなかったジョー
笑われたにも関わらずおでんは更に別の結び方をしようとして来るため、ヘンテコな姿になるくらいならと髭を剃る事にした
まぁ決めたとしても未だにブツブツと色々言っているのだが、剃る覚悟を決めたロジャーの考えが変わらぬ内にとジョーは早々に行動に移す
一先ずロジャーをその場に座らせ、住居から髭剃り道具一式を急ぎ持って来てチャチャっと手早く器用に剃り上げてみせた
顔に着いた泡を洗い流すためにおでんには川から水を汲ませて、それでバシャバシャと顔を洗えばスッキリとしたロジャーの顔
ジョーは久しぶりに見た髭のないロジャーの顔に、まだローグタウンに二人で住んでいた時の事を思いだす
互いに切磋琢磨(?)をして過ごしたあの日々は彼にとってかけがえの無いない時間であり、忘れる事はないだろう
おでんはおでんで髭のないロジャーを見るのは初めてだったのだが、何故か既視感を感じ首を傾げる
「何故だろうか」と考えながら徐にジョーの方へ視線を向けて、その答えは簡単に出た
「わははははっ! やはり二人は兄弟なんだなァ!!」
「何だよ藪から棒に」
『そもそも兄弟かどうか疑われてたの…?』
「疑ってはおらなんだが、似ているかと言われればそうでもなかろう?」
「まぁ人に似てると言われた事はー…ないな?」
『私は納得いかないけれど…まぁほぼ無い…あぁでも以前シャンクスくんには性格が似てるって言われたよ』
「見た目の話じゃねェのかよ! つーか性格も似てるか?」
『うーんどうだろ? 私には判断し兼ねるかな』
「まぁいいけどよ、おでんは何で改めて俺達が兄弟だ何だ言い出したんだ?」
「散髪した二人が並んで立って気付いたが、目元がそっくりだ! 後笑った時の表情とかな!」
そう言われた二人は「そうなのか?」と言いたげであるが、ジョーに関しては目元が似てると言うのは自身も再三言ってきた事の為ある意味当たり前である
ただ笑った顔云々の話しは自分達では確認のしようがない為「そうなんだ」と受け入れるほかないのだ
まぁ似ていようが似ていまいがジョーとロジャーが兄弟である事は変えようのない事実のため気にしてはいないのだが
この後はおでんも髪を切るかと言う話になるも、侍と言うもの髷がありきであると言われれば二人は何も言えようもない
ならば「髪型を少し変えては?」と言うジョーの言葉に少々悩むおでんであったが物は試しと変えてみる事に
とは言えそれなりの長さがある後髪の結び方を少し変えるだけなのだが、それだけでも大分雰囲気が変わるものである
『結構変わるものだね』
「そうか?! トキにも見せてこよう!!」
『ロジャーもルージュさんに見せて来たらどうだい?』
「そうだな、ちょっくら行ってくる!!」
『はいはい 行ってらっしゃい』
おでんの後を追うようにロジャーも駆けて行き、その後ろ姿をジョーは笑顔で見送った
こうして船出する前のひと時をそれぞれが準備をして過ごすのだった
( おーいトキ! 見てくれェ!! どうだ? 似合うか?! )
( 髪型を変えたのですね! とてもお似合いですよ! )
( わはははっ!! そうか!! )
( ルージュ! )
( ! ロジャー、さん…? )
( 兄貴に色々弄られたんだがどうだ? )
( とても素敵です )
( そりゃ良かったぜ!! )
( トキさんもルージュさんも二人の見慣れぬ姿に頬を染めて…恋する乙女だね )
( ジョーさん、さっき走って行ったのってロジャーとおでんだよな? )
( そうだよ、髪色・髪型一つで随分と変わるよね )
( おう…あれならバレなそうだ )
( お、元海兵のロシィ公認なら大丈夫かな )
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