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武器を調達しシャボンディ諸島でレイリーをタートル島へ誘い共に向かう事約1週間弱。
本来なら速攻で帰るところなのだが今回は客人がいる事から適当な島で物資調達をしてから帰ることにしたのだ。そんな寄り道があったからこそ更に数日を有しながら彼らはタートル島へ向かっている。
ただ…そんな彼らの旅の道中にウマヘビの泳ぐ後をついて来る黒い影が数多く見受けられた。ジョー的にはワシの国を出た時も感じていたものであり「いったい何なんだ」と思っていたりする。その為流石の二人も見過ごす事が出来ず一時タートル島へ行くのをやめ適当な無人島へ向かった。無人島について二人がウマヘビから降りれば漸くずっと後を追って来ていた黒い影が姿を見せたのである。
『………レイリーくん、アレは何だと思う?』
「どう見ても巨大な亀だろうな…」
『なんだ…私の目がおかしくなったのかと思ったよ』
「それよりもなぜ我々の後を追っていたのかが問題ではないか?」
『それもそうだね。会話が出来ればいいけど…分からないしね…』
〈 そなたら、某を見ても怖がらんか 〉
『えっ⁉︎』
「どうやら喋れるようだな」
『まるで亀助さんみたいじゃないか』
〈 亀助…! そなた今亀助と申したか?! 〉
ジョーの言葉に過敏に反応を示した目の前にいる巨大亀…とはいえジョー的には亀助の方が確実にデカい為そこまで驚いてはいないのだが。ただ亀助同様に話す事が出来るのには予想外であり何より「亀助」と言う名にこんな反応するとは思っていない。
食い気味に聞いてくる目の前の亀に若干引き気味であるのだが何か訳ありなのかと話を聞く姿勢を取る。レイリーも彼らが住んでいる場所が亀の上である事をあらかじめ聞いていた為そこまで驚いてはいないようだ。
『君の知っている亀助さんか分からないけれど…今彼の甲羅の上に住まわせてもらっているんだ』
〈 なんと! ミズタキの様な奇怪な事をする人間がおるとは…!! 〉
『おや…? その人を知っているとなると私たちの話している亀助さんは同一の亀かな?』
〈 間違いなかろう 〉
「話の腰を折ってすまないがミズタキとは誰だ?」
『おでんくんの祖父だそうだよ』
「ほう…おでんがおでんなら祖父も祖父か」
『うん。私もそう思うよ』
〈 其方らは我が父、亀助の元へ向かう途中か 〉
『ちょうど帰っている途中………待っておくれ、今亀助さんを「父」と言った?』
〈 いかにも…我が名は亀郎。亀助は我が父であり甲殻一族の長である 〉
そう言った巨大亀…改め亀郎の言葉にレイリーはまだしもジョーはポカンとした顔を晒した。
亀郎が名乗りを上げたとほぼ同時に共に来ていたらしい一族の亀一同がザパァと姿を見せる。大小様々であるが普通のサイズよりは明らかに大きい亀たちでこの無人島が囲われそうである。その数の多さに流石のレイリーもギョッとし明らかに引き気味な空気を出していた。
ジョーには亀助がこんな大所帯の長だったことに驚きで空いた口が塞がらない状態だ。周りを見渡す限り亀 亀 亀……彼らの体で先の水平線が全く見えないほどである。
驚き過ぎて何も言えないジョーとレイリーに気づいていないのか亀郎は事の成り行きを話し始めた。
〈 我が父は長きに渡り行方知らずになっておったのだがワシの国の近海で懐かしい香りがしたのだ。その香りを追ってみれば大型海王類…いや其方から父と同じ香りがしておった故後を追いかけた 〉
『えっ…香りって…え…何かするかなレイリーくん…』
「私には何も感じんが…」
〈 当然だ。我らにしか分からぬ一族独特の香りなのでな。まず人間には判らぬわ 〉
『あ、そうなんだ…』
〈 人間である其方から父の香りがすると言う事はそれなりの年月を共にしていた証 〉
『まぁ…数十年一緒にいるからね…』
〈 そこで頼みがある。我らも其方らに同行させて欲しい 〉
『あぁそんな事か。もちろん構わないとも』
〈 忝い! 感謝する! 〉
『家族に会いたいのは当然だからね。ただ…この数引き連れるのはかなり目立つから海底から着いてきて欲しい』
〈 無論そのつもりだ。其方らの迷惑になるような事はせぬ 〉
『ありがとう。気遣い感謝するよ』
亀郎との話をつけ長々とこの場にいる必要はないため早速亀助の元へ帰ることに。多数いる甲殻一族の中に囲われるようにいるウマヘビをそばへと呼び寄せ頭の上にレイリーと共に乗る。こうして想定外な客人をも引き連れて帰路に着くのだった。
*
**
***
甲殻一族を引き連れて進む事数時間…彼らの視界に漸く目的地である亀助の姿が見え始める。まだ少し距離があるものの、あの巨体だと遠くからでも目視出来るのだから帰る時は目印になるのだ。
「あれがジョーさん達が住んでいる亀助か」
『そうだよ』
「この距離であの大きさとなると…かなり大きな」
『うん。亀郎さんの倍以上はあるだろうね』
「彼も相当大きいのだがそれ以上となると壮大だな」
『私も居座っている島が生きている亀だと知った時は度肝を抜かれたよ』
「だろうな。私も話を聞いて驚いた。新世界でもアレだけ大きいのはそういない。ミンク族の住むゾウくらいだろう」
『ゾウ…確か光月家と縁があるとシャンクスくんが言っていたね』
「あぁ、おでんにとっても懐かしい場所だろう」
そうレイリーもどこか懐かしげな表情をしながら話す。
こう言う時共に旅をした訳ではないジョーは共感してあげられない事を歯痒く感じていた。だからこそ今回レイリーをタートル島へ誘いロジャーに会ってもらおうと思った訳でもある。彼らにしか分からない話もあるだろうからこそのジョーなりの配慮だ。
そんな話をしていればあっという間に目的地へと到着し、いつもなら尻尾の方から上陸するが今回は頭の方から。今回亀助にも客人がいるからこそ先に合わせてあげた方がいいだろうと言うジョーの考えである。
『亀助さん、起きてるかな?』
〈 おぉ…? 戻って来おったのか 〉
『えぇ、それで亀助さんに客人がいるんですよ』
〈 フォッフォ、ワシに客とな? 主もおかしな事を言うのう 〉
『いやいや、本当なんですよ…ほらあちらにいる方々ですよ』
〈 んん…? 〉
〈 お久しぶりです、我が父よ 〉
〈 お…おぉ? お主…亀郎ではないか。なしてこの様なところに 〉
〈 それはこちらのセリフです! まさか前半の海にいるとは…我らがどれだけ探したか…‼︎ 〉
〈 フォッフォッフォ! あいすまぬな! 気づいたらこの場におったのよ! 〉
などなど…一族…と言うよりかは親子水入らずで話す事もあるだろうと亀助の頭に上陸して甲羅の方へ。レイリーもそんなジョーの後に続き亀助の頭部へと上がり物珍しそうにしながらついて行く。
何より、この先に死に別れたと思っていたロジャーがおりおでんも共にいると言うのだから楽しみでしかない。
そんなワクワク感が珍しくレイリーから伝わってくるジョーは前を歩きながら小さく笑みをこぼす。それだけレイリーにとってもロジャーの存在が大きかったのを改めて知れたような気がして嬉しさもあった。
亀助の頭部から首にかけて歩き彼らの居住地のある甲羅の中心部へと何の迷いもなく進む。
時折「ドッカーン」やら「ギャオーン!」と言う何とも言えない音と鳴き声が響いてくる。ジョーには日常茶飯事の生活音であるのだがレイリーからすれば「何事だ」と言いたげな表情だ。
「一体奥では何をしているんだ…」
『多分ロジャーとおでんくんが共に住んでる動物たちと遊んでいるんだと思うよ』
( 遊んでいるような音ではないのだが… )
『以前ここに立ち寄って来た時に大虎たちを見たろう? あの子たちと遊んでるんだ』
「あぁ…おでんが粗相をした時の猛獣だな」
『うん。二人と只管に遊んでるから随分と覇気も研ぎ澄まされたよ』
「ミンク族以外で覇気を使える動物が居ようとはな…」
『まぁあの二人の相手をさせられるんだから必然とそうなると思うよ』
「それを言うなら貴方の相手もしていたのだろう? それも相俟っていると思うがね」
『ははっ! それを言われると耳が痛いね! でも強くなる分には問題ない…そうだろう?』
「違いないな」
などなど話しながらも着実に音のしている方へと歩みを進め音もかなり近づいている。そして目視で大虎の虎丸の姿が見えたかと思えば再び「ドガーンッ」という爆音と共に吹き飛んできた。「ギャフン‼︎」と
少しして砂埃が多少晴れれば虎丸は「もう嫌だ!」と言いたげに体を丸め震えており少し可哀想である。そんな虎丸を労るようにジョーが「よしよし」と体を撫でやれば、ようやくジョーの存在に気付いたのかパッと表情が明るくなった。
『ロジャーとおでんくんの相手は大変だろう? よく耐えてくれたね』
「クゥーン…」
『後はいいから寝ぐらにお帰り』
「グルグル」
「ここの猛獣も網羅しているのだな」
『まぁここに住むにあたって一番最初の難関だったからね』
「んー…? 大虎の奴帰っちまったな?」
「なんと⁉︎ まだ物足りないぞ!」
『ふむ…まだやり足りないようだし…どうだろうレイリーくん、少し手伝ってくれるかな?』
「私でよければ喜んで手伝おう」
虎丸が帰ってしまったことに不満げであるロジャーとおでんの言葉に対し不敵に笑うジョー。そんなジョーの考えが手に取る様に分かるレイリーも同じような顔をして頷いて見せた。砂埃が完全に晴れる前にジョーは譲り受けてきた武器をそれぞれ二人に投げ飛ばす。突然のことだったが流石の反射神経で二人もそれを難なくキャッチするも驚きの表情だ。
それを気にする事なくジョーとレイリーは自分らの獲物を抜き、レイリーはロジャーにジョーはおでんへと斬りかかった。完全なる不意打ちであったのだが、それさえも二人は咄嗟に武器を鞘から抜きそれぞれ受け止めた。
そして襲いかかって来た人物を見て二人は大いに驚く事となる。
「お前…! レイリーか?!」
「久しいなロジャー。腕は鈍っていないようだ」
「むぅ?! ジョーではないか! 帰ったのか!!」
『うん、今さっきね』
一先ずギチギチと鍔迫り合いをしていたのを互いに後退することで一呼吸おく。ロジャーもおでんもジョーが帰ってくるのは分かるがジョーと共にレイリーが来た事に心底驚いている。
しかしそれも一瞬で、すぐに二人とも笑顔になり「おぉ‼︎」と声を上げて二人に近づく。そしてロジャーとレイリーはガシッと一度互いに抱き合い、ロジャーは相棒の背をバシバシと叩いた。
「わはははっ! 元気そうじゃねェか相棒‼︎」
「それはこちらのセリフだ。体は問題ないのか?」
「まぁな! 兄貴が病まで綺麗さっぱり治してくれたぜ‼︎」
「そうか…おでんも久しぶりだな」
「あぁ! まさかここで再び会うとは思わなかったぞ‼︎」
「私もジョーさんに誘われなければ会いに来はしなかっただろうな」
「兄貴といやぁ武器助かったぜ! 思った以上にいい剣だ!」
「うむ! 見事な二振り確かに受け取った!」
『その言い方はあまり期待してなかったと言う事かな?』
「Σいや、そんな事はねェぞ?!」
「そうだぞ! ジョーなら良い物を目利きしてくれると思っておった!」
『まぁ…実際のところ私が目利きした訳ではないのだけどね』
そうジョーが正直に話せばロジャーは「やっぱりか」と言いたげな表情だが口にはしない。おでんは「そうなのか⁉︎」と素直に驚きを示しておりレイリーは予め話を聞いている為普通に聞いている。武器を譲り受けた時のことを簡単に話せばロジャーもおでんも目を丸くしながらそれぞれ手の武器を見る。
ロジャーは昔行った場所で一度握っただけの剣が巡り巡って己の元へやってきた事に。おでんは昔馴染みの刀鍛冶である天狗山飛徹が己の為に新たな刀を打っていてくれた事に。
それぞれが想いを馳せながらも改めて柄をギュッと握り直し二人はジョーへと目を向けた。
「兄貴に頼んで正解だったぜ」
「これ以上の代物はきっとない! 心から感謝するぞ!」
『フフ どういたしまして』
「よっしゃー! 武器も手に入ったし何より相棒が遠路遥々来てくれたんだ! 飲もうぜ‼︎」
「おぉ! それはいい考えだ!」
『こらこら…流石に長旅でレイリーくんだって疲れているだろうに…』
「私は問題ない。あの程度の旅は慣れているのでね」
『そうか。それもそうだね』
「そうと決まれば早速酒の準備だ!」
「うむ! トキ達も呼んで来よう!」
『あ、お酒なら買って来たから摘める物だけ持って来ておくれ』
「おっ買って来てくれたのか⁉︎ 気が利くじゃねェか!」
『客人が来るのに手ぶらで帰るわけないだろう?』
「そんなに私に気を遣わんでもいいのだがね」
そう言いながらも笑っているレイリーを適当な場所へ座らせて迎える準備をする。ロジャーはジョーに言われた通り何か摘めるものを探しに行き、おでんは嫁さん達とロシナンテを呼びに行く。
ジョーは買って来ていた酒を適当に並べみんなが揃うのをレイリーと話しながら待った。
ロジャーも嫁さん達を呼びに行っていたおでんも戻りそれぞれが自己紹介やら何やらする。ロシナンテはまさか冥王レイリーとも顔を合わせる事になるとは思っておらず驚愕の表情をしてすっ転んだ。それを見たレイリーは「どうした?」と言いたげな顔をし、そんなレイリーに「ドジっ子なんだ」とジョーがコソッと伝えた。
そしてそれぞれが酒の入った樽ジョッキを持ち「再開を祝して…カンパーイ!」とジョッキを掲げた。さぁ楽しく飲めや歌えやと始まる筈だったのだが、それは突如大きく揺れた事で皆動きを止める羽目となる。
今までになかった事が起きた事に流石のジョーも目を丸め地に手をつきながらその揺れが収まるのを待つ。暫くして収まれば流石にこれは見過ごせないだろうとジョーは立ち上がり亀助と話をしに行くことに。
それをロジャーたちは止めたが「安全に過ごす為には必要な事だ」とピシャリと言い歩いて行くのだった。
一先ず宴会から一人離脱し亀助へと話へ向かうジョーはその道中で色々考えていた。もしかしたら何者かに見つかり攻撃を受けているのではないかと最悪な場合をも想定しているのだ。
万が一そんな事があれば今いる海域から離れなければならないし見つけた者もどうにかしなければならない。この場に処刑されたはずのロジャーがいるなどバレれば今まで心を鬼にして隠してきたのに全て水の泡になるのだから。そんな事を考えながら足早に亀助の頭部へとやってくれば戻って来た時と変わらぬ状況に首を傾げる。
亀助と息子の亀郎がおり更にその周りには一族の亀達だろう影が所狭しに浮かんでいるのだ。
『あー…亀助さん? 随分と大きな揺れがあったのだけど何かあったのかな?』
〈 おぉ来てくれたか。主を呼ぶために少し揺らしたのよ 〉
( 少しと言う揺れではなかったのだけど… )
〈 ワシは今の暮らしを気に入っておってのぉ…この場を動く気はないのは主も知っておるなぁ? 〉
『えぇ私たちには本当にありがたい事です』
〈 しかし此奴らもまたワシのそばを離れんと言い出しよってのぉ…此奴らもここに留まっても良いかのぉ? 〉
〈 我からもお願い申し上げる 〉
『え、あー…私は別に構いませんよ? 家族を引き離す気なんてありませんから』
〈 おぉそうか! やはり主は話が分かるのぉ! フォッフォッフォ! 〉
〈 感謝申し上げる! この場にいる以上我ら甲殻一族、其方らを守る事を約束しよう! 〉
『それはとても心強い! こちらこそ何かあれば言って下さい。力になりますから』
亀郎の申し出はある意味想定内であったがわざわざ己に許可を求めるとは思ってもいなかった。
元々亀助は新世界に住んでいたのだからそちらに連れて帰ると言われてもおかしくはない。しかし亀郎は亀助の気持ちを尊重したのか共にこの場に留まる事を選んだのだから。そんな事をジョーが考えていると亀郎がこの場に留まるにあたって提案を出した。
〈 我らは長の周りを囲うように居させてもらうが宜しいか 〉
『それはそちらの好きにしてもらっていいけれど…敵味方関係無く最初に接触する事になってしまうよ?』
〈 構いはせぬ。我らは戦闘部族でもあるゆえ 〉
『戦闘部族…だから亀助さんは覇気が使えたんだね…』
〈 フォッフォッフォ! 新世界で生きていくには必要な事じゃからのぉ 〉
〈 うむ。父が長になったのも他の者よりも覇気に優れていたからだしな 〉
『あー…もしかして…覇王色?の覇気も使えるのかな?』
〈 なぁに偶々よ偶々 〉
( 私も覇気については詳しくないけれど、たまたまで覇王色の覇気を使えるのだろうか… )
亀助のまさかのカミングアウトがあったのだが、その答えもジョーの想定内であった為そこまで驚きはしない。ただやはり「動物でも覇気を使えるんだな」とは思ったりしているのだが。
そんなこんなで亀郎たちもこの場に留まりウマヘビがやっていた近海の警備を請け負ってくれる事になる。そう話がまとまりそうになった時、中々戻ってこないジョーを気にしてかロジャーがその場にやって来た。
亀助の他に別の巨大亀がいる事に少々驚いているようだが、どちらかと言うと目を輝かせ楽しそうである。
「おい兄貴! こりゃあどう言うことだ?!」
『ロジャー…こちら亀郎さんと言って亀助さんの息子さんだよ』
「Σジィさんの息子!? わはははっ! そりゃあいい! コイツらもここに留まんのか?」
『うん。家族を引き離す訳にもいかないし彼らもここに留まりたいって言うしね』
「そうか! 俺はロジャーってんだ! よろしく頼むぜ!」
〈 相も変わらず元気な童よのぉ…フォッフォッフォ 〉
〈 主が噂の王か…紹介にあずかった名を亀郎。以後よろしく頼む 〉
「おう!」
( さっきの「噂の王」ってどう言う意味なのだろう… )
ロジャーと亀郎が自己紹介をする中で少々気になる単語が出て来たジョーだったが直ぐに「まぁいいか」とその考えを捨てる。余計なことを考えるとそればかり考えてしまい、かなり長考してしまう癖があるのを理解しているのだ。
ロジャーが何と言われようとジョーにとってはロジャーはロジャーなのだから関係ないと。
一先ず話は済んだ為ロジャーとジョーはその場を離れ宴会をしている中心部へと戻る。その際ロジャーは何か企んでいるような顔つきで笑っており上機嫌なのが窺えた。
『なんだか随分と楽しそうだね』
「まぁな! 兄貴が帰って来たかと思えば相棒を連れ立ってて更には新しい亀ときたもんだ!これが楽しくないわけがねェ!ジィさんの息子だけあってアイツも相当な実力を持ってやがるしよ!」
『たったアレだけでそこまで分かるのだね』
「兄貴だって何か感じてはいたんだろ?」
『まぁ…覇気を使えそうだなとは思ったけどそれだけだよ』
「それが分かりゃあ十分だろ!」
『そうそう、さっき話していて私も知ったのだけれど亀助さんは覇王色の覇気を使えるそうだよ』
「Σホントか?! わははははははっ!! そりゃスゲェ! 俺達も含め覇王色持ちが四人とはな!」
『確か持っている人の方が稀だって言ってたね』
「そうだぜ!こんだけ集まんのは早々ねェよ!」
そんな話をしながら戻っていれば、いつの間にか中心部へと戻ってきていた。その場で待っていたおでんやレイリー達は少々不思議そうな表情をしながら二人を迎える。何でも少し距離があったにもかかわらずロジャーの笑い声がここまで届いていたらしい。その為「一体何をそんなに笑っているのか」と言う感じで見てきていたのである。
それを分かっているロジャーは座っていた場所に座り直しながら事の経緯を話す。
レイリーはジョーと共に来た事もあり亀郎が共に来ている事は知っているがおでんは違う。おでんもまた、ロジャー同様に何とも「楽しい事を見つけた」と言うような表情をしている。
ただ亀助が「覇王色」の覇気持ちだと知った時は大層二人は驚き静かに話を聞いていたロシナンテも驚いた。
ジョーはそんな会話を酒を飲みながら聞いているだけなのだが、どこか微笑ましい気持ちでいた。今までも楽しそうに暮らしてはいたが、やはり長い事ともに冒険をしたレイリーがいるとまた違う。
普段以上に楽しそうに話をしているのがジョーには分かるのだ。
ロジャー達が話を盛り上げている中ジョーは白ひげには二人の事を話したと言うのを伝えなければならないと思い出す。白ひげに会った事はレイリーにも話していたが二人の事に関してはまだ話していない為いい機会だろうとジョーは思う。
『盛り上がっている所悪いんだけれどニューゲートくんに会った時ロジャー達の事を話したからね』
「白吉っちゃんか! また会いてェなァ!」
「俺の事も話したのか?」
『おでんくんは元々彼の所に居たって言うし、少し話をしてロジャーの事を言っても問題ないと思ったからね』
「そうか! 確かにアイツは敵ながら敬意を払うべき相手だからな!」
「そうだな私もロジャーと同意見だ」
「白吉っちゃんは懐の深い男だからな!」
『うん 私もそう思うよ…ただロジャー、気に食わない事が一つある』
「えっ…な、なんだよ…」
『海賊船を降りてから彼に会いに行ったそうじゃないか…私の元には来なかったのに』
「そ、それには理由がちゃんとあってだな!! 俺が不治の病だって知ったら兄貴俺に付きっきりになんだろ?! そうなるのが嫌だったんだ!」
「確かに…船を降りる時そんな事を言っていたな」
『それでも私は一言言って欲しかったし頼って欲しかったよ。私はお前の家族で兄なんだから』
ジョーはロジャーに向けていた目を己の手元へと落としポツリと静かに呟くように言う。以前のように烈火の如く叱りつけるのではなく、ただ本当にそう思っていたのだとヒシヒシと感じさせた。普段そんな姿を見せることのないジョーの新たな一面を見たロジャーは己の判断は間違いだったのかと思う。だが何度同じことがあったとしも己は兄の人生を縛り付けてしまうような行動は取らないだろうとロジャーは思った。
そんな話を共に聞いているレイリーもおでんも思う事はあるようで二人共何かを言う事はなく黙って二人の様子を窺っている。ただ黙って話を聞いていたロシナンテはロジャーが不治の病だった事に驚きつつ己とは違う兄弟の関係性に色々思うことがあった。
その場にいるルージュとトキはまさか病の事をジョーに話していなかったとは思ってもおらず驚いていた。それぞれが違う反応を見せる中お祝いムードが暗くなってしまった事に気づいたジョーは「はぁ…」と息を吐き出した。
『今更たらればを言った所で意味はないね。過ぎた事を掘り返してすまない』
「イヤ、兄貴が謝る事じゃねェだろ」
「おれもそう思うぞ…己の知らぬ所で大切な者の命が散るのは悲しい事だ」
「おでんの言う通りだな。この件に関して私はロジャーの判断は間違っていたと今でも思っている」
「お前ェそんな事思ってたのか?!」
「私は再三言ったはずだが? ジョーさんにもちゃんと伝えるべきだと」
「ぐぅ…!」
『もういいさ。今こうして笑い合えているのが1番だからね』
「心の広い兄を持てて幸せだなロジャー」
「うむ同感だな」
「そんな事言われなくても昔っから知ってんだよ!」
レイリーとおでんの言葉にロジャーは噛み付くように吐き捨てながらジョッキに入っている酒をグビリと飲み込んだ。
ジョーは白ひげが知っていた事を一番近しい筈の己が知らされていなかった事に思う事はかなりあった。だからと言って今更それを言ったところで意味のない事だと言うのもジョーはちゃんと理解している。
だと言うのにこの楽しい場でそんな事を口走ってしまうのは間違いだったと過去に拘るべきではないとジョーは思い直す。勿論過去を振り返るべきではないと思っている訳ではなく、その事に関してはロジャーがいる今を楽しむべきだと思ったのだ。
そんな風にジョーが一人切り替えているなど知る由もない面々はずっと己の手を見ているジョーの様子を窺っていた。最後に言葉を発してからピクリとも動かない姿は何を考えているのか全く分からずロジャーは「怒ってんのか…?」と思っていたりす。
しかしそんなロジャーの考えとは裏腹にジョーはパッと顔を上げ「暗い話はよそう」と言い笑った。本来であればホッとする場面なのだが残念ながらロジャーもレイリーもおでんもロシナンテも更には女性陣達も何とも言えない表情をする。それもその筈で…顔は笑っているのに目が笑っていないのに皆気付いているからだ。
そんな様を見てロジャーが謝りだおすのは言わずもがなだろう。
( マジですまんかった!! 許してくれ!! )
( 別に私は怒っていないよ? )
( 目が笑ってねェんだよ!! )
( うむ…恐ろしい顔になっているぞ… )
( そうだな…私もそう思う )
( おでんくんとレイリーくんまで… )
( ほら見ろ! それにんな顔してたらルージュ達がビビっちまうだろ?! )
( お前は相変わらず失礼だね…私の顔は元々こんな顔だよ )
(( 嘘つけっ!! ))
( わはははっ! 面白い冗談だな! )
( 笑い事じゃねェよレイリー!! )
( あ、そうだロシィ。頼まれてた銃だよ )
( ありがとうジョーさん )
( 見ない顔だが君も彼に助けられた口か? )
( あ はい、そうデス )
( いやいやいや何で相棒にカタコトだよロシィ )
( いや…まさか冥王と会う日が来るとは思ってなかったし… )
( それからおでんくん、これニューゲートくんから預かって来たよ )
( これは…白吉っちゃんのビブルカードか!? )
( 渡して欲しいと頼まれてね。確かに渡したよ )
( おぉ!ありがとうなァ! )
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