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ジョーがシャンクスの船に乗り新世界を目指してから二週間が経ち、ようやくシャボンディ諸島へとついた。
初めて見るビックマン・マングローブで出来たその島を見上げたジョーは「幻想的な場所だ」と思った。本来新世界に行くにはこの島で船にコーティングをしてもらい魚人島を通って行くのだと説明を受けている。
ジョーが新世界へ行ったときは亀助に乗ってとウマヘビに乗ってだったのでシャボンディ諸島へ寄った事はない。初シャボンディだと聞いたシャンクスは「え?」と言う顔をしたがジョーはシャボンディ諸島に夢中で気づいていない。シャンクスが驚いたのはタートル島でロジャー達と再開した時におでんを助けたと聞いていたからだ。
それはつまりジョーが新世界にあるワノ国まで行っていると言う事で…それなのにシャボンディ諸島に寄らないとは?と思ったのだ。しかしおいおい考えてみればジョーが乗るのはウマヘビのため寄らずとも行ける方法があったのだろうと思い直した。
そんなこんなでコーティング職人を探し更にそこから最速でも三日かかると聞いたジョーは観光する気満々である。
『三日後にここに戻って来ればいいのかな?』
「いや、コーティング中はこの場にずっと船が置いてあるわけじゃない。これを渡しておく」
『 ! …もしかしてこれがビブルカードなるものかな?』
「ジョーさん流石に知ってるか!」
『いやぁ…これもこの前初めて聞いたんだけれど…これを作りに新世界へ行きたいんだよ』
「 ! そうだったのか!もしかして全員分?」
『そうだよ』
「作ったら俺も欲しい!」
『え、あ…うん? いいけれど…新世界入ったら別行動なのでは?』
「ビブルカード作れる島知ってっから案内するぜ!」
『そうか。それは助かるね』
ジョーはコーティング職人に依頼をした後そのまま船に残るらしいベックマンから彼のビブルカードを受け取ったのだがそれを感慨深そうに眺めている。大袈裟なと思うところだがだいぶ世間知らずなジョーなので「そんなものか」とも思う。
シャンクスに至ってはジョーがビブルカードを作りに来たと知り目を輝かせながら子供のように欲しいと強請る。そんな反応を見せたシャンクスに驚きはしたものの別に断る意味もないジョーは二つ返事でOKを出す。
しかも新世界に入ってからもビブルカードを作れる場所まで案内してくれると言うのだからジョー的には有難い限りだ。そんなこんなでジョーは初のシャボンディ諸島を楽しむべく意気揚々とレッド・フォース号を降りたのだった。
*
**
***
レッド・フォース号が泊まったところが無法地帯だったこともあり進めど進めど現れる人 人 人。人と言っても海賊・人攫い・ゴロツキなどの一般的に悪党と呼ばれる人種ばかりである。
ジョーはこの場が無法地帯と言うことを聞かされていなかった為「治安の悪い場所だ」としか思っていない。喧嘩をふっかけてくれば難なくのして何事もなかったように先を進むためジョーの歩いた道には多くの屍(死んではいない)が転がっている。
どれほど歩いたか…ようやく前方に見えてきた繁華街にジョーは年甲斐もなく心躍らす。基本的にタートル島から出る事はないし買い物で外に出ても必要最低限の物を買ったらすぐに帰っていた。その為こうしてじっくり見て回ることは数十年ぶりなのである。
あまり顔を晒さないように帽子だけは被っているジョーに変な目を向ける者は誰もいない。そもそもここには新世界へ行くために多くの海賊が押し寄せるのだから一人一人を気にするような事はいないのだが。
ジョーが楽しく見て回っている時カバンの中から「ぷるぷるぷる」と独特な音が鳴る。それに気づいたジョーは見ていた店の店主に愛想笑いをしてからそそくさとその場を離れ人気のない場所へ。電伝虫の番号を知っているのはロジャー・おでん・ロシナンテだけのため誰かがかけて来たと言う事。
―― ガチャ
『もしもー…』
〈 よォ! どうだ楽しんでるか! 〉
『…お前な…いちいちかけてくるんじゃない!』
〈 別にいいだろ減るもんでもねェ! 〉
『今シャボンディ諸島にいるんだ。ここは海軍本部が近いらしいじゃないか』
〈 おっ! もうそこまで行ったか! こりゃ帰って来んのもすぐだな! わははははっ! 〉
『笑い事じゃないぞ全く…それで? 要件は? こんなくだらない話しするためじゃないだろう?』
〈 くだらないって酷ェな! 一つ頼むの忘れちまってよ! 〉
『ビブルカード以外にか? 一体なんだ?』
〈 カトラスを買ってきて欲しいんだ! おでんも刀二本欲しいってよ! ロシィは銃一丁な! 〉
『武器か…確かにお前達今まで木の棒でやり合っていたね…』
〈 わはははっ!そうだぜ!今はそれでいいかも知れねェが今後武器が必要になるかも知れねェだろ?だから頼むぜ! 〉
『ふむ…そうだね。テキトウに見繕ってこよう』
〈 ………待て。兄貴のテキトウはマジでテキトウだから他の奴にも見てもらってくれ 〉
『それは私の目が節穴だと言いたいのかい?』
〈 節穴っつーか興味ねェもん探すのテキトウだろ?
『………分かった。善処しよう』
〈 おう頼むぜ! 残りの航海も楽しめよな! じゃあな! 〉
―― ガチャ
要件を言うだけ言って一方的に切られたジョーはそっと受話器を戻すのだがその顔には少々怒りが浮かんでいる。彼らの自由を縛っているのは己自身なのだが、だからと言ってパシリのように使われる筋合いはない。
剣や刀に関しても買って行くことに賛成ではあるがそんな一方的に切ることないだろうとジョーは思う。しかも買うときは誰かに一緒に見てもらえとは少々ジョーのプライドも傷つくと言うもの。まぁこの場で何を言ってもロジャーに届くことなどないのだが…思うだけはタダだ。「はぁー…」と深ーい溜め息を付いてからジョーは一応武器屋を見てみようと武器屋を探す。
今の有り金では銃一丁は買えても剣一本と刀二本まで買える訳もない為どこかで集めないとなと思うジョー。フラフラと見て歩くも中々見つけられず出店をしている人に尋ねればこの道を真っ直ぐ行けばあるようだ。ジョーは一言お礼を言ってから言われた通り今歩いている道を真っ直ぐ進んで行く。
暫く歩けば武器屋っぽい店を見つけ中へと入る。そこには剣から刀、銃、斧などなど…様々な武器が並べられており豊富な品揃えである。そんな中に赤髪海賊団の古参であるヤソップがおりジョーに気づき「よぉ」と手を挙げ声をかけた。
『やぁヤソップくん』
「まさかここでアンタと鉢合わせるとは思ってなかったぜ。武器調達か?」
『そのつもりではいるけれど今は持ち合わせがなくてね。どんな物があるか下見って所かな』
「なるほどなァ…どんな物を探してんだ?」
『カトラス一本と刀を二本と銃一丁』
「統一性がねェな。腰に下げてんのは剣だし。銃も扱うのか?」
『あぁ…私のじゃないんだよ。買い物を頼まれてね…』
「そう言うことか…となるとまた選ぶのが難しいだろうな」
『と言うと?』
「武器ってのは手の馴染み方も重要なのは分かるだろ? 買って行ったのが手に馴染まなかったらただのガラクタだ」
『ふむ…確かにそう言われるとその通りだね。ありがとうとても参考になったよ』
「大した事はしてねェよ! まぁもし買うのなら新世界の方がいいのあるかも知れねェぜ」
『そうか。なら向こうに行く前にお金をどうにかしないとだな』
「この島にゃ札付きなんてごまんと居るし金品奪えるタイミングもあるだろ」
そう海賊らしい事を言うヤソップにジョーも「確かに」と頷きながら再度感謝の意を伝えてから武器屋を出た。武器屋でたまたまとは言えヤソップと鉢合わせてよかったなとジョーは心底思う。
ロジャーの言った通りジョーは武器に対した思い入れなどなく使えればいいと言う考えだ。故にジョーが「テキトウ」と口にしたら本当にテキトウな物しか買ってこない可能性の方が高いのである。だがヤソップに言われた言葉でジョーは考えを改めるきっかけとなり、ある意味いい傾向だろう。
「手に馴染まなければただのガラクタ」とはよく言ったものだとジョーは人知れず感心した。
三人の追加の買い物も新世界でする事としたジョーは視界に入った書店へと入る。そこには色々は本が置かれておりジョーがとても興味を惹かれるものがたくさんあった。その結果、何冊も本を購入してしまい益々有り金が減ってしまったのはどうしようもない。
本の入った紙袋を片手に周りを見ながら歩いているとジョーはどこか見覚えのあるような後ろ姿を発見する。ただ人違いの可能性も大いにあるため声をかけるか躊躇い…結局声をかけるのをやめた。
そろそろ違う場所へ行ってみようと彼が思った時「ジョーさん…?」と言う声。そちらに目を向ければ先ほどジョーが見ていた男性であり、その人はジョーの思った通りの人だった。
「驚いたな…まさかこんな所で会うとは…」
『それはこちらのセリフだよ…。久しぶりだねレイリーくん』
「あぁ…あの島に行って以来か…」
『そうだね』
「話したい事もある…どうだろう場所を移さないか?」
『勿論だとも』
レイリーの提案に断る理由がないジョーは二つ返事で頷き先を歩き出したレイリーの後に続く。
歩くたびにガソゴソと音が鳴る紙袋にチラリと視線を落としたレイリーは「それは本か?」と問う。それに対して「そうだよ」と言って一冊取り出して見せ「移動中に読む本を買ったんだ」と答えた。その言葉に少々訝しむ表情を見せたレイリーは「あの島を出たのか…?」と内心思う。しかし動物達を家族だと言っていたジョーに限ってあそこを出るのは考え難いと思い直した。
「ここには一体何しに来たんだ? 本を買いに来たわけでもあるまい」
『ちょっと買い物を頼まれてね。新世界に行くんだよ』
「買い物を頼まれた…? あの場には貴方しか居なかったと思ったが…誰が新しい住人が?」
『うん。君もよく知る人物が二人とその奥さん達ともう一人がね』
「私も知っている…?」
『知っているよ。でもこの場で話す訳には行かないから出来れば人気のない場所がいいかな』
「……わかった。ならばこちらに行こう」
そう言ってレイリーは本来行こうとしていた場所を変え違う道を歩き出す。
二人は無法地帯へと入り相変わらず色々な人種が彼らを倒そうと武器を構えてくる。しかしながら「冥王」と呼ばれるレイリーとそんな彼に匹敵するだけの力を持つジョーの敵ではない。
簡単に蹴散らした二人の歩いた道には屍(死んではいない)が転がる事となる。
『この島は随分と物騒だね。上陸した時も彼等のような子達が襲って来たのだけど…』
「まぁここは無法地帯だからな。襲ってくれと言っているようなものだ」
『え…そうだったのか。そんな話し聞いていないぞ…全く』
「ここまではやはりウマヘビに乗って来たのか?」
『いや 実は私の住んでいる島にシャンクスくんが来てね。流れで一緒に乗せてもらっているんだよ』
「シャンクスが? と言うことはここにアイツもいるのか」
『うん。どこにいるのかは知らないけれどね』
ジョーがここまで来るのにシャンクスの船に乗って来たと聞いたレイリーは普通に驚いた。そもそもシャンクスがジョーの住む島に行っていた事にも驚きなのだが、それ以上に人様の船にジョーが乗ること自体驚きだった。
ただレイリー的にはよくジョーを見つけ出したものだとシャンクスに対しても色々思う事があるようだ。
そんなこんな話しをしながら歩くこと数十分…ついた場所は何もなく閑散としている場所。ちょうどマングローブがいい具合に突出してその下に人が入れそうな空間が出来ている場所だった。ただ下手したら海にポチャンしてしまうような場所なので能力者のジョー的には注意しなければならない。
そんなジョーの気持ちを知ってか知らずか…レイリーはなんの迷いもなくその空間へ入っていく。それを見てジョーも行かないわけにはいかず細心の注意を払ってレイリーの後に続いた。空間は思ったよりも広く大人が二人入ってもまだ余裕があるような場所だ。
『よくこんな所を見つけたね』
「私も札付きなのでね。隠れる場所は探しておいたのだ」
『なるほど。用意周到なのは君らしい』
「………、」
『レイリーくん?』
「アナタに謝っておきたい事がある」
『 ? 一体なにかな?』
「ロジャーの事だ…アイツが不治の病を患っている事も…海軍に自首する事も聞いて知っていた。だがアナタに何も言わなかった…。ロジャーの意志を尊重する事を選んだんだ」
『……………』
「しかし…アナタを想えば話すべきだったのだ。唯一の肉親なんだとロジャーから聞いていたからな」
『それについてはやはり思う事はあるよ。でもロジャーの人生だ。私がとやかく言うべきじゃないのも分かる。ロジャーが公開処刑をされると知った時は色々な事に絶望したし怒りも湧いたけれどね』
「…当然だろうな」
『ただね…憎たらしい事にロジャーの奴…処刑された後も笑顔だったんだ。人生に悔いなしっていう感じだった』
「 ! ……待ってくれ、なんの話だ…。ロジャーの処刑を見に行ったのか…?」
『見に…と言うよりは助けに…の方が正しいかな』
「ジョーさん…アナタ一体何を…」
『聡い君なら分かっているんじゃないかい? 私はロジャーを見殺しになんかしないよ』
「 !! ……ロジャーは…、」
『うん、生きているよ』
「―――――…そうか…!」
ジョーの言葉に驚きを示すレイリーだが、それ以上に我が船長が生きている事を知り喜びが勝った。そしてレイリーの瞳には薄らと涙の幕が張ったかと思えば、それを見られまいと指で目元を隠す。
ジョーは特別何かを言う事はなく、ただ静かにその場に座っているだけ。
暫くお互い無言のままいたがレイリーが再び噛み締めるように「生きているのか…」と呟く。そしてゆっくりと上げた顔には嬉しそうな笑みが浮かんでおり想いを馳せているようだ。
「しかしどうやってロジャーを…」
『ローグタウンに行った時には既に遅かったのだけれど…まぁあの子の遺体を回収して能力で蘇生したんだよ』
「よく回収出来たな。そもそも蘇生とは…まさかそんな事までも出来るとは…」
『一か八かだったけれどね。結果的に成功してよかったよ』
「そう言えば二人と言っていたがロジャーは分かったがもう一人は一体誰だ?」
『あぁ、おでんくんだよ』
「おでん?なぜアナタの所に?ワノ国へ送って行ったが…」
『彼はワノ国に確かに帰ったよ。ただ帰った時には以前とは変わっていたらしくてね。まぁ色々あったようで…。鎖国しているから知られていないけれど、おでんくんも公開処刑みたいな事をされていたんだよ』
「なに? おでんが? なぜだ」
『あの国を乗っ取った奴とソイツのバックについたカイドウの手によってね…』
「カイドウ…暫く名を聞かんと思ったらワノ国に居たのか…それでおでんも救ったと…。だが何故アナタはそんなタイミングよくワノ国にいたんだ?」
『おでんくんの家臣の子から連絡が入ったんだ。力を貸して欲しいってね。それで行ってみたら公開処刑で…私は何度そんな場面を見なくてはならないのだろうね』
そう言ったジョーの言葉の重みはレイリーには計り知れるものではなかった。
実の弟が処刑される場面も見ており、その後に短い期間とは言え話しをし勝負までしたおでんの処刑。そう何度も見たいものではないしそもそも公開処刑自体が本来そう行われる事ではない。
ジョーはその時のことを思い出しているのか物凄く真顔…と言うよりも何も感じさせない怖さがあった。怒っているのか悲しんでいるのか…どんな感情を抱いているのか全く読めないのである。しかしそれもジョーが「はぁー…」と息を吐いたことでなくなり「暗い話しをしてすまないね」と謝った。
「謝る必要はない。私が聞いたのだから」
『そう言ってもらえると有り難いよ』
「ともあれ二人はジョーさんの元で暮らしているのか」
『うん そうだよ。毎日毎日騒々しくって堪らないよ』
「ははははっ! 二人が揃えばそうだろうな!」
『本当に…今は私がいないから好き放題しているのだろうね…』
「二人ならやり兼ねんな! そういえば買い物を頼まれたと言っていたが、まさか二人の買い物か?」
『そうだよ。なんでもビブルカードが欲しいと言い出してね。新世界でしか作れないって言うじゃないか』
「あぁ…それでたまたま来たシャンクスの船に乗って来たのか」
『そう言うことだ。シャンクスくんにも迷惑をかけて申し訳ないよ』
「シャンクスは何とも思っていないんじゃないか? 随分とアナタに懐いていたようだし」
『え、そうかな…私にはよく分からないけれど…』
「少なからず迷惑には思っていないさ。そもそも迷惑だったら乗せてなどいないだろう」
『それもそうだね。フフ、少し気が楽になったよ』
「それはよかった」
などなど…話題が尽きる事はなく長々と話しをする二人。
ロジャーやおでんの話しはもちろん今何をしているのかと言うジョーの問いにレイリーも答える。とは言え答えられるような事をしているわけでもないのだが、どんな生活を送っているかなど話す。
途中ロジャーに妻がいる事をジョーがレイリーに話せば「冗談だろう?」と心底驚かれた。その事実にジョーは「お前女っ気なかったのか…?」とロジャーの事を考えたとかなんとか。ただジョーもロジャーに女がいると知った時疑ったのだから、そんなこと言えた立場ではないのだが。
そんな中ジョーが思い出したように「聞きたいんだけれど」とレイリーに問いかける。
『ロジャーとおでんくんにカトラスと刀も買って来て欲しいと頼まれたのだが…どんな物がいいのだろうか』
「二人が以前使っていたのは手元にないのか。となると…そうだな…」
『やはり本人が見て買った方がいいものかな?』
「勿論その方がいいだろうが…おでんは兎も角ロジャーは表には出れんだろう」
『うん…そうなんだよね。だからちょっと困っているんだ』
「ロジャーが使っていたのはシャンクスが持っているようなタイプの剣だった。おでんのは二振りとも大業物だと聞いている。ワノ国屈指の刀鍛冶が打った物だそうだ」
『え…それって…それくらいの物を探して買って来いって言われているのかな…私は…』
「流石にそこまでは思っていないと思うが…おでんだしな…」
『だよね…。おでんくんなんだよ…』
……………………
……………………………………
「言うかも知れん」
『この件は放棄していいだろうか…』
おでんの刀が大業物21工なのだと聞いたジョーは聞かなかった事にして放棄したい思いで一杯だった。そんな業物の刀がそこらへんにおっこている訳もないのだから探すのが大変過ぎる。一振りならまだしも二刀流であるおでんには二振り必要なのが余計にジョーを憂鬱にさせていた。
深々とため息をつくジョーを見たレイリーは「二人のお守りは大変だろうな」と思ったとかなんとか。
一先ず人気を避けての会話はこれにて終了しジョーはレイリーの案内の元再び場所を移動する。今度はBARらしくそこで飲みながら別の話もしようと言う事になったのだった。
*
**
***
レイリーが向かうは「シャッキーSぼったくりBAR」であり、そこは無法地帯の13番グローブにある。故に必然的に彼等はそこを歩く事になるのだが、やはりと言うべきか色々な者達が彼等を襲う。とは言え彼等の敵ではないため一瞬で蹴散らされている。
そんなこんなありなが進む事数十分…ようやく見えて来た店。そしてその店のある階段下に居る見覚えのある赤い髪の彼と遭遇した。
シャンクスもこの場にレイリーとジョーが共に来た事に驚いているが、それ以上に嬉しそうに笑った。レイリーと会うのも十年振りくらいなのだからそうなっても不思議ではない。
「レイリーさん!」
「やぁシャンクス。随分と名を馳せているじゃないか」
「いやぁ仲間達のお陰だ! 俺ァ何もしてないから」
「まぁそう言う事にしておこう」
「にしても二人でいたなんて俺も誘ってくれりゃあいいのに水臭いぜ!」
『私たちも偶々会ったんだよ。そもそもレイリーくんがここに居るなんて私が知っていると思うか?』
…………………
………………………………
「だはははっ! ないな!」
「私も情報が漏れないようにしていたしね」
『それはそれで何か腹立つね…』
「ジョーさんが聞いたんじゃねェか!」
『そうなんだけど納得いかない』
「それだけ我々の中でのアナタは外の世界に興味を持っていないという事だ」
「レイリーさんの言う通りだぜ? 白ひげの事も知らなかったと聞いた時は本気で驚いたもんな!」
「ニューゲートの事知らなかったのか…それは…」
『世間知らずだって言いたいんだろう? 二人にも散々言われたよ』
そう諦めたように言い捨てるジョーにレイリーは苦笑いしシャンクスは「レイリーさんにも話したのか」と思った。二人と言って伝わると言うことはそう言うことで自分にも話してくれたのだから当然と言えば当然だが。
一先ず店先まで来ていてここで立ち話する必要もないと彼等は上にある店へ。店内に入る前に視界に入る「シャッキーSぼったくりBAR」と言う看板。「ぼったくる気満々じゃないか」とジョーは思うものの気にしてはいけないと二人に続いて中へ入る。
中にはタバコ片手にカウンター内に立つ一際美しい女性が一人。
「あらレイさん。あと半年は帰ってこないかと思ってた」
「そのつもりだったが思わぬ人に会ったのでね」
「シャンクスちゃんは分かるけれど、もう一人は見ない顔ね?」
「お前なら分かると思ったが分からないものか」
「昔出た手配書の彼に似てはいるけど年齢が合わないわ。となるとその彼の息子かしら」
「わはははは! 息子か! まぁそう思われても致し方ないな!」
「え、違うの?」
などなど話しているレイリーと店主のシャクヤクことシャッキーの会話にジョーとシャンクスは口を挟む隙もなく聞きに徹していた。ただ一つ気になったのはシャンクスの事を「シャンクスちゃん」と呼んだ事である。突っ込みたい気持ちがあった二人だがやはり口を挟める空気ではなかった。
そのため二人して「シャンクスちゃん…」と心の内で復唱していたなど当人達しか知らない。
相変わらず二人の話はジョーについてなのだが情報通のシャッキーが彼「ゴール・D・ジョー」を知らぬ筈はない。ただその手配書を見たのは何十年も前の事で目の前のジョーと結びつかないのだ。もしその人が健在でいるのであればもっと年老いていていい筈なのだから。
しかし目の前に居るジョーの場合は実年齢七十歳だとしても見た目は四、五十代に見えるのだ。それについてはレイリーもシャンクスも内心詐欺だと思っていたりする。
いい加減己の事で色々言われるのはやめて欲しいジョーは一歩前に出てシャッキーへと自己紹介する事に。
『どうも初めまして。私の名はジョー。先程から話題にあがっている本人だ』
「えっ?! 冗談でしょう? そんな若い筈ないもの」
『そう思われるのも無理はない。私は能力で自分の体を弄っているのでね』
「成る程…能力者なのね。それなら納得だわ」
「さて誤解も解けた事だし話をしようじゃないか」
『レイリーくんが初めから私だと言ってくれればこんな無駄な時間はなかったよ』
「わははははっ! すまんな!」
「でもよ彼女が言ったようにジョーさんの息子だって思われてもおかしくねェよな。その姿で海軍の目に止まったら色々面倒なんじゃねェか?」
『そうかな? まぁ出歩く時は帽子かぶっているから顔は把握出来ないんじゃないかな』
「そういや東の海で会った時は今より重装備だったな。帽子の上にローブのフードかぶってたし」
「東の海? 二人ともそんなとこでも会っていたのか」
「そうなんだよレイリーさん! 聞いてくれよ! 東の海に面白ェガキが居たんだ! ロジャー船長と同じあの言葉を言ったガキが!」
東の海の話が出てシャンクスは思い出したようにレイリーへそこでの出会いを話した。レイリー的にはロジャーと同じ言葉を言ったと言う事に驚きを示している。それほどロジャーの言った「ある言葉」とは突拍子もない事だったのである。その話しはジョーもシャンクスがタートル島にやって来た時に本人から聞いている。そんな事をあの子が言ったのかとジョーも心底驚いたのと同時におかしく思ったものだ。
そんな話の中でレイリーが気になっていただろうシャンクスの左腕とトレードマークだった麦わら帽子の有無。その子供を助けるために左腕はくれてやり大事な麦わら帽子もその子に預けて来たのだと語った。
新しい時代にかけてきたのだと。
そんな話を長々としひと段落ついた頃レイリーが妙案思い付いたと言いたげにジョーに提案した。
「先程のカトラスと刀の話しシャンクスに見繕って貰うといい」
「ん? 何の話だ?」
『そうか…その手があったね。やっぱりレイリーくんに話をして正解だったよ』
「そう言ってもらえると光栄だね」
「俺にも分かるように話してくれよ」
『あの二人にビブルカード以外にもカトラスと刀を買ってきて欲しいと連絡を受けたんだよ』
「 ! 話は分かったがなんで俺? ジョーさんが見りゃいいんじゃねェか?」
『まぁそのつもりだったのだけど私だとテキトウに買って来そうだから誰かに見繕ってもらえって言われてね』
「わははははっ! そんなこと言われていたのか!」
『笑い事じゃないよレイリーくん…。とまぁ…そう言うことでシャンクスくんも見てくれると助かる』
「俺でいいならいいぜ! 二人に合いそうなの探そう!」
『ありがとう本当に助かるよ』
そう言いながらペコリと頭を下げるジョーに対してシャンクスは「やめてくれ」と頭をかく。それを見てジョーは「感謝を述べるのは人として当然だろう?」とシャンクスを見て言うもんだからシャンクスも何も言い返せない。
その様を見たレイリーは礼儀知らずのロジャーとは大違いだと内心思うも口にする事はなかった。そんなこんなで三人は色々な話で盛り上がるのだった。
( ロジャーとおでんは何時もトラブルメーカーだったな )
( だははははっ! 確かに! でもおでんさんの方が酷かった気がする! )
( トラブルメーカーか…今もそう変わらないけれどね )
( だろうな。人はそう簡単に変わりはせん )
( でも航海してた時よりは大分落ち着いたように見えたけどな )
( あの時はほら、シャンクスくん以外の人に会わないようにしていたからだよ )
( あー…そう言うことか! )
( 普段は昔通り煩いのだろうな )
( 煩いってものじゃないよ…騒々しくって何度黙らせている事か… )
(( 一体何をしたんだ… ) )
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