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ロシナンテが目を覚ましてから早一年が経ち彼もまたジョー考案の地獄のリハビリの被害者の一人となった。言葉の通り地獄を見る羽目になったロシナンテであったがその度にロジャーやおでんから励ましの言葉をもらっていたりする。
初めこそロジャーに対して「海賊王」と言う先入観があったのだが、そんな日々を経てロジャーへの考えを改めるきっかけにもなった。故に今ではロジャーともおでんともその嫁さん達とも上手くやっており一番鬼門だったジョーとも打ち解けている。
何より完全ドジっ子なロシナンテを皆が可愛がり特にジョーは長男気質な事もあり放って置けず何かと世話を焼いていた。なんやかんやで随分と騒々しくなったなと思うジョーであるがそんな日常が愛おしくも思う。
因みにロシナンテと呼ぶのが長いと言うことでジョーが「ロシィ」と呼び始めた事で皆がそう呼ぶようになっていたりする。
そんなある日のこと。
ジョーがいつも通り読書をしようと大虎を背に腰掛けた時ロジャーが兄の名を呼びながら駆け寄ってくる。その後からおでんと引き摺られるように連れられるロシナンテも一緒に来ておりジョーには嫌な予感しかしなかった。
「兄貴頼みがあるんだけどよ!」
『……嫌な予感しかしないのだけど…聞くだけ聞こうか』
「ビブルカードが欲しいんだ!」
「おれも持っておきたい!」
「出来れば俺も欲しい…」
『待っておくれ。そもそもビブルカードってなんだ?』
…………………
………………………………
「そうか…兄貴にはそこから説明しないとならねェのか…」
「そのようだな! おれより世界を知らんぞジョー!」
「意外だな」
『失礼だねお前たち…私は別に世界を知ろうとはしてないからいいんだよ』
「何言ってんだ! 世界はいいぜ! 最高だったよなおでん!」
「おうとも! ワノ国があのようになってしまったが海に出た事に悔いはない!」
「俺は今の所静かに暮らしたい」
『まぁ価値観の問題だね。私はロシィに同意だよ。それで? ビブルカードってなんだい?』
「見た目はただの紙なんだけどよ原料が髪とか爪で作った奴のいる方向だったり生死を知る事が出来んだ!」
『 ! ……そんな代物があるんだね。驚いた…確かにあれば便利だ』
「だろ?! 俺とルージュとおどんとトキとロシィと兄貴! 全員分あった方が安心しねェか?!」
「これから何があるか分からん! なればこそ持っていた方が便利だ!」
「ビブルカードはあって損はないと思う」
『そうだね…それに関しては賛成だよ。どこで作れるの?』
「「「 新世界 」」」
『お前達ふざけてるのか?』
ジョーにビブルカードを持つことを直談判した三人の言葉にジョーも「必要性がある」と判断し同意した。しかし作れる場所がまさかの新世界ときてジョーは頭を抱える羽目となる。前半の海ならまだしもまたしても新世界へと行かなければならないのかとジョーは思う。海底…魚人島を通らなければならない事からジョーは出来れば新世界へは行きたくないと思っている。
なんたって通るときはウマヘビの口の中に入らないとならないわけで…アレはしんどいのだ…色々と。当時おでんは眠っていたから知らないだろうがトキならばジョーの気持ちを分かってくれる事だろう。だからと言って亀助に行ってもらうのは気が引ける為やはり行くとしたらウマヘビに乗ってになる。
いい歳した大の大人の男が期待のこもった眼差しをジョーに送っており彼は非常に居心地が悪い。出来ることなら断りたいが断ったら「じゃあ自分で行ってくる!」となるのが目に見えている。それだけは絶対にさせてはならないとジョーは思っているのでやはり自分で行くしかないのだ。
『はぁ…分かった作って来よう』
「よっしゃあ! 今回は俺も行くぜ!」
「おれもだ! ここに居続けるのは窮屈だァ!」
「俺は誰か顔見知りに会ったら対応に困るから待機する」
『却下だ。お前達はロシィを見習いなさい』
「「えー!」」
『いい加減大人になりなさい。何度言えば分かるんだ…』
「兄貴ばっか色んなとこ自由に行ってズルいじゃねェか!」
「そうだぞ! おれだって色々見てみたい!」
『お前達の顔は割れているんだから仕方ないだろう?』
「それは兄貴も一緒だろ?! 手配書出てんじゃねェか!」
『そうだけれどお前達よりはマシだよ』
「ズルいズルい」と言う二人にどんな諭した言い方をしても無意味だと知るジョーはニッコリと笑う。そうすると面白いくらいに引き下がるため言うことを聞かない時は笑う事にしたのである。なんだか笑顔で引き下がられるのも少々癪に触る部分もあるが子供のように駄々をこねられ続ける方がストレスだ。そもそも一番年下のロシナンテが何故こうも物分かりがいいのかと思わなくもないがそれは性格ゆえであろう。
再度「はぁ…」と深いため息をついた時「ブルヒヒン!」と言うウマヘビの鳴き声が微かに響いて来た。それに伴い動物達もなんだか落ち着かないようでソワソワと彼等のそばへと近寄り陣取る。
まるでここに居れば安全だと言うようでジョーは勿論ロジャーとおでんは訝しみロシナンテは「?」を飛ばしている。
「どうしたんだコイツら?」
「何かに怯えているようだな!」
「こんな姿初めて見たな…」
『恐らくここに誰かが来たのだろうね。ロジャー達が来て以来だな。来訪者は』
「おっ! 客か!」
「敵かも知れんぞ!」
「そうなりゃ戦闘だな!」
「久しぶりで腕がなるなァ!」
『何を言ってるんだ…お前達は自宅待機』
「「 えー!! 」」
『えーじゃない当然だろう』
「そりゃないぜ兄貴!」
「そうだぞジョー! 一人でやるなどズルいぞ!」
『来たのが海軍だった場合お前達…特にロジャーお前を見られる訳にはいかなんいんだよ』
( ジョーさん毎回説得するの大変そうだな… )
そうジョーが諭すのだがやはりこの場にずっと居続けてフラストレーションが溜まっているのかブーブー言う。今まで自由にこの広い海を渡って来たロジャーとその楽しさを知ったおでんには辛い日々のはず。だからと言って好きに色々な場所へ行かせられないのも事実である。
この先ずっと隠し続けられるかと問われれば答えはNOであるがバレてしまうまでは静かに暮らして欲しいと思うのだ。そんな兄の気持ち弟知らずとでも言おうか…ロジャーとおでんは相変わらず不満を言っている。
唯一ロシナンテはジョーに同情の目を向けており三人の会話を静かに聞いているだけだ。
ともあれジョーはこの状態がずっと続いたらいつか勝手に居なくなっていそうだと思ってしまう。それならばバレてしまうリスクを背負ってでも二人にも憂さ晴らしさせるべきかとジョーに思わせた。
『なら一先ず私が確認して来るから相手が海賊の場合お前達に任せよう。だが海軍だった場合は私が片付ける…どうだ?これが精一杯の譲歩だよ』
「おう それでいいぜ!」
「海賊ならば手加減無用だしなァ!」
『よし…じゃあ私が確認して来るから待っていておくれ』
「おう!」
「分かった!」
「気を付けて」
二人の元気な返事とロシナンテの労りを聞いてからジョーは一つ頷き剣はいらないだろうとそのままウマヘビの元へ。先程一度鳴いただけでその後は静かな事が不思議ではあるがそう簡単にやられる子ではないとジョーは思っている。
なんたってウマヘビも戻ってからロジャーとおでんの相手をさせられていたのだから。
あの二人の相手をしていたら海王類であろうとも強くなるのは必然で…新参の海賊など先ずひとたまりもない。終いには覇気までも教えようとしだしていて流石にそれを見たジョーは「無理だろうに」と思った。
だが忘れてはいけない。この島にいる動物達は見聞色の覇気使いである事を。そして亀助に至っては見聞色だけでなく武装色までも扱えるのである。それを知った当初ジョーは心底驚いたのと同時にだからずっと生きて来れたのかとも思えた。
因みにロシナンテも地獄のリハビリをするついでに覇気も一緒に叩き込まれていたりする。
亀助の尾っぽの方へ行き様子を窺えばウマヘビは海賊船の前に立ちはだかっているようだ。「海賊ならばロジャー達に…」と思い引き返そうとした時ウマヘビが少し動いた事で見えたジョリーロジャー。それがつい最近…二年前に見たそれと同じだった事に目を丸め驚き、そして「彼にも見つかったか」と思いながらもジョーの顔には笑顔が浮かんだ。
ジョーがやって来る少し前、ウマヘビに通せんぼされていたレッド・フォース号に乗るシャンクス達は困り果てていた。ウマヘビがジョーの乗っていた大型海王類だと言うのは全員が見て分かっているからだ。
その為斬り伏せて通る訳にもいかず避けようとしてもウマヘビもついて来る為意味がなく…ウマヘビがいる事からこの島にジョーがいるのだと誰もが思うのだが上陸出来ずにいたのだ。
「おーいお前ジョーさんとこの…あー…ウマヘビだったか? だろー?」
「ヒヒン! ブルルル!」
「前会ったろー? 覚えてねェか?」
「お頭、海王類に人の顔を覚える知能があるのか?」
「ジョーさんには懐いてるし昔来た時はロジャー船長を覚えてる風だったんだけどなァ…」
「じゃあお頭に興味がなかったんじゃねェ?」
「やめろヤソップ! 地味に凹む!」
「けどよアイツどうにかしねェと上陸は無理だぜお頭ァ」
「分かってっけどよ…手段がねェだろルウ…」
「もう覇気で黙らせりゃいいじゃねェか」
「それだけは絶対駄目だ! 俺がジョーさんに殺される!!」
面倒だと言いたげなベックマンの言葉にシャンクスは「何てこと言うんだ!」と言う必死な顔をし却下する。その理由が自分がジョーに殺されると何とも穏やかじゃない事に聞いた三人はもちろんの事他の者達も驚く。
以前会った時のあの温厚さからは想像し難いことだが…確か一発シャンクスを殴ってはいた。その時のシャンクスの痛がりようからして覇気を纏っていたのは確かでそれ以上に怒りの笑顔が恐ろしかったのを思い出す。ロジャーやおでんからすればまだ序の口だと言いたい所だが彼等からすれば十分である。
そんな会話がなされている時ウマヘビとは違う気配を感じるが…ウマヘビで姿は見えない。「誰だ?」と思っているとピュイーと口笛が響いたかと思えばウマヘビの耳がピコンと動き向きを変える。そしてどこか上機嫌に「ブルヒヒン!」と島に向かって鳴きまるで足止めしていたのを褒めてくれと言うような雰囲気である。
しかし声の主に嗜められションボリする事になる。
『こらウマヘビ彼らは敵じゃないよ。前に一度会ってるだろう?』
「ヒヒン…?」
『なんだ覚えてないのか? ロジャーの事は一度会って覚えたのに?』
「ブルル! ヒヒン!」
『まぁ随分とロジャーに懐いてからね…ともあれ彼らは敵じゃないからそこを退くんだ。あと敵いもしない相手に向かって威嚇をするんじゃないよ。お前が危険だからね』
「ブルル…ヒヒンブル…」
ジョーの言葉にウマヘビはすごすごと海底へと潜っていく。
その様を見ていた赤髪海賊団の面々はあり得ないものを見たと言いたげな表情だ。しかしジョーにはそんな事分かるはずもなくウマヘビが退いたのを見てからニッコリ笑顔を見せた。
『やぁシャンクスくん。よく来たね』
「ジョーさん! あのウマヘビの言葉が分かるのか?!」
『え? 分からないよ?』
………………
……………………………
「え、でも会話っぽい事…」
『あぁアレはウマヘビの雰囲気というそういうのを見て話しているだけだよ』
「それはそれでスゲェな…だが退かしてくれて助かったぜ!」
『せっかく来てくれたのに追い返しては失礼だからね。さぁ上陸しておくれ』
そう言いながらジョーは「少し準備があるから先に行くよ」と言いサッサと歩いて行ってしまう。彼ら的には案内してくれないのかと思わなくもないが突然押しかけたのは自分達の為何も言えない。
ジョーはやって来たのがシャンクスだと分かっても流石にロジャー達に会わせるのはどうかと思った。彼らを信頼していない訳ではないが多くの人に知られればそれだけバレるリスクも高まる。出来るだけそれは避けたいジョーとしては二人に会わせたくはないのである。
しかしシャンクスはロジャーの公開処刑の場に居て涙を流していたのをジョーは知っている。彼だけになら会わせてもいいかとも思うのだがそれはそれで難しいかとも##name1は##考える。
「うーん」と悩みながら歩けばあっという間に中央に着きそこには待ちぼうけていた三人の姿。
「遅かったじゃねェか!まさか海軍だったのか?」
『いいや海賊だったよ』
「なにィ?! ならおれたちの獲物だろう?!」
『うんまぁそうなんだけどその海賊がシャンクスくんなんだよ』
…………………
………………………………
「「 Σなにィ―――っ!? 」」
「シャンクスって…赤髪の…?!」
『うん そう。私も驚いたよ。まさか本当に探し出すとは…まぁ来てくれたからには上陸を許可したけれど…』
「おぉー! 会うの楽しみだな!」
「赤太郎も立派になってるだろうなァ! そもそも何年ぶりだァ?」
「かれこれ10年ぶりくらいじゃねェか?」
「わははははっ! こりゃあいい日だ!」
「あ、俺は自宅待機で構わなねェんで」
『盛り上がっている所悪いけれど二人には会わせないよ。ロシィは別に会ってもいいけど…待機で良いのかい?』
「うん、それでいい」
ジョーの言葉に問題児二人は大きく目を開き再び「なにィー?!」と声を上げた。ロシナンテはわざわざあの赤髪のシャンクスに会いたいかと言われるとそうでもない為今回は辞退し早々にこの場を去った。
流石にシャンクスに会わせてもらえない事に顔を顰めるロジャーとおでんはジョーに抗議する。
「そりゃないぜ兄貴!」
「そうだぞ!」
『分かってるよ。シャンクスくんに会うのは構わないけれど他の子たちとは駄目だ』
「アイツのクルーを信じてねェって事か…?」
『そうじゃない。シャンクスくんの船に乗る子たちだ。言いふらす様な子ではないのは分かる。けれどお前たちを…特にロジャー。お前が生きている事を知る人間が増えるのはリスクが大き過ぎるんだよ』
「そりゃそうだがよ…」
「赤太郎のクルーなら平気だと思うがなァ…」
『何事にも絶対はないからね。もし漏れて世界政府や海軍の人間がここを突き止めたら?私たちはいい。自分の身を守れるし戦える…けれど彼女たちは? 万が一人質にでもされたら手が出せない』
「………兄貴の言いたい事は分かった。今回はシャンクスだけで譲歩する」
「うむ…トキ達にまで危険が及ぶのは避けたい」
『ありがとう…それと…ごめんな』
「 ! なんで兄貴が謝るんだよ」
「そうだぞ!おれ達を想っての事だろう?」
『そうだとしてもお前達に不自由な想いをさせているのは心苦しいよ…』
そう言いうジョーの表情は笑顔なのだが泣いているようにロジャーとおでんには見えた。
ジョーが心を鬼にしてでも二人の自由を縛るのは見つかってしまえば間違いなく追われる身になるから。特にロジャーは全世界に顔が割れており何時何処で政府にバレるか分かったものではない。
おでんの場合はカイドウに生きていると知られればば脅威となると知っていて放っておく事はしないだろう。何処にいるのかを突き止め必ず攻めて来る事など考えなくても分かる。
そうならない為にもジョーは二人の行動を制限しているのである。
そんな話をしていれば此方に向かって来る複数の人の気配を三人は感じ取った。むろん向かって来ているのはシャンクス達で二人にはこの場に居られては困る。
女性陣二人は新たに作った(おてんどロジャーが作ってた)女性専用のハウスでお茶会をしている。ここから少し離れた所にあり暫くは此方に戻っては来ないだろうが念のため二人に伝えてもらう事に。
いつも通りいる虎丸(おでん命名)もロジャー達と共に行ってもらう事にしその場にはジョーだけが残った。むろん…覇気を扱える彼らにはここに数人の人間がいる事など分かっているのだろうが。暫く待っていればシャンクスを先頭に大量の荷物を持ってやって来る赤髪海賊団の面々。
『随分と大荷物だね』
「突然押しかけちまったから少しでも足しになればと思ってよ」
『それは有難い。買い物に出るのも容易じゃなくてね』
「そうなのか? あの海王類に乗ってけばすぐだろ?」
『まぁそうなんだけどウマヘビは目立つだろう? 私も札付きだからね。なるべくヒッソリと暮らしたいんだ』
「ここに住んでる時点でヒッソリだと思うが…それにしても一人じゃないんだなジョーさん」
『そうだよ。私を除いてあと5人ここに住んでいるんだ。今は席を外してもらっているけれど』
「俺たちゃ居ても気にしねェぞ?」
『こちらにも色々と事情があるんだ』
「それもそうか」
「挨拶は済んだか? ならこれをどうするか決めて欲しいんだが」
『やぁベックマンくん。そうだね…せっかくだから皆で飲もうじゃないか』
「いいのか? アンタの為に持って来たもんだが」
『構わないよ。何せ皆で飲んだ方が酒も旨い。そうだろう?』
そう言ってニッコリ笑うジョーにかのベックマンにも「敵わねぇな」と思わせた。突然押しかけたにも関わらず嫌な顔せず受け入れ尚且つ持って来た物を共にしようとする姿勢。ジョーとシャンクスが知り合いだと言うのもあるかもしれないが、それにしてもお人好し過ぎると思う。
すでにジョーは適当な場所に座っており、その側に我らが頭も座っている事から共に飲むのは決定のようだ。いまだに立っているクルー達に向けてジョーは崩さぬ笑顔で「君たちも好きに座っておくれ」と言う。
互いに見合ってから彼らも幹部達がシャンクス同様にジョーの周りへと座り他も適当に座った。若手のクルーが酒を配って周り全員に行き渡ったところで宴会が開始される。
初めこそどこかぎこちなかったクルー達だが時間と酒が入ればそんなもの無くなり凄い騒ぎだ。それを楽しそうに見ながら酒を嗜む姿は全くと言っていいほど札付きには見えない。
『相変わらず賑やかな一団だね』
「海賊なんてそんなもんだ!」
『確かにロジャー達も騒々しかった。特におでんくん』
「だははははっ!! おでんさん勝負しろってずっと言ってたもんな!」
「勝負? この兄さんと海賊王のクルーがか?」
「そうだぜルウ! しつこく言い過ぎてジョーさん怒らせたけどな!」
「それで戦り合ったのか?」
「まぁな!でも決着が着く前にロジャー船長と副船長が止めたんだ」
「おいおいおい…なんだそれ…」
『懐かしいね。あの時は本気でぶっ飛ばそうと思っていたよ』
「Σえっ!? そりゃ止めてくれた二人に感謝だな!」
ジョーが真顔で言った言葉に初耳だったシャンクスは素直に驚き、あの時止めたロジャーとレイリーに心底感謝した。あのままやっていたら下手したらおでんが大怪我していた可能性だって捨てきれないのだから。無論ジョーもただではすまなかっただろうが。
そんな話しを聞いてたベックマンは「案外血気盛んなんだな」と思っていた。見た目からは全くそんな感じはしないしぶっちゃければ強そうにも正直見えない。
ジョーの戦闘力を知っているのは元ロジャー海賊団の面々と一騎討ちをしたカイドウくらいだろう。ヒッソリと暮らしていることもありジョーの話が表に出ることもないのだから知りようがないのだが。
そんな会話をしている間もジョーはある事が気になっていた。
それは以前会った時…二年前まではあったはずの左腕が失くなってしまっていることだ。ロジャーから譲り受けただろう麦わら帽子もないがジョー的には腕の方が気になって仕方なかった。ただそれこそ聞いていいのか分からず触れずにいたのだがそんなジョーの気持ちを察したのかシャンクスから話題に出した。
「そんなに気になるか? この左腕」
『気にならないと言えば嘘になるね。けど無理に聞く気はないよ』
「別に俺は気にしねェよ。これは新しい時代にかけて来たんだ」
『新しい時代…?』
「拠点にしてた村にガキがいたんだが…そいつにかけてきた…!」
『……って言うとルフィくんの事かな?』
「ジョーさん知ってんのか!」
『ほら君たちの話を聞いたって言ったろう? ルフィくんに聞いたんだよ』
「そうだったのか! ルフィの奴何も言わなかったよな?」
「そうだな。いつも通りお頭が揶揄ってたからな」
「だっはっはっはっはっ! 揶揄い甲斐があったからよ! ついな!」
「ルフィは素直だからなァ。色々間に受けてたよな!」
「そうそう度胸を見せるとか何とか言って顔刺した時は流石にビビったぜ!」
『わぁルフィくんらしい…。君が船に乗せてくれないって言っていたし』
「そんな事もジョーさんに話したのかルフィの奴!!」
腕を失った詳しい理由を聞く事はなかったがジョーも少し話しをしたルフィの為に失くしたのだと言うことは分かった。それだけシャンクスにとってルフィとは大切な存在なのだろうとジョーは思い小さく笑みを溢す。
シャンクスほどの力を持つ人間がかけたルフィにジョーも想いを馳せいつか本当に来てくれるかも知れないと思った。
もし腕を失くした理由が戦いとかであれば己の力で戻してあげようかとも思ったがおそらく野暮だろう。そのため敢えてジョーはその話しをする事なく楽しくルフィの話をする彼らの会話に耳を傾けるのだった。
*
**
***
彼らが来てからそれなりの時間が経過した頃、徐にジョーが立ち上がる。
それに釣られるようにシャンクスや他のメンバーもジョーを見上げ不思議そうにしている。ジョーはそろそろシャンクスを二人の元へ連れて行こうと思い立ち上がったのだ。
『シャンクスくん。君に合わせたい人がいるんだ』
「俺に?」
『君さえ良ければついて来てくれないかな?』
「断る理由はねェよ」
「お頭ー…」
「大丈夫だ。ジョーさんはそんな人じゃねェよ」
『すまないねベックマンくん。君たちの船長を少し借りるよ』
「……………あぁ」
ベックマンはどことなく一人で行かせるのを嫌がっているように見えるがジョーの言葉に頷いた。それにはシャンクスの言葉があったからと言うのもあるだろうがベックマン自身ジョーが何かするとは思っていない。
ただやはり知らない場所で力があるとは言え頭であるシャンクスを一人行かせるのに抵抗があるのだ。それをしっかり理解し汲み取っているからこその最後の言葉でそれ以上ベックマンも言えるわけがなかった。
話がつけばジョーは歩いて行きその後にシャンクスも続く。
歩いている間会話は一切ないのだがジョーの向かっている先に強い覇気使いがいるのはシャンクスにも分かる。一体誰がいるのか皆目検討もつかないが合わせたいと言う程なのだから悪い奴ではないのだろうと思う。
そもそもジョーと共に生活している時点でその考えはないも等しいのだが。
暫く歩けば少し開けたところに寝そべる大きな虎にシャンクスは目を丸めた。そしてその虎を背に酒盛りをしている二人の人物が視界に入りシャンクスは「う、そだろ…」と呟いた。
その言葉を聞き取っていたジョーであるが気にする事なくロジャーとおでんの元へ。二人もジョーとシャンクスが向かって来た事には気づいていた為ニッと笑顔を見せる。
「遅ェじゃねェか! 待ちくたびれたぜ!」
「だから先に初めておった!」
『すまないね。来てもらって早々に抜け出す訳にもいかないだろう?』
「確かにそうだな!」
「ロジャー…船長…っ」
「よォ元見習い! 今は一端の船長をしてるみてェだな!」
「赤太郎も大出世だな! 突っ立ってないで早く座れ!」
「おでんさんも…でもなんで…」
「お前ェも兄貴の能力は知ってんだろ?」
「じゃあジョーさんがあの時ロジャー船長を…」
「ん? あの時ってなんだ?」
『ロジャーが処刑された後シャンクスくんにその場で会ってたんだよ』
「その時に「後は任せろ」と…まさか…生きているとは…!! 本当に…っ…!」
「わははははっ! おいおい、いい大人が泣くんじゃねェ!」
「うおぉおぉおぉおおぉん…!!」
「お前ェもかよおでん!!」
『それだけ慕われているんだよロジャー』
「ったくしょうがねェな…」
シャンクスはロジャーが生きている事に今までに無いほど驚きそして歓喜し涙した。最も尊敬し、慕い、そして憧れた誰よりも偉大な船長にまたこうして会える事が奇跡だとシャンクスは思う。実際に公開処刑の場に行きロジャーが殺される場面を見ているのだからこれを奇跡と呼ばずして何と言うのか。
涙したシャンクスに物申すロジャーだったが何故か貰い泣きをしているおでんにも突っ込む。そして兄であるジョーに「慕われているのだ」と言われ少々気恥ずかしそうだがロジャーは笑った。
この後しばらく泣き続けた二人だが落ち着いた時にはスッキリした顔をして笑う。そんな姿を静かに見ているジョーはロジャーが生きていると知って泣いて笑顔になる人がいる事が素直に嬉しかった。
世間的にはロジャーは大悪党で死んで当然だと思われているのだから。
今はシャンクスが見て会って来た人達のことを二人に話していてやはりルフィの話へとなる。
「聞いてくれよロジャー船長! 東の海に面白ェガキがいたんだ!」
「面白ェガキ?」
「あぁ! ロジャー船長と同じことを言ったガキがいたんだ!!」
「 ! そりゃいいな!」
「まさかあの言葉か?!」
「そうなんだよおでんさん!」
『あの言葉って?』
「ジョーさん知らねェのか?!」
『聞いたことないね。なんて言ったんだい?』
「大した事じゃねェよ? 世界一の海賊になったら俺はよ――…」
……………………
……………………………………
『……え?』
「今聞いてもド肝を抜かれる…!」
「わははっ! 俺と同じ夢を語るガキか!! これから楽しみだな!」
「ルフィならやり遂げる気がする…きっと大物になる」
『うーん…我が弟ながらホント
「Σそりゃ言い過ぎだろ?!」
「いや おれもそう思う」
「俺も」
「なんだとお前ェら! それでも俺の元クルーか?!」
ロジャーの言った「夢」にジョーもおでん同様にド肝を抜かれ、しばし思考停止した。何を言っているのか頭で理解した時には本音がポロリとこぼれロジャーは抗議した。しかしそんなジョーの意見におでんもシャンクスも肯定したことにロジャーはプンスコ怒る。
そんな子供っぽいロジャーを見ながらジョーはあの村で会ったあの少年がまさか同じことを言うほどの気狂いだったとはと思った。会った時からなんとなくロジャーのような空気感を持っているとは思っていたがまさか同じ発想をするとは思うまい。
ただ…やはりそうなるとこれから先ルフィが大きくなり海に出た時が楽しみだとジョーは思う。
そんなこんなでシャンクスはロジャーとの奇跡の再会を果たし四人楽しく飲むのだった。
( ところでおでんさんは何でここに? ワノ国に帰ったんだろ? )
( うむ…色々あってな。おれもジョーに救われた身だ )
( 何があったんだ…? )
( 元々いたバカとカイドウにワノ国を乗っ取られてしまった )
( ! )
( だが必ずワノ国を取り戻す! )
( その時は私も協力するよ )
( 俺もな! )
( 二人がいれば百万人力だな! わははははっ!! )
( 俺も協力できたらいいが… )
( 赤太郎は赤太郎の旅があるからな! こちらは気にするな! )
( すまん… )
( それよりもバギ次郎は何をしているんだ? )
( アイツか! お前らいつも二人で連んでたな! )
( バギーとは船を降りてから会っていないが…噂では東の海で一隻の船長をしているそうだ )
( バギ次郎もか?! )
( 大出世だな! わははははっ!! )
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