救済を
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エースに会いに行った帰りにシャンクスと遭遇し酒を飲み交わしてからそれなりの日数が経った。
ジョーが帰った時もロジャーとおでんは彼が考案した地獄の鬼ごっこをしっかりとやっていた。これでサボってでもいたらどうしてやろうかと思っていたがそれは杞憂に終わったようだ。二人もジョーが帰って来たことに「おかえり!」と笑顔で出迎えロジャーはエースについて根掘り葉掘り聞く。連絡をとっていた時その場にいなかったおでんは「おれも見て見たかった!!」と悔しそうである。
ロジャーの質問に対しては答えられることだけ答え帰りにシャンクスに会った事を二人に伝える。すると二人とも驚いた顔をしたかと思えば「アイツか!元気にしてたか!」と「赤太郎とは懐かしい!」と言う。一隻の船長をしていて色々な場所を回っているようだと伝えれば「そうか!」と嬉しそうだ。そもそもジョー的にはシャンクスが船長をしていることが驚きだったのだが二人は違う様子。
聞けば「アイツかなり有名になってるぞ」とロジャー。「赤太郎も出世頭だったからな!」とおでん。どうやら二人はすでにシャンクスが一隻の船長をしていることを知っていたらしい。なんとなくそれには納得できず「教えてくれてもよかったじゃないか」と文句を垂れるジョー。しかし2人は声を揃えて「知ってるかと思った」と。
確かに普段からジョーは新聞やら何やら読んでいるのだから知っていてもおかしくはない。ただ今回知らなかったのは色々とやるべきことが多すぎて新聞をしっかり読む事がなかったのだ。
そんなこんなで帰って来たその日はとても豪勢な料理が並び帰ってからも宴会となったのである。
そんな毎日を過ごせば月日はあっという間に流れたある日、ジョーのツリーハウスに寝かせていたロシナンテが目を覚ます。偶々部屋にいたジョーを見たロシナンテは見知らぬ男がいる事に大層驚くも体を動かすこともままならずただ目を見開くだけ。
ジョーもまた眠り続けていた大男が目を覚ました事に気づき「起きたようだね」と一言こぼした。
「……!? ……………?!」
『随分驚いているようだね。あぁそれなりの期間眠っていたから声も出しづらいかな?』
「……………っ……?!」
『先ずは君の身に起こった事を確認しておこうか。君は恐らく仲間…だと思うがソイツに撃ち殺されたのは覚えているかな?』
「 っ! 」
『その反応を見るに覚えているようだね。私はその現場に偶々居合わせてね。放置された君を助けたんだ』
そうロシナンテが撃ち殺された後の事をかなり端折り掻い摘んで話したジョーの言葉にロシナンテは驚きを隠せない。そもそもあの場に居合わせたと言う事はそれなりの距離であの惨状を見ていたと言うことで…。己にもましてやあのドンキホーテファミリーの者達にも悟られずに隠れ忍んでいた事実に驚きを隠せないのである。
ジョーは一先ずロシナンテが目覚めた事に息を一つ吐きこれからの事を驚きに晒されている彼に話さなければならない。この場に連れてきた時点で彼らの拠点であるタートル島を出る事は罷り通らない事実も含めて。
そんな事を考えていると「おーいジョー!!」と大きな声を出しながら兄のいるツリーハウスに顔を出すロジャー。バァーンッと壊れそうな音を立てながら扉を開いて入って来たその人に横になっているロシナンテは更に目を剥いて驚いた。
知らぬ人はおらぬであろう既に過去の人となっているはずの「海賊王 ゴールド・ロジャー」が目の前にいる。今から説明しようとしていた本人登場にジョーは頭を抱えるもただ話すよりはこの方が早いかと思い直す。
ロシナンテに至っては「あぁ俺は地獄へ落ちたのか」と判断するのだが入ってきた本人は「お、起きたのか?」と顔を覗き込む。
「悟り開いたような顔してっぞコイツ」
『そりゃあ死んだはずのお前が目の前に現れたら誰でもそうなるだろうに…この子は海兵だったのだよ?』
「あぁ! そういやそうだったな! まぁここに来たのも何かの縁だ!よろしくな!!」
「……………?」
『何か勘違いしていそうだから言っておくけれど君は死んでいないし目の前にいるロジャーは本物だからね?』
…………………
……………………………
「―――……………!!!???!?!!!」
今度こそジョーの言葉に驚愕し目ん玉がまろび出るのでは無いかってほどカッ開いて二人を交互に見た。まさか…まさかあの「海賊王」が生きているだなんて誰が思おうか…誰も思うまい…あの知将センゴクですら思ってはいまい。
ロシナンテは声は出ず身体も動かない事など全く気づいていないようでただただ驚きに戦慄いてしまっている。
その様子に「やはり驚くのか」と思いながらもどんなタイミングでロジャーの事を話してもこうなるだろうと気にしていない。一先ず一番重大な部分は本人登場で伝える事ができたため後は動けるようになってもここから出る事は許可出来ない事を伝えるだけだ。
『驚いている所悪いけれどロジャーの事を知った君を私たちの住んでいるこの拠点から出る事は許可出来ない』
「 ! 」
『それは例え身体が動くようになってもだ』
「…………、」
「…なぁジョー、せめて声だけは出せるようにしてやれよ」
『あぁ…そうか、そうだったね忘れていたよ』
「っ……ゲホッゲホゲホ! あ、んた…能力者か…」
『うん』
「……まさか、海賊王が生きているとは…」
「ビビるよな! 俺も兄貴に蘇生されてビビったぜ!」
「は…兄貴…? そ、せいされた…?」
『ロジャー…お前はどしてそう簡単に情報を与えてしまうのかな…』
「別にいいじゃねェか! これからここで一緒に住むってのに変な空気になんのはイヤだぜ俺ァよ!!」
『分からなくは無いけれどね…。はぁ…まぁそう言う事だから逃げようなんて思わない事だよ』
「つーかオメェ名前なんてェんだ?」
「え……ロシナンテ、デス…」
「ロシナンテな! 俺のことは好きに呼んでくれ!」
ニカっと人の良さそうな笑みを見せながらロジャーは「後で下来てくれよ!」とジョーに伝えてから去っていく。まさに嵐が去ったような感覚なのだがロシナンテはまさかの展開についていけずポカンとした顔を晒すばかりだ。そんな彼に少々同情しつつも「元海兵」である事は変わりない為しばらくは己が見張らなければと思うジョー。
ともあれ己が伝えたい事は伝えられた為ジョーはロシナンテに「聞きたい事はあるか?」と尋ねる。その問いにロシナンテも少し考える素振りを見せるがそれも一瞬でハッとした表情で「俺と一緒にいた子供はどうなった?!」と聞いた。
『あぁ…宝箱の中に隠れていた子だね? 悪いけど君を連れ出すのに手一杯でその子の安否は確認していない』
「っ……! もしドフィに見つかっていたらローは…っ!!」
『会話を聞いた限り良いようにはならないだろうね…』
「―――クソッ!! 助けにいかねェと…!!」
『さっきも言ったけれどここを出るのは許さないよ』
「海賊王のことは他言しねェと誓う!! 頼む行かせてくれ…!!」
『悪いけれど私はロジャーと違ってそう簡単に人を信じるタチじゃないんだ。諦めておくれ』
「せっかく病魔から逃れらるってのにドフィの元にいたら飼い殺されるちまうんだ…! 頼むっ!」
『……その子を見たのは一瞬だったけれどその男に捕まるほど短絡的な子なのかい? 私にはそうは見えなかったけれど』
「 !! 」
『とは言えまだまだ大人の手が必要な子供だ。心配するなとは言えないけれど君はあの子が生きている事を信じるしかないよ』
そう言い聞かせるジョーの表情はロシナンテを信用出来ないと言いつつもこの場に留める事に心苦しい思いをしているのだとロシナンテは気づいた。これ以上駄々をこねるように何かを言っても身体を動かせない以上己には何もできる事がないのだとロシナンテは涙を流した。
その姿を見たジョーは一瞬目を見開きロシナンテが本当に少年…ローの事を気にかけているのだと悟る。自分が死にかけていた(実際に一度死んだ)のにも関わらず他人の為に涙を流せる人間をジョーは嫌いではない。「彼ならいずれ信用できかも知れない」と思わせるには十分なほどロシナンテの流した涙は純粋なものだった。
静かに涙を流すロシナンテの傍にいるのも憚られたジョーは先ほどロジャーに言われた通り下に降りていく。いつもならドンパチしているロジャーとおでんが大虎を背に座り込み何やら話し込んでいる様子だ。
『二人がこんなに大人しいなんて珍しいじゃないか』
「おっ来たな兄貴!」
「ロジャーに聞いたがアイツ起きたらしいな!」
『うん。あの子はいずれ信用に足る子になると思うよ』
「なに言ってんだ。あの小僧なら平気だろ」
『何を根拠に…』
「誰かを守るために命張れる奴に悪いヤツはいねェよ!」
「そうだな! おれもロジャーの意見に同意だ!」
『…まぁ確かに悪い子ではないよ。それでも元海兵だった時点で暫くは私が監視するよ』
「兄貴も心配性だなァ」
「全くだ!」
ロジャーとおでんの心許ない言葉にジョーは口元を引き攣らせながら「誰のためだと…」と思うも深い溜息に留めた。
この後は今まで休憩していただけだったらしいロジャーとおでんのドンパチが始まりそれを見ていたジョーも巻き込まれる羽目に。そして最終的にジョーを怒らせた二人が顔面蒼白になりながら笑顔で追いかけてくる兄から逃げる構図が見受けられるのだった。
( 待て待て待て! 俺たちが悪かっ…危なっ?! )
( ジョー! もっと広い心をもたねばならんぞ!? )
( バッカおでん! 余計なこと言ってんじゃねェ! そもそも兄貴は心狭くねェよ! )
( ロジャーは何方の味方だ?! )
( 二人とも随分と余裕じゃないか…ふふ…もう一度生き返らせてあげるから思い切り殴らせてくれるかな? )
( Σそれはマジで洒落にならねェよ!! )
( Σそれだけは御免被る!! )
( ロー…どうか無事でいてくれ… )
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