救済を
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おでんが目覚めてから早数年、ジョーの過酷なリハビリを一年の間毎日行っていた
ロジャー曰く地獄のリハビリなのだがそれは流石のおでんにも当てはまる様で毎日死にそうな顔をしていた
なぜかその地獄のリハビリにロジャーも強制的に参加させられており、毎日げっそりしている
だがそんな荒々しいリハビリのお陰もあり大分動けるようになっているのだから大したものである
まぁその分おでんは死を感じさせる瞬間を何度も味わう羽目になったのだが…
そんなある日、午前のリハビリを終えて皆で昼食を食べている時ジョーが徐に口を開く
『突然で悪いんだけど、これから暫く出掛けてくる』
そう言ったジョーはそれ以上の説明もなく、再び手に持つフルーツを食べ進めた
「ちょっと買い物行ってくるな!」と言うような感じで軽く言う彼に反応が送れた二人
ルージュとトキも一瞬何を言っているのか分からずキョトンとしていた
言葉の意味をようやく咀嚼したロジャーとおでんは「なにィ?!」と声を揃えて言う
そしてどこか期待のこもった目をしながらジョーに詰め寄る勢いで問いかけた
「出かけて来るって何処にだ?!」
「おれも連れて行ってくれ!」
『何処とは言えないしお前達を連れて行くつもりもないぞ』
「「 えー 」」
『えーじゃない、そもそもおでんくんはまだリハビリ途中だろう』
「ジョーが居てのリハビリ! やはりおれも…!」
『駄目だ、私がいない間はロジャーに相手してもらっておくれ』
「「 えー 」」
『だからえーじゃないと言ってるだろう』
ジョーが「連れて行かない」とピシャリと言えば、二人は不服そうにブー垂れている
なんとも子供っぽい態度に彼も呆れた顔をしながらも、意見を変える気はないようだ
ロジャーとおでんは「いいじゃねェかよ」や「ジョーだけズルい」など完全不貞腐れている
それを完全スルーしている彼に疑問を問いかけたのは冷静なルージュとトキだった
「買い物に行かれる訳ではなさそうですね」
「暫くってなると…どれ位の期間行かれるのですか?」
『ルージュさんの言う通り買い物ではないよ、期間はそうだね…結構かかるかもしれないね』
「なんだァ兄貴、もしかして海に出るのか?」
「航海は実にいい経験が出来るしな!」
『違うよ、そもそも既に海に出ているようなものだろうに』
「確かにそうだな! わははははっ!」
「そうで無いと言うのなら何しに行くんだ?」
『そろそろ…エースを探そうと思ってね』
「「 !! 」」
「「 ? 」」
ジョーの言葉に驚きを示したのは、エースの両親であるロジャーとルージュである
二人の間に子供がいる事を知らないおでんとトキは「誰?」と言いたげな顔をして首を傾げた
二組の夫婦での反応が全く違うのが少々面白かった彼は「フフ」と小さく笑いを見せる
驚きから解放されたロジャーは身を乗り出し、兄の肩をガシッと掴んだかと思うと前後に揺さぶった
その行為に驚いたジョーであったが、思った以上に肩を掴む力が強くなかなか抜け出す事が出来ずにその状態でロジャーの言葉を聞く事に
「ホントか兄貴!! 探しに行ってくれるのか!!」
「あぁ…そんな、まさか…!」
「そのエースとは一体何者なんだァ?」
「もしかして…お二人のお知り合いですか?」
「あぁ!! 俺たちの息子だ!!」
…………………
…………………………………
「Σなにィ?!」
「まぁ…!」
「ロジャーお前ェ息子がいたのか?!」
「まぁな! 色々あって一緒にはいられてねェけどよ!」
『ゔ…ロジャー…いい加減手を離せ…』
「 ! すまんすまん! わははははっ!」
ロジャーに揺さぶられた事により、だいぶ顔色の悪いジョーは「はぁ…」と息を吐き出す
その様子を見たルージュが「大丈夫ですか?」と水を差し出してくれた為それを受け取り飲んだ
今やおでんがロジャーにエースの事を色々聞いており、ジョーの方に質問は飛んできてはいない
ただこの場にいる誰もが成長したエースに会ったことがない為、質問されても答えられない
ルージュでさえ、生まれたばかりの息子を腕に一度だけ抱いただけであるのだから
そんな話しを掻い摘んで聞いたトキは目に涙を溜めて、その境遇を嘆き悲しんだ
おでんもまた、世界政府と海軍に対して憤慨するようになんとも言えない表情である
なんだか重い空気になってしまっているのを感じたジョーはそれを無くすようにパンっと手を叩く
そうすれば全員の意識が彼へと向き「なんだどうした」と言う感じである
『ともあれ、私はエースを探しに行くから暫くここを空けるよ』
「息子を探すってんなら俺も行くぜ!!」
『馬鹿か…死んだとされてるお前を連れて行けるわけないだろう…』
「なら代わりにおれが!」
『さっきも言ったがおでんくんはリハビリの途中だから連れては行けない』
「「えー」」
『お前達…いい加減に怒るよ…?』
「冗談だって! なァおでん!」
「おうとも! 留守番は任された!」
駄々を捏ねていれば、流石のジョーの米神がピクリと動いたのを見てロジャーとおでんは掌を返す
それは彼に怒られるのは勘弁だと言いたげで、二人は肩を組んで「わははははっ」と笑っている
その笑顔の裏では冷や汗をかいているのだが
そんなこんなでジョーがタートル島をしばらく空ける事となり、夫婦二組は留守番をする事に
彼は昼食を食べ終えれば早々に自身の家へと足をむけ必要なものを簡易バックに詰め込む
最後に剣を腰に下げて先ほどのところまで戻り、彼はロジャーに「これを預けておく」と手渡した
「ん? 電伝虫?」
『エースを探し出せたとしても連れて来る事は出来ないだろうからね一応それを
直接会えなくとも、どんな容姿をしてどんな声をしているのか位は見たいだろう?』
「そうだな、だから映像電伝虫か! ありがたく借りるぜ!」
「ありがとうございます」
『いいんだ、私にはその位しか出来ないから』
「ロジャーの息子かァ…興味あるなァ!」
「ふふ…そうですねおでんさん」
『私も会えるのが楽しみだよ』
そう言いながら「行ってくるな」とその場を後にし、ウマヘビの居るだろう亀助の尾の方へ
口笛を吹いてウマヘビを呼べばすぐに顔を出し「ブルルル!フンフン!」とどこか不機嫌な様子
どうしたんだと思いながらも「乗せておくれ」とジョーが言っても、珍しくウマヘビはそっぽを向いている
機嫌の悪い理由が思いつかないジョーが「??」と首を傾げていると、後ろから「拗ねてやがる!」と言う声
振り返れば見送りに来てくれたロジャーとおでんが笑いながらウマヘビを見ていた
『拗ねてる? ウマヘビが?』
「ここんとこ兄貴はずっとおでんのリハビリに付きっきりだっただろ? 構ってもらえなくて拗ねてんだよ」
『え……そんな事あるか…?』
「わはははっすまんなウマヘビ! 暫くジョーをお前に譲るぞ!」
「 ! ブルヒヒン?」
「おうとも! 海の上ではお前ェが頼りだ!」
「 !! ヒヒン! ブルルル!」
『あー…話は纏まったのかな?』
「そうみてェだな! ウマヘビ俺からも兄貴を頼むぜ!」
「フンフン!!」
おでんのお陰でウマヘビの機嫌が直ったのはいいのだが、如何せん少々納得いかないジョー
悪魔の実の能力者である彼にとって海が脅威であるのは分かるが、だからと言ってそこまで言わなくてもと思うのだ
今までだってウマヘビに乗って海に落ちるだとかそんな失態をした事など一度もないのだから
グランドラインは何があるか分からないのも事実…それを誰よりも知っているからこそそう言うのだと彼も理解は出来る
ただ、やはりそんなに心配されるほど弱くはないと思っているし海に落ちるドジは踏まないと思っているのだ
ともあれ、ウマヘビの上に乗ってジョーはタートル島を出るのだった
********
タートル島を出たはいいものの、ジョーはどこを探そうか全く考えておらず行き当たりばったりで海原を進む
しかも行き先を完全にウマヘビに任せてしまった事からまず間違いなくいないであろう北の海へと出てしまっていた
無論、コンパスを持ってきていないジョーがその事実に気づく事はないのだが…
ただ「東の海にしては少し寒いし海が荒いな?」程度にしか考えておらず、時たま見かける海賊船に襲われれば沈める事を繰り返していた
そんな日々を過ごして進む事一週間と数日、チラホラと雪が散り始めジョーはギョッと目を剥いた
それもそのはず彼は防寒着など一切持ってきておらず、着の身着のままでしか無いのだから雪が降れば当然寒い
『なんてこった…まさか雪が降るなんて想定外だぞ…』
ウマヘビの上で両腕を摩りながら少しでも暖を取ろうとするも進めば進むほど雪の降る量は増すばかり
一先ずどこかで防寒着を入手してから進んだ方がいいのでは無いかと考えたジョーの視線の先に一隻の海賊船
この寒い海域にいると言うのなら防寒着を持っているかもしれないと判断した彼は迷わず海賊船へとウマヘビを向かわせる
狙われた海賊達はカームベルトでもないのに超大型海王類が迫って来た事に大慌てで何かを叫びながら走り回っている
砲撃でなんとかしようと試みるもののウマヘビは痛くも痒くもないようで鬱陶しそうに船を押し潰さんとした
しかしそれを止めたのがジョーであり「防寒着をもらって来るから待機してておくれ」と言い海賊船へと乗り込んだ
『少し失礼するよ』
「あぁ?! なんだテメェどこから湧きやがった?!」
「キャプテン! コイツあの海王類から降りてきたっすよ!?」
「はぁ?! そんな事あるか!!」
「で、でもホントに…!」
『話の途中ですまないが、一着防寒着を譲ってもらえないだろうか』
「あぁ…? 確かに寒そうな格好してんな、一着くらいなら…ってなるか!! ふざけてんのか! 人の船勝手に乗りやがって!!」
『やはり穏便に譲ってはもらえないか…なら仕方ないね、強硬手段を取らせてもらうとするよ』
「一人で俺たちと殺り合おうってのか?! 上等だぶっ殺してやー…!!」
船長と思われる男が腰に携えるサーベルに手を掛けた瞬間、ジョーは周りにいる船員達を殴る蹴るをし伸していく
目にも止まらぬ速さで船員達は気を失い残るはその状況に目を見開き固まる船長の男のみである
ジョーはゆっくりと男へと振り返りニコリと笑顔を見せ「もう一度聞くけど防寒着くれるかな?」と問いかけた
その姿に男は「逆らってはいけない」と本能で悟り、顔面蒼白にさせながらもゆっくりと頷いて答えた
男の答えに満足したジョーは「ありがとう」と言ってから船内へと入り着れそうな防寒着を拝借して海賊船を降りたのだった
防寒着を無事入手したジョーは進んでる航路が合っているのか少々…いや大分不安になりながらも遠目に見えてきた島へ進む
その島に近づいて行くと港には数えきれない程のMARINを掲げた軍艦が滞在しており、彼は顔を顰めつつバレないよう迂回する
出てきて初めての島だったが海軍がいるとなると流石のジョーもその島はスルーしその先の島へと向かう
『あんなに軍艦があるとは…一体何があるんだ? …まさかロジャーの件がバレたり…は流石にしていないよな…?』
「ブルヒヒン?」
『あぁいや、なんでもないよ…さぁこの先の島まで頼むよ』
そうジョーが言えば、ウマヘビは嬉しそうに声を上げながらスピードを上げて次の島…ミニオン島へ向かった
進む先には今度は海賊船が停泊しており、同じ場所にウマヘビを行かせるのはマズイだろうとグルリと反対の岬の方へ回る
回った先には小船が一隻停まっていたが、そこに人は乗っておらずどうやらぶら下がるロープを登って上陸したようだ
ジョーは何となく直感的に今この島に上陸したら途轍もなく面倒な事が起きる予感を感じ取った
エースを引き取って行ったガープという男が冬島であるこの島に連れて来るような鬼畜では流石に無いだろうと彼は思う
しかし万が一、億が一…ここにエースがいたらと考えると、ジョーには上陸しないと言う選択肢はなかった
『よし…気は進まない島だが行くしかなさそうだね…ウマヘビ、少し待っていておくれ』
「ヒヒンブルブル…」
『なに、確認に行くだけだからそう時間はかからないよ』
「ブルブルヒン…!」
ジョーの言葉にウマヘビは渋々ながら納得したように鳴き、その姿に彼も苦笑いをこぼしながら人の気配のする方へ足を向けた
チラつく程度だった雪もミニオン島ではさんさんと降っておりジョーの足首辺りまで積もっている
非常に歩き難いがザクザクと前へ前へ足を動かし続けること数分…突如銃声音がドォン!と一帯に響き渡る
次いで何者かを追っているのかワーギャーと声が響き、ジョーは一度足を止めこのまま進むと面倒かも知れないと一先ず身を隠した
その場に腰を下ろし、面倒ごとに巻き込まれるくらいならこの島を出て別の場所を探すか考えこむジョー
そんな最中彼のいる方へと近づいて来る人の気配が一つあり、フワリと血の匂いも漂ってきた
嬉しくはないが嗅ぎ覚えのあるそれに珍しくも盛大な顰めっ面を晒すジョーは気配のする方へ視線を向ける
そこには長身で黒の羽毛のようなジャケットを着る銃槍だらけの大男で、震える手で怪我を手当しだす
その姿を確認した瞬間「あぁ…間違いなく面倒な場面に出会してしまった」とジョーは心底思った
しばらく気配を消して様子を見ていると、今度はまた別の気配が二つ近づいてきた事に気づき更に息を潜める
気配の先を確認すれば海兵の制服を着た男が子供をおぶって来る事から、子供が助けを呼びに行っていたのだと理解した
これなら己が手を貸さずとも問題ないだろうと彼等がこの場を去るのを気配を消しながら待つ事にした
しかしそう簡単に上手い事いくはずもなく、一言二言会話をしたかと思えばボコォン!と何かが破壊される音が響く
流石のジョーも「なんなんだ?」と思いながら彼等の方へ視線を向ければ、海兵の男が怪我人の男を何度も蹴り付けている
彼らからある程度距離がある事から会話の内容はよく聞こえないが、所々「ファミリー」やら「今後の計画」など聞こえる
ジョー的には心底どうでもいい事なのだが、出来る事ならば早々にここから離れたい気持ちで一杯だった
( 上陸する前に感じた己の直感を信じて別の場所へ移動しておけば良かった… )
そう思うも後の祭りであり、海兵の男が電伝虫で誰かと連絡を取った後上空が何かで覆われていく
「なんだあれは?」と思いないがらも、彼らの気配が側から消えたのをいい事にジョーもウマヘビの元へと戻ろうと動く
しかし岬への道半ばで先ほど上空から降りてきたらしい何かで出来たモノに阻まれ出る事が出来なくなっていた
まるで檻のようなそれに閉じ込められてしまったジョーは頭が痛いと言うように頭部を抱えどうするか考える
( 恐らくこれは悪魔の実の能力者による物だろうね…そうなると…その能力者を無力化すればこれはなくなるかな? )
そう結論づけたジョーは戻ってきた道を再び引き返し、さっさとこの島から出たい彼は人の気配の多い方へ駆けた
人の叫び声やら銃声音やらが聞こえる場所に来たジョーだったが、思った以上に人が多くお互いに殺し合っていた
そんな惨状に「一体どう言う状況だろうか?」と思いながらその様子を見ていれば、人から糸の様な物がついているのが分かる
その糸に操られているようにサーベルを振り回し、銃を乱発している海賊の風貌をしている人達を見る
どうやらジョーの探す人物は彼の視界に入る範囲にはいないようで、ただただ海賊達が殺し合っているだけだ
まぁこの惨状を招いた本人ードフラミンゴを見つけたとしても彼がその本人だと気づけるかはまた別の話なのだが
「どうしたものか」と腕を組みながら惨状を少し離れた所から観察するジョーの目は、重傷を負っていた大男を見つけた
何故か両手を上に挙げてピースしながらまるで敵を誘い込むかのように逃げて行く姿
それに釣られるように追いかけて行く数人をジョーも見つからない様に追いかけ、宝箱の山がある場所で大男が止まった
否、止まったと言うより銃で撃たれ止まらざる得なかったと言った方が良いかも知れないが、本人的にはその場所がゴール地点だ
「コラソンてめェなぜ喋れねェフリしてやがったァ!!」
「……!! お前らと話す事なんか何もねェからさ…ヴッ!!」
「若をバカにしやがってコイツ!!!」
「やり過ぎだグラディウス!! 若が来る前に死んじまう」
( 仲間割れかな…? あの中にこの檻を作った本人がいると見ていいか… )
大男…改めロシナンテがボコボコにタコ殴りされているのを隠れて見ているジョーは助けるかどうか考える
正直赤の他人を助けるほど彼は優しい男ではなく、面倒ごとに巻き込まれるくらいなら見て見ぬフリをするタイプである
しかし流石にあんなにも一方的にやられて居るのを見るとジョーも考える部分があった
何よりそう考えさせるのは檻を作った者があの中にいる可能性がある為、解除させる為には意識を奪う必要があるのだ
ジョーがそんな事を悶々と考えている中、更に別の男が現れ甚振っていた者たちは道を開けた
「半年ぶりだな…コラソン……!!」
「ゲフゲホ……ハァ、ハァ……」
「 ! 」
「M・Cー01746…「海軍本部」ロシナンテ中佐…ドンキホーテ海賊団船長ドフラミンゴ…
お前がこの先生み出す惨劇を止めるため…潜入していた…、俺は「海兵」だ」
( ! 海兵…なるほどだから仲間割れしたのか… )
「ウソをついて悪かった……!!! お前に嫌われたくなかったもんで……!!!」
( 今更何言ってんだよ!! そんな事とっくに知ってるよ…! )
「……………? つまらねェ冗談言ってねェで…質問に二つ答えろ!! 「オペオペの実」はどこだ――――ローはどこだ!!!」
「オペオペの実は…ローに食わせた」
「 !!? 」
「……あいつはもう能力者――――うまく檻の外へ出てったよ……!! 今頃海軍本部の監視船に保護されてる頃だ…!! 手出しは出来ねェ……」
「 !!! 」
ジョーは一先ず隠れながら彼らの会話を聞いていたのだが、内輪揉めに完全に巻き込まれている事を知る
仲間だと思っていた人間がまさか海兵だったとは早々に思うことでは無いだろうとジョーでも思う
そしてこの檻を作っているのが海兵であるロシナンテと話している男だと理解したジョーはどうやってあの男の意識を奪うか考える
どう考えても説得して解いてもらう事は不可能な事はジョーも分かっているが、今この場で出て行って戦うには少々部が悪い
どうしたものかと考え込んでいると、ドフラミンゴが「鳥カゴを解除する」と言ったのを聞き彼はこれ幸いと大人しくする事に
バタバタとドフラミンゴのファミリーが動き出した時、それを宝箱に凭れながら見ていたロシナンテが口を開く
「よせ……! ローを追ってどうする」
「ローをどうするって…!? オペオペの実を食っちまったんなら……俺の為に死ねる様教育する必要があるな!!
全く余計な事ばかりしやがって! なぜ俺の邪魔をするコラソン!! なぜ俺が実の家族を二度も殺さなきゃならないんだ!!!」
( コラさん…!? ホントに大丈夫か!!? )
「お前に俺は撃てねェよ…!! お前は父によく似てる……!!!」
「ローはお前にゃ従わねェぞ…ドフィ」
「 !? 」
「3年後に死ぬって運命にあいつは勝ったんだ……!! 自分を見失い…狂気の海賊の元へ迷い込んだあの日のローじゃねェ
破壊の申し子のようなお前から得るものは何もない…!! もう放っておいてやれ!! あいつは自由だ!!!」
そうロシナンテが言った瞬間、何発もの銃声がその場に響き渡った
ドフラミンゴの持つ銃口からは煙が上りロシナンテが倒れたのを見てから宝箱全て持ってその場を後にした
そんな一部始終を見ていたジョーは兄弟の殺し合いという胸糞悪い現場を見てしまったと思いながら倒れているロシナンテに近づく
既に虫の息であるのだがまだ生きようとする意志を感じるジョーは彼を助けるか否かを考える
赤の他人であれば助ける事はしなかっただろうジョーであるが、会話の節々から宝箱の中に隠れていた誰かを思う気持ちが伝わっていた
ジョーには宝箱の中にいたのは彼を案じていた少年だろうことは分かっている為、少年を逃すために戦っていたのだと感じた
暫くすれば鳥カゴは解かれたが、今度は港の方からドォン!と言う爆音が響き渡る事からして海軍と海賊が攻防しているようだ
己自身この場に居続けるのはマズいと直ぐに察したジョーは一先ずロシナンテを担ぎ上げその場を後にした
「長身の男を担いで走るのはこれで何度目だ」と思いながらも足を止める事なく走り続け、ウマヘビのいる岬へと辿り着いた
『ウマヘビ! 直ぐにこの島を離れるよ! あと大至急タートル島へ戻っておくれ!』
「 ! ヒヒンブルブル!!」
ウマヘビに飛び乗ったジョーは担いで来ていたロシナンテを横に寝かせ様子を伺うが、既に息を引き取っていた
連れてきてしまった手前、このまま見殺しにするのも後味が悪いため彼は能力を使ってロシナンテを蘇生する
口元に手を翳して息をしているか確認し、しっかり吐息を感じ取れる事から問題なく蘇生できた事を確認した
ひょんな事からまさか顔見知りでもない大男を助ける事になったジョーであったが、今更ながら重大な事を認識する
『あれ…彼は海兵だったよね…このまま連れ帰ったらマズいかもしれないな…』
そんな事を思うも後の祭り…その辺の島に置いていくと言う手もあるにはあるが、流石に良心の呵責を感じる
「うんうん」と暫く考え込むジョーは考える事自体をやめ「なるようになるさ」と思考放棄をしたのだった
**********
ミニオン島から特急で戻ってきた事もあり、タートル島にはたった数日で戻ってくることが出来た
その事実にジョーはウマヘビをえらい褒め、ウマヘビもウマヘビで彼に褒められ大層ご満悦である
ジョーは横で眠ったままのロシナンテを再度担ぎ上げ上陸しサクサクと中心地へと向かって歩き出す
相変わらず中心地の方からはドッカーン!やら「ギャオーン!」やら色々な音が響き、ジョーは「やってるね」と微笑む
音のする場所へ辿り着けば、大熊を相手にしていたおでんが熊の腹の上に立ち勝った事を豪快に笑っている
そんなおでんを見ていたロジャーがジョーが戻って来ていることに気づきキョトンとした表情を見せた
「おん? 兄貴じゃねェか、何かついでんだ?」
『ちょっと行った先で面倒事に巻き込まれてしまってね、目の前で殺されるのを見てしまったから連れて来た』
「いやいやいや連れて来たって犬猫じゃあるめェに…」
「ジョーではないか! もう終わったー…誰だそれは?」
『ロジャーの言いた事は分かるけどね、連れてきてしまったものはもう仕方ないだろう?
あとまだエース探しは終わってないからまたこれから出るけど…この子の事は任せてもいいかい?』
「そりゃ別にいいけどよ、コイツここで目が覚めたらビビるんじゃねェか?」
「うむ、確かにここは特殊ゆえ驚くかもしれんなァ」
『それは大丈夫じゃ無いかな、この子海兵みたいだから』
そうあっけらかんに言うジョーに二人は「あぁ海兵か」と思うが、直ぐにギョッと目を剥きジョーに目を向ける
ロジャーの処刑後から海兵をとことん嫌っていたジョーがまさか海兵だと分かっていて助け連れ帰ったのかと驚いたのだ
そう言う反応をされる事は察していたジョーも「色々あったんだよ」と肩を竦めながら詳しく話す気はないらしい
しかしロジャーとおでんからすればその「色々」の部分を詳しく聞きたいのであり、「話してくれなきゃ面倒見ねェぞ」と言う
流石にそう言われて仕舞えば話さざる得ないジョーだが、ちょっと面倒だなと思っていたりなんだり…
『私も詳しく分かる訳じゃないけれどね、彼は一緒にいた子供を助ける為に自らを囮にしていたようなんだよ』
「ほー…海兵のしそうな事だな」
「その子供はどうしたんだ?」
『さぁ…宝箱の中に隠れているのは分かっていたけど海賊に持って行かれたからその後は分からない』
「そこは安否確認はしようぜ兄貴…」
「そうだぞ…その海賊に殺されてしまうかも知れん」
『薄情だったかなとは思うけど海軍も来てたから早々に島を出たかったんだよ、まぁあの子は大丈夫じゃ無いかな』
「その根拠は?」
『勘、かな』
そう言って笑うジョーに対し、ロジャーもおでんも「やれやれ」と言いたげな表情だが彼が気にした様子はない
一先ずロシナンテをここに連れて戻って来たのは一時的なもので、再度エース探しの旅に出なければならない
担いでいたロシナンテをその場に下ろし、グルグルと肩を回してから「じゃあもう一回行って来るから」と踵を返すジョー
「待て待て! コイツ頼むつってもよ、俺たちにどうしろってんだ?」
『どうもこうも…私が戻る前に目を覚ましたら二人がやったリハビリでもさせれば良いさ』
「……マジで言ってんのか?」
「流石にそれはこの若者には酷だぞ…?」
『ここに連れて来た時点で彼をここから出す気はないし、それ以外にやってもらう事ないよ』
「あー…俺がいるから出さねェってヤツか」
『そう、だから彼がここから逃げ出さないように目を離さないようにね』
そう言って今度こそジョーはウマヘビが待っている場所へと歩いて行った
そんな後ろ姿を見送るロジャーとおでんは互いに見遣ってから深々と息を吐き出すのだった
( よし仕切り直してエースを探そう )
( 俺たちがやってたリハビリさせろって…コイツ覇気使えんのか? )
( 目覚めたらまずその確認をせんといかんなァ )
( だな、まぁ目ェ覚ます前に兄貴が戻って来る可能性もあるし気にするだけ無駄か )
( あとはこの者をどこに寝かせておくかだが…ジョーの部屋でいいのか? )
( いいんじゃねェ? 押し付けたの兄貴なんだからよ )
( それもそうだな! )
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