時をかけるジョゼフ

パシャリ




体が勝手に動くとはこういう事だろうか
シャッターを切った手がかすかに震えている
ハンター邸とサバイバー邸の間には遮るように大きな池がある
そこで夕日に照らされた水面を撮ろうと来てみたら、池の向こうに占い師と納棺師がいたので手でも振って挑発してやろうかと思えばふたりの距離がだんだん近くなりやがて唇を合わせたのだ


「...美しい」


時間にして数十秒
誘われるがままにシャッターを切った
神秘的な荘園の庭池で、まるでふたりの周りだけ時間が止まっているようだ
今も尚見つめあったままのふたりに見惚れていると納棺師の方がこちらに気付き視線を寄越した
それにつられて占い師もこちらを見ると軽く会釈し、納棺師の手を引いて邸宅へ行ってしまった
もっと驚いてくれても良かったのに...そっけないな
それにしてもあのふたり、できてたのか
恋愛に疎そうだから驚いた
納棺師は他人と暗号解読すらまともにできない程社交恐怖症だし、占い師は婚約者がいると噂で聞いていたし


「まぁいい写真が撮れたから事情はどうでもいいんだけど」


今日はもうこれ以上に良いものを撮れる気がしないからハンター邸へと戻り写真を現像することにした
とっておきの1枚だ、酔いしれようじゃないか
今度ゲームで会った時に冷やかして遊んでやるのも悪くない
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