パパラッチ
後日談
ノートンとナワーブのアイドル歌手デビューが決まり、今日はそのポスター撮影に来ていた
白を基調としたスタジオで横一列に並び、それぞれポーズを決めている
左にノートン、右にナワーブ、センターには謝必安と無咎
カメラの確認で一旦休憩を挟むと、謝必安の隣に座った
「あの、どうして謝必安と無咎も一緒にデビューすることになったんですか?」
「ノートンとナワーブのふたりでは喧嘩が絶えなかったので仲裁役です」
「それなら僕を入れても良かったんじゃ」
「フフっ面白いことを言いますね、あなたじゃ華がないでしょう」
謝必安の悪気のない言葉がグサッと刺さる
確かに僕に華はないけどあんまりだ
「じゃあどうしてまだ学生の僕が撮影に同行してるんですか?入社はまだ1年先なのに」
「あなたがいないとナワーブがただの庶民になるんですよ、全く困ったものです」
白い衣装に身を包み、キラッとカメラに写るナワーブは本当にアイドルみたいでかっこいいけど
僕がいない時はこうじゃないのかな?
「イライ、最近ちゃんと寝れてるか?うっすらクマができてるぞ」
「ありがとう大丈夫だよ」
化粧直しを済ませたナワーブが僕のところへ来ると、清掃バイトの時のように自販機で買ったジュースを持ってきてくれた
懐かしくて喜んで受け取る
「昨日は遅くまで求め合ったから寝不足なんだよね、イライさん」
「ノートンっ!しーっ!」
「いいじゃん、このチビまだイライさんに気があるみたいだから現実見せてやらなきゃ」
ノートンの挑発にもなんとか平常心を保ったナワーブが苦笑する
さすが社会人経験者は違うな
「イライが幸せならいいが、睡眠はしっかりとるんだぞ」
「ナワーブは本当にいい人だね、ノートンも見習って欲しいよ」
「フフっいい人いい人どうでもいい人って言葉知ってる?」
立て続けの挑発に流石にカチンときたのかナワーブがノートンをギロッと睨んだ
「ガキは黙ってろ」
「僕の方が歳上だよ」
「こらこら、その辺にしなさい」
見かねた謝必安が喧嘩の仲裁に入る
この調子じゃデビューしたものの即解散にならないか心配だな...
「そういえば無咎はアイドルデビューして良かったの?」
「オレは謝必安の意見には何でも賛成だ」
「本音は?」
「.....ちょっと恥ずかしい」
「可愛い...!」
1番怖かったはずの無咎が、今では癒しの存在だ