第3話「猟師」

 比較的大きな町の路地を、ふらふらと歩く者がいた。
「君、この辺で魔物が出たって聞いたんだけど。」
 大きな白い帽子を深く被った若い男。鮮やかな青い色の長いマントを着ており、その背中には、黒光りする長い銃が装備されていた。腰にも、短銃が一つ下げられていた。
 男は帽子を取り、明るい笑顔を見せ、帽子の下から輝く金色の髪が現れた。
「ええ…、あの、あなたは猟師…?」
 尋ねられた女は、男の武器を見ると、すぐに気付いて、膝をついて頭を下げた。
「お願いします!待っていました!」
「はは、そんなふうに言われなくても分かってるって。すぐに片付けてやるよ。で、魔物に殺された人はいるの?」
「はい…もう何人も…。」
「ち…。」
 男は舌打ちした。
「君たち、魔物は今夜殺すから、おびき出してほしいんだ。君たちが町の広場に集まってれば、魔物もやって来るだろう。」
「で、でも…。」
「心配いらないよ。すぐに殺すから。僕の名はラム。覚えておいて。」
 にこっと笑うと、その男、ラムは帽子を被り、軽い足取りで去っていった。

 夜。
 月は隠れていた。その代わり、町の灯りが広場を照らしている。
 広場に集まった人々は、十数人。ラムの言葉を聞いた者たちだった。
 彼らは、恐れながら、ラムが来るのを待っていた。
 それよりも先に、魔物が来てしまった。
 魔物は一匹だったが、人間の何倍もある大きな体をしていた。
 白い毛で覆われた魔物で、狐に似ていた。
 魔物は目を赤く光らせて、唸り声を上げ、ゆっくりと近付いて来た。
「何やってるんだ!猟師は!」
 人々の中から悲鳴が上がった。
 しかし、魔物は次の瞬間、大きな銃声とともに突然倒れた。
 魔物の心臓を、銃弾が貫通していた。
 人々は一斉に、その方を見た。
 あの男が立っていた。長いマントに大きな帽子。彼は背中に銃を収めた。
 ラムだった。
 魔物は、その一撃だけで、永久に動かなくなった。
「おおお…。猟師さま…!」
「騒ぎすぎだよ、皆。」
 ラムは、明るい笑顔を作った。
「さて、では報酬を…。」
 人々は、用意していた金を、ラムに渡した。
「うん。悪くないね。」
 ずしりと重い金の袋を持って、ラムは微笑んだ。
「さて…と。」
 ラムの顔から、笑顔が消えた。
「死んでもらうよ。」
 冷たい声が響き渡り、人々は耳を疑った。
 死ぬ直前になって、人々はその男の本性を知った。
 次の日、町の広場は血にまみれていた。
 ずたずたに引き裂かれた人間の死体。
 またも、事件は魔物の仕業ということになった。

 酒瓶には、紫色の液体が満たされていた。
 それを時折飲みながら、ラムはカフェテラスで涼しい風を受けながら、くつろいでいた。
 新聞を広げて、満足そうな笑みを浮かべている。
「猟師というのも、悪くない…。」
 小さく呟き、ラムはにっこりと笑った。
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