第3話「猟師」
月の明るい夜。とある町で魔獣が暴れていた。
犬より少しばかり大きいくらいの、灰色の毛に覆われた黄色い目の魔獣。
それらが群れをなして、人間を襲っていた。
逃げる人々はすばやく捕らえられて、今にも噛み付かれ、肉を引きちぎられそうになっていた。
そこへ、猟師が現れた。
手に長い銃を持った、背の高い男だった。
月光を背にして、彼の金髪が光り輝いている。
彼は銃を取り出し、魔獣たちを次々と葬り去っていった。その狙いは正確かつ、素早かった。
「猟師さま…!」
人々は、歓喜の声を上げた。
猟師は、大きな青い目で人々を見渡した。
「死者はいないようだね。」
白い歯を見せて、にっこりと笑った。
「ああ、猟師さま…我らの救世主さま…。」
人々は大地にひれ伏し、彼に向かって手を合わせた。
「そんなものはいらないよ。」
彼の目が冷たい光を帯びた。
「さあ、報酬を頂こうか。」
にっこりと笑った彼の顔が、月光に照らし出された。
まだ若い青年だった。
人々は金を渡そうと、青年のもとに集まってきた。
全員から金を取ると、青年はにっこりと笑って、金を袋にしまいこんだ。
「さて、では死んでもらおうか。」
その夜、そこにいた人々は皆殺しにされた。
死体は、まるで魔獣にやられたように、肉をずたずたに引きちぎられていた。
事件は、魔獣の仕業として片付けられ、人々の記憶からすぐに忘れ去られていった。
赤い目が、闇に光る。
眠りこけている人間の手首に、浮き上がった血管。
その部分を、冷たい白い手が掴んだ。
そこからどくどくと流れ込む命を吸い取った。
死体は、何も知らずに眠っていた。
赤い目が、漆黒に戻った。
ジンジャーは、寝静まった船の中を、音を立てずに歩き、船室へと戻った。
フィンもアリスも、深く眠っている。
ジンジャーは、一人眠らずに闇の中で、窓から見える月を眺めていた。
過去のことを、思い出していた。
人間を襲うことを拒んでいた親友、ブランデーのこと。
人間によってバンパイアに変えられたことに、怒りを感じ、人間を憎んだこと。
バンパイアになる前のこと。
明るい太陽の日差しを浴びて遊んだ記憶。
どうにもならないことと分かっていても、思い出してしまう。
今ではすっかり、この生活に慣れきっている。
人間の血を奪うことに、命を奪うことに、何の躊躇も感じない。
しかしこれからは、何かが変わるかもしれない。
仲間がいる。
ずっと、探し続けてきた仲間が見つかったのだ。
永遠を共に生きる仲間が。
少なくとも、多くの出会いと別れの苦痛からは、解放されたのだ。
船は西を目指して航海を続けていた。
穏やかな天候。穏やかな波。
しかし、一日に一人、船員が死んでいった。
「血が抜き取られている。これは一体どういうことだ?」
死体をみた船医は首を傾げた。
「魔物の仕業じゃないですかね?こんなことが出来るのは。」
船員は何気なく言った後、青ざめた。
「まさか、この船の中に…?」
「乗客を全員調べろ。」
船長の命令で、船に乗っている客も船員も全員調べられた。
当然、フィンもアリスも調べられた。
「お前は猟師だな。」
胡散臭そうに、船長はフィンを見た。
「その箱は何だ?」
船長は、縦長の木箱を指差した。人一人入れるほどの大きさの箱。
「何が入っているのか、調べさせてもらう。」
しかし、中はからっぽだった。
「怪しい者はいないな。」
船長は、船室を軽く見渡してから、去っていった。
「ふう…。」
フィンは、ため息をついた。
木箱には、仕掛けがしてあった。
蓋が二段構えになっていて、上の蓋を開けて見ただけでは、中に何も入っていないように見える。しかし、もう一つの蓋を取ったその下にも空間があり、そこにジンジャーが横たわり、隠れていたのだ。
ジンジャーは昼間、その中で眠っていた。
そして日が沈む頃に起き出して、活動する。
人間の生き血を求めて。
航海は、まだ続きそうだった。
犬より少しばかり大きいくらいの、灰色の毛に覆われた黄色い目の魔獣。
それらが群れをなして、人間を襲っていた。
逃げる人々はすばやく捕らえられて、今にも噛み付かれ、肉を引きちぎられそうになっていた。
そこへ、猟師が現れた。
手に長い銃を持った、背の高い男だった。
月光を背にして、彼の金髪が光り輝いている。
彼は銃を取り出し、魔獣たちを次々と葬り去っていった。その狙いは正確かつ、素早かった。
「猟師さま…!」
人々は、歓喜の声を上げた。
猟師は、大きな青い目で人々を見渡した。
「死者はいないようだね。」
白い歯を見せて、にっこりと笑った。
「ああ、猟師さま…我らの救世主さま…。」
人々は大地にひれ伏し、彼に向かって手を合わせた。
「そんなものはいらないよ。」
彼の目が冷たい光を帯びた。
「さあ、報酬を頂こうか。」
にっこりと笑った彼の顔が、月光に照らし出された。
まだ若い青年だった。
人々は金を渡そうと、青年のもとに集まってきた。
全員から金を取ると、青年はにっこりと笑って、金を袋にしまいこんだ。
「さて、では死んでもらおうか。」
その夜、そこにいた人々は皆殺しにされた。
死体は、まるで魔獣にやられたように、肉をずたずたに引きちぎられていた。
事件は、魔獣の仕業として片付けられ、人々の記憶からすぐに忘れ去られていった。
赤い目が、闇に光る。
眠りこけている人間の手首に、浮き上がった血管。
その部分を、冷たい白い手が掴んだ。
そこからどくどくと流れ込む命を吸い取った。
死体は、何も知らずに眠っていた。
赤い目が、漆黒に戻った。
ジンジャーは、寝静まった船の中を、音を立てずに歩き、船室へと戻った。
フィンもアリスも、深く眠っている。
ジンジャーは、一人眠らずに闇の中で、窓から見える月を眺めていた。
過去のことを、思い出していた。
人間を襲うことを拒んでいた親友、ブランデーのこと。
人間によってバンパイアに変えられたことに、怒りを感じ、人間を憎んだこと。
バンパイアになる前のこと。
明るい太陽の日差しを浴びて遊んだ記憶。
どうにもならないことと分かっていても、思い出してしまう。
今ではすっかり、この生活に慣れきっている。
人間の血を奪うことに、命を奪うことに、何の躊躇も感じない。
しかしこれからは、何かが変わるかもしれない。
仲間がいる。
ずっと、探し続けてきた仲間が見つかったのだ。
永遠を共に生きる仲間が。
少なくとも、多くの出会いと別れの苦痛からは、解放されたのだ。
船は西を目指して航海を続けていた。
穏やかな天候。穏やかな波。
しかし、一日に一人、船員が死んでいった。
「血が抜き取られている。これは一体どういうことだ?」
死体をみた船医は首を傾げた。
「魔物の仕業じゃないですかね?こんなことが出来るのは。」
船員は何気なく言った後、青ざめた。
「まさか、この船の中に…?」
「乗客を全員調べろ。」
船長の命令で、船に乗っている客も船員も全員調べられた。
当然、フィンもアリスも調べられた。
「お前は猟師だな。」
胡散臭そうに、船長はフィンを見た。
「その箱は何だ?」
船長は、縦長の木箱を指差した。人一人入れるほどの大きさの箱。
「何が入っているのか、調べさせてもらう。」
しかし、中はからっぽだった。
「怪しい者はいないな。」
船長は、船室を軽く見渡してから、去っていった。
「ふう…。」
フィンは、ため息をついた。
木箱には、仕掛けがしてあった。
蓋が二段構えになっていて、上の蓋を開けて見ただけでは、中に何も入っていないように見える。しかし、もう一つの蓋を取ったその下にも空間があり、そこにジンジャーが横たわり、隠れていたのだ。
ジンジャーは昼間、その中で眠っていた。
そして日が沈む頃に起き出して、活動する。
人間の生き血を求めて。
航海は、まだ続きそうだった。
