観月はじめ
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クラスメイトの応援の為、友達と一緒にテニスの大会会場に訪れた時の事だ。
懐かしい顔に偶然に会った。
聖ルドルフ学院卒業から1年半ぶりくらいだろうか?
友達には先に行っててと伝え、その懐かしい顔に声をかける。
中学の頃とはだいぶ雰囲気が変わったが、向こうも私の顔を伺うように見ているという事は、観月で間違いないだろう。
「観月だよね?私の事覚えてる??」
「やっぱり苗字さんでしたか!もちろん覚えてますよ」
お互いの現状等、懐かしさから長く立ち話をしてしまった。
そろそろ友達の元へ向かわないと迷子にでもなったかと心配されそうだ。
私と観月の向かう方向は同じだった為、まだ話し足りない私は観月とお喋りしながら目的の場所へ向かう。
階段を降り、最後の一段が他の段と違い妙に高低差のある段だった。
先に下まで降りた観月は振り向き、私に向け手を差し伸べてくる。
一瞬わからなかった。
差し伸べられた手の意味が。
「段差、危ないですから気をつけて」
「あ……ありがとう……」
初めてではないか。
観月にこんなふうに女の子扱いされたのは。
正直私は驚いている。
「どうかしましたか?」
私の様子を不審に思ったのだろうか。
観月に聞かれる。
「だって、観月の私に対する扱いって、もっと雑だったはずじゃ……こんな女の子みたいな……」
こんな行動は私の知る観月らしくない。
戸惑いがちに観月の手を借りながら私は答えた。
「そうでしたか?……だってあなたは女の子でしょう?」
「そ、そうなんだけど……」
そうだけど、これじゃあお姫様扱いじゃない?
これくらいの段差で手を貸すなんて、過保護過ぎだってば。
中学の時と扱いが違いすぎて、何だか恥ずかしい……
恥ずかしさを紛らわす為、私は観月に質問した。
「観月は性格悪いから、どうせ彼女なんていないでしょ?」
「相変わらず失礼な人ですね。本当に懐かしいですよ。……あなたの期待に沿えず残念ですけど、彼女くらいいた事ありますよ。そう言うあなたは?」
「私だって、彼氏くらいいた事あったし」
「その言い方だと、今は居ないという事ですね?」
「観月こそ」
まるで中学の頃のようなやり取りに、ドキドキしていた私の心臓は落ち着きを取り戻した。
高校へ進学し、自分から告白する事などなかったが、告白されれば付き合っていた。
だが、苗字さんの事を忘れる事はできなかった。
彼女とは中学の3年間の付き合いで口喧嘩も多かったが、自分はきっと彼女を好きだったのだろうという事に気付いた時にはもう、連絡するには存在が離れすぎていて、どうしてもできなかった。
彼女には自分の汚い部分を充分過ぎるほど知られていると思う。
そんな彼女が自分を好きになってくれるなど、到底思えない。
だが、どうしても忘れられなかったのだ。
彼女に言われた覚えている限りの、自分の欠点。
自分の悪い所を変えようと意識しながら生活してきたつもりだ。
連絡先は知っているが……この偶然の再会を機に、彼女に連絡する事を許されるだろうか?
「……連絡先、変わったりしていませんよね?」
このままここで別れてしまえば、次にいつ会えるかなんて、わからない。
一応確認しておく。
「変わってないよ?」
「なら、いいです」
忘れられないが、自分の中の良い思い出としてしまっておこうと思っていた彼女。
諦めて思い出にしようとしていた彼女が、あの時と変わらぬ雰囲気で今僕の目の前にいる。
こうなれば諦める事などできない。
再び縁に恵まれたのだから。
ここからまた彼女との縁を繋いでいくのだ。
懐かしい顔に偶然に会った。
聖ルドルフ学院卒業から1年半ぶりくらいだろうか?
友達には先に行っててと伝え、その懐かしい顔に声をかける。
中学の頃とはだいぶ雰囲気が変わったが、向こうも私の顔を伺うように見ているという事は、観月で間違いないだろう。
「観月だよね?私の事覚えてる??」
「やっぱり苗字さんでしたか!もちろん覚えてますよ」
お互いの現状等、懐かしさから長く立ち話をしてしまった。
そろそろ友達の元へ向かわないと迷子にでもなったかと心配されそうだ。
私と観月の向かう方向は同じだった為、まだ話し足りない私は観月とお喋りしながら目的の場所へ向かう。
階段を降り、最後の一段が他の段と違い妙に高低差のある段だった。
先に下まで降りた観月は振り向き、私に向け手を差し伸べてくる。
一瞬わからなかった。
差し伸べられた手の意味が。
「段差、危ないですから気をつけて」
「あ……ありがとう……」
初めてではないか。
観月にこんなふうに女の子扱いされたのは。
正直私は驚いている。
「どうかしましたか?」
私の様子を不審に思ったのだろうか。
観月に聞かれる。
「だって、観月の私に対する扱いって、もっと雑だったはずじゃ……こんな女の子みたいな……」
こんな行動は私の知る観月らしくない。
戸惑いがちに観月の手を借りながら私は答えた。
「そうでしたか?……だってあなたは女の子でしょう?」
「そ、そうなんだけど……」
そうだけど、これじゃあお姫様扱いじゃない?
これくらいの段差で手を貸すなんて、過保護過ぎだってば。
中学の時と扱いが違いすぎて、何だか恥ずかしい……
恥ずかしさを紛らわす為、私は観月に質問した。
「観月は性格悪いから、どうせ彼女なんていないでしょ?」
「相変わらず失礼な人ですね。本当に懐かしいですよ。……あなたの期待に沿えず残念ですけど、彼女くらいいた事ありますよ。そう言うあなたは?」
「私だって、彼氏くらいいた事あったし」
「その言い方だと、今は居ないという事ですね?」
「観月こそ」
まるで中学の頃のようなやり取りに、ドキドキしていた私の心臓は落ち着きを取り戻した。
高校へ進学し、自分から告白する事などなかったが、告白されれば付き合っていた。
だが、苗字さんの事を忘れる事はできなかった。
彼女とは中学の3年間の付き合いで口喧嘩も多かったが、自分はきっと彼女を好きだったのだろうという事に気付いた時にはもう、連絡するには存在が離れすぎていて、どうしてもできなかった。
彼女には自分の汚い部分を充分過ぎるほど知られていると思う。
そんな彼女が自分を好きになってくれるなど、到底思えない。
だが、どうしても忘れられなかったのだ。
彼女に言われた覚えている限りの、自分の欠点。
自分の悪い所を変えようと意識しながら生活してきたつもりだ。
連絡先は知っているが……この偶然の再会を機に、彼女に連絡する事を許されるだろうか?
「……連絡先、変わったりしていませんよね?」
このままここで別れてしまえば、次にいつ会えるかなんて、わからない。
一応確認しておく。
「変わってないよ?」
「なら、いいです」
忘れられないが、自分の中の良い思い出としてしまっておこうと思っていた彼女。
諦めて思い出にしようとしていた彼女が、あの時と変わらぬ雰囲気で今僕の目の前にいる。
こうなれば諦める事などできない。
再び縁に恵まれたのだから。
ここからまた彼女との縁を繋いでいくのだ。