ジャーファル 短編集
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政務官補佐の名前です。
政務執務室はただ今繁忙期の真っ只中です。
「何でシンさまは、こんなにも仕事をしない人なんでしょうね、ジャーファルさん…シンさまのところで止まっている書類の催促すら時間が惜しいです…」
「…他の者に行かせてもシンは言う事を聞きませんから、また明日にでも私が直接行ってきます…」
夜も深くなった時間、執務室には上司であるジャーファルさんとその部下の私、2人だけである。
もう何度目の徹夜だろうか…
いくらカフェインを摂っても、眠気など全く覚めず、ただただトイレが近くなるのみだった。
「コーヒーをいくら飲んでも効きません…排尿間隔が短くなるばかりで…ちょっとトイレ行ってきます…」
「女性がいちいちトイレに断りを入れなくて結構ですよ…いってらっしゃい」
ジャーファルさんのおっしゃる通りで…
確かに普段の私なら、露骨にトイレとは言わない。
眠たすぎて正常な思考ができなくなっているのかもしれない。
ジャーファルさんも、眠気MAXでだいぶヤバそうな雰囲気だ。
…とりあえずトイレ行ってこよう…
ガチャ…
「すみません…トイレで居眠りしていました…」
おそらく10分程は寝ていただろうか。
トイレで居眠りなんて恥ずかしい…
「てっきりもう自室へ戻ったものかと…あなたは今日はもう休んでください。睡眠不足は美容の大敵ですよ」
正直、私はもう眠気が限界だ。
今すぐにでも寝てしまいたい。
でも、ジャーファルさんだけ残して自分だけ休むわけにはいかない。
「私の美容を心配してくれてありがとうございます…ジャーファルさんもそろそろ休みませんか?ジャーファルさんの美容も私は心配です」
「私の美容ですか?男に美容なんて…お構いなく…」
ジャーファルさんはなかなか休もうとしてくれない。
もうひと押し、睡眠を促してみる。
「ジャーファルさんの可愛いお顔が心配です…それに、いい加減にしとかないと体壊しますよ?お願いですから、一緒に休みましょうよ…」
ピタ…とジャーファルさんの動きが止まる。
あれ…?ジャーファルさんの雰囲気が…
「……男に向かって可愛いお顔、ですか…では、お望み通り、一緒に、休みましょうか」
「ジャーファルさん、なんか怒ってませんか??」
「いいえ。さあ、行きましょうか」
「うぇ?あ、ちょっと…!」
私はあっという間にジャーファルさんにお姫さま抱っこされていた。
「降ろしてください!ジャーファルさん!私、最近2キロも太ったんですよ!重いですから!」
「そんなに気になる程の体重ですか?」
「気になりますよ!女の子はみんな、羽のように軽くいたいものなんです!」
「そうなんですか」
重いと思われたくなくて騒いでいるのは私だけで、もはや適当にあしらわれる。
なおも自分の体重について語ろうと口を開こうとしたところ、ベッドへポイと投げられた。
執務室の隣にある、仮眠室のベッドだ。
隣に仮眠室なんて、政務執務室の忙しさを物語っていると思う。
ベッドへ放り投げた私の隣に、うつ伏せに体を投げ出すジャーファルさん。
「名前さん、一緒に休みましょう」
見たこともない優しい顔で言われ、一度だけ、頭を優しく撫でられる。
その笑顔と行動に、私の顔は紅潮してしまった。
心臓をドキドキ鳴らせている私をよそに、ジャーファルさんはすでに眠ってしまったようで、規則的な寝息が聞こえてきた。
男女が1つのベッドで一緒に寝るなんて…と一瞬考えたが、一度ベッドに横たえた疲れた体は起こせそうになく、ジャーファルさんの寝顔を眺めながら、私は深い眠りに落ちていった。
翌朝、目を覚ますと仮眠室には私1人だった。
ジャーファルさんは…?
うーん、夢だったのかなぁ?
でも、掛けた記憶のないブランケットが体にかかっているし、やっぱ夢じゃないかも?
私は一度自室に戻って身だしなみを整えてから、執務室へ向かった。
執務室へ行くと、他の職員に混じり、すでにジャーファルさんはテキパキと仕事をこなしていた。
顔はわりとスッキリしているように見える。
「おはようございます。すみません、少し遅くなってしまいました…」
私が挨拶すると、
「おはようございます。遅れた事は、連日徹夜でしたし、構いませんよ」
それ以外、特に何も言わなかった。
やっぱりあれは夢だったのかと考えながら、私は自分の席につく。
…まあ、あれこれ考えても仕方ない、仕事するか!と気持ちを入れかえる。
仕事に取り掛かろうとしたところ、こちらへ向かって来たジャーファルさんに、
「可愛い寝顔でしたよ」
と、耳元でこっそりと言われた。
えっ!?……やっぱり、夢じゃなかったんだ!
ジャーファルさんの顔を見ると、ニッコリとした笑顔を返される。
執務室を出て行く後ろ姿を見送りながら、私はドキドキとうるさい自分の心臓の音について考えてみるのだった。
政務執務室はただ今繁忙期の真っ只中です。
「何でシンさまは、こんなにも仕事をしない人なんでしょうね、ジャーファルさん…シンさまのところで止まっている書類の催促すら時間が惜しいです…」
「…他の者に行かせてもシンは言う事を聞きませんから、また明日にでも私が直接行ってきます…」
夜も深くなった時間、執務室には上司であるジャーファルさんとその部下の私、2人だけである。
もう何度目の徹夜だろうか…
いくらカフェインを摂っても、眠気など全く覚めず、ただただトイレが近くなるのみだった。
「コーヒーをいくら飲んでも効きません…排尿間隔が短くなるばかりで…ちょっとトイレ行ってきます…」
「女性がいちいちトイレに断りを入れなくて結構ですよ…いってらっしゃい」
ジャーファルさんのおっしゃる通りで…
確かに普段の私なら、露骨にトイレとは言わない。
眠たすぎて正常な思考ができなくなっているのかもしれない。
ジャーファルさんも、眠気MAXでだいぶヤバそうな雰囲気だ。
…とりあえずトイレ行ってこよう…
ガチャ…
「すみません…トイレで居眠りしていました…」
おそらく10分程は寝ていただろうか。
トイレで居眠りなんて恥ずかしい…
「てっきりもう自室へ戻ったものかと…あなたは今日はもう休んでください。睡眠不足は美容の大敵ですよ」
正直、私はもう眠気が限界だ。
今すぐにでも寝てしまいたい。
でも、ジャーファルさんだけ残して自分だけ休むわけにはいかない。
「私の美容を心配してくれてありがとうございます…ジャーファルさんもそろそろ休みませんか?ジャーファルさんの美容も私は心配です」
「私の美容ですか?男に美容なんて…お構いなく…」
ジャーファルさんはなかなか休もうとしてくれない。
もうひと押し、睡眠を促してみる。
「ジャーファルさんの可愛いお顔が心配です…それに、いい加減にしとかないと体壊しますよ?お願いですから、一緒に休みましょうよ…」
ピタ…とジャーファルさんの動きが止まる。
あれ…?ジャーファルさんの雰囲気が…
「……男に向かって可愛いお顔、ですか…では、お望み通り、一緒に、休みましょうか」
「ジャーファルさん、なんか怒ってませんか??」
「いいえ。さあ、行きましょうか」
「うぇ?あ、ちょっと…!」
私はあっという間にジャーファルさんにお姫さま抱っこされていた。
「降ろしてください!ジャーファルさん!私、最近2キロも太ったんですよ!重いですから!」
「そんなに気になる程の体重ですか?」
「気になりますよ!女の子はみんな、羽のように軽くいたいものなんです!」
「そうなんですか」
重いと思われたくなくて騒いでいるのは私だけで、もはや適当にあしらわれる。
なおも自分の体重について語ろうと口を開こうとしたところ、ベッドへポイと投げられた。
執務室の隣にある、仮眠室のベッドだ。
隣に仮眠室なんて、政務執務室の忙しさを物語っていると思う。
ベッドへ放り投げた私の隣に、うつ伏せに体を投げ出すジャーファルさん。
「名前さん、一緒に休みましょう」
見たこともない優しい顔で言われ、一度だけ、頭を優しく撫でられる。
その笑顔と行動に、私の顔は紅潮してしまった。
心臓をドキドキ鳴らせている私をよそに、ジャーファルさんはすでに眠ってしまったようで、規則的な寝息が聞こえてきた。
男女が1つのベッドで一緒に寝るなんて…と一瞬考えたが、一度ベッドに横たえた疲れた体は起こせそうになく、ジャーファルさんの寝顔を眺めながら、私は深い眠りに落ちていった。
翌朝、目を覚ますと仮眠室には私1人だった。
ジャーファルさんは…?
うーん、夢だったのかなぁ?
でも、掛けた記憶のないブランケットが体にかかっているし、やっぱ夢じゃないかも?
私は一度自室に戻って身だしなみを整えてから、執務室へ向かった。
執務室へ行くと、他の職員に混じり、すでにジャーファルさんはテキパキと仕事をこなしていた。
顔はわりとスッキリしているように見える。
「おはようございます。すみません、少し遅くなってしまいました…」
私が挨拶すると、
「おはようございます。遅れた事は、連日徹夜でしたし、構いませんよ」
それ以外、特に何も言わなかった。
やっぱりあれは夢だったのかと考えながら、私は自分の席につく。
…まあ、あれこれ考えても仕方ない、仕事するか!と気持ちを入れかえる。
仕事に取り掛かろうとしたところ、こちらへ向かって来たジャーファルさんに、
「可愛い寝顔でしたよ」
と、耳元でこっそりと言われた。
えっ!?……やっぱり、夢じゃなかったんだ!
ジャーファルさんの顔を見ると、ニッコリとした笑顔を返される。
執務室を出て行く後ろ姿を見送りながら、私はドキドキとうるさい自分の心臓の音について考えてみるのだった。
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