不死川玄弥
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不死川玄弥くんが、蝶屋敷に運ばれてきた。
怪我をして彼がここに運ばれてくるのは久しぶりだ。
前に会った時と比べて、また身長が伸びたなぁ。
大部屋には現在、私の中のブラックリスト入りを果たしている善逸さんが静養中なのだが、その隣のベッドが玄弥くんのベッド。
玄弥くんはあまり愛想がないし、大丈夫だろうか?
喧嘩しないかなぁ。
いつものバイタルチェックの時間、血圧計に腕を通すため玄弥くんの手をとると、明らかに玄弥くんの顔が赤くなった。
あぁ、そういうお年頃かぁ。
朝アオイが、両腕を痛めて使えない玄弥くんに食事を食べさせてあげたのだが、いろいろと愚痴をこぼしていた。
簡単にひと言で言えば大変だった、との事だ。
昼食は私が担当する事になっている。
今から気が重いなぁ……
昼食時、2人分のお膳をワゴンに乗せ、病室を訪れた。
「はい、こっちは善逸さん。こっちは玄弥くん。玄弥くんは私が食べさせますからねー」
「えー!俺は⁉︎俺は食べさせてくれないの?」
すかさず善逸さんが言ってくる。
「善逸さんは両手使えるじゃないですか。機能回復訓練始めてだいぶ経つじゃないですか。自分で食べてください」
それで引き下がる善逸さんではない事はわかっている。
「最後のひと口だけ、私が食べさせてあげますから」
と付け加えた。
最後のひと口、それで納得してくれたようで、
「約束ですよ⁉︎」
と言って自分で食べ始めてくれた。
「さぁ、玄弥くんも冷めない内に食べましょうか」
2人と会話しながら昼食を進める。
玄弥くんは素直に食べてくれているのだが、女の私に食べさせてもらっている事に緊張しているのがよくわかる。
いま目の前にいる2人の、女性に対する反応がここまで違うとは……
2人を足して2で割ったら丁度良くなるかな?
もちろんそんな事は不可能なので考えるだけ無駄なのだけど……
玄弥くんの食事を終え、約束通り善逸さんの最後のひと口を口に入れてあげる。
善逸さんは食事中、玄弥くんだけずるいと何度か言っていたけど、とりあえずはこのひと口で満足したようだった。
「では、また後で様子を見に来ますね」
と言って、病室を後にした。
廊下に出た私は思わずため息をついていた。
アオイの言う通り、何だか疲れたわ……
私が病室を後にして間もなく、廊下まで聞こえる2人の大きな声が私の耳に届いた。
「お前も名前さん好きなんでしょ⁉︎じゃないとあんなに顔真っ赤にしないだろ!俺が先に目を付けたの!俺の名前さん!」
「だから違うって言ってんだろ!俺があいつをす、すっ、好きだなんていつ言ったよ⁉︎」
「顔赤くしながら言ったって説得力ねーよ!」
どうやら私の事で喧嘩しているようだ。
私は今のこの状況に近い事を過去に経験している。
私を好きになったと、同じ大部屋で療養中だった隊士2人から言われ、当時若かった私は、その内の1人を好きになってしまったのだ。
きっと2人とも、心も体も弱っているところを優しく看護され、私に対し夢でも見ていたんだろう。
その後、充分静養して蝶屋敷を後にした2人の、どちらからも連絡がある事はなかったし、怪我で再度蝶屋敷へ訪れた時は、何だか気まずそうにしていた。
距離が離れた事で、私の事など好きではないと目が覚めたのだろう……
思い返すと今でも胸くそ悪いのだが、いい勉強になったと思っている。
そんな苦い思い出を思い返しながら、私は2人の喧嘩を止めに向かった。
「怪我人の分際で、煩いんですよ!あんまり煩いと、しのぶ様にきつく叱られますよ!」
私は病室の戸を開けるなり言い放つ。
「大事な話なんだ!止めないで!名前さん!」
「こいつの言う事なんて俺は認められねーよ!」
しのぶ様の名を出しても2人の口喧嘩は止まらない。
私は堪忍袋の尾が切れた。
「心身弱った状態で優しく看護されて、私に恋でもしましたか⁉︎私は仕事だから優しくやってます!勘違いしないでください!2人とも丁度良くいた私に夢見てるだけなんです!早く目を醒ましなさいよっ!!」
それに、恋愛感情はないという意味だとわかるけど、廊下で聞いた好きじゃないという玄弥くんの言葉、地味に傷ついた。
善逸さんはただの女好き、玄弥くんは女に免疫がないだけ。
それは分かっているが、過去の苦い記憶を思い出し、その過去にリベンジでもするかのように私は思わず叫んでいた。
シン……と静まり返る病室。
徐々に冷静になっていく私。
穴があったら入りたかった…泣
私に恋でもしましたか……なんて自意識過剰で恥ずかしい言葉なの?
「こ、こんな事、大声で言わせないでください!」
私は走って逃げた。
私の顔は、羞恥心で真っ赤になっている事だろう……
……1人になってだいぶ落ち着いた。
私のあの大声は屋敷中に届いていたかもしれない……
みんなと顔を合わせるのが恥ずかしいが、そろそろ戻らないと迷惑をかけてしまう。
その前に、あの2人に謝ろう。
あの言葉は八つ当たりみたいなものだったし……
もちろん、注意してもいつまでも煩いのは2人が悪いけど。
私は2人のいる病室へ向かった。
声を掛け病室へ入ると、2人はどうやらしのぶ様にこってりとお叱りを受けたらしく、すっかり大人しくなっていた。
私が謝る前に、2人の方から謝ってきた。
騒がしくしてすみませんと……
とりあえず、許してあげる事にする。
私も、詳しくは語らなかったが2人へ謝罪した。
謝る必要ないと2人には言われたが、私の気が済まなかったから。
ちなみに、私に恋でも云々に関しては、2人ともノーコメントだった。
触らぬ神に祟りなし、という事だろうか。
いよいよ詰所へ戻る。
みんながいったいどんな顔をして私を見るのか、想像すると気が重いどころの気分じゃなかった。
遠慮気味に詰所の戸を開くと、みんな気の毒そうな、何とも言えない複雑な顔をしていた。
あんなセリフを大声で言ったのだ。
絶対みんな引いている。
私だって、自分の事じゃなければ引いている事だろう。
「お疲れ様です、名前さん……」
「あの2人は口喧嘩が多いですから……大変でしたね……」
「私だって、2人には何度怒鳴った事か……。…… 名前さんにナルシストな面があるなんて、意外でした……私たちの知らない一面を知れて良かったです……」
みんな無理をしている……知らない一面を知れて良かったなんて、無理して言っているに違いない……
しかしその言葉は、ちょっと言い方が下手だとは思うが、みんなの精一杯の私への気遣いなのだという事もわかる……。
嬉しいやら情けないやらで、私の気持ちはぐちゃぐちゃだった。
自分のイメージが不本意な形で崩れていく様は、予想以上のダメージだった。
やっぱりあの2人、絶対に許さないっ……!
怪我をして彼がここに運ばれてくるのは久しぶりだ。
前に会った時と比べて、また身長が伸びたなぁ。
大部屋には現在、私の中のブラックリスト入りを果たしている善逸さんが静養中なのだが、その隣のベッドが玄弥くんのベッド。
玄弥くんはあまり愛想がないし、大丈夫だろうか?
喧嘩しないかなぁ。
いつものバイタルチェックの時間、血圧計に腕を通すため玄弥くんの手をとると、明らかに玄弥くんの顔が赤くなった。
あぁ、そういうお年頃かぁ。
朝アオイが、両腕を痛めて使えない玄弥くんに食事を食べさせてあげたのだが、いろいろと愚痴をこぼしていた。
簡単にひと言で言えば大変だった、との事だ。
昼食は私が担当する事になっている。
今から気が重いなぁ……
昼食時、2人分のお膳をワゴンに乗せ、病室を訪れた。
「はい、こっちは善逸さん。こっちは玄弥くん。玄弥くんは私が食べさせますからねー」
「えー!俺は⁉︎俺は食べさせてくれないの?」
すかさず善逸さんが言ってくる。
「善逸さんは両手使えるじゃないですか。機能回復訓練始めてだいぶ経つじゃないですか。自分で食べてください」
それで引き下がる善逸さんではない事はわかっている。
「最後のひと口だけ、私が食べさせてあげますから」
と付け加えた。
最後のひと口、それで納得してくれたようで、
「約束ですよ⁉︎」
と言って自分で食べ始めてくれた。
「さぁ、玄弥くんも冷めない内に食べましょうか」
2人と会話しながら昼食を進める。
玄弥くんは素直に食べてくれているのだが、女の私に食べさせてもらっている事に緊張しているのがよくわかる。
いま目の前にいる2人の、女性に対する反応がここまで違うとは……
2人を足して2で割ったら丁度良くなるかな?
もちろんそんな事は不可能なので考えるだけ無駄なのだけど……
玄弥くんの食事を終え、約束通り善逸さんの最後のひと口を口に入れてあげる。
善逸さんは食事中、玄弥くんだけずるいと何度か言っていたけど、とりあえずはこのひと口で満足したようだった。
「では、また後で様子を見に来ますね」
と言って、病室を後にした。
廊下に出た私は思わずため息をついていた。
アオイの言う通り、何だか疲れたわ……
私が病室を後にして間もなく、廊下まで聞こえる2人の大きな声が私の耳に届いた。
「お前も名前さん好きなんでしょ⁉︎じゃないとあんなに顔真っ赤にしないだろ!俺が先に目を付けたの!俺の名前さん!」
「だから違うって言ってんだろ!俺があいつをす、すっ、好きだなんていつ言ったよ⁉︎」
「顔赤くしながら言ったって説得力ねーよ!」
どうやら私の事で喧嘩しているようだ。
私は今のこの状況に近い事を過去に経験している。
私を好きになったと、同じ大部屋で療養中だった隊士2人から言われ、当時若かった私は、その内の1人を好きになってしまったのだ。
きっと2人とも、心も体も弱っているところを優しく看護され、私に対し夢でも見ていたんだろう。
その後、充分静養して蝶屋敷を後にした2人の、どちらからも連絡がある事はなかったし、怪我で再度蝶屋敷へ訪れた時は、何だか気まずそうにしていた。
距離が離れた事で、私の事など好きではないと目が覚めたのだろう……
思い返すと今でも胸くそ悪いのだが、いい勉強になったと思っている。
そんな苦い思い出を思い返しながら、私は2人の喧嘩を止めに向かった。
「怪我人の分際で、煩いんですよ!あんまり煩いと、しのぶ様にきつく叱られますよ!」
私は病室の戸を開けるなり言い放つ。
「大事な話なんだ!止めないで!名前さん!」
「こいつの言う事なんて俺は認められねーよ!」
しのぶ様の名を出しても2人の口喧嘩は止まらない。
私は堪忍袋の尾が切れた。
「心身弱った状態で優しく看護されて、私に恋でもしましたか⁉︎私は仕事だから優しくやってます!勘違いしないでください!2人とも丁度良くいた私に夢見てるだけなんです!早く目を醒ましなさいよっ!!」
それに、恋愛感情はないという意味だとわかるけど、廊下で聞いた好きじゃないという玄弥くんの言葉、地味に傷ついた。
善逸さんはただの女好き、玄弥くんは女に免疫がないだけ。
それは分かっているが、過去の苦い記憶を思い出し、その過去にリベンジでもするかのように私は思わず叫んでいた。
シン……と静まり返る病室。
徐々に冷静になっていく私。
穴があったら入りたかった…泣
私に恋でもしましたか……なんて自意識過剰で恥ずかしい言葉なの?
「こ、こんな事、大声で言わせないでください!」
私は走って逃げた。
私の顔は、羞恥心で真っ赤になっている事だろう……
……1人になってだいぶ落ち着いた。
私のあの大声は屋敷中に届いていたかもしれない……
みんなと顔を合わせるのが恥ずかしいが、そろそろ戻らないと迷惑をかけてしまう。
その前に、あの2人に謝ろう。
あの言葉は八つ当たりみたいなものだったし……
もちろん、注意してもいつまでも煩いのは2人が悪いけど。
私は2人のいる病室へ向かった。
声を掛け病室へ入ると、2人はどうやらしのぶ様にこってりとお叱りを受けたらしく、すっかり大人しくなっていた。
私が謝る前に、2人の方から謝ってきた。
騒がしくしてすみませんと……
とりあえず、許してあげる事にする。
私も、詳しくは語らなかったが2人へ謝罪した。
謝る必要ないと2人には言われたが、私の気が済まなかったから。
ちなみに、私に恋でも云々に関しては、2人ともノーコメントだった。
触らぬ神に祟りなし、という事だろうか。
いよいよ詰所へ戻る。
みんながいったいどんな顔をして私を見るのか、想像すると気が重いどころの気分じゃなかった。
遠慮気味に詰所の戸を開くと、みんな気の毒そうな、何とも言えない複雑な顔をしていた。
あんなセリフを大声で言ったのだ。
絶対みんな引いている。
私だって、自分の事じゃなければ引いている事だろう。
「お疲れ様です、名前さん……」
「あの2人は口喧嘩が多いですから……大変でしたね……」
「私だって、2人には何度怒鳴った事か……。…… 名前さんにナルシストな面があるなんて、意外でした……私たちの知らない一面を知れて良かったです……」
みんな無理をしている……知らない一面を知れて良かったなんて、無理して言っているに違いない……
しかしその言葉は、ちょっと言い方が下手だとは思うが、みんなの精一杯の私への気遣いなのだという事もわかる……。
嬉しいやら情けないやらで、私の気持ちはぐちゃぐちゃだった。
自分のイメージが不本意な形で崩れていく様は、予想以上のダメージだった。
やっぱりあの2人、絶対に許さないっ……!