真田弦一郎
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俺は苗字と一緒に行った、というか強引に連れて来られたタピオカドリンクの店に、こうして時々立ち寄っている。
決してタピオカが気に入ったわけではないのだが……
苗字には下校途中に寄り道なんて、と言っておいて、俺は今まさに下校途中に寄り道をしているわけなのだ。
店のすぐ近くには公園があり、ドリンク片手にベンチでゆっくりとしていた時の事だった。
「真田くん!」
後ろから声をかけて来た声の主は苗字だった。
俺は思わずベンチから立ち上がった。
下校途中に寄り道など、と言った自分が寄り道をしているのだ。
だが、それに関して苗字は何も言わず、その代わり、今日ここで会えたのは運命?等と言い出し始めた。
「ただの確率の問題だろう?あの時以来、時々俺もここに来ているからな」
「え?そうなの?それなら誘ってくれればいいのにー」
苗字がそう言うなら、こっちにも言い分がある。
「そう言う苗字も俺の事を誘ったりしてないだろう?今も1人で来ているようだし」
誘ってと言ってくる苗字に、俺としては自分の事を棚に上げた発言であると気付かせたくて言った言葉であるが、
「……誘ってもいいの?」
と聞き返されてしまった。
「いや……まあ……それは構わないが……俺が言いたかったのはそうではなく……」
私は自分に都合のいい事を聞き逃さなかった。
じゃあ、これからは堂々と誘ってもいいんだね?
私の心の中はウキウキで、顔に出ちゃってたかもしれない。
立ち話も何だから、座って話そうと思っていたまさにその時、お尻に何かがぶつかった衝撃と、両足には濡れた感覚と冷たさを感じて私は振り返る。
小学生くらいの男の子が私にぶつかって、きっと私と同じ店で買ったに違いないドリンクの中身全部が、零れてしまったようだ。
私のスカートはびょ濡れだが、泣きそうな顔をしている小学生をフォローしなくては。
「私は大丈夫だから、そこのお兄ちゃんに新しいジュース、買ってもらって?真田くん、一緒に選びに行ってあげてくれる?」
「ああ、そうだな」
小学生を真田くんに任せ、私は濡れた足やスカートを持っていたハンカチで、できる範囲で拭き、着ていたカーディガンは脱いで腰に巻く。
これで汚れは隠せた筈だ。
間もなくさっきの小学生と真田くんがこっちへ戻ってきた。
「お姉ちゃん、スカート汚してごめんなさい」
きっと緊張していたんだろう。
さっきは言えなかった言葉を伝えに戻って来た小学生の頭を撫でる。
「えらいえらい!ちゃんとごめんなさいが言えるんだね」
そう言うと、小学生は笑顔になってくれて、私は安心した。
「お兄ちゃんもありがとう」
真田くんにもお礼を言うと、小学生は去っていった。
小学生を見送った後、振り向いた苗字が俺に言う。
「奢らせてごめんね、真田くん」
それは気にする事ではないのだが、俺は苗字のドリンクで濡れた衣服が気になる。
「それはいいが、汚れた所は大丈夫か?」
「カーディガンで隠してみたんだけど、どう?隠れてる??」
苗字は、隠せているかどうか自分でも確認しながら、体を捻って俺の方へ汚れたであろう部分を見せる。
汚れた部分は腰に巻いたカーディガンで隠れてはいる。
「隠れてはいるが、そのままでは風邪をひくだろう?」
「私の事、心配してくれてるの?」
「濡れたままでは風邪をひく、当たり前の事を言ったまでだ」
苗字の返答はどうにも話が別の方向へ行ってしまう傾向にある。
心配はしているのだが、少々素っ気ない言い方になってしまった。
だが、そんな事を気にする苗字ではなかった。
「すぐ家に帰るから大丈夫。帰ったらスカート洗わなきゃ。じゃ、私もう行くね」
帰ろうとする苗字を慌てて呼び止める。
カーディガンを腰に巻いていては寒いだろう。
季節は秋なのだ。
俺は上にブレザーを着ているが、苗字は制服の白いシャツのみだ。
俺は、苗字には大きすぎる自分のカーディガンを羽織用に手渡す。
そして、手渡した後で気がついた。
俺はおじさんではないが、老け顔と苗字には言われている。
おじさん臭いなどと思われないだろうか?
そんな事が急に心配になったが、後の祭りだ。
俺の心中を知ってか知らずか、俺からカーディガンを受け取った苗字は何の躊躇いもなく袖を通す。
やはりサイズが違いすぎて、苗字が着るとブカブカである。
「真田くんのいい香りがする。それじゃ、遠慮なく貸してもらうね。ありがとう、真田くん!」
そう言って、苗字は笑顔で手を振り去って行った。
いい香りと言われホッと胸を撫で下ろす。
それと同時に少しの気恥ずかしさを感じている俺は、果たして苗字の前でポーカーフェイスを保てていただろうか……?
決してタピオカが気に入ったわけではないのだが……
苗字には下校途中に寄り道なんて、と言っておいて、俺は今まさに下校途中に寄り道をしているわけなのだ。
店のすぐ近くには公園があり、ドリンク片手にベンチでゆっくりとしていた時の事だった。
「真田くん!」
後ろから声をかけて来た声の主は苗字だった。
俺は思わずベンチから立ち上がった。
下校途中に寄り道など、と言った自分が寄り道をしているのだ。
だが、それに関して苗字は何も言わず、その代わり、今日ここで会えたのは運命?等と言い出し始めた。
「ただの確率の問題だろう?あの時以来、時々俺もここに来ているからな」
「え?そうなの?それなら誘ってくれればいいのにー」
苗字がそう言うなら、こっちにも言い分がある。
「そう言う苗字も俺の事を誘ったりしてないだろう?今も1人で来ているようだし」
誘ってと言ってくる苗字に、俺としては自分の事を棚に上げた発言であると気付かせたくて言った言葉であるが、
「……誘ってもいいの?」
と聞き返されてしまった。
「いや……まあ……それは構わないが……俺が言いたかったのはそうではなく……」
私は自分に都合のいい事を聞き逃さなかった。
じゃあ、これからは堂々と誘ってもいいんだね?
私の心の中はウキウキで、顔に出ちゃってたかもしれない。
立ち話も何だから、座って話そうと思っていたまさにその時、お尻に何かがぶつかった衝撃と、両足には濡れた感覚と冷たさを感じて私は振り返る。
小学生くらいの男の子が私にぶつかって、きっと私と同じ店で買ったに違いないドリンクの中身全部が、零れてしまったようだ。
私のスカートはびょ濡れだが、泣きそうな顔をしている小学生をフォローしなくては。
「私は大丈夫だから、そこのお兄ちゃんに新しいジュース、買ってもらって?真田くん、一緒に選びに行ってあげてくれる?」
「ああ、そうだな」
小学生を真田くんに任せ、私は濡れた足やスカートを持っていたハンカチで、できる範囲で拭き、着ていたカーディガンは脱いで腰に巻く。
これで汚れは隠せた筈だ。
間もなくさっきの小学生と真田くんがこっちへ戻ってきた。
「お姉ちゃん、スカート汚してごめんなさい」
きっと緊張していたんだろう。
さっきは言えなかった言葉を伝えに戻って来た小学生の頭を撫でる。
「えらいえらい!ちゃんとごめんなさいが言えるんだね」
そう言うと、小学生は笑顔になってくれて、私は安心した。
「お兄ちゃんもありがとう」
真田くんにもお礼を言うと、小学生は去っていった。
小学生を見送った後、振り向いた苗字が俺に言う。
「奢らせてごめんね、真田くん」
それは気にする事ではないのだが、俺は苗字のドリンクで濡れた衣服が気になる。
「それはいいが、汚れた所は大丈夫か?」
「カーディガンで隠してみたんだけど、どう?隠れてる??」
苗字は、隠せているかどうか自分でも確認しながら、体を捻って俺の方へ汚れたであろう部分を見せる。
汚れた部分は腰に巻いたカーディガンで隠れてはいる。
「隠れてはいるが、そのままでは風邪をひくだろう?」
「私の事、心配してくれてるの?」
「濡れたままでは風邪をひく、当たり前の事を言ったまでだ」
苗字の返答はどうにも話が別の方向へ行ってしまう傾向にある。
心配はしているのだが、少々素っ気ない言い方になってしまった。
だが、そんな事を気にする苗字ではなかった。
「すぐ家に帰るから大丈夫。帰ったらスカート洗わなきゃ。じゃ、私もう行くね」
帰ろうとする苗字を慌てて呼び止める。
カーディガンを腰に巻いていては寒いだろう。
季節は秋なのだ。
俺は上にブレザーを着ているが、苗字は制服の白いシャツのみだ。
俺は、苗字には大きすぎる自分のカーディガンを羽織用に手渡す。
そして、手渡した後で気がついた。
俺はおじさんではないが、老け顔と苗字には言われている。
おじさん臭いなどと思われないだろうか?
そんな事が急に心配になったが、後の祭りだ。
俺の心中を知ってか知らずか、俺からカーディガンを受け取った苗字は何の躊躇いもなく袖を通す。
やはりサイズが違いすぎて、苗字が着るとブカブカである。
「真田くんのいい香りがする。それじゃ、遠慮なく貸してもらうね。ありがとう、真田くん!」
そう言って、苗字は笑顔で手を振り去って行った。
いい香りと言われホッと胸を撫で下ろす。
それと同時に少しの気恥ずかしさを感じている俺は、果たして苗字の前でポーカーフェイスを保てていただろうか……?