真田弦一郎
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バレンタインデーという、女の子が気になる男の子へチョコレートを贈る、店頭にも多様なチョコレートが並ぶあのイベントが近づいている。
この学校にも馴染んで、いろんな生徒と話すようになり最近知ったのだけど、真田くんは意外とモテるようだ。
真田くんには悪いけど、女気なんてほぼ感じた事がないから、私は完全に侮っていた。
真田くんにチョコを渡す女子がもしいるならば、それは本命である可能性が高い気がする。
たまたまバレンタインの前日に仁王くんから聞いた話。
……真田くんが以前、奥ゆかしい女の子が好みだと言っていた事。
奥ゆかしい……そんな言葉、今までの生活で使った事あったかな?
私の性格は、その言葉に少しもかすっていないと思う。
初めて会った私に優しくしてくれたあの日から、彼の人間性が大好きで……
その後も彼と関わる事で、今の私は真田くんに恋する乙女だと認めざるを得ない。
……でも、告白する勇気は残念ながら今の私にはない。
私が真田くんの好みに少しも当てはまっていないから。
断られて今のような関係でいられなくなる事が怖い。
バレンタインデーというイベントを前にこんな気持ちになるなんて、柄にもなく本当乙女かよ、と自虐の念が湧いた。
あーあ、可愛い私がこんなに想ってるっていうのに……
私のこういう一見自信過剰なところが好みではないだろうと思うけど、
男女問わず可愛いと言われれば謙遜するのは気持ちが悪いし、その対応も、何があっても気丈に振る舞いたい私の惰性のようなものだ。と、自分では思っている。
放課後、日直の仕事を終えた頃、結構遅い時間になっていた。
荷物を持って廊下に出て、視線を向けた先には廊下を歩く真田くんの姿があった。
機会さえあれば、義理だと思われていいから渡そうと、チョコレートは鞄にしまってあった。
私の気も知らないで……と、勝手に悔しい気持ちになる。
書類を眺めながらゆっくりと歩いている真田くんの後ろまで、気づかれないようにそっと近づく。
近くに人がいない今が好機だった。
完全なる八つ当たりだが、私の気持ちに全く気づいていない彼の背中に向かって、ちょっと強めにチョコレートの箱を突きつける。
「うぉっ!!」
何の前触れもなく背中に強めの衝撃を感じたと同時に
「動かないで」
と、苗字の声。
突然の事に驚いた俺だったが、相手が苗字だとわかり、とりあえず安心する。
親しみもない他の誰かなら恐怖体験だったが……汗
「そのまま前を向いて、今から私が言う事に答えて」
「いったい何の真似なのだ?」
何やら背中にゴツゴツとした感触。
ピストルでも構えられてるのか?俺は。
「真田くんからみた私って、どんな人?」
突然そんな質問をしてくる意味がわからないが……
今は深く追求はせず、苗字がどんな人間か考えながら素直に答えてやる。
「……神経の太い発言で誤解されがちだが、実際はわりと落ち着いた人間だと……思っている。」
言われた通り律儀に前を向いていた俺には、この答えに苗字がどんな顔をしているのかはわからない。
「……なぜそんな事を聞くのだ?」
「………内緒」
「いや、内緒とは……」
その時、後ろにいた苗字が今度は俺の前まで移動して、何かを差し出してきた。
顔は俯き加減で、その表情はやはり見えない。
「私が困ってる時、いつも助けてくれてありがとう。これ、そのお礼だから……」
「……?」
差し出した物を俺が受け取ったのを確認すると、苗字はそれ以上何も言わず走って行ってしまった。
「全く、意味がわからん……」
中身が気になった俺は、その場で箱を開封する。
その中に入っていたチョコレートを見て、そういえば今日はバレンタインデーだったという事を思い出した。
……義理チョコ、というやつだろう……。
それ以外、考えられないではないか。
そう自分に言い聞かせ、ざわつく気持ちを落ち着かせるのだった。
この学校にも馴染んで、いろんな生徒と話すようになり最近知ったのだけど、真田くんは意外とモテるようだ。
真田くんには悪いけど、女気なんてほぼ感じた事がないから、私は完全に侮っていた。
真田くんにチョコを渡す女子がもしいるならば、それは本命である可能性が高い気がする。
たまたまバレンタインの前日に仁王くんから聞いた話。
……真田くんが以前、奥ゆかしい女の子が好みだと言っていた事。
奥ゆかしい……そんな言葉、今までの生活で使った事あったかな?
私の性格は、その言葉に少しもかすっていないと思う。
初めて会った私に優しくしてくれたあの日から、彼の人間性が大好きで……
その後も彼と関わる事で、今の私は真田くんに恋する乙女だと認めざるを得ない。
……でも、告白する勇気は残念ながら今の私にはない。
私が真田くんの好みに少しも当てはまっていないから。
断られて今のような関係でいられなくなる事が怖い。
バレンタインデーというイベントを前にこんな気持ちになるなんて、柄にもなく本当乙女かよ、と自虐の念が湧いた。
あーあ、可愛い私がこんなに想ってるっていうのに……
私のこういう一見自信過剰なところが好みではないだろうと思うけど、
男女問わず可愛いと言われれば謙遜するのは気持ちが悪いし、その対応も、何があっても気丈に振る舞いたい私の惰性のようなものだ。と、自分では思っている。
放課後、日直の仕事を終えた頃、結構遅い時間になっていた。
荷物を持って廊下に出て、視線を向けた先には廊下を歩く真田くんの姿があった。
機会さえあれば、義理だと思われていいから渡そうと、チョコレートは鞄にしまってあった。
私の気も知らないで……と、勝手に悔しい気持ちになる。
書類を眺めながらゆっくりと歩いている真田くんの後ろまで、気づかれないようにそっと近づく。
近くに人がいない今が好機だった。
完全なる八つ当たりだが、私の気持ちに全く気づいていない彼の背中に向かって、ちょっと強めにチョコレートの箱を突きつける。
「うぉっ!!」
何の前触れもなく背中に強めの衝撃を感じたと同時に
「動かないで」
と、苗字の声。
突然の事に驚いた俺だったが、相手が苗字だとわかり、とりあえず安心する。
親しみもない他の誰かなら恐怖体験だったが……汗
「そのまま前を向いて、今から私が言う事に答えて」
「いったい何の真似なのだ?」
何やら背中にゴツゴツとした感触。
ピストルでも構えられてるのか?俺は。
「真田くんからみた私って、どんな人?」
突然そんな質問をしてくる意味がわからないが……
今は深く追求はせず、苗字がどんな人間か考えながら素直に答えてやる。
「……神経の太い発言で誤解されがちだが、実際はわりと落ち着いた人間だと……思っている。」
言われた通り律儀に前を向いていた俺には、この答えに苗字がどんな顔をしているのかはわからない。
「……なぜそんな事を聞くのだ?」
「………内緒」
「いや、内緒とは……」
その時、後ろにいた苗字が今度は俺の前まで移動して、何かを差し出してきた。
顔は俯き加減で、その表情はやはり見えない。
「私が困ってる時、いつも助けてくれてありがとう。これ、そのお礼だから……」
「……?」
差し出した物を俺が受け取ったのを確認すると、苗字はそれ以上何も言わず走って行ってしまった。
「全く、意味がわからん……」
中身が気になった俺は、その場で箱を開封する。
その中に入っていたチョコレートを見て、そういえば今日はバレンタインデーだったという事を思い出した。
……義理チョコ、というやつだろう……。
それ以外、考えられないではないか。
そう自分に言い聞かせ、ざわつく気持ちを落ち着かせるのだった。