明日はクリスマス。
町はクリスマスを彩る装飾やイルミネーションでいっぱいだ。
町の様子同様、クラス内の雰囲気もクリスマスムードが漂っている。

放課後、ガヤガヤとしたクラス内はクリスマスの話題で持ちきりだった。
クリスマスは恋人と過ごすのだと話すリア充連中や、クリスマスの日に告白するのだと意気込む奴ら。
仲の良い友人同士で盛り上がろうと計画している連中もいる。
……クリスマスだから何だと言うんだ。
明日も当然部活に勤しみ、俺にとってはそれこそが1番充実した日になるに違いないと思う。
クリスマスという日に気分が浮ついている奴らとは目指すところが違うんだ。
決して羨ましい訳じゃない。
奴らが楽しげに青春という今しかない貴重な時間を謳歌していると錯覚し、実際は無駄に時間を浪費している内に、俺は１つでも２つでも前に進んでやる。
もう一度確認するが、決して羨ましい訳じゃない。
さて、部活の時間だな……


部活に向かおうと俺が席を立つと、隣の席の苗字が話しかけてきた。

「明日はクリスマスかぁ…。ねぇねぇ空理くん。空理くんってさ……」

「何だ？……言いたい事があるならハッキリ言うんだな」
途中で言い淀む苗字。
明日はクリスマスか、と言ったよな？
クリスマスに俺に用事でも？
先が気になる俺は、苗字の次の言葉を促した。

「空理くんって、将来ハゲそうだよね」

「ゆるふわ猫っ毛が自慢のようだが、将来薄毛になりそうなお前に言われたくないな」


ハゲとクリスマスは関係ないだろ！
思わせぶりな言動に、少なからず動揺してしまった自分が許せない！