チタン
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彼女が弟たちとの約束を守るために自宅へ訪ねて来てくれてからというもの、細々と連絡を取り合う関係が続いていた。
弟たちが会いたいと言うので、だいたいオレの方から彼女に連絡する事が多かったが。
普段寂しい思いをさせている弟たちの望みはなるべく叶えてやりたいと思っている俺は、毎回毎回弟たちの遊び相手になってもらうばかりで彼女には悪いなと思いつつ連絡を取る。
迷惑なら遠慮なく言ってほしいと重ねて伝えるのだが、彼女は都合の合う日に来てくれた。
そのうち自然と、俺抜きでも彼女と弟たちは俺たちの家で過ごすようになっていった。
何度も一緒に過ごすうちに彼女を信頼するようになっていた俺は、まだ幼い弟たちと大人の彼女が一緒に居てくれるのは安心だった。
そんな日常を送っていたある日。
スーパーに立ち寄り食材を買って帰宅する俺のもとに、カレーのいい匂いが漂ってきた。アパートの階段を上がり部屋へと向かう。
どうやらカレーの香りは自宅からのもののようだ。
「ただいまー。いい匂いがするな」
玄関を開けると台所にはエプロンをした名前の姿。
カレーを作ってくれていたのはやはり彼女だった。
「ごめんなさい、勝手にお料理してしまって……」
どうやら彼女はお腹が減ったという弟たちにカレーを作ってくれていたらしい。
「いや、構わない。弟たちの為に、ありがとう」
材料費を支払うという俺の申し出を彼女は断った。
「私もバルトくんニケルくんと一緒にご飯食べたいので、それでチャラという事で」
彼女と一緒に夕食を摂れると聞いた弟2人は大喜びだった。
……専門学校へ通っているという彼女は倹約家であり、材料費を抑えつつ満足感も得られる工夫された料理をいくつか教えてくれて、俺は勉強になると感心していた。
今回作ってくれたカレーも、ひと工夫加えられたものである。
少し窮屈であるが、みんなでひとつのテーブルを囲み、名前が作ってくれたカレーを美味しく頂いた。
普段と違い名前が加わった夕食を楽しんでいる弟たちの笑顔に、自然とオレも笑顔になった。
オレが後片付けに席を立つ前にテキパキと片付けを始める彼女。
私がやりますと彼女は言うが、食事を作ってもらった挙句に片付けまでさせるわけにいかない。
狭いキッチンだが、彼女の隣に立ち、たわいもない話をしながら一緒に食器を片付けるのが何だか楽しかった。
片付けを終えると、長居しすぎてしまったと帰り支度を始める彼女。
そんな彼女に向かって、ニケルが名案を思いついたとばかりにキラキラとした笑顔で言った。
「おねぇちゃん、今日おうちに泊まっていってよ!」
「いいね!おねぇちゃん、そうしなよ!」
弟たちは盛り上がっているが、流石にそれはちょっと……
これを機に、女性に対するマナーというのだろうか?男同士とは違うのだという事を教えておいてもいいかもしれない。
「こらこら、わがままはダメだぞ。オレたち男と違って女の人というのは何かと大変なんだ。その内バルトとニケルにもわかるようになるだろうが……お姉ちゃんが困るのは2人とも嫌だろう?」
2人とも彼女を困らせたくはないようで、残念そうにしながらも素直に聞き入れてくれた。
弟たちには歯磨きを済ませておくよう伝え、彼女を送る為、2人でアパートを出た。
「いつも2人のわがままに付き合わせてすまない。いつも本当にありがとう」
「……迷惑じゃなかったですか?それなら私も嬉しいです。バルトくんニケルくんも喜んでくれたし」
2人は彼女にとても懐いている。
オレの留守が多いからやはり寂しい思いをさせてしまっているからだろう。
彼女のお陰で2人が楽しく過ごせている事に感謝していると同時に、兄であるオレが弟たちのいちばんになれなくてどうすると、兄として情けないとも感じていた。
そんな感情を、ついポロリと吐き出してしまった。
「オレは兄として情けないな……オレがしっかりしないから、いつも寂しい思いをしている弟たちはつい君にわがままを言ってしまうのだと思う……」
「情けないなんて思わないでください。チタンさんの姿を見て、私も頑張れてる事、あるんですよ?2人ともいつも喜んでくれるし、チタンさんの役にも立ててるなら嬉しさも倍です。ひとりで何でもやろうとしないで、頼ってください。できる時は協力したいです」
そこまで言ってもらえるなんて、正直思っていなかった。
「でも私、やり過ぎてしまう事があるから……だから、迷惑だったら迷惑と言ってくださいね」
最後に付け足した言葉にも、彼女の優しい気遣いを感じるのだった。
「もうここで大丈夫」
「そうか、家まで送れなくてすまないが、気をつけて……」
今日はここでもう彼女とサヨナラだ。
……名残惜しいと思える程に、いつの間にか彼女はオレの心の中にいた。
弟たちが会いたいと言うので、だいたいオレの方から彼女に連絡する事が多かったが。
普段寂しい思いをさせている弟たちの望みはなるべく叶えてやりたいと思っている俺は、毎回毎回弟たちの遊び相手になってもらうばかりで彼女には悪いなと思いつつ連絡を取る。
迷惑なら遠慮なく言ってほしいと重ねて伝えるのだが、彼女は都合の合う日に来てくれた。
そのうち自然と、俺抜きでも彼女と弟たちは俺たちの家で過ごすようになっていった。
何度も一緒に過ごすうちに彼女を信頼するようになっていた俺は、まだ幼い弟たちと大人の彼女が一緒に居てくれるのは安心だった。
そんな日常を送っていたある日。
スーパーに立ち寄り食材を買って帰宅する俺のもとに、カレーのいい匂いが漂ってきた。アパートの階段を上がり部屋へと向かう。
どうやらカレーの香りは自宅からのもののようだ。
「ただいまー。いい匂いがするな」
玄関を開けると台所にはエプロンをした名前の姿。
カレーを作ってくれていたのはやはり彼女だった。
「ごめんなさい、勝手にお料理してしまって……」
どうやら彼女はお腹が減ったという弟たちにカレーを作ってくれていたらしい。
「いや、構わない。弟たちの為に、ありがとう」
材料費を支払うという俺の申し出を彼女は断った。
「私もバルトくんニケルくんと一緒にご飯食べたいので、それでチャラという事で」
彼女と一緒に夕食を摂れると聞いた弟2人は大喜びだった。
……専門学校へ通っているという彼女は倹約家であり、材料費を抑えつつ満足感も得られる工夫された料理をいくつか教えてくれて、俺は勉強になると感心していた。
今回作ってくれたカレーも、ひと工夫加えられたものである。
少し窮屈であるが、みんなでひとつのテーブルを囲み、名前が作ってくれたカレーを美味しく頂いた。
普段と違い名前が加わった夕食を楽しんでいる弟たちの笑顔に、自然とオレも笑顔になった。
オレが後片付けに席を立つ前にテキパキと片付けを始める彼女。
私がやりますと彼女は言うが、食事を作ってもらった挙句に片付けまでさせるわけにいかない。
狭いキッチンだが、彼女の隣に立ち、たわいもない話をしながら一緒に食器を片付けるのが何だか楽しかった。
片付けを終えると、長居しすぎてしまったと帰り支度を始める彼女。
そんな彼女に向かって、ニケルが名案を思いついたとばかりにキラキラとした笑顔で言った。
「おねぇちゃん、今日おうちに泊まっていってよ!」
「いいね!おねぇちゃん、そうしなよ!」
弟たちは盛り上がっているが、流石にそれはちょっと……
これを機に、女性に対するマナーというのだろうか?男同士とは違うのだという事を教えておいてもいいかもしれない。
「こらこら、わがままはダメだぞ。オレたち男と違って女の人というのは何かと大変なんだ。その内バルトとニケルにもわかるようになるだろうが……お姉ちゃんが困るのは2人とも嫌だろう?」
2人とも彼女を困らせたくはないようで、残念そうにしながらも素直に聞き入れてくれた。
弟たちには歯磨きを済ませておくよう伝え、彼女を送る為、2人でアパートを出た。
「いつも2人のわがままに付き合わせてすまない。いつも本当にありがとう」
「……迷惑じゃなかったですか?それなら私も嬉しいです。バルトくんニケルくんも喜んでくれたし」
2人は彼女にとても懐いている。
オレの留守が多いからやはり寂しい思いをさせてしまっているからだろう。
彼女のお陰で2人が楽しく過ごせている事に感謝していると同時に、兄であるオレが弟たちのいちばんになれなくてどうすると、兄として情けないとも感じていた。
そんな感情を、ついポロリと吐き出してしまった。
「オレは兄として情けないな……オレがしっかりしないから、いつも寂しい思いをしている弟たちはつい君にわがままを言ってしまうのだと思う……」
「情けないなんて思わないでください。チタンさんの姿を見て、私も頑張れてる事、あるんですよ?2人ともいつも喜んでくれるし、チタンさんの役にも立ててるなら嬉しさも倍です。ひとりで何でもやろうとしないで、頼ってください。できる時は協力したいです」
そこまで言ってもらえるなんて、正直思っていなかった。
「でも私、やり過ぎてしまう事があるから……だから、迷惑だったら迷惑と言ってくださいね」
最後に付け足した言葉にも、彼女の優しい気遣いを感じるのだった。
「もうここで大丈夫」
「そうか、家まで送れなくてすまないが、気をつけて……」
今日はここでもう彼女とサヨナラだ。
……名残惜しいと思える程に、いつの間にか彼女はオレの心の中にいた。