皆守 甲太郎
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「皆上くん、またサボり?」
校舎の屋上でひとり静かな時間を過ごしていた俺に話しかけてきたのは、同じクラスの苗字。
「そう言うお前は何でここに来たんだよ?」
「え?昼寝」
「結局お前もサボりかよ。勝手にすりゃいいが、俺の昼寝の邪魔はするなよ」
「皆上くんこそ私の邪魔しないでよね。きのう夜更かしした今の私は、絶対皆上くんより眠たいんだから」
「何だよそれ」
相変わらず訳のわからん理論だ。
人の昼寝を邪魔する趣味なんてない俺は、苗字に言われるまでもなく、自分の為に有意義な時間として費やすつもりだ。
俺は口に咥えていたアロマを外し、両腕を枕にして仰向けに目を閉じる。
すると、隣…と言ってもそこそこ間隔を開けたところだが、苗字が寝そべる気配がして、思わず昼寝の体勢から体を起こす。
「お、おい!お前、そんな格好で本当に昼寝する気なのか?」
苗字は既に制服姿、すなわち、上はいいとして下はスカートで、自分の腕を枕にするようにして、俺に背を向けて横向きに寝そべっていた。
苗字は面倒くさそうに体を起こし、俺に向き直る。
「そんな格好って?」
「制服のスカートのまんま寝ようとするなって事だ」
「何それ?男女差別?皆守くんだって制服じゃない」
「俺が言ってるのはそういう事じゃなくて、自分の身は自分で守れって事だ」
言っている事が通じてないとわかった俺は、制服の上着を脱いで、苗字へ向けて放り投げた。
それを体に掛けろという意味を込めて。
「昼寝するならそれ使えよ」
無頓着過ぎる苗字に、俺は若干腹を立てている。
すっかり昼寝をする気分ではなくなっていたが、昼寝をします!という態度をわざとらしいくらいに見せつけ、目を閉じる。
これ以上会話する気はないという俺の意志表示だ。
だが苗字は、そんな事はお構いなしに話しかけてくる。
「あぁ、そっか。心配してくれてありがとう。でも、皆守くんが風邪ひいちゃう。スカートの中はちゃんと対策してあるから大丈夫」
むくりと上体を起こした俺は、苗字に詰め寄らん勢いで言った。
「そうだとしてもだ。お前が図太い神経の持ち主なのは知ってるが、女としての意識をしっかり待て。……何もお前に限った事じゃないけどな」
つい本気になって説教くさくなってしまった事に気づいた俺は、苗字だけの話じゃないとフォローを入れる。
肝心な苗字は気にしていないのに、本人以上に敏感になっている俺を無かった事にしたいと願う自分自身へのフォローでもある。
もう昼寝をする気もなければ、引き続きここで苗字と一緒に過ごす気もない俺は、これからどうしようかと考えながらアロマパイプを口に咥えた。
「私、保健室に行ってみるね。寝不足だから1時間だけ寝かせてって正直に言ったら、劉先生なら大目に見てくれそうだし」
そう言いながら立ち上がった苗字は、さっき俺が放り投げた制服の上着を差し出してきた。
「いつも面倒みてくれてありがとう、皆守くん。私がガサツなのは自分でわかってはいるつもりなんだけど……これからは気をつけるね」
「あ、ああ。そうだな……」
珍しく聞き分けのいい苗字に戸惑いつつ俺が上着を受け取ると、苗字は屋上を出て行った。
俺の言いたい事が伝わったのは嬉しいんだが……
何か調子狂うな……そう思うのは、俺のわがままだ。
……もう考えるのはやめよう。
面倒な事は嫌いだ。
とっくに眠気も覚めて何もする事がない俺は、自分の中の面倒事から逃げるように、仕方なく教室へ向かうのだった。
校舎の屋上でひとり静かな時間を過ごしていた俺に話しかけてきたのは、同じクラスの苗字。
「そう言うお前は何でここに来たんだよ?」
「え?昼寝」
「結局お前もサボりかよ。勝手にすりゃいいが、俺の昼寝の邪魔はするなよ」
「皆上くんこそ私の邪魔しないでよね。きのう夜更かしした今の私は、絶対皆上くんより眠たいんだから」
「何だよそれ」
相変わらず訳のわからん理論だ。
人の昼寝を邪魔する趣味なんてない俺は、苗字に言われるまでもなく、自分の為に有意義な時間として費やすつもりだ。
俺は口に咥えていたアロマを外し、両腕を枕にして仰向けに目を閉じる。
すると、隣…と言ってもそこそこ間隔を開けたところだが、苗字が寝そべる気配がして、思わず昼寝の体勢から体を起こす。
「お、おい!お前、そんな格好で本当に昼寝する気なのか?」
苗字は既に制服姿、すなわち、上はいいとして下はスカートで、自分の腕を枕にするようにして、俺に背を向けて横向きに寝そべっていた。
苗字は面倒くさそうに体を起こし、俺に向き直る。
「そんな格好って?」
「制服のスカートのまんま寝ようとするなって事だ」
「何それ?男女差別?皆守くんだって制服じゃない」
「俺が言ってるのはそういう事じゃなくて、自分の身は自分で守れって事だ」
言っている事が通じてないとわかった俺は、制服の上着を脱いで、苗字へ向けて放り投げた。
それを体に掛けろという意味を込めて。
「昼寝するならそれ使えよ」
無頓着過ぎる苗字に、俺は若干腹を立てている。
すっかり昼寝をする気分ではなくなっていたが、昼寝をします!という態度をわざとらしいくらいに見せつけ、目を閉じる。
これ以上会話する気はないという俺の意志表示だ。
だが苗字は、そんな事はお構いなしに話しかけてくる。
「あぁ、そっか。心配してくれてありがとう。でも、皆守くんが風邪ひいちゃう。スカートの中はちゃんと対策してあるから大丈夫」
むくりと上体を起こした俺は、苗字に詰め寄らん勢いで言った。
「そうだとしてもだ。お前が図太い神経の持ち主なのは知ってるが、女としての意識をしっかり待て。……何もお前に限った事じゃないけどな」
つい本気になって説教くさくなってしまった事に気づいた俺は、苗字だけの話じゃないとフォローを入れる。
肝心な苗字は気にしていないのに、本人以上に敏感になっている俺を無かった事にしたいと願う自分自身へのフォローでもある。
もう昼寝をする気もなければ、引き続きここで苗字と一緒に過ごす気もない俺は、これからどうしようかと考えながらアロマパイプを口に咥えた。
「私、保健室に行ってみるね。寝不足だから1時間だけ寝かせてって正直に言ったら、劉先生なら大目に見てくれそうだし」
そう言いながら立ち上がった苗字は、さっき俺が放り投げた制服の上着を差し出してきた。
「いつも面倒みてくれてありがとう、皆守くん。私がガサツなのは自分でわかってはいるつもりなんだけど……これからは気をつけるね」
「あ、ああ。そうだな……」
珍しく聞き分けのいい苗字に戸惑いつつ俺が上着を受け取ると、苗字は屋上を出て行った。
俺の言いたい事が伝わったのは嬉しいんだが……
何か調子狂うな……そう思うのは、俺のわがままだ。
……もう考えるのはやめよう。
面倒な事は嫌いだ。
とっくに眠気も覚めて何もする事がない俺は、自分の中の面倒事から逃げるように、仕方なく教室へ向かうのだった。
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