第十七話
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銀さんの記憶喪失事件も無事に解決し、私は私でずっと答えが分からなかった自分の気持ちに気づくことが出来て、勢いに任せて伝えてしまったら、それが思いのほか通じてしまったのはまだ記憶の新しい…昨日のことだ。
しかしこれでめでたしめでたし、というワケにはいかず、四人で笑顔で肩を並べて帰ってきた万事屋を見て、なんともいえぬ静寂が流れたのも、昨日の事だ。
色々あったからすっかり忘れていた……万事屋が、坂本さんの宇宙船によってほぼ半壊にされてしまっていたことを。
というワケでその日の晩は、みんな揃って志村家にお邪魔して寝床をお借りし、そうして翌日。
朝からカンカン!と元気のいい金槌の音やドリル音を響かせながら、私達は万事屋の修復作業に勤しんでいた。
のだけれど。
(神)「あっ……」
ドスッ…という少し鈍い音に振り返れば、神楽ちゃんは真っ赤に晴れ上がった親指を見て固まっていて…どうやら、金槌で自分の指を打ってしまったらしく。
(神)「うわああああああああああああっ!!」
遅れてやってきた痛みに、悲鳴をあげながら暴れる神楽ちゃんは万事屋の壁や無事だった柱を蹴りまくり、店の破壊に拍車をかける。
………もう、この光景も本日何度目かしれないけれど。
とは言え、私も人の事を言ってられない。
少しずつ慣れてきたとは言え、こういう大工さんのような作業は初めてだ。手際は良くないから、足を引っ張らないように頑張って手を動かさなきゃ。
そんな私をよそに、銀さんは流石万事屋の社長だ。慣れた手つきで次々に木材をカットしている。
新八君も数度は依頼でこういった作業をやっているからか、こちらも迷うことない手さばきで作業をしている。
とかそんなことを考えていたからか。
(あ)「……いたっ!」
急に襲ってきたチクリとした痛みに思わず声をあげてしまい、指を見れば木材のささくれが刺さってしまっていた。
(銀)「音莉!? 大丈夫か!?」
思わず出してしまった声に、銀さんが飛んできた。
集中していた手を止めてしまって、少し申し訳ない。
(あ)「ご、ごめんなさい。ビックリしちゃっただけで、これくらい大丈夫で…」
しかし私が言い終わる前に、銀さんが私の手をとってささくれをひょいととった後……気が付けば少し血のにじんだその指は、銀さんに咥えられていて。
(あ)「え、ちょ…っと、銀さん、何して……」
あまり男性にも触れられたことがないばかりに…一気に顔に熱が集中しちゃって、心臓が破れそうなほどバクバク音を立てて。
(銀)「……よし、これで大丈夫っと」
そう言った銀さんは満足げだったけど、私は恥ずかしさでいっぱいで穴があったら入りたいくらいだ。
お付き合いをしてまだ一日も経ってないのに…そういや昨晩の銀さんも、お風呂上りずっとべったりくっついて距離が近かった気がするけど、恋人というのはこういうものなのでしょうか。
とにもかくにも、こんなペースでこんなことばっかりされてちゃ。
(あ)「わ、私は全然大丈夫じゃないです……」
本当に心臓に悪い。いつか本当にドキドキで死んじゃうんじゃないかってくらいには。
(銀)「なーに、照れちゃって。音莉ちゃんったら、カッワイイ~」
恥ずかしさでキャパオーバーな私をよそに、真っ赤に火照った私の頬を満面の笑みを浮かべながら銀さんがチョンチョンつついてくる。
(新)「ねェ銀さん…」
(銀)「……チッ、なんだよ。音莉とのイチャイチャを邪魔すんなよ」
(新)「……ようやくで嬉しいのは分かりますけど、それよりも今は日常の安寧を取り戻すために手を動かしてください」
(銀)「は? 別にはしゃいでねーし、浮かれてねーし、心の中でお祭り騒ぎしてるとか誰も言ってねーし」
(新)「誰も聞いてませんよ、そんなの」
(あ)「え、お祭り騒ぎ…?」
……どういうことだろう?
(新)「ていうか僕ら、万事屋を直してるんですよね? 指と家を破壊する音ばかり聞こえてくるんですけど」
(銀)「創造と破壊は表裏一体だよ、新八君」
そう言いながら銀さんは渋々作業に戻っていき、私もようやく深呼吸して心臓のバクバクを落ち着かせてから、作業に集中する。
(新)「いつまで経っても創造が始まらないんですけど。やっぱ無理だ、素人が大工なんて出来るワケない」
(銀)「バカヤロー、お前。最近の大工の中には欠陥住宅とか作ってるロクでもねェ奴だっているんだぞ」
(新)「欠陥人間が作るよりマシだ、バカヤロー」
(銀)「仕方ねーだろ。大工雇うにも金なんてねーんだからよォ。それともアレか? ババアに追い出されてもいいのか? 大体てめーも万事屋の端くれならこれ位器用にこなせバカヤ…だああああっ!!」
(あ)「え、ちょっと! 銀さん!?」
銀さんの悲鳴に振り返れば、どうやらノコギリで自分の足を一緒に切ってしまったらしく、血が噴き出しており。
痛みと共に木材を蹴り飛ばしてしまう。
(新)「ダメだこりゃ…」
(神)「銀ちゃん、こうなったらコレヨ!」
と言って神楽ちゃんが取りだしたのは、まさかのチェーンソー。
(新)「いや待って、神楽ちゃん!」
止める新八君をよそに、チェーンソーの紐を引けば、ブルルンとスイッチが入る。
(神)「おぉぉ…ぉぉ…ぉぉ」
そのチェーンソーのエンジンの勢いにしょっぱなから神楽ちゃんの身体が左右に引っ張られており。
(あ)「なんかすっごい嫌な予感が…」
(神)「うおおおおおおお!」
……その嫌な予感は的中。
チェーンソーの振動に耐え切れず、神楽ちゃんを引っ張りながらチェーンソーは一人で勝手に自暴自棄に動き出し。
まるで犬の散歩中、犬がご主人をさしおいて先に走っていくかのように、チェーンソーは神楽ちゃんを道連れにまずは万事屋の床を切り裂いていく。
(新)「オオオオイ! やめろって!」
(神)「だってこの子、反抗期みたいヨ! こらポチ太、言うこと聞けヨ!」
そしてチェーンソーが方向転換し、今度は私達の方へ向かってくる。
(銀)「オイィィィィィィ!!」
(あ)「な、なんでこうなるのよおおおおおおお!」
(新)「神楽ちゃん止めて! 死ぬ……死ぬ!スイッチ、早く止めて!!」
必死に逃げ回る私達だったが、チェーンソーは相変わらず床を切り裂きながらこちらへと向かってくる。
(神)「ダメヨ! 私、反抗期の子扱うの初めてネ! お前はチェンソーマンにはなれないって言ったのがダメだったアルか!?」
(新)「使い方わかんねーなら最初から使うなァァァァァァァァ!!」
すると新八君が床に落ちていた木の板に躓き、ドスンと転んでしまった。
(あ)「し、新八君!」
無情にもチェーンソーは止まることなく、新八君めがけて猛スピードで迫ってくる。
(新)「あああああああああああああっ!」
(銀)「このォォォォォォォ!!」
銀さんがどこから持ってきたのか、『100t』と書かれたハンマーを新八君に向かって振り落とす。
その衝撃で神楽ちゃんはチェーンソーごと吹き飛び、新八君は間一髪の所で回避成功。
しかしハンマーを振り下ろしたところにはまた新たに穴が開いてしまった。
(銀)「クソッ!」
(新)「クソッ、じゃねーよ! アンタ僕を壊してどうするんだよ!」
(銀)「心配するな。人は古い自分を壊して新しい自分探しに出るんだ」
(新)「出るか! これじゃあ違う世界に旅立つわボケェェェェェェ!!」
しかしなおも神楽ちゃんを引きずり回すチェーンソーは暴走を止めず、再びこちらに向かってくる。
(あ)「ど、どうしましょう! このままじゃ…」
(銀)「神楽ァァァァァ、じっとしてろォォォォォォォ!!」
(神)「おうよ!」
と次の瞬間、銀さんのハンマーと神楽ちゃんのチェーンソーが正面からぶつかり合い、ドォォォォォォォォォン!!と衝撃音が響き渡った。
しかし辺りには先ほどよりも木材の破片が転がっており、床も壁も傷が増えてしまっていて。
(銀)「うし、止まったぞ」
(神)「一件落着ネ」
(新)「いや、落着してないから! 前よりヒドくなってるから!」
(あ)「私、これ一生かかっても修復終わらない気がします…」
……このままじゃ本当に、万事屋に住めなくなっちゃうんじゃ。
(銀)「なーに、音莉ちゃん。そんなに早く直したいワケ?」
銀さんがニヤニヤしながら聞いてくる。
(あ)「そりゃあ、一応ここが家でもあるし。それにいつまでも志村家にお世話になってたら迷惑じゃないですか」
(銀)「またまた、照れちゃって。本当は違うくせに」
(あ)「えっ、違う…とは?」
(銀)「だって早く万事屋が直んねーと、銀さんとあはーんやうふーんな夜が過ごせな……」
バコッ!!
(銀)「げふっ!」
(新)「オメーはいい加減にしろ、このセクハラ大魔王が」
(銀)「男はいつだって惚れた女の前じゃ全てをさらけ出すって決めてんだ。俺のスリーサイズも、貯金も、下心も全てな!」
(あ)「いえ、スリーサイズなんて興味ありませんし、貯金も……ないですよね、別に」
(銀)「ヒドイッ! 恋人なりたてほやほやの彼ぴっぴに対して辛辣、音莉ちゃんっ!」
(新)「いえ、音莉さんがごもっともですよ」
(神)「音莉、本当にいいアルか。こんな今どき『彼ぴっぴ』とか使うワードセンスのないオッさんで」
(あ)「あ、はは……」
……なんだろう、そういわれると苦笑いしかできない。
その時。
「ピンポーン、ピンポーン」
その声に玄関口を見れば、インターホンがないが故に口頭でインターホンを再現していた宅配便の方が荷物を手に立っていて。
「ピンポーン、お届けものでーす」
しかしこれでめでたしめでたし、というワケにはいかず、四人で笑顔で肩を並べて帰ってきた万事屋を見て、なんともいえぬ静寂が流れたのも、昨日の事だ。
色々あったからすっかり忘れていた……万事屋が、坂本さんの宇宙船によってほぼ半壊にされてしまっていたことを。
というワケでその日の晩は、みんな揃って志村家にお邪魔して寝床をお借りし、そうして翌日。
朝からカンカン!と元気のいい金槌の音やドリル音を響かせながら、私達は万事屋の修復作業に勤しんでいた。
のだけれど。
(神)「あっ……」
ドスッ…という少し鈍い音に振り返れば、神楽ちゃんは真っ赤に晴れ上がった親指を見て固まっていて…どうやら、金槌で自分の指を打ってしまったらしく。
(神)「うわああああああああああああっ!!」
遅れてやってきた痛みに、悲鳴をあげながら暴れる神楽ちゃんは万事屋の壁や無事だった柱を蹴りまくり、店の破壊に拍車をかける。
………もう、この光景も本日何度目かしれないけれど。
とは言え、私も人の事を言ってられない。
少しずつ慣れてきたとは言え、こういう大工さんのような作業は初めてだ。手際は良くないから、足を引っ張らないように頑張って手を動かさなきゃ。
そんな私をよそに、銀さんは流石万事屋の社長だ。慣れた手つきで次々に木材をカットしている。
新八君も数度は依頼でこういった作業をやっているからか、こちらも迷うことない手さばきで作業をしている。
とかそんなことを考えていたからか。
(あ)「……いたっ!」
急に襲ってきたチクリとした痛みに思わず声をあげてしまい、指を見れば木材のささくれが刺さってしまっていた。
(銀)「音莉!? 大丈夫か!?」
思わず出してしまった声に、銀さんが飛んできた。
集中していた手を止めてしまって、少し申し訳ない。
(あ)「ご、ごめんなさい。ビックリしちゃっただけで、これくらい大丈夫で…」
しかし私が言い終わる前に、銀さんが私の手をとってささくれをひょいととった後……気が付けば少し血のにじんだその指は、銀さんに咥えられていて。
(あ)「え、ちょ…っと、銀さん、何して……」
あまり男性にも触れられたことがないばかりに…一気に顔に熱が集中しちゃって、心臓が破れそうなほどバクバク音を立てて。
(銀)「……よし、これで大丈夫っと」
そう言った銀さんは満足げだったけど、私は恥ずかしさでいっぱいで穴があったら入りたいくらいだ。
お付き合いをしてまだ一日も経ってないのに…そういや昨晩の銀さんも、お風呂上りずっとべったりくっついて距離が近かった気がするけど、恋人というのはこういうものなのでしょうか。
とにもかくにも、こんなペースでこんなことばっかりされてちゃ。
(あ)「わ、私は全然大丈夫じゃないです……」
本当に心臓に悪い。いつか本当にドキドキで死んじゃうんじゃないかってくらいには。
(銀)「なーに、照れちゃって。音莉ちゃんったら、カッワイイ~」
恥ずかしさでキャパオーバーな私をよそに、真っ赤に火照った私の頬を満面の笑みを浮かべながら銀さんがチョンチョンつついてくる。
(新)「ねェ銀さん…」
(銀)「……チッ、なんだよ。音莉とのイチャイチャを邪魔すんなよ」
(新)「……ようやくで嬉しいのは分かりますけど、それよりも今は日常の安寧を取り戻すために手を動かしてください」
(銀)「は? 別にはしゃいでねーし、浮かれてねーし、心の中でお祭り騒ぎしてるとか誰も言ってねーし」
(新)「誰も聞いてませんよ、そんなの」
(あ)「え、お祭り騒ぎ…?」
……どういうことだろう?
(新)「ていうか僕ら、万事屋を直してるんですよね? 指と家を破壊する音ばかり聞こえてくるんですけど」
(銀)「創造と破壊は表裏一体だよ、新八君」
そう言いながら銀さんは渋々作業に戻っていき、私もようやく深呼吸して心臓のバクバクを落ち着かせてから、作業に集中する。
(新)「いつまで経っても創造が始まらないんですけど。やっぱ無理だ、素人が大工なんて出来るワケない」
(銀)「バカヤロー、お前。最近の大工の中には欠陥住宅とか作ってるロクでもねェ奴だっているんだぞ」
(新)「欠陥人間が作るよりマシだ、バカヤロー」
(銀)「仕方ねーだろ。大工雇うにも金なんてねーんだからよォ。それともアレか? ババアに追い出されてもいいのか? 大体てめーも万事屋の端くれならこれ位器用にこなせバカヤ…だああああっ!!」
(あ)「え、ちょっと! 銀さん!?」
銀さんの悲鳴に振り返れば、どうやらノコギリで自分の足を一緒に切ってしまったらしく、血が噴き出しており。
痛みと共に木材を蹴り飛ばしてしまう。
(新)「ダメだこりゃ…」
(神)「銀ちゃん、こうなったらコレヨ!」
と言って神楽ちゃんが取りだしたのは、まさかのチェーンソー。
(新)「いや待って、神楽ちゃん!」
止める新八君をよそに、チェーンソーの紐を引けば、ブルルンとスイッチが入る。
(神)「おぉぉ…ぉぉ…ぉぉ」
そのチェーンソーのエンジンの勢いにしょっぱなから神楽ちゃんの身体が左右に引っ張られており。
(あ)「なんかすっごい嫌な予感が…」
(神)「うおおおおおおお!」
……その嫌な予感は的中。
チェーンソーの振動に耐え切れず、神楽ちゃんを引っ張りながらチェーンソーは一人で勝手に自暴自棄に動き出し。
まるで犬の散歩中、犬がご主人をさしおいて先に走っていくかのように、チェーンソーは神楽ちゃんを道連れにまずは万事屋の床を切り裂いていく。
(新)「オオオオイ! やめろって!」
(神)「だってこの子、反抗期みたいヨ! こらポチ太、言うこと聞けヨ!」
そしてチェーンソーが方向転換し、今度は私達の方へ向かってくる。
(銀)「オイィィィィィィ!!」
(あ)「な、なんでこうなるのよおおおおおおお!」
(新)「神楽ちゃん止めて! 死ぬ……死ぬ!スイッチ、早く止めて!!」
必死に逃げ回る私達だったが、チェーンソーは相変わらず床を切り裂きながらこちらへと向かってくる。
(神)「ダメヨ! 私、反抗期の子扱うの初めてネ! お前はチェンソーマンにはなれないって言ったのがダメだったアルか!?」
(新)「使い方わかんねーなら最初から使うなァァァァァァァァ!!」
すると新八君が床に落ちていた木の板に躓き、ドスンと転んでしまった。
(あ)「し、新八君!」
無情にもチェーンソーは止まることなく、新八君めがけて猛スピードで迫ってくる。
(新)「あああああああああああああっ!」
(銀)「このォォォォォォォ!!」
銀さんがどこから持ってきたのか、『100t』と書かれたハンマーを新八君に向かって振り落とす。
その衝撃で神楽ちゃんはチェーンソーごと吹き飛び、新八君は間一髪の所で回避成功。
しかしハンマーを振り下ろしたところにはまた新たに穴が開いてしまった。
(銀)「クソッ!」
(新)「クソッ、じゃねーよ! アンタ僕を壊してどうするんだよ!」
(銀)「心配するな。人は古い自分を壊して新しい自分探しに出るんだ」
(新)「出るか! これじゃあ違う世界に旅立つわボケェェェェェェ!!」
しかしなおも神楽ちゃんを引きずり回すチェーンソーは暴走を止めず、再びこちらに向かってくる。
(あ)「ど、どうしましょう! このままじゃ…」
(銀)「神楽ァァァァァ、じっとしてろォォォォォォォ!!」
(神)「おうよ!」
と次の瞬間、銀さんのハンマーと神楽ちゃんのチェーンソーが正面からぶつかり合い、ドォォォォォォォォォン!!と衝撃音が響き渡った。
しかし辺りには先ほどよりも木材の破片が転がっており、床も壁も傷が増えてしまっていて。
(銀)「うし、止まったぞ」
(神)「一件落着ネ」
(新)「いや、落着してないから! 前よりヒドくなってるから!」
(あ)「私、これ一生かかっても修復終わらない気がします…」
……このままじゃ本当に、万事屋に住めなくなっちゃうんじゃ。
(銀)「なーに、音莉ちゃん。そんなに早く直したいワケ?」
銀さんがニヤニヤしながら聞いてくる。
(あ)「そりゃあ、一応ここが家でもあるし。それにいつまでも志村家にお世話になってたら迷惑じゃないですか」
(銀)「またまた、照れちゃって。本当は違うくせに」
(あ)「えっ、違う…とは?」
(銀)「だって早く万事屋が直んねーと、銀さんとあはーんやうふーんな夜が過ごせな……」
バコッ!!
(銀)「げふっ!」
(新)「オメーはいい加減にしろ、このセクハラ大魔王が」
(銀)「男はいつだって惚れた女の前じゃ全てをさらけ出すって決めてんだ。俺のスリーサイズも、貯金も、下心も全てな!」
(あ)「いえ、スリーサイズなんて興味ありませんし、貯金も……ないですよね、別に」
(銀)「ヒドイッ! 恋人なりたてほやほやの彼ぴっぴに対して辛辣、音莉ちゃんっ!」
(新)「いえ、音莉さんがごもっともですよ」
(神)「音莉、本当にいいアルか。こんな今どき『彼ぴっぴ』とか使うワードセンスのないオッさんで」
(あ)「あ、はは……」
……なんだろう、そういわれると苦笑いしかできない。
その時。
「ピンポーン、ピンポーン」
その声に玄関口を見れば、インターホンがないが故に口頭でインターホンを再現していた宅配便の方が荷物を手に立っていて。
「ピンポーン、お届けものでーす」
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