第六話
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(銀)「っていう前回までの話が、記憶を失くした歌姫最終回までにあった話なんだよな」
(あ)「いや、急になんの解説ですか…」
みなさん、こんにちは。音莉です。
えっと、まあどういう事なのか説明しますとですね。
前回までのお話は銀さんの言う通り、記憶を失くした歌姫最終回で結婚したっていう…あの描写の前までのお話で、今回からはその最終回の後のお話になるという事なんです。
それでですね、最終回で依頼に遅れるって急いでたのを覚えてますか?
……その依頼をなんとか無事に終えた日の夜なんですよね、今。
そして現在地は万事屋……ではなく、一階のスナックお登勢だ。
珍しくお登勢さんから「飲みにこないかい?」とお声をかけていただいたのだ。
銀さんは絶対家賃を迫られるって最初は拒否してたけどね。
ちなみに新八君は、今日はお妙さんが早番で帰ってくるからと少し前に帰り、神楽ちゃんはタダメシだとはしゃぎながらここで爆食した後、満足して眠くなったらしく、先に万事屋に戻った。
今は他のお客さんの声でにぎわう声を背に受けながら、銀さんとカウンターに二人で並んで座っていた。
ご存じの通り、お酒が飲めない私は銀さんの御酌役だ。
そうして他愛のない話をお登勢さんを交えてしていた時、ふとお登勢さんがこんな事を口にした。
(登)「そういやアンタ達、式はあげないのかい」
(銀)「いや、挙げてーのは山々なんだけどさ? 音莉の晴れ姿見たいし。けど……」
と、銀さんが歯切れ悪そうに目を背けた。
その理由を、別に直接聞いたワケではないんだけれども、なんとなく分かっているから…なんとかフォロー出来そうな言葉を探す。
(あ)「ま、まあ…結婚してすぐにしないといけないものでもないですし、したいと思った時にすればいいんじゃないかと……」
…………探していたんだけど。
(登)「……金がないのかい」
(銀&あ)「「………」」
お登勢さんに図星を突かれて、思わず二人して黙ってしまった。
(銀)「い、いや…ほら、あの……貯金はしてたんだよ? 一応。でもほら、色々あってさ…」
(あ)「色々ありましたね……」
一応銀さんは本当に式を挙げられるようにって貯蓄はしてたみたいなんだけど…というかその半分以上は本来は家賃として払うハズのお金だったんだけど。
けどほら、最終回の時に万事屋大分壊されちゃったから、その修繕費に消えたというかなんというか……。
(登)「……全く、仕方のない野郎だよ。本当にこんな男でいいのかい? 音莉」
(あ)「ま、まあ………あ、や、家賃のことなら私がなんとかしますから! 私が続けてた依頼もようやくまた再開できましたし……」
(銀)「……ごめん、音莉。多分フォローしようとしてくれてんだろうけど、逆に俺が惨めになってるわ、それ」
(あ)「え……」
お登勢さんの方を見てみれば、さらに呆れた表情になっており、それから再び溜息をつかれてしまった。
(あ)「あ、いや! え、えっと…そ、そういう事ではなくてですね……」
(登)「はぁ…まあそんな事だろうと思ってさ。知り合いのツテに頼んでおいたよ」
(銀&あ)「「ツテ…?」」
(あ)「なんの……ですか?」
(登)「アンタ達、明日暇だろ?」
(銀)「まあ依頼はねーけど…」
と銀さんが言えば、「アンタのそういう所だろうが」とお登勢さんの鋭いツッコミが入る。
それからお登勢さんはタバコの煙をふぅ……と吐き出し。
(登)「……やるよ、結婚式。アタシのどうしようもない息子と可愛い娘への、プレゼントさ」
(銀&あ)「「………え?」」
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