第二百二十五話(万事屋復活篇)
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季節外れの桜吹雪が舞う中。
誰もが待ちわびていた、大きく目を見開いた彼…銀時の目に、その姿が次第にはっきりと見えるようになって。
(あ)「もう………ずっと王子様のキスを待ってたのに。あまりにも遅いから……一年半も寝過ごしちゃったじゃないですか、銀さん」
紅桜を手にした一年半経っても変わらない柔らかな笑み…だけどそこに少しだけ大人っぽさを含ませた彼女の姿が映り。
(銀)「音莉…」
(あ)「それにもうずっと離れないでって言ったのに、置いて行こうとするなんて……ひどいじゃないですか」
未だに茫然と立ち尽くす銀時の前に歩み寄って、それから手を差し出して、彼女は最愛の彼を見上げた。
(あ)「銀さん…今度こそ、私を連れてってください。私の大切な人達の…その大切な人を、その手で取り戻す…その力添えをさせてください」
(銀)「音莉………お前」
真剣なまなざしの表情の音莉に、銀時は未だ呆気にとられて動けずにいたが、やがて音莉の手をとって、それからギュッと腕の中におさめた。
(銀)「…ったく、元々とんでもねェと思ってたが、こんな所までついていきたがるなんざ………またより一層いい女になりやがって。これ以上いい女になっちまったら、俺の手にも負えねーぞ」
(あ)「私の恋人が勝手に置いていっちゃう人なんだもの。そうでもしなきゃもう二度と側にいられなくなるかもしれないから。……また同じ事したら、本当に銀さんの手に負えなくなるくらいなっちゃうかもよ」
(銀)「そりゃ困るな」
(あ)「困るなら、もう置いて行かないでください。私は死ぬまで…地獄の果てまで、あなたと一緒です、銀さん」
そんな音莉の言葉に、銀時は困ったような…けれど嬉しさをにじませながら、口角を上げた。
(銀)「……いや、もう負えねーかもしんねーわ、これ。こんな事言い出す女……こんないい女にしちまった責任、とらなきゃいけねーな」
そんな二人を桂は微笑ましく、高杉も口角を上げながら見ており。
(銀)「……やっぱり、デカくなったか」
(あ)「……え? いえ、身長は変わりないハズなんですが」
(銀)「………胸が」
(あ)「………」
(銀)「だってこの一年半、銀さん揉んでないもん! 他にデカくなる要素ないじゃん! 一体眠ってる間にどこのどいつに揉まれ……」
ドゴッ、バゴッ!!
(銀)「あああああああああああああああああああああっ!!」
……青筋を浮かべた音莉に刀で殴られ、拳で殴られ、銀時が思わず悲鳴を上げる。
そうして地面に這いつくばった銀時の頭に音莉は足を乗せて、ターミナルを見据えた。
(あ)「さあ、行きましょう!」
(銀)「ちょ、ちょっと! 銀さん足蹴にして…あ、パンツが…今日は白…………」
ドコッ、バコッドガッ!!
(銀)「ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!」
いつも通り…久しぶりのいつも通りの光景。
セクハラ発言にキレてボコボコに殴る音莉と、殴られている銀時を見て…それでも、やっぱり桂は笑みを浮かべずにはいられない。
(桂)「ふっ……これはまた随分と頼もしくなったな」
(高)「ああ……寝起きでこんだけ暴れてくれるんなら、こっちも安心して暴れられらァ」
高杉のその言葉を聞いていた音莉は、ふと手を止めて……まさか高杉の口からそのような言葉が出るとは思っていなかったのか、何度か瞬きさせて……それから思わず笑ってみせた。
そんな彼女を見てから、高杉はその下で踏まれている銀時を見て……かつて自分達を助けるがためにその手を汚して師の首を斬り……そしてそこから10年経ち、刃を交えたその事を頭によぎらせた。
(高)「この手によって失ったものは、この手によって取り戻す。それが、俺達吉田松陽の弟子ってモンだろ」
ニヤリと笑って、ターミナルの入口へと歩を進めていくと、そこには既に銃を向けて待ち構えている教徒がいた。
「撃っ……」
だがそこに球体が転がってきて…
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
……その球体が爆発を起こし、炎と黒煙に包まれながら教徒達は吹き飛ばされる。
「お、おのれェェェェェェェェェェェェ!!」
かろうじてまぬがれた他の教徒達が黒煙で見えないながらも銃を乱発する。
が、そんな時、四方の四つの排気口にヒビが入り…
(銀)「うらああああああああああっ!!」
三人の男と、一人の女が飛び出してきては、一気に敵を斬っていく。
その教徒の頭上を飛び越えて先へと進もうとするも、背後からは生き残っている教徒達が銃弾を放ってきて、音莉が紅桜と茜火でそれらを弾き返す。
「神おろしの儀を邪魔する邪教徒に、鉄槌を下すのだ!!」
(桂)「神おろし? 不死のバーゲンセールに集ってきただけの連中が、言うではないか」
ここで音莉が急ブレーキをかけ、五本の刀を構える。
紅桜、茜火、藍水、鶯乱……そして、金色を帯びた刀…
それらを一挙に振り上げ…
(あ)「五刀流奥義、金雷鳴ノ轟!!」
そして一瞬…五本の刀がブーメランのように敵上空で乱れ舞い、それらが次々に敵を斬りつけていき……気づいた時には屍が残る中、五本の刀は音莉の手の内に戻ってきていた。
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