第二百四話(洛陽決戦篇)

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名前(デフォルト:音莉〔おとり〕)

~no side~













(高)「(今にも泣き出しそうな空が見えた。どうやら俺は…そこから降ってきたらしい。おぼろげな記憶を探る。俺は仄暗い空が堪えきれなくなって零した…最初の雨か。それとも散々泣き散らして踏み留まろうと溢した、最後の雨か。どちらでもある気がするし、どちらでもない気がする)」


高杉が目を開いた時、目の前に広がっていたのは曇天…ではなく、目を赤くする程泣き腫らしているまた子の表情。


その涙が雨のようになって、ポタリ…ポタリと額へと零れていき、その周りには心配するように囲んでいた…鬼兵隊の仲間達であった。


(高)「(一つだけ確かに言えるのは…もう、雨はごめんだ)」















崖の上に立っていた、蝶柄の着物を着た男…高杉晋助の姿を見て目を見開く銀時、音莉、新八。


そして奈落の男達も動きを止め、高杉の方を見る。


(高)「鬼兵隊に告ぐ。烏共を踏み殺せェェェェェェェェェ!!」


高杉が叫んだと同時に、崖の上から鬼兵隊による岩玉がゴロゴロと転がり落ちてきて、ある者は岩の下敷きに…ある者はまた子の銃の餌食になっていく。


(朧)「殺せェェェェェェェェェェ! あの男を殺せェェェェェェェェ!!」


今度は朧の指示に高杉に向かっていく奈落の男達だったが、襲ってきた男をヒラリとかわして手刀をおみまいし、錫杖を奪い、それで男共を一掃していく。


だが錫杖がもろかったのか…すぐにポキリと折れてしまい、その隙をついて襲い掛かってくる男達。



すると今度は…




(あ)「二刀流奥義、火ノ鳥!!」




バサリッ!!!!




(高)「………!」


……誰かを護らんとする火を灯した鳥…音莉の刀が、烏共を焼き殺す。


そしてまた…高杉を遠くから狙おうとする男達と対峙する音莉


(新)「高杉さん!!」


その間にも定春に乗った新八が高杉の元へ助けに入ろうとするが…




(定)「わうっ!」


…定春の足元に飛んできた錫杖で定春が急停止し、その反動で新八が吹っ飛ばされる。


地面に叩きつけられる新八だったが、その新八を狙って男が二人飛びかかる。


(あ)「新八君!!!」


と、ここで銀時が木刀を投げ、男のうちの一人の脳天にヒットしバタリと倒れ、もう一人の男を体勢を整えた新八が木刀で応戦する。


新八の背後に刺さった木刀に高杉も折れた錫杖を投げ捨てるが、新八は相変わらず劣勢だ。


しかし新八だけではなく、肩を押さえる万斉の方にも二人の男が向かっていく。


(銀&高)「「………!」」



それぞれの仲間のピンチに、高杉が銀時の木刀を手にして新八と対峙していた男に木刀を打ち付け、銀時が高杉が投げた刀を手にし、万斉に向かっていた男を斬り裂いた。






気が付けば銀時と高杉の間には奈落の男達の大きな壁ができ、それぞれがそれぞれの方向へ…たった二人の男を殺すために駆けていく。


(高)「どけよ。てめーらより先に…」


(銀)「挨拶しなきゃいけねェ奴がいる」


そして二人は木刀と刀を構え…


(銀&高)「「そこをどけェェェェェェェェ!!」」




…奈落の壁へと突っ込んでいく。




(あ)「銀さん!! 高杉さん!!」


とその時…







ドッカァァァァァァァァァァァン!!!



とその壁の中心で爆発が起き、男共の動きが止まった。



爆煙の中、刀を向けて現れたのは…


(桂)「そうか。ならば露払いは俺が引き受けよう。握手でも拳(こぶし)でも、存分に交わせ!!」


そしてエリザベスや攘夷党の面々が奈落の方へと突っ込んでいく。



さらに朧が空を見上げると…


(朧)「………!」




空に浮かんでいたのは、快臨丸。


快臨丸を支えていた周りの小型船のチェーンが外れると、范堺との攻防により制御不能状況になっていた快臨丸は半ば墜落するような形で地上に着陸する。


(辰)「ヅラァァァァァァァァ!! 焚きつけるのはよさんか! いつも悪ガキどもの喧嘩止めるわしの身にもなれェェェェェェェェ!!」


(桂)「ならばいっそ俺達も参加すればいい!!」


(辰)「そりゃ名案ぜよ!」


桂も、辰馬達も…それぞれが奈落との戦場へと飛び降りていく。


木刀で敵を叩き斬っていた高杉だったが、その口元には弧を描いていた。




それぞれがどこか攘夷戦争時代に戻ったような豪快さを見せる中、高杉が眼前に捕らえた姿は…白夜叉であった。


(銀)「うらああああああああああああああああああああああああああ!!」


そして双方の刀と木刀がそれぞれの方へと繰り出され…血が噴出する。


その光景を呆気に取られて見ていた音莉、新八、武市達。


高杉が握る木刀、銀時が握る刀からは、血が滴り落ちる。


(高)「銀時、人間って奴ァそう簡単に変わらねーモンらしいな。一遍死んでも十年経っても、どいつもこいつも相も変わらずバカやってやがらァ」


(銀)「へっ…そうでもねーさ。十年前から斬ってた」




……そう、銀時と高杉はそれぞれの背後にいた敵を捕らえていたのだ。


そして互いの武器の持ち手を交換し…


バシュッ!! と一気に斬り裂かれた男達から血が吹き飛ぶ。


(桂)「成程、楽しみは後に。とっておく事を覚えたワケか。立派な大人になったもんだ」


(銀)「ほざきやがれ」






そうして四人は…背中合わせになる。






(あ)「………」



そして彼女は…惚れた男がかつての仲間と集い、また別の表情を見せているのを見て、微笑んだ後…少しだけ複雑そうな表情を見せていた。
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