第百九十九話(洛陽決戦篇)
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~no side~
春雨の元老院もあった旗艦では、虚により師団長が集められていた。…一席空いた、その一つを除いて。
(虚)「元老の皆さんは、不幸な事故により死に絶えました。これであなた達十二師団を縛るものは何もない。あとはお好きにしなさい」
「虚様、我々は今更自由など求めませぬ。春雨が求めるのは自由ではなく統制。我々を導く指導者です!」
「元より閣下と共に元老院と神威を討つと決めた時から、"春雨"の名は捨てる覚悟をしております」
「閣下、どうか我々十二師団を天導衆の麾下にお加えくだ…」
とその時…
(?)「やれやれ、仮にも海賊ともあろうものが統制? 指導者? ルフィの麦わらでも煎じて飲ましてやりてェ」
そんな声と共に、靴音が近づいてくる。
そして奥から現れたのは…
(星)「お前さんら、それでも…宇宙海賊 (かいぞく)か?」
凶悪な笑みを浮かべる、星海坊主であった。
「う、星海坊主!」
(虚)「これはこれは…第七師団を討った 雇われ英雄殿ではありませんか」
(星)「元老の連中も報われねーな。組織を護るため天導衆(あんたら)とはつかず離れずバランスを保ってたってのに。まさか部下共に組織ごと売られちまうとはな。天導衆についていけば、甘い汁がすすれると思ったか? 寧ろ星さえ食いつくす寄生虫に、瞬く間に食い尽くされるぞ」
(虚)「少なくともあなたの報酬を吸い取ったりしませんよ。確かアナタ、元老に旧い知り合いがいて第七師団の始末を頼まれ雇われたのでしたね。雇用主がいなくなってしまいましたが、私が支払いに応じましょう」
(星)「金を貰う程の仕事はしちゃいねーさ。アイツらは既に虫の息だったよ。俺はあんな野暮な喧嘩はしねェ。ありゃあアンタの指示だったワケか」
(虚)「幾ら宇宙一のハンターと言っても、自分の息子を狩るのは簡単ではないと思いましてね。もしかして余計なお世話でしたか?」
(星)「…何もかもご存知ってワケだ。俺ァ今迄反社会的組織の派閥争いになんぞ介入した事はねェ。そんなもんに参加する位なら、まるごと組織を潰した方が早ェ。そんな俺が旧い知り合いとの義理があるとはいえ、なんでてめーら海賊なんぞに手ェ貸したか分かるか?てめーらより先に、あの神威(クソガキ)殺すためだ。あの化物を生み出したのは自分のキンタマだ。だったら、奴を終わらせるのもキンタマぶら下げた俺の役目だ。だから、敢えて言わせてもらおう。神威(アイツ)は誰にも殺させない」
(虚)「つまり星海坊主殿は、息子殿がまだ生きていると?」
(星)「とぼけるねェ。どうせご存知なんだろ?」
星海坊主が思い出すのは、神威と自身が衝突する寸前…突如起こった爆発により戦艦に穴が開き、宇宙空間に吸い込まれないように必死にしがみつく中、振り返ればそこに神威の姿がなかった事。
(星)「アイツはあれくらいでくたばるタマじゃねェと。狩りは…獲物が餌に食いついたまだその段階さ。だが、また余計な横槍入れようってんなら…アンタらもこの星海坊主の獲物になる覚悟をしてこい」
(虚)「………」
(星)「最も、そこの兄ちゃんはもうとっくにその覚悟のようだが…」
と、星海坊主の背後にはいつの間にか朧が立っていた。
(虚)「朧、引きなさい。彼は私達の味方ではないが、敵でもない。息子を前にしても何ら揺らぐ事無く矢をつがえる…ただの狩人です」
(神)「神威(アイツ)は誰にも殺させない」
神楽は一人…傘をさして夜のかぶき町……万事屋銀ちゃんの前へと戻ってきていた。
立ち入り禁止のテープが貼られたその玄関口を、じっと見上げ、独り言のようにそう言葉を吐く神楽。
(銀)「さっさとしろよ! ったく、女ってのはなんでこう支度にかかんだ!」
(新)「まあまあ、女子は男子には分からない色んな支度があるんですよ」
(あ)「そうですよ。女の子はいつだって誰かにオシャレだなとか、可愛いなとか思われたいんですよ、神楽ちゃんの年頃だったら尚更。私も、その…ほら。銀さんに可愛いなって思ってもらいたいし……」
(銀)「いや、お前オシャレしなくても余裕で可愛いんだけど。寝起きで珍しく髪の毛跳ねててもそれすら可愛いんだけど。ていうかオシャレしないでほしいくらいなんだけど、可愛すぎて見れないから。そもそもその発言がまず可愛すぎだろ、オイ!!」
(神)「お待たせアル」
と言いながら出てきた神楽は、服からはち切れてしまう程に膨らんだお腹を携えていた。
(神)「服がどうしても決まらなくて…」
(銀)「決まるか! てめーが決めたのは早弁だろ!? オイ! これのどこが女子だ! お前と音莉が同性だなんて全く考えられねーよ!」
(あ)「か、神楽ちゃんもしかしてお昼ご飯に作ってたの全部食べちゃったの!?」
(神)「美味しかったアル、音莉特性サンドイッチ」
(銀&新)「「てめェェェェェェェクソアマァァァァァァァァァ!!」」
…万事屋でのそんなやり取りを、ふと思い返しては、微笑む神楽。
とその時…
(定)「わん、わんわん!」
スナックお登勢に預けられていた定春が、扉の向こうにいる神楽に気付いたのか、扉をカシカシと叩く。
(登)「どうしたんだい? 定春」
(た)「ひょっとして銀時様達が帰ってきたのでは…」
(キ)「オシッコデショ。アンナ指名手配犯、帰ッテコラレテモ困リマス」
(神)「………」
その声に、神楽が少し…唇を噛んだ。
(キ)「ホラ、イットイデ」
とキャサリンが扉を開けたと同時に定春は外に飛び出すが、そこには誰も…何もなかった。
(定)「くうん…」
と、定春は思わず顔と耳をうなだらせ、寂しそうに小さく鳴いた。
・
・
・
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その後、街をのらりくらりと歩いていた銀時に慌てて新八が声をかけに行き、神楽を探すために街を走り途中で合流した定春と二人と一匹で中を荒らされていた万事屋に戻れば、先に音莉が戻ってきていた。
(あ)「銀さん…!」
慌てた様子の音莉が指す方…元々銀時の社長机だった所には、『休かとどけ』と書かれた届け出の置き手紙が置かれていた。
(銀)「あのバカ…こんなもんわざわざ書かなくても万事屋はとっくにもう…」
(あ)「万事屋は……まだ終わってなんかない」
音莉の力強い声に、神楽の休暇届を手にしていた銀時が顔を上げる。
(あ)「必ずまた万事屋に帰ってくる…そういう事でしょう?」
(新)「銀さん…」
(銀)「何も言うな。もう俺にも…分からねーよ。松陽(アイツ)の弟子として何をすべきかも、同じ弟子として何をすべきかも。分かってんのは、唯一つ」
そして机の上には、神楽の休暇届だけではなく、大きな字で大雑把に書かれた『休暇届』、細い字でシンプルに書かれた『休暇届』、教科書のようにまとまった字で書かれた『休暇届』そして、肉球のサインが押された『休暇届』…五つの『休暇届』が置かれる。
(銀)「(まだ間に合うかは分からねェ。あの音莉の歌っていた曲に応える事も出来ねェ。だが…)」
《ねえ まだ
まだ間に合いますか》
今朝方…音莉が歌っていた曲の歌詞を思い出す銀時。
(銀)「万事屋として、やるべきことだけだ」
そんな光景に、音莉も微かに笑う。
(銀)「特別休暇だ。てめーらも宇宙旅行でもどこでも好きに行きやがれ。だが、必ずここに帰ってくるぞ。四人と一匹で」
春雨の元老院もあった旗艦では、虚により師団長が集められていた。…一席空いた、その一つを除いて。
(虚)「元老の皆さんは、不幸な事故により死に絶えました。これであなた達十二師団を縛るものは何もない。あとはお好きにしなさい」
「虚様、我々は今更自由など求めませぬ。春雨が求めるのは自由ではなく統制。我々を導く指導者です!」
「元より閣下と共に元老院と神威を討つと決めた時から、"春雨"の名は捨てる覚悟をしております」
「閣下、どうか我々十二師団を天導衆の麾下にお加えくだ…」
とその時…
(?)「やれやれ、仮にも海賊ともあろうものが統制? 指導者? ルフィの麦わらでも煎じて飲ましてやりてェ」
そんな声と共に、靴音が近づいてくる。
そして奥から現れたのは…
(星)「お前さんら、それでも…宇宙海賊 (かいぞく)か?」
凶悪な笑みを浮かべる、星海坊主であった。
「う、星海坊主!」
(虚)「これはこれは…第七師団を討った 雇われ英雄殿ではありませんか」
(星)「元老の連中も報われねーな。組織を護るため天導衆(あんたら)とはつかず離れずバランスを保ってたってのに。まさか部下共に組織ごと売られちまうとはな。天導衆についていけば、甘い汁がすすれると思ったか? 寧ろ星さえ食いつくす寄生虫に、瞬く間に食い尽くされるぞ」
(虚)「少なくともあなたの報酬を吸い取ったりしませんよ。確かアナタ、元老に旧い知り合いがいて第七師団の始末を頼まれ雇われたのでしたね。雇用主がいなくなってしまいましたが、私が支払いに応じましょう」
(星)「金を貰う程の仕事はしちゃいねーさ。アイツらは既に虫の息だったよ。俺はあんな野暮な喧嘩はしねェ。ありゃあアンタの指示だったワケか」
(虚)「幾ら宇宙一のハンターと言っても、自分の息子を狩るのは簡単ではないと思いましてね。もしかして余計なお世話でしたか?」
(星)「…何もかもご存知ってワケだ。俺ァ今迄反社会的組織の派閥争いになんぞ介入した事はねェ。そんなもんに参加する位なら、まるごと組織を潰した方が早ェ。そんな俺が旧い知り合いとの義理があるとはいえ、なんでてめーら海賊なんぞに手ェ貸したか分かるか?てめーらより先に、あの神威(クソガキ)殺すためだ。あの化物を生み出したのは自分のキンタマだ。だったら、奴を終わらせるのもキンタマぶら下げた俺の役目だ。だから、敢えて言わせてもらおう。神威(アイツ)は誰にも殺させない」
(虚)「つまり星海坊主殿は、息子殿がまだ生きていると?」
(星)「とぼけるねェ。どうせご存知なんだろ?」
星海坊主が思い出すのは、神威と自身が衝突する寸前…突如起こった爆発により戦艦に穴が開き、宇宙空間に吸い込まれないように必死にしがみつく中、振り返ればそこに神威の姿がなかった事。
(星)「アイツはあれくらいでくたばるタマじゃねェと。狩りは…獲物が餌に食いついたまだその段階さ。だが、また余計な横槍入れようってんなら…アンタらもこの星海坊主の獲物になる覚悟をしてこい」
(虚)「………」
(星)「最も、そこの兄ちゃんはもうとっくにその覚悟のようだが…」
と、星海坊主の背後にはいつの間にか朧が立っていた。
(虚)「朧、引きなさい。彼は私達の味方ではないが、敵でもない。息子を前にしても何ら揺らぐ事無く矢をつがえる…ただの狩人です」
(神)「神威(アイツ)は誰にも殺させない」
神楽は一人…傘をさして夜のかぶき町……万事屋銀ちゃんの前へと戻ってきていた。
立ち入り禁止のテープが貼られたその玄関口を、じっと見上げ、独り言のようにそう言葉を吐く神楽。
(銀)「さっさとしろよ! ったく、女ってのはなんでこう支度にかかんだ!」
(新)「まあまあ、女子は男子には分からない色んな支度があるんですよ」
(あ)「そうですよ。女の子はいつだって誰かにオシャレだなとか、可愛いなとか思われたいんですよ、神楽ちゃんの年頃だったら尚更。私も、その…ほら。銀さんに可愛いなって思ってもらいたいし……」
(銀)「いや、お前オシャレしなくても余裕で可愛いんだけど。寝起きで珍しく髪の毛跳ねててもそれすら可愛いんだけど。ていうかオシャレしないでほしいくらいなんだけど、可愛すぎて見れないから。そもそもその発言がまず可愛すぎだろ、オイ!!」
(神)「お待たせアル」
と言いながら出てきた神楽は、服からはち切れてしまう程に膨らんだお腹を携えていた。
(神)「服がどうしても決まらなくて…」
(銀)「決まるか! てめーが決めたのは早弁だろ!? オイ! これのどこが女子だ! お前と音莉が同性だなんて全く考えられねーよ!」
(あ)「か、神楽ちゃんもしかしてお昼ご飯に作ってたの全部食べちゃったの!?」
(神)「美味しかったアル、音莉特性サンドイッチ」
(銀&新)「「てめェェェェェェェクソアマァァァァァァァァァ!!」」
…万事屋でのそんなやり取りを、ふと思い返しては、微笑む神楽。
とその時…
(定)「わん、わんわん!」
スナックお登勢に預けられていた定春が、扉の向こうにいる神楽に気付いたのか、扉をカシカシと叩く。
(登)「どうしたんだい? 定春」
(た)「ひょっとして銀時様達が帰ってきたのでは…」
(キ)「オシッコデショ。アンナ指名手配犯、帰ッテコラレテモ困リマス」
(神)「………」
その声に、神楽が少し…唇を噛んだ。
(キ)「ホラ、イットイデ」
とキャサリンが扉を開けたと同時に定春は外に飛び出すが、そこには誰も…何もなかった。
(定)「くうん…」
と、定春は思わず顔と耳をうなだらせ、寂しそうに小さく鳴いた。
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その後、街をのらりくらりと歩いていた銀時に慌てて新八が声をかけに行き、神楽を探すために街を走り途中で合流した定春と二人と一匹で中を荒らされていた万事屋に戻れば、先に音莉が戻ってきていた。
(あ)「銀さん…!」
慌てた様子の音莉が指す方…元々銀時の社長机だった所には、『休かとどけ』と書かれた届け出の置き手紙が置かれていた。
(銀)「あのバカ…こんなもんわざわざ書かなくても万事屋はとっくにもう…」
(あ)「万事屋は……まだ終わってなんかない」
音莉の力強い声に、神楽の休暇届を手にしていた銀時が顔を上げる。
(あ)「必ずまた万事屋に帰ってくる…そういう事でしょう?」
(新)「銀さん…」
(銀)「何も言うな。もう俺にも…分からねーよ。松陽(アイツ)の弟子として何をすべきかも、同じ弟子として何をすべきかも。分かってんのは、唯一つ」
そして机の上には、神楽の休暇届だけではなく、大きな字で大雑把に書かれた『休暇届』、細い字でシンプルに書かれた『休暇届』、教科書のようにまとまった字で書かれた『休暇届』そして、肉球のサインが押された『休暇届』…五つの『休暇届』が置かれる。
(銀)「(まだ間に合うかは分からねェ。あの音莉の歌っていた曲に応える事も出来ねェ。だが…)」
《ねえ まだ
まだ間に合いますか》
今朝方…音莉が歌っていた曲の歌詞を思い出す銀時。
(銀)「万事屋として、やるべきことだけだ」
そんな光景に、音莉も微かに笑う。
(銀)「特別休暇だ。てめーらも宇宙旅行でもどこでも好きに行きやがれ。だが、必ずここに帰ってくるぞ。四人と一匹で」
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