第百六十話
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ある日、銀さんが熱を出した。
(銀)「うっ、ゲホッ! ゲホッ!」
熱は夕方になっても下がるどころか、上がる一方。
さっき体温を測った時も、40度を少し越していた。
(あ)「銀さん…」
いつもはマスケな顔をしてジャンプを読んでいる銀さんが苦しそうなのを見ていると、なんともない私まで苦しくなって、涙がこぼれそうになる。
(銀)「オイ音莉…お前今、俺がいつもマヌケな顔してる…とか思ったろ」
(あ)「お、おおおお思ってません!」
慌てて否定すると、銀さんがふっと笑って、ポン…と、汗ばむ手をゆっくりと私の頭に乗せた。
(銀)「そうそう。そうやって笑ったり慌てたり…いつも通りの音莉でいてくれたらいいんだよ。ゲホッ、ゲホッ! うっ…」
(あ)「ぎ、銀さん…!」
一瞬にして今の現状に引き戻され、銀さんがこのままいなくなっちゃったら…なんて事も胸をよぎってしまう。
(銀)「んな泣きそうな顔すんなって。ただのカゼだ。死んだりなんかしねーよ」
(あ)「でも…」
(銀)「んな顔してねーで、いつもの笑顔見せてくれや。お前にんな顔されてたら、治るモンも治んねーよ」
(あ)「………うん」
ぐっと涙を堪えながらなんとか笑顔を見せると、銀さんが満足したように微笑み、そっと目を閉じる。
(銀)「なァ音莉、お前の歌…聞かせてくんねーか? その方が安心して眠れそうだ」
(あ)「はい、私の歌なんかでよければ」
銀さんの言葉に頷き、私はすぅ…と息を吸った。
(あ)《ただ思い出すだけで 思考ふわふわするんだ
まだ名前も知らない君に落ちてゆく
ねぇ、朧な世界で 君は何を見つめたの?
また気まぐれな夢の中で探すよ
おとぎの国の様な 揺らめく霧の世界
見た事ないようで どこか懐かしい
「怖がることはないよ」 優しい誰かの声
君はそっと私の手を引いて歩く
すぐに入れ変わるシーン
なんで思うより早く針は廻るの?
君の優しいキスでサヨナラ
ねえ このままで君とまだ居させてよ
目が覚めても今を忘れたくないの
君はまだこの夢で 私は君の夢へ》
こうして私が歌い終わった時に聞こえてきたのは苦しそうな寝息のみで、静寂が部屋を包む。
そう……今、万事屋にいるのは私と銀さんだけ。
新八君は、私が銀さんの側にいたいと我侭を言ってしまったので、「気にしないでください。銀さんもその方がいいでしょうし」と言ってくれて、私の代わりに買い物に出てくれている。
神楽ちゃんは、本当何事もなかったかのように、いつも通り遊びに行っちゃったけど……。
ううん、むしろ神楽ちゃんくらい割り切れたら、銀さんに余計な心配かけさせなくて済むのに……。
(あ)「そういえば…」
確かカゼをひいた人とキスをすると、その人のカゼを自分が代わりにもらう事が出来る…なんて事を聞いた事がある。
ただのうわさ話だというのは分かっている。
でももしそれが本当に出来るなら……。
(あ)「銀さんが倒れちゃったら困る人はたくさんいるけれど、私が倒れたって誰も困らないから……」
だから……
(あ)「そのカゼ、私が代わりにもらいます」
いつもは恥ずかしいけれど、今日はそんな恥じらいも…まああるけれど。
それよりも銀さんに早くよくなってもらいたい……っていう気持ちの方が大きかった。
それともう一つ。
この前の朝右衛門さん達池田屋の事件…。
あの事を思い出した時に、銀さんが抱えていた苦しみに何も気付いてあげられなかった…何も支えてあげられなかった自分が嫌になった。
こんな役立たずな私なんていらない…って思うようになってしまった。
だから……出来るなら役立たずの私はいなくなっちゃって、みんなから頼りにされる銀さんには元気でいてもらいたいって……そう思った。
………なんて、高熱のカゼだけで少し大げさかもしれないけれど。
銀さんのいつもより青白い頬に手を添え、そっと唇を重ねる。
(あ)「(早く良くなって、銀さん…)」
その頃、こんなニュースがテレビで流れていたのを、私は知らなかった……。
『只今、江戸で密かに流行っているウィルスですが、最悪の場合死に至る事もあるというニュースが入ってきました。
これはとある星から何者かが持ち込んだウィルスで………』
(銀)「うっ、ゲホッ! ゲホッ!」
熱は夕方になっても下がるどころか、上がる一方。
さっき体温を測った時も、40度を少し越していた。
(あ)「銀さん…」
いつもはマスケな顔をしてジャンプを読んでいる銀さんが苦しそうなのを見ていると、なんともない私まで苦しくなって、涙がこぼれそうになる。
(銀)「オイ音莉…お前今、俺がいつもマヌケな顔してる…とか思ったろ」
(あ)「お、おおおお思ってません!」
慌てて否定すると、銀さんがふっと笑って、ポン…と、汗ばむ手をゆっくりと私の頭に乗せた。
(銀)「そうそう。そうやって笑ったり慌てたり…いつも通りの音莉でいてくれたらいいんだよ。ゲホッ、ゲホッ! うっ…」
(あ)「ぎ、銀さん…!」
一瞬にして今の現状に引き戻され、銀さんがこのままいなくなっちゃったら…なんて事も胸をよぎってしまう。
(銀)「んな泣きそうな顔すんなって。ただのカゼだ。死んだりなんかしねーよ」
(あ)「でも…」
(銀)「んな顔してねーで、いつもの笑顔見せてくれや。お前にんな顔されてたら、治るモンも治んねーよ」
(あ)「………うん」
ぐっと涙を堪えながらなんとか笑顔を見せると、銀さんが満足したように微笑み、そっと目を閉じる。
(銀)「なァ音莉、お前の歌…聞かせてくんねーか? その方が安心して眠れそうだ」
(あ)「はい、私の歌なんかでよければ」
銀さんの言葉に頷き、私はすぅ…と息を吸った。
(あ)《ただ思い出すだけで 思考ふわふわするんだ
まだ名前も知らない君に落ちてゆく
ねぇ、朧な世界で 君は何を見つめたの?
また気まぐれな夢の中で探すよ
おとぎの国の様な 揺らめく霧の世界
見た事ないようで どこか懐かしい
「怖がることはないよ」 優しい誰かの声
君はそっと私の手を引いて歩く
すぐに入れ変わるシーン
なんで思うより早く針は廻るの?
君の優しいキスでサヨナラ
ねえ このままで君とまだ居させてよ
目が覚めても今を忘れたくないの
君はまだこの夢で 私は君の夢へ》
こうして私が歌い終わった時に聞こえてきたのは苦しそうな寝息のみで、静寂が部屋を包む。
そう……今、万事屋にいるのは私と銀さんだけ。
新八君は、私が銀さんの側にいたいと我侭を言ってしまったので、「気にしないでください。銀さんもその方がいいでしょうし」と言ってくれて、私の代わりに買い物に出てくれている。
神楽ちゃんは、本当何事もなかったかのように、いつも通り遊びに行っちゃったけど……。
ううん、むしろ神楽ちゃんくらい割り切れたら、銀さんに余計な心配かけさせなくて済むのに……。
(あ)「そういえば…」
確かカゼをひいた人とキスをすると、その人のカゼを自分が代わりにもらう事が出来る…なんて事を聞いた事がある。
ただのうわさ話だというのは分かっている。
でももしそれが本当に出来るなら……。
(あ)「銀さんが倒れちゃったら困る人はたくさんいるけれど、私が倒れたって誰も困らないから……」
だから……
(あ)「そのカゼ、私が代わりにもらいます」
いつもは恥ずかしいけれど、今日はそんな恥じらいも…まああるけれど。
それよりも銀さんに早くよくなってもらいたい……っていう気持ちの方が大きかった。
それともう一つ。
この前の朝右衛門さん達池田屋の事件…。
あの事を思い出した時に、銀さんが抱えていた苦しみに何も気付いてあげられなかった…何も支えてあげられなかった自分が嫌になった。
こんな役立たずな私なんていらない…って思うようになってしまった。
だから……出来るなら役立たずの私はいなくなっちゃって、みんなから頼りにされる銀さんには元気でいてもらいたいって……そう思った。
………なんて、高熱のカゼだけで少し大げさかもしれないけれど。
銀さんのいつもより青白い頬に手を添え、そっと唇を重ねる。
(あ)「(早く良くなって、銀さん…)」
その頃、こんなニュースがテレビで流れていたのを、私は知らなかった……。
『只今、江戸で密かに流行っているウィルスですが、最悪の場合死に至る事もあるというニュースが入ってきました。
これはとある星から何者かが持ち込んだウィルスで………』
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