第百八十四話
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いつも通りの朝…。
(妙)「じゃあお仕事頑張ってね。いってらっしゃーい」
…いつも通り、万事屋に出社する僕を、玄関で姉上が見送ってくる。
……そう、いつも通り。いつも通りのハズなんだ。
なのに…
(新)「………」
ニッコリ笑って手を振る姉上の背後から、一本の手が伸びていた。
・
・
・
・
そして姉上にロクに返事を返す事も出来ないまま万事屋への道を歩き出した僕。
だがこの道を気怠そうに歩くサラリーマンには落ち武者が背後から抱き着く様についており、いつものように道路に水を撒いているおばあさんの背後にも、白装束を着た子供がおぶられているように抱き着いていた。
しかもいつもよくすれ違うその二人だだけではない。
かぶき町に着いてからも、犬の散歩をしている女の人の背後に白装束の男性、その犬の背中にも白装束の犬。
さらにお父さんらしき人の背中にも白装束の男性がおり、そのお父さんが肩車をしている子供の背後にも白装束の子供。
そう…道行く人達が皆、白装束を着た霊のようなものを背負っているのだ。
(新)「(なんか…おかしくね!?)」
そう、おかしくなったのは昨日…メガネを替えてからだ。
昨日、僕は街の外れにある、偶然見つけた人気のないメガネ屋さんを訪れていた。
なんせメガネの二木や眼鏡売場やJANSなんかは、オシャレすぎて入りづらい。
だからあえてチェーン店ではなさそうな所を探していると、偶然ここを見つけたというワケだ。
店の中に入ると、店主は髪の毛が一本もない…失礼だが、ぬらりひょんのような容姿にメガネをかけていた。
「…で? どんなメガネをお求めで」
その店主の前に、僕はレンズの割れてしまったメガネを置く。
(新)「こんなカンジの、普通の奴で」
実は昨日寝起きで寝ぼけメガネを床に置いていた事を忘れてしまい、誤って踏んでしまい壊してしまったのだ。
(新)「オシャレな店のはどこも高くて…どうせ僕のメガネは一本線で描かれるどころか、存在がメガネだから小説じゃイチイチ『地味なメガネをかけた新八が…』なんて説明が入らないから、そもそもどんなメガネをかけてても分からないし」
「そうですか。確かにウチはオシャレじゃありませんからねェ」
(新)「あ、すみません! そういう意味じゃ…」
「いえ、結構ですよ。ウチは見た目より何が見えるかを大事にしておりますので。メガネはアクセサリーではない。持ち主の代わりにものを視る……第二の目玉でございます」
店主さんのメガネの奥の瞳が、少し不気味にギラリと光る。
「例えば私などのメガネは…お客様、ちょっとこれをかけてみてください」
棚に並んだたくさんのメガネの中から、店主さんが手にしたそのメガネをかけてみる。
そして驚く事に、そのメガネは…
(新)「わっ! 度がぴったりです! 僕を見ただけで分かったんですか!?」
「私の力ではございません。この第二の目玉のおかげですよ。しかしお客様、本当に普通のメガネでよろしいので?」
(新)「ふ、普通のっていうか、ちゃんと見えれば見えるだけでいいですけど…」
「なんでもですか?」
(新)「は、はい…」
「ハッキリクッキリ?」
(新)「はい、ハッキリクッキリ」
あれ? 僕なんかマズイ事言っちゃった?
「ではこのメガネなんてよろしいのでは? 見た目はロックですが」
勧められたメガネは、今迄かけていたメガネとあまり変わらなかったが、レンズを繋ぐ山の部分がドクロの装飾になっていた。
(新)「コレ…ロックなんですか?」
「『ノロワ・レター・メガネ』と言って、どんな遠くのものもハッキリクッキリ映す異国のメガネでございます」
(新)「ノロワ・レター・メガネ…」
「これならばどんな真実も、ありのままにハッキリクッキリ、見通す事が出来ます」
(新)「どんなものでもハッキリクッキリ…」
「はい。森羅万象、ハッキリクッキリ…」
そんなやりとりがあり、結局そのメガネを買ったワケだ。
まあ確かに、ハッキリクッキリ見えるよ? けど…
(新)「(いや、ハッキリクッキリっていうか、見えちゃいけない幽霊(もん)までハッキリクッキリ見えてない? コレ!)」
だって道行く人の背後にもれなくなんか白装束の人とか犬とかくっついているもん!
(新)「(ノロワ・レター・メガネっていうか、ただの呪われたメガネじゃない? コレ! そこら中ウヨウヨ見えんだけど!? 人の背後にピッタリ張り付いた顔色の悪い人達が! 何!? アレ!)」
僕が男性の背後にいる落ち武者を見ながらそういった時、ピピッ…という音と共に『守護霊』という文字が映った。
(新)「(なんか解析しだした! 何だ!? このメガネ!)」
そしてメガネのレンズにスカウターのように文字が羅列される。
<守護霊とは人などに憑きその対象を守ろうとする霊のことである西洋の心霊主義でいう Guardian Spirit
Vikipediaより抜粋>
(新)「(ヴィキペディアコピペしただけかいィィィィィィィィ!!)」
ていうかそもそも…
(新)「(守護霊ってなんでそんなもんが!? シャレになってないよ、このメガネ!)」
しかもどれだけ外そうとしてみても、全くビクともしない。
(新)「呪われたメガネ装備から外れねェ!!」
あのジジイ…なんつーもん売ってくれたんだ! 許さねェェェェェェェェ!!!
心の中でそう叫びながら、行き先を変更して昨日立ち寄ったメガネ屋へとダッシュする。
だが…
(新)「………」
……昨日、そこにあったはずのメガネ屋は跡形もなく消え、そこは空き地で風が吹きすさぶだけであった。
(新)「(そんな、バカな…! まさか、あのメガネ屋自体が僕が偶然迷い込んだ…この世にあらざるメガネ屋だったとでも!? どうすれば…一体どうすれば…!)」
(妙)「じゃあお仕事頑張ってね。いってらっしゃーい」
…いつも通り、万事屋に出社する僕を、玄関で姉上が見送ってくる。
……そう、いつも通り。いつも通りのハズなんだ。
なのに…
(新)「………」
ニッコリ笑って手を振る姉上の背後から、一本の手が伸びていた。
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そして姉上にロクに返事を返す事も出来ないまま万事屋への道を歩き出した僕。
だがこの道を気怠そうに歩くサラリーマンには落ち武者が背後から抱き着く様についており、いつものように道路に水を撒いているおばあさんの背後にも、白装束を着た子供がおぶられているように抱き着いていた。
しかもいつもよくすれ違うその二人だだけではない。
かぶき町に着いてからも、犬の散歩をしている女の人の背後に白装束の男性、その犬の背中にも白装束の犬。
さらにお父さんらしき人の背中にも白装束の男性がおり、そのお父さんが肩車をしている子供の背後にも白装束の子供。
そう…道行く人達が皆、白装束を着た霊のようなものを背負っているのだ。
(新)「(なんか…おかしくね!?)」
そう、おかしくなったのは昨日…メガネを替えてからだ。
昨日、僕は街の外れにある、偶然見つけた人気のないメガネ屋さんを訪れていた。
なんせメガネの二木や眼鏡売場やJANSなんかは、オシャレすぎて入りづらい。
だからあえてチェーン店ではなさそうな所を探していると、偶然ここを見つけたというワケだ。
店の中に入ると、店主は髪の毛が一本もない…失礼だが、ぬらりひょんのような容姿にメガネをかけていた。
「…で? どんなメガネをお求めで」
その店主の前に、僕はレンズの割れてしまったメガネを置く。
(新)「こんなカンジの、普通の奴で」
実は昨日寝起きで寝ぼけメガネを床に置いていた事を忘れてしまい、誤って踏んでしまい壊してしまったのだ。
(新)「オシャレな店のはどこも高くて…どうせ僕のメガネは一本線で描かれるどころか、存在がメガネだから小説じゃイチイチ『地味なメガネをかけた新八が…』なんて説明が入らないから、そもそもどんなメガネをかけてても分からないし」
「そうですか。確かにウチはオシャレじゃありませんからねェ」
(新)「あ、すみません! そういう意味じゃ…」
「いえ、結構ですよ。ウチは見た目より何が見えるかを大事にしておりますので。メガネはアクセサリーではない。持ち主の代わりにものを視る……第二の目玉でございます」
店主さんのメガネの奥の瞳が、少し不気味にギラリと光る。
「例えば私などのメガネは…お客様、ちょっとこれをかけてみてください」
棚に並んだたくさんのメガネの中から、店主さんが手にしたそのメガネをかけてみる。
そして驚く事に、そのメガネは…
(新)「わっ! 度がぴったりです! 僕を見ただけで分かったんですか!?」
「私の力ではございません。この第二の目玉のおかげですよ。しかしお客様、本当に普通のメガネでよろしいので?」
(新)「ふ、普通のっていうか、ちゃんと見えれば見えるだけでいいですけど…」
「なんでもですか?」
(新)「は、はい…」
「ハッキリクッキリ?」
(新)「はい、ハッキリクッキリ」
あれ? 僕なんかマズイ事言っちゃった?
「ではこのメガネなんてよろしいのでは? 見た目はロックですが」
勧められたメガネは、今迄かけていたメガネとあまり変わらなかったが、レンズを繋ぐ山の部分がドクロの装飾になっていた。
(新)「コレ…ロックなんですか?」
「『ノロワ・レター・メガネ』と言って、どんな遠くのものもハッキリクッキリ映す異国のメガネでございます」
(新)「ノロワ・レター・メガネ…」
「これならばどんな真実も、ありのままにハッキリクッキリ、見通す事が出来ます」
(新)「どんなものでもハッキリクッキリ…」
「はい。森羅万象、ハッキリクッキリ…」
そんなやりとりがあり、結局そのメガネを買ったワケだ。
まあ確かに、ハッキリクッキリ見えるよ? けど…
(新)「(いや、ハッキリクッキリっていうか、見えちゃいけない幽霊(もん)までハッキリクッキリ見えてない? コレ!)」
だって道行く人の背後にもれなくなんか白装束の人とか犬とかくっついているもん!
(新)「(ノロワ・レター・メガネっていうか、ただの呪われたメガネじゃない? コレ! そこら中ウヨウヨ見えんだけど!? 人の背後にピッタリ張り付いた顔色の悪い人達が! 何!? アレ!)」
僕が男性の背後にいる落ち武者を見ながらそういった時、ピピッ…という音と共に『守護霊』という文字が映った。
(新)「(なんか解析しだした! 何だ!? このメガネ!)」
そしてメガネのレンズにスカウターのように文字が羅列される。
<守護霊とは人などに憑きその対象を守ろうとする霊のことである西洋の心霊主義でいう Guardian Spirit
Vikipediaより抜粋>
(新)「(ヴィキペディアコピペしただけかいィィィィィィィィ!!)」
ていうかそもそも…
(新)「(守護霊ってなんでそんなもんが!? シャレになってないよ、このメガネ!)」
しかもどれだけ外そうとしてみても、全くビクともしない。
(新)「呪われたメガネ装備から外れねェ!!」
あのジジイ…なんつーもん売ってくれたんだ! 許さねェェェェェェェェ!!!
心の中でそう叫びながら、行き先を変更して昨日立ち寄ったメガネ屋へとダッシュする。
だが…
(新)「………」
……昨日、そこにあったはずのメガネ屋は跡形もなく消え、そこは空き地で風が吹きすさぶだけであった。
(新)「(そんな、バカな…! まさか、あのメガネ屋自体が僕が偶然迷い込んだ…この世にあらざるメガネ屋だったとでも!? どうすれば…一体どうすれば…!)」
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