第百七十九話※R-18表現アリ
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~no side~
それは満月が紫色に光るとある夜の事。
月明かりが怪しげに照らす公園を二人の少女が歩いていた。
「あー、楽しかった」
「明日は神楽ちゃん誘って、花火やろうよ」
「うん」
「やっぱり夏休みって楽しいね」
「そうだね。あーあ、このままずーっと終わらなければいいのに」
とその時…
(?)「本当にそう思うのか?」
聞こえてきた不気味な声に、二人の少女は足を止める。
そして振り返った時、目に入ったものを見てその少女達の顔が一気に青ざめた。
そこにはグラサンを光らせながらフラフラと歩いてくるマダオがいたのだ。
(長)「夏休みが永遠に続けばいいと思うのか? 仮に夏休みが終わらないとして、それでお前は何をしたいんだ? 永遠に休み続けるのか? クラスのみんなが新学期に入っても休み続けるのか? みんなが卒業し、自立し、働き始めても休み続けるのか?」
近づいてくるマダオに少女達は恐怖で身体を震わせる。
(長)「友人の何某が出世しただの結婚しただの、親に嫌味を言われながら休み続けるのか? 『ホントは私も働きたかった、結婚したかった、親孝行したかった』…そんな事を思い、家族も誰もいなくなった部屋で一人、それでもお前は休み続けるのか? そうだろうな。何故なら永遠の夏休みを願ったのはお前なのだから。お前は休み続けなければならない。休まずに休み続けなければならない!」
そう語るマダオに少女達は手を握り締め合って恐怖の眼差しでマダオを見つめる。
(長)「解るか? 休みというものは生活の基盤たる労働活動の義務を果たして初めて存在出来る。休みだけあってもそれは休みにならないんだよ。何だってそうだ。休みだって終わりがなければ働く事と変わらない。義務・苦痛に変わる。終わりがあるから休んでいられるんだ。終わりがあるから働いていられるんだ」
そしてマダオが顔を上げると、その目が充血していて瞳孔が開いていた。
(長)「終わらない夏休みなんて無限地獄と変わらねーんだ!」
「「きゃああああああああああああああああああ!!」」
二人の少女は悲鳴をあげながら逃げ出
した。
(長)「ありがたく思えェェェェ!! お前達の人生に義務と休み、至福が存在している事を! お前の夏休みが、まだ夏休みと呼べぬ事をな!!」
・
・
・
・
そして誰もいなくなった公園で、マダオはタバコに火をつける。
(長)「(終わりのない俺の夏休みの中で、それは俺の唯一の義務だった)」
ある時花火をしている少年達の前に出てきて…
「夏休み最高!!」
(長)「どの辺が最高なの?」
現れたマダオに逃げ出す少年達。
(長)「(公園と言う俺達の住みかにたむろし、夜遊びするガキ共に浮かれすぎないように注意し、家路につかせる。夏とは魔物だ。若者が道を踏み外すのは夏と相場が決まっている)」
またある時にはカップルの背後に現れ…
「夏休みだし、明日海行こうよ」
(長)「なんで夏休みじゃなきゃ行けないの?」
ビビって逃げ出す男と、それを置いてかないでと追いかける女。
(長)「(道を踏み外しちまった俺だからこそ、言える事もある。俺は自分の人生を例に奴等に人生とは何か、夏休みとは何かを説き続けた)」
そしてまたある時には子供達ははしゃぐ夕暮れ時の公園の茂みの向こうで寝転がり…。
(長)「(しかし、公園に集まるガキ共は一向に減らない。それどころか…)」
「ねェねェ、オジさん」
マダオが目を開けると、そこには三人の少年の姿があった。
「オジさんだよね? 怪談話してくれるオジさんって」
「メチャクチャ恐い話してくれるんでしょ?」
「俺達にも聞かせてよ」
少年達の言葉に、マダオは起き上がって正座をして、グラサンをかける。
(長)「(いつの間にか俺は…)」
それは満月が紫色に光るとある夜の事。
月明かりが怪しげに照らす公園を二人の少女が歩いていた。
「あー、楽しかった」
「明日は神楽ちゃん誘って、花火やろうよ」
「うん」
「やっぱり夏休みって楽しいね」
「そうだね。あーあ、このままずーっと終わらなければいいのに」
とその時…
(?)「本当にそう思うのか?」
聞こえてきた不気味な声に、二人の少女は足を止める。
そして振り返った時、目に入ったものを見てその少女達の顔が一気に青ざめた。
そこにはグラサンを光らせながらフラフラと歩いてくるマダオがいたのだ。
(長)「夏休みが永遠に続けばいいと思うのか? 仮に夏休みが終わらないとして、それでお前は何をしたいんだ? 永遠に休み続けるのか? クラスのみんなが新学期に入っても休み続けるのか? みんなが卒業し、自立し、働き始めても休み続けるのか?」
近づいてくるマダオに少女達は恐怖で身体を震わせる。
(長)「友人の何某が出世しただの結婚しただの、親に嫌味を言われながら休み続けるのか? 『ホントは私も働きたかった、結婚したかった、親孝行したかった』…そんな事を思い、家族も誰もいなくなった部屋で一人、それでもお前は休み続けるのか? そうだろうな。何故なら永遠の夏休みを願ったのはお前なのだから。お前は休み続けなければならない。休まずに休み続けなければならない!」
そう語るマダオに少女達は手を握り締め合って恐怖の眼差しでマダオを見つめる。
(長)「解るか? 休みというものは生活の基盤たる労働活動の義務を果たして初めて存在出来る。休みだけあってもそれは休みにならないんだよ。何だってそうだ。休みだって終わりがなければ働く事と変わらない。義務・苦痛に変わる。終わりがあるから休んでいられるんだ。終わりがあるから働いていられるんだ」
そしてマダオが顔を上げると、その目が充血していて瞳孔が開いていた。
(長)「終わらない夏休みなんて無限地獄と変わらねーんだ!」
「「きゃああああああああああああああああああ!!」」
二人の少女は悲鳴をあげながら逃げ出
した。
(長)「ありがたく思えェェェェ!! お前達の人生に義務と休み、至福が存在している事を! お前の夏休みが、まだ夏休みと呼べぬ事をな!!」
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そして誰もいなくなった公園で、マダオはタバコに火をつける。
(長)「(終わりのない俺の夏休みの中で、それは俺の唯一の義務だった)」
ある時花火をしている少年達の前に出てきて…
「夏休み最高!!」
(長)「どの辺が最高なの?」
現れたマダオに逃げ出す少年達。
(長)「(公園と言う俺達の住みかにたむろし、夜遊びするガキ共に浮かれすぎないように注意し、家路につかせる。夏とは魔物だ。若者が道を踏み外すのは夏と相場が決まっている)」
またある時にはカップルの背後に現れ…
「夏休みだし、明日海行こうよ」
(長)「なんで夏休みじゃなきゃ行けないの?」
ビビって逃げ出す男と、それを置いてかないでと追いかける女。
(長)「(道を踏み外しちまった俺だからこそ、言える事もある。俺は自分の人生を例に奴等に人生とは何か、夏休みとは何かを説き続けた)」
そしてまたある時には子供達ははしゃぐ夕暮れ時の公園の茂みの向こうで寝転がり…。
(長)「(しかし、公園に集まるガキ共は一向に減らない。それどころか…)」
「ねェねェ、オジさん」
マダオが目を開けると、そこには三人の少年の姿があった。
「オジさんだよね? 怪談話してくれるオジさんって」
「メチャクチャ恐い話してくれるんでしょ?」
「俺達にも聞かせてよ」
少年達の言葉に、マダオは起き上がって正座をして、グラサンをかける。
(長)「(いつの間にか俺は…)」
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