第百二十話
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~no side~
場所は警視庁長官、破壊神と恐れられる松平片栗虎の屋敷にて。
(栗)「どーいう事でございまするか! 何故私の下着とお父様の下着が一緒に洗われているでございまするか! あれ程言ったではございませぬか! 私の下着とお父様の下着は分けて洗ってくださいましと!」
庭で自分のパンツを片手にそう言ったのは、片栗虎の愛娘、松平栗子であった。
そしてその栗子の向かいに立っていたのは、庭で洗濯ものを干していた…
(桂)「申し訳ございません、お嬢様。新入りなもので、そのような話はおおせつかっておりませんでした」
…『市原』という名札をつけ、家政婦に変装している桂であった。
桂は攘夷浪士の最大にして最強の敵、破壊神と恐れられる松平片栗虎のスキャンダルを掴もうと、敵の懐であるこの片栗虎の屋敷にに潜入していたのだ。
(栗)「もォ、週末のパーティー一体何を着ていけばよろしいのでございまするか! タバコ臭くてこんな着物着ていけませんわ! 貸してくださいませ! 栗子が自分で洗い直すでございまする。もう、プンプン」
そう言いながら洗濯カゴに入っていた他の自分の衣類を持って、去って行く栗子。
そして栗子が自分の服を取った時に落ちた片栗虎の下着を、やってきた片栗虎本人が拾い上げた。
(桂)「あ、旦那様。申し訳ございません。スグにもう一度洗い直しますので」
(松)「洗い直すって、ウンコでもついていたのか?」
(桂)「いえ…」
(松)「ん? オメー新入りの家政婦か? なんて言うんだ? 市原…? 下の名前は隼人か? 悦子か?」
(桂)「悦子じゃありません。エヅラ子です」
(松)「どっかで見たツラだな…」
(桂)「ツラじゃありません、エヅラ子です」
(松)「まァいい。これからは気をつけろ。俺と栗子の洗濯は別々だ。食事の時間もできるだけずらせ」
(桂)「ヅラじゃない、エヅラ子だ」
(松)「とにかく娘の言う通りにしてやってくれ。解ったな? エヅラ子」
(桂)「エヅラ子じゃない、桂だ」
(松)「えっ!?」
(桂)「………」
しばらくその場に無言が漂う。
(桂)「…あっ! 間違った、エヅラ子です」
(松)「まァいい。解ったらさっさと行け」
そんな片栗虎に一礼すると、桂はその場から立ち去る。
そしてスグ側にあった井戸の水で地面に落ちた下着を洗い始める片栗虎を、陰で見張る桂。
(松)「んだよ。やっぱりウンコついてんじゃねーか。手ェ抜きやがって…」
ここに潜入して一週間。桂の胸に去来するのは、未だ有益な情報が入手できずにいる苛立ちよりも、一抹の寂しさであった。
己のパンツについたウン筋を必死にとる破壊神の背中は今にも壊れそうな程小さく見えた。
妻にはキャバクラ通いを暴かれ毎日のように叱責され、娘には口をきいてもらえないどころか下着まで別々に洗われる始末。
幾千の兵達を動かしてきた猛将の指は…
(栗)「あの、今日大江戸警察24時あるんだけど…」
「いやぁ、やっぱりヨン様最高だわ~」
…家庭ではテレビのチャンネルを動かす事すら叶わない。
彼の居場所は家庭にはなかった。居場所を求め夜の街をさすらし、現金をドブに捨てる…そしてそれがバレまた妻と子の信用を失い、居場所を失くしていく…負の連鎖の繰り返し。
(桂)「(これが家庭における父というものの在り方なのか。こんな哀しい情景がどこの家庭でも繰り広げられているのか? だとしたら父とは? 男とは? 一体何の為に、一体誰を護る為に戦い続けているのだろうか…?)」
場所は警視庁長官、破壊神と恐れられる松平片栗虎の屋敷にて。
(栗)「どーいう事でございまするか! 何故私の下着とお父様の下着が一緒に洗われているでございまするか! あれ程言ったではございませぬか! 私の下着とお父様の下着は分けて洗ってくださいましと!」
庭で自分のパンツを片手にそう言ったのは、片栗虎の愛娘、松平栗子であった。
そしてその栗子の向かいに立っていたのは、庭で洗濯ものを干していた…
(桂)「申し訳ございません、お嬢様。新入りなもので、そのような話はおおせつかっておりませんでした」
…『市原』という名札をつけ、家政婦に変装している桂であった。
桂は攘夷浪士の最大にして最強の敵、破壊神と恐れられる松平片栗虎のスキャンダルを掴もうと、敵の懐であるこの片栗虎の屋敷にに潜入していたのだ。
(栗)「もォ、週末のパーティー一体何を着ていけばよろしいのでございまするか! タバコ臭くてこんな着物着ていけませんわ! 貸してくださいませ! 栗子が自分で洗い直すでございまする。もう、プンプン」
そう言いながら洗濯カゴに入っていた他の自分の衣類を持って、去って行く栗子。
そして栗子が自分の服を取った時に落ちた片栗虎の下着を、やってきた片栗虎本人が拾い上げた。
(桂)「あ、旦那様。申し訳ございません。スグにもう一度洗い直しますので」
(松)「洗い直すって、ウンコでもついていたのか?」
(桂)「いえ…」
(松)「ん? オメー新入りの家政婦か? なんて言うんだ? 市原…? 下の名前は隼人か? 悦子か?」
(桂)「悦子じゃありません。エヅラ子です」
(松)「どっかで見たツラだな…」
(桂)「ツラじゃありません、エヅラ子です」
(松)「まァいい。これからは気をつけろ。俺と栗子の洗濯は別々だ。食事の時間もできるだけずらせ」
(桂)「ヅラじゃない、エヅラ子だ」
(松)「とにかく娘の言う通りにしてやってくれ。解ったな? エヅラ子」
(桂)「エヅラ子じゃない、桂だ」
(松)「えっ!?」
(桂)「………」
しばらくその場に無言が漂う。
(桂)「…あっ! 間違った、エヅラ子です」
(松)「まァいい。解ったらさっさと行け」
そんな片栗虎に一礼すると、桂はその場から立ち去る。
そしてスグ側にあった井戸の水で地面に落ちた下着を洗い始める片栗虎を、陰で見張る桂。
(松)「んだよ。やっぱりウンコついてんじゃねーか。手ェ抜きやがって…」
ここに潜入して一週間。桂の胸に去来するのは、未だ有益な情報が入手できずにいる苛立ちよりも、一抹の寂しさであった。
己のパンツについたウン筋を必死にとる破壊神の背中は今にも壊れそうな程小さく見えた。
妻にはキャバクラ通いを暴かれ毎日のように叱責され、娘には口をきいてもらえないどころか下着まで別々に洗われる始末。
幾千の兵達を動かしてきた猛将の指は…
(栗)「あの、今日大江戸警察24時あるんだけど…」
「いやぁ、やっぱりヨン様最高だわ~」
…家庭ではテレビのチャンネルを動かす事すら叶わない。
彼の居場所は家庭にはなかった。居場所を求め夜の街をさすらし、現金をドブに捨てる…そしてそれがバレまた妻と子の信用を失い、居場所を失くしていく…負の連鎖の繰り返し。
(桂)「(これが家庭における父というものの在り方なのか。こんな哀しい情景がどこの家庭でも繰り広げられているのか? だとしたら父とは? 男とは? 一体何の為に、一体誰を護る為に戦い続けているのだろうか…?)」
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