第百五十一話(性転換篇)
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~no side~
柳生家次期当主、柳生九兵衛。
女子にしながらお家のしきたりにより男に育てられた、れっきとした女性だ。
そんな九兵衛がかぶき町を歩いていると、映画館の前の『男と女のあいだ』という題名の看板が目に入った。
(九)「………」
その看板をしばらく眺めては、また歩き出す九兵衛。
とその時…
「お侍さん」
通りがかりにあった、奇妙な格好をした占い師に呼び止められた九兵衛。
「よろしければ占いでもいかがですか?」
(九)「悪いが間に合っている」
「占いは当たるも外れるも八卦。保証しかねますが、人を見る目だけは確かですよ、……お嬢さん」
(九)「………!」
「そのような男装に身を包んでいても、私には解ります。アナタが迷っている事を。女として生きるべきか、男として生きるべきか…」
(九)「………」
・
・
・
・
「成程。お家を護るため男として育てられ、それが抜けられなくなってしまったと」
占い師に呼び止められ、そのまま席に座った九兵衛。
(九)「それでも…ありのままの僕を受け止めてくれる良き仲間と出会い、己の中に確かにある女というものの存在を自覚し、少しずつ歩み寄っていたんですが…。どうしてもしみついた男としての習慣から気恥ずかしくて、今一歩踏み出せず。それに、ある人への想いも断ち切れなくて。こんな事ならいっそ男になってしまった方が楽だと突拍子もない行動を起こしてしまう事も度々あって…。今ではもう自分が本当になりたいのは男なのか女なのか、それすら解らなくなってしまいました。百合キャラなのか僕っ子キャラなのかもブレブレで…」
「ならば一度身も心も男になってみればよろしいのでは? そうすれば自分の本当の"性"というものが見えてくるでしょう」
(九)「そ、そんな事…」
「出来ますよ? もしアナタが本当にそれを望むなら、私がこの世界を変えてあげましょう」
(九)「………」
「アナタだけじゃない。今の世の中は草食系男子に肉食系女子。男らしくない男に女らしくない女。自分の性を持て余す人で溢れている。アナタ達は今一度自分に与えられた"性"と向き合うべきなのです。そして、神が与えた自らの役割を知るべきだ。そのためにその役割を一度失ってみるのも一興」
(九)「相談に乗ってもらって悪いが、宗教の勧誘なら他をあたってくれ」
九兵衛が立てかけてあった刀に手を伸ばす。
だが占い師が手を刀の柄に乗せ、その動きを止めた。
「さぁ、どうします? アナタは男になる事を望みますか?」
(九)「もうよせ! 僕は現実逃避する程落ちぶれちゃいないよ!」
そのまま刀を持って歩き出す九兵衛。
「女である現実から逃げ出したい…そうとっていいので?」
(九)「いい加減にしろ! やれるものならやってみろ! 出来もせぬ妄言で人の心をかき乱すな!」
「今のはイエスととってよろしいですね」
その占い師がニヤリと笑う。
と次の瞬間、かぶき町の上空が急に光に包まれた。
(九)「………!」
「さあ、見なさい! 我等が宇宙神、デコボッコ様の裁きの鉄槌です」
上空からその光がどんどん近付いてくる。それを見た街の人達も困惑を見せる。
「この街は生まれ変わるのです。新しい世界で新しき性を得たアナタが、どう生きるのか楽しみにしていますよ」
やがてその光は…
ドッカァァァァァァァァァン!!
…かぶき町全体を包み込んだ。
・
・
・
・
しばらくして光が消えると、街の者達は皆地面に倒れていた。
「大丈夫?」
「今の光は何?」
(九)「オイ、今のは一体…」
だが九兵衛が起き上がってみると、そこに先程までいたハズの占い師の姿はなかった。
(九)「な、なんだったんだ? あの占い師は。今の光もアイツが…? いや、まさか……」
立ち上がった九兵衛だが、その時、グラッと一瞬身体が揺れた。
(九)「身体が重い…気のせいか、急に体重が増え……」
九兵衛がコンビニを通り過ぎようとしたその時、その窓に自分そっくりな男性の姿が映った。
(九)「………」
自分と同じ格好をし、短い髪を一つに束ね、眼帯をしているその男性をしばらく見つめた後、スグさま我に還って頭を下げる。
(九)「ああ、すまない。ジロジロと。ちょっと僕と格好が似ていたもので…」
だが返事は返ってこず、九兵衛は頭を上げられないでいた。
(九)「(な、何故だ? か、顔が上げられん。衣装がたまたまカブる事位あるだろう。だが普通眼帯までカブるだろうか。なんかの仮装? あ、そうだ。きっとコスプレパーティーにレッツパーリィーする人だったんだ。で、でももし顔を上げた時にまだレッツパーリィーの人が映っていたら…。もしあそこに映っていた伊達の人ではなく柳生の人だったら…。いや、ありえん。そんなバカげた事があるか。僕は男なんかじゃない。そして女でもない。僕は…僕は…柳生九……)」
だが九兵衛が恐る恐る股間に触れてみると…
チーン…
そんな音が風にのってこだまする。
(九)「(十になってる…九兵衛に知らない棒が一本生えて、柳生十兵衛になっとるぅぅぅぅぅぅ!!)」
そして顔を上げ、窓に映る自分じゃない自分の姿を見て困惑する九兵衛。
(九)「(ウ、ウソだ! そんな事あるワケがない。認めない! 僕はこんな事認めないぞ! 僕はァァァァァ!!)」
パリィィィィン!
九兵衛が窓に自分の顔をぶつける。
とその時…
(?)「オイ兄ちゃんなにやってんだ? ケガすんぞ?」
女性の声が聞こえたと思ったら、その声の主が九兵衛の肩に手を置く。
(九)「兄ちゃんじゃない。僕は…」
九兵衛がその手を振り払うと、その拍子にその女性の胸をムニュ…と掴んでしまう。
(九)「う、うわあああああああ! すまない!」
(?)「はぁ? 何言ってんだ? 男の胸板触った位で…」
(九)「えっ? でも今ムニュって…」
だが九兵衛はその人物の服装に見覚えがあった。
(?)「ムニュ…?」
その人物が自分の胸を掴む。
(銀)「アリ? なんだコレ?」
胸もあり顔も多少違うが、その服装、そして何よりその銀髪頭は銀時そのものだったのだ。
(九)「お前…」
(銀)「もしかして…」
(銀&九)「「えええええええええええええええ!?」」
柳生家次期当主、柳生九兵衛。
女子にしながらお家のしきたりにより男に育てられた、れっきとした女性だ。
そんな九兵衛がかぶき町を歩いていると、映画館の前の『男と女のあいだ』という題名の看板が目に入った。
(九)「………」
その看板をしばらく眺めては、また歩き出す九兵衛。
とその時…
「お侍さん」
通りがかりにあった、奇妙な格好をした占い師に呼び止められた九兵衛。
「よろしければ占いでもいかがですか?」
(九)「悪いが間に合っている」
「占いは当たるも外れるも八卦。保証しかねますが、人を見る目だけは確かですよ、……お嬢さん」
(九)「………!」
「そのような男装に身を包んでいても、私には解ります。アナタが迷っている事を。女として生きるべきか、男として生きるべきか…」
(九)「………」
・
・
・
・
「成程。お家を護るため男として育てられ、それが抜けられなくなってしまったと」
占い師に呼び止められ、そのまま席に座った九兵衛。
(九)「それでも…ありのままの僕を受け止めてくれる良き仲間と出会い、己の中に確かにある女というものの存在を自覚し、少しずつ歩み寄っていたんですが…。どうしてもしみついた男としての習慣から気恥ずかしくて、今一歩踏み出せず。それに、ある人への想いも断ち切れなくて。こんな事ならいっそ男になってしまった方が楽だと突拍子もない行動を起こしてしまう事も度々あって…。今ではもう自分が本当になりたいのは男なのか女なのか、それすら解らなくなってしまいました。百合キャラなのか僕っ子キャラなのかもブレブレで…」
「ならば一度身も心も男になってみればよろしいのでは? そうすれば自分の本当の"性"というものが見えてくるでしょう」
(九)「そ、そんな事…」
「出来ますよ? もしアナタが本当にそれを望むなら、私がこの世界を変えてあげましょう」
(九)「………」
「アナタだけじゃない。今の世の中は草食系男子に肉食系女子。男らしくない男に女らしくない女。自分の性を持て余す人で溢れている。アナタ達は今一度自分に与えられた"性"と向き合うべきなのです。そして、神が与えた自らの役割を知るべきだ。そのためにその役割を一度失ってみるのも一興」
(九)「相談に乗ってもらって悪いが、宗教の勧誘なら他をあたってくれ」
九兵衛が立てかけてあった刀に手を伸ばす。
だが占い師が手を刀の柄に乗せ、その動きを止めた。
「さぁ、どうします? アナタは男になる事を望みますか?」
(九)「もうよせ! 僕は現実逃避する程落ちぶれちゃいないよ!」
そのまま刀を持って歩き出す九兵衛。
「女である現実から逃げ出したい…そうとっていいので?」
(九)「いい加減にしろ! やれるものならやってみろ! 出来もせぬ妄言で人の心をかき乱すな!」
「今のはイエスととってよろしいですね」
その占い師がニヤリと笑う。
と次の瞬間、かぶき町の上空が急に光に包まれた。
(九)「………!」
「さあ、見なさい! 我等が宇宙神、デコボッコ様の裁きの鉄槌です」
上空からその光がどんどん近付いてくる。それを見た街の人達も困惑を見せる。
「この街は生まれ変わるのです。新しい世界で新しき性を得たアナタが、どう生きるのか楽しみにしていますよ」
やがてその光は…
ドッカァァァァァァァァァン!!
…かぶき町全体を包み込んだ。
・
・
・
・
しばらくして光が消えると、街の者達は皆地面に倒れていた。
「大丈夫?」
「今の光は何?」
(九)「オイ、今のは一体…」
だが九兵衛が起き上がってみると、そこに先程までいたハズの占い師の姿はなかった。
(九)「な、なんだったんだ? あの占い師は。今の光もアイツが…? いや、まさか……」
立ち上がった九兵衛だが、その時、グラッと一瞬身体が揺れた。
(九)「身体が重い…気のせいか、急に体重が増え……」
九兵衛がコンビニを通り過ぎようとしたその時、その窓に自分そっくりな男性の姿が映った。
(九)「………」
自分と同じ格好をし、短い髪を一つに束ね、眼帯をしているその男性をしばらく見つめた後、スグさま我に還って頭を下げる。
(九)「ああ、すまない。ジロジロと。ちょっと僕と格好が似ていたもので…」
だが返事は返ってこず、九兵衛は頭を上げられないでいた。
(九)「(な、何故だ? か、顔が上げられん。衣装がたまたまカブる事位あるだろう。だが普通眼帯までカブるだろうか。なんかの仮装? あ、そうだ。きっとコスプレパーティーにレッツパーリィーする人だったんだ。で、でももし顔を上げた時にまだレッツパーリィーの人が映っていたら…。もしあそこに映っていた伊達の人ではなく柳生の人だったら…。いや、ありえん。そんなバカげた事があるか。僕は男なんかじゃない。そして女でもない。僕は…僕は…柳生九……)」
だが九兵衛が恐る恐る股間に触れてみると…
チーン…
そんな音が風にのってこだまする。
(九)「(十になってる…九兵衛に知らない棒が一本生えて、柳生十兵衛になっとるぅぅぅぅぅぅ!!)」
そして顔を上げ、窓に映る自分じゃない自分の姿を見て困惑する九兵衛。
(九)「(ウ、ウソだ! そんな事あるワケがない。認めない! 僕はこんな事認めないぞ! 僕はァァァァァ!!)」
パリィィィィン!
九兵衛が窓に自分の顔をぶつける。
とその時…
(?)「オイ兄ちゃんなにやってんだ? ケガすんぞ?」
女性の声が聞こえたと思ったら、その声の主が九兵衛の肩に手を置く。
(九)「兄ちゃんじゃない。僕は…」
九兵衛がその手を振り払うと、その拍子にその女性の胸をムニュ…と掴んでしまう。
(九)「う、うわあああああああ! すまない!」
(?)「はぁ? 何言ってんだ? 男の胸板触った位で…」
(九)「えっ? でも今ムニュって…」
だが九兵衛はその人物の服装に見覚えがあった。
(?)「ムニュ…?」
その人物が自分の胸を掴む。
(銀)「アリ? なんだコレ?」
胸もあり顔も多少違うが、その服装、そして何よりその銀髪頭は銀時そのものだったのだ。
(九)「お前…」
(銀)「もしかして…」
(銀&九)「「えええええええええええええええ!?」」
1/18ページ