第百三十七話(一国傾城篇)
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~no side~
これはまだ、吉原が地上にあった頃の話。
街が客で賑わう中、とある遊郭では一人の男と女が静かに満月を眺めていた。
「私はあの月が憎い。月は夜と一緒にアナタを連れて来てくれるけど、朝と一緒にアナタを攫ってしまうから。このままあの月が消えなければいいのに…。そうすれば、こうしてずっと吉原(ここ)で…一緒にいられるのに……」
「また夜と一緒に月はやって来るよ。そして、きっと今度は朝と一緒に君を吉原(ここ)から攫うだろう。次の満月の晩、一本桜の前で待っていてくれ」
男の言葉に遊女である女は微笑むと、女は自分の髪を一本抜き、男もまた自分の髪を一本抜く。
そしてそれを互いの小指に巻き付ける。
「約束でございますよ?」
「ああ、約束だ」
「「きっと」」
髪が巻かれたその指を、月明かりに照らす二人。
「私、待っていますから。月が出るのを、ずっと…」
これはまだ、吉原が地上にあった頃の話。
街が客で賑わう中、とある遊郭では一人の男と女が静かに満月を眺めていた。
「私はあの月が憎い。月は夜と一緒にアナタを連れて来てくれるけど、朝と一緒にアナタを攫ってしまうから。このままあの月が消えなければいいのに…。そうすれば、こうしてずっと吉原(ここ)で…一緒にいられるのに……」
「また夜と一緒に月はやって来るよ。そして、きっと今度は朝と一緒に君を吉原(ここ)から攫うだろう。次の満月の晩、一本桜の前で待っていてくれ」
男の言葉に遊女である女は微笑むと、女は自分の髪を一本抜き、男もまた自分の髪を一本抜く。
そしてそれを互いの小指に巻き付ける。
「約束でございますよ?」
「ああ、約束だ」
「「きっと」」
髪が巻かれたその指を、月明かりに照らす二人。
「私、待っていますから。月が出るのを、ずっと…」
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