第百三十一話
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(新)「はぁ? ホストやめる?」
ある日、私達万事屋一行は高天原に呼ばれたのだが、いざ店にやってくると店の中はガラガラで、狂死郎さんと八郎さん以外誰もいない。
その狂死郎さんに突然「ホストをやめる」なんて言われたのだ。
(狂)「ええ。ホスト廃業してプラモデル屋になろうかなと」
そう言った狂四郎さんは趣味の悪いサンバイザーをつけていた。
(狂)「店の名前ももう決めてあるんですよ? 『プラモ狂死郎』って」
(新)「いや、何言ってんの!? 狂四郎さん! 全然面白くねーし、今時そんなネタ誰も知らねーし!」
(神)「そうアル。せめてミニ四駆屋に絞って、『ダッシュ狂死郎』とかがいいアル」
(新)「それも知らねーよ!」
(あ)「で、でもそんな急にどうしちゃったんですか? かぶき町ナンバーワンNo.1ホストがイキナリやめるだなんて…」
(神)「鼻のシリコンでも腐ったアルか?」
(狂)「色々…限界感じちゃいまして……。それで今日は最後のお客さんにと万事屋さんをお呼びした次第で」
(銀)「オイオイ、顔面いじり過ぎて脳みそまで軽量化しちまったか? 軽量化しすぎるとコーナーで車体が浮いて、コースアウトしちまうから、ローラーを増やして安定感をだな…」
銀さんが車のプラモデルを片手に何かを語りだす。
(新)「ミニ四駆の話はもういいっつってんだろ!」
(あ)「あの…八郎さん、一体何があったんですか? どうしてイキナリ狂四郎さんがこんな風に壊れちゃったんですか?」
(八)「………」
すると八郎さんはしばらく躊躇った後、こう尋ねた。
(八)「…マダム夜神をご存じですか?」
(狂)「八郎!」
(八)「江戸生粋の遊び人と言われる謎の貴婦人。彼女の傾けた杯一杯で、街の勢力図さえも傾く。マダムを制する者は、夜の街を制するも同じとまで言われる、大上客です。まるで福の神のように夜の街に舞い降り、巨万の富を落とし去って行く。そして、一度訪れた街には二度と訪れない。まさしく、夜の神です。実は…そのマダムが先日、この街に…この高天原に訪れたんです」
(あ)「えっ!? そ、それってスゴイ事じゃ…」
(銀)「地方の大会出たら意外とミニ四ファイター来てくれましたー、的な?」
(新)「何? その微妙なレア感…」
(八)「夜の街を生きる者としてこれ程光栄な事はない。オラ達はこの街で培ってきた心技体全てをマダムの杯に捧げ、もてなしました。しかしマダムは去り際、オラ達にこう言ったのです。『また来週、同じ時間、ここに来ます』と…」
(新)「え? や、やったじゃないですか! 同じ街には二度と来ないマダムに約束を取り付けたんですか!?」
(八)「いいえ、それは違います」
(新)「えっ…」
(八)「マダムは自らの力が街の形さえ歪めてしまう事を知っている。故に、どれ程気に入った店があっても、干渉を嫌い、馴染みを作らないのです。そのマダムがわざわざもう一度来るという事は、この街に災厄をもたらすつもりだという事。明日、彼女は福の神ではなく、死神としてこの街に舞い降ります」
(新)「な、なんで! 何か気に食わない事でもあったって言うんですか!?」
(銀)「どうせアレだろ? タミヤの回し者だろ? みたいな失礼な事言ったんだろ?」
(八)「解りません。オラ達は出来うる限りの事はしたんですが、何せ相手は天下一の遊び人。何か至らぬ点があったのかもしれません」
(新)「要するに、ホストやめるというか、店が潰されるかもしれないと?」
(銀)「そういや、他のホストも見当たらねーな」
(八)「ええ。皆マダムの再来に怯え、営業もままならない状態で…」
(あ)「………」
(銀)「音莉、どうかしたか?」
(あ)「い、いえ。なんでも…」
ただ…本当にそのマダムとやらはこのお店を潰したいと思っているのかな? 会った事はないからまだ何とも言えないけど……。
(狂)「申し訳ありません。私達が至らぬばかりに、街にまで迷惑を…。しかし例え店は潰されようと、この街は必ず私が護ります。ホストの意地にかけて」
(八)「しかし! こんな状態でどうやってマダムをもてなすと言うんです!?」
(狂)「私達二人でやるしかないだろう」
(八)「それではまたマダムの怒りを買うだけです!」
(狂)「それでも賭けるしかない。出来うる限りのもてなしをしてなんとしてでもマダムの機嫌を…」
(銀)「何人だ」
(狂&八)「「ん?」」
(あ)「って銀さん!?」
なんと、銀さん達がいつの間にかスーツに着替えていたのだ。
(銀)「あと何人、イケメンが必要かと聞いている」
銀さんが咥えていたタバコに、神楽ちゃんと新八君が火をつける。
(銀)「それから…ホントにそいつ、金持ってるんだろうな? 店長」
いつもの悪い顔でそう言った銀さん。
(あ)「銀さん…私タバコ吸う男の人とは付き合いたくないです」
(銀)「………」
私がそう言うと、銀さんは無言でタバコの火を足でもみ消した。
ある日、私達万事屋一行は高天原に呼ばれたのだが、いざ店にやってくると店の中はガラガラで、狂死郎さんと八郎さん以外誰もいない。
その狂死郎さんに突然「ホストをやめる」なんて言われたのだ。
(狂)「ええ。ホスト廃業してプラモデル屋になろうかなと」
そう言った狂四郎さんは趣味の悪いサンバイザーをつけていた。
(狂)「店の名前ももう決めてあるんですよ? 『プラモ狂死郎』って」
(新)「いや、何言ってんの!? 狂四郎さん! 全然面白くねーし、今時そんなネタ誰も知らねーし!」
(神)「そうアル。せめてミニ四駆屋に絞って、『ダッシュ狂死郎』とかがいいアル」
(新)「それも知らねーよ!」
(あ)「で、でもそんな急にどうしちゃったんですか? かぶき町ナンバーワンNo.1ホストがイキナリやめるだなんて…」
(神)「鼻のシリコンでも腐ったアルか?」
(狂)「色々…限界感じちゃいまして……。それで今日は最後のお客さんにと万事屋さんをお呼びした次第で」
(銀)「オイオイ、顔面いじり過ぎて脳みそまで軽量化しちまったか? 軽量化しすぎるとコーナーで車体が浮いて、コースアウトしちまうから、ローラーを増やして安定感をだな…」
銀さんが車のプラモデルを片手に何かを語りだす。
(新)「ミニ四駆の話はもういいっつってんだろ!」
(あ)「あの…八郎さん、一体何があったんですか? どうしてイキナリ狂四郎さんがこんな風に壊れちゃったんですか?」
(八)「………」
すると八郎さんはしばらく躊躇った後、こう尋ねた。
(八)「…マダム夜神をご存じですか?」
(狂)「八郎!」
(八)「江戸生粋の遊び人と言われる謎の貴婦人。彼女の傾けた杯一杯で、街の勢力図さえも傾く。マダムを制する者は、夜の街を制するも同じとまで言われる、大上客です。まるで福の神のように夜の街に舞い降り、巨万の富を落とし去って行く。そして、一度訪れた街には二度と訪れない。まさしく、夜の神です。実は…そのマダムが先日、この街に…この高天原に訪れたんです」
(あ)「えっ!? そ、それってスゴイ事じゃ…」
(銀)「地方の大会出たら意外とミニ四ファイター来てくれましたー、的な?」
(新)「何? その微妙なレア感…」
(八)「夜の街を生きる者としてこれ程光栄な事はない。オラ達はこの街で培ってきた心技体全てをマダムの杯に捧げ、もてなしました。しかしマダムは去り際、オラ達にこう言ったのです。『また来週、同じ時間、ここに来ます』と…」
(新)「え? や、やったじゃないですか! 同じ街には二度と来ないマダムに約束を取り付けたんですか!?」
(八)「いいえ、それは違います」
(新)「えっ…」
(八)「マダムは自らの力が街の形さえ歪めてしまう事を知っている。故に、どれ程気に入った店があっても、干渉を嫌い、馴染みを作らないのです。そのマダムがわざわざもう一度来るという事は、この街に災厄をもたらすつもりだという事。明日、彼女は福の神ではなく、死神としてこの街に舞い降ります」
(新)「な、なんで! 何か気に食わない事でもあったって言うんですか!?」
(銀)「どうせアレだろ? タミヤの回し者だろ? みたいな失礼な事言ったんだろ?」
(八)「解りません。オラ達は出来うる限りの事はしたんですが、何せ相手は天下一の遊び人。何か至らぬ点があったのかもしれません」
(新)「要するに、ホストやめるというか、店が潰されるかもしれないと?」
(銀)「そういや、他のホストも見当たらねーな」
(八)「ええ。皆マダムの再来に怯え、営業もままならない状態で…」
(あ)「………」
(銀)「音莉、どうかしたか?」
(あ)「い、いえ。なんでも…」
ただ…本当にそのマダムとやらはこのお店を潰したいと思っているのかな? 会った事はないからまだ何とも言えないけど……。
(狂)「申し訳ありません。私達が至らぬばかりに、街にまで迷惑を…。しかし例え店は潰されようと、この街は必ず私が護ります。ホストの意地にかけて」
(八)「しかし! こんな状態でどうやってマダムをもてなすと言うんです!?」
(狂)「私達二人でやるしかないだろう」
(八)「それではまたマダムの怒りを買うだけです!」
(狂)「それでも賭けるしかない。出来うる限りのもてなしをしてなんとしてでもマダムの機嫌を…」
(銀)「何人だ」
(狂&八)「「ん?」」
(あ)「って銀さん!?」
なんと、銀さん達がいつの間にかスーツに着替えていたのだ。
(銀)「あと何人、イケメンが必要かと聞いている」
銀さんが咥えていたタバコに、神楽ちゃんと新八君が火をつける。
(銀)「それから…ホントにそいつ、金持ってるんだろうな? 店長」
いつもの悪い顔でそう言った銀さん。
(あ)「銀さん…私タバコ吸う男の人とは付き合いたくないです」
(銀)「………」
私がそう言うと、銀さんは無言でタバコの火を足でもみ消した。
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