第百二十七話(蓮蓬篇)

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名前(デフォルト:音莉〔おとり〕)

(桂)「『捜さないでください』、という書き置きだけがエリザベスの部屋から見つかったのだが…捜すなというのは一体何を捜すなという事なのだろうか。それとも何を捜してはいけないのか捜している時点で、捜してはいけないものを捜している事になってしまうのだろうか。だとしたら何を捜してはいけないのか捜してくれる人を捜し、その上で捜してはいけないものを捜さないようにするか、捜す事にするか決めた方がいいのか、その答えを捜してくれる人を捜しているのだが、それすらも捜してはいけないものだとしたら、その捜してはいけないものを捜す人を捜す人を捜す人を捜す人を捜す人を…」


バコッ!!


(桂)「ふぐっ!」


(銀)「ややこしい」


捜す人無限ループに入ってしまった桂さんの顔面を、銀さんが蹴り飛ばした。


(新)「何を捜さないでください迷路に迷いこんでんですか」


(桂)「捜さないでください…」


(銀)「捜さねーよ」


ある日、桂さんにファミレスに呼び出された私達だったのだが、その用件がよく解らない。


(あ)「まあエリザベスがいなくなったっていうのは解りましたけど…」


(銀)「要するにアレだろ? 家出だよ、家出」


(桂)「エ、エリザベスがい、家出だと!? バカな!! あり得んぞ! 俺達の間には仲違いする原因などなかった! エリザベスを最後に見た時だって……」


すると急に桂さんが言葉に詰まった。


(銀&神&新)「「「………」」」


(あ)「桂さん…?」


(桂)「最後に……え、さ……さ………最後にエリザベスみたの……いつだったっけ?」


(新)「覚えてないんかい!」


(神)「いなくなった事にスグ気づいたんじゃないアルか?」


(桂)「いや…前々回(第百二十五話)のメールの作成中、写真を見て、『アレ? この人誰だっけ?』と思ってたなぁ…」


(新)「そりゃ家出もするわ!」


(あ)「大事な相棒がいなくなってた事に気付かなかった事だけじゃなく、その存在も忘れてたなんて…アンタ本当に大事な相棒だったんですか!?」


とここで私は『捜さないでください』のプラカードの端っこに何か書かれているのに気がついた。


(あ)「アレ? なんかここに書いてますけど…」


(神)「小さく『11月1日』って書いてるアル」


(新)「じゃあ少なくともこの日までは一緒にいたって事でしょ?」


(銀)「アレ? 今日何日だっけ?」


(あ)「今日は10月31日です。だからこの日付、妙なんですよね…」


(新)「昨日なら解るけど、なんで明日の日付が…?」


(神)「未来から送られてきたアル!」


(新)「んなワケないでしょ…」


(銀)「つーかさぁつーかさぁ、未来っていうかそれ…一年以上前に書かれたヤツじゃね?」


(桂)「えっ…」


(銀)「よくよく考えたら俺、ここしばらくアイツと直接会ってねーよ」


(あ)「言われてみれば確かに…」


パートⅣに入ってからエリザベス出てきたっけ…? あ、なんか出てきてたような…セリフはなかったけど……。


すると桂さんが机をバン! と叩いて立ち上がる。


(桂)「じゃ、じゃあ何か!? エ、エリザベスはとうの昔に家出していたとでも!? 俺はそれに気付かずにのほほーんと暮らしていたとでも言うのか!?」


(銀)「だって覚えてねーんだろ? お前」


(桂)「ふざけるな!! お主らならいざ知らず、この俺までもがエリザベスの存在を忘却していたと!? そんなバカげた事が!!」


(あ)「ちょっと桂さん! 周りの人がスゴイこっち見てますから、とりあえず落ちついて!」


(桂)「クソッ…思い出せん! 何故かエリザベスの記憶だけがヒドく不安定だ…!」


(新)「いや、安定してる所なんて見た事ないですけど…」


(桂)「一体俺達の間に何があったんだ! エリザベスよォォォォォォォォ!!」


(あ)「だから静かにしてってば!」
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