第百二十六話
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しとしとと雨の降る中。私達はいつもの行きつけ屋の定食屋に来ていた。
けど今日は食べに来たのではない。そう…
(銀)「ご愁傷様です」
…定食屋の親父さんが亡くなってしまい、今日はみんなも喪服を着てそのお葬式なのだ。
(光)「アラ万事屋のみんな、来てくれたのね」
出迎えてくれたのは、親父さんの奥さんである光子さん。
(銀)「水臭ェ事言うなよ、オバちゃん。恩人の葬式にツラ出さねェ恥知らずがいるか」
(光)「恩人なんてそんな大げさな…」
(新)「いえ。親父さん、僕らが素寒貧の時でも何も言わずによくご飯食べさせてくれたもんですから。ホントに僕らがこうしていられるのは親父さんのおかげです」
(神)「美味しかったアル、酢昆布丼…」
(銀)「寂しくなるなぁ。もうあの宇治銀時丼が食えなくなると思うと…」
(あ)「親父さん、なんで死んじゃったの…? うっ…ひっく……」
この街に来た時もよく解らない私にお父さんのように接してくれてた、そんな人が…。
「よしてよ、みんならしくないわね。あの人が湿っぽいの嫌いなの知ってるだろ? 今日は祭り好きだったあの人のためにも、笑って送りだしてあげて。それが何よりだから」
(銀)「…そうだな。すまねェ。…ホラ、音莉もいつまで泣いてんだ」
(あ)「でも…でも……!」
死ってなんでこんなにもつらいんだろう…。人の死はホント…嫌だ……。
(銀)「音莉、大丈夫か? お前、身体震えてるぞ?」
(あ)「いや…やだ……恐い……」
人の死が…誰かが死ぬのは……。
(銀)「音莉! しっかりしろ!」
(あ)「………!」
銀さんに肩を揺さぶられてはっとなる。
(銀)「お前、ホント大丈夫か?」
(あ)「ごめ…なさい……」
銀さんが抱きしめて頭を撫でてくれるから、ちょっとずつ震えがおさまってくる。
(光)「音莉ちゃんも、あの人は音莉ちゃんの笑顔が大好きだったから、落ちついたら笑顔で見送ってやっておくれ」
(あ)「はい……」
・
・
・
・
そしてしばらくして落ちつきを取り戻した私は、みんなと一緒に会場である二階へと階段を上る。
(銀)「音莉、お前ホントに大丈夫か? 無理しなくてもいいんだぞ?」
(あ)「ううん。だってお世話になった人だもん。そんな人のお葬式に顔を出さないような恥知らずにはなりたくないから」
(銀)「…そうか。苦しくなったらいつでも言えよ?」
(あ)「はい」
私はなんとか頑張って笑顔を作る。すると銀さんがクシャリと頭を撫でてくれた。
そうこうしているうちに二階につき、そこにはたくさんの人達が親父さんとの別れを悲しみながら集まっていた。
(新)「結構人来てるみたいですね」
(銀)「ああ。これも親父の人徳ってやつだよ。客一人一人に合わせた料理を出す物好きな定食屋なんて、そういねェからな。手間ばかりかかってそらァ儲けなんざなかったかもしれねーが、こうして金では得られーモン…」
とその時…
(?)「親父ィ!」
聞き覚えのある声に、祭壇の方を見てみると、そこには見慣れた隊服を着た人物が三人並んで座っていた。
(土)「なんで…なんでこんなに早く……なんでなんだぁ!」
珍しく泣き叫んでいる土方さん。そんな土方さんを困惑した表情で見つめる近藤さんと、冷たい目で見つめる総悟君。
(近)「トシ、落ちつけ。御霊前だぞ」
(土)「親父…例えアンタの肉体が滅びようと、土方スペシャルの味は…永久に不滅だ!」
(新)「…見知った顔が見えますけど」
(銀)「…そういや、アイツも来てたっけ」
(あ)「よく遭遇してましたよね。私と銀さんが行った時も」
確かご飯の上に大量の小豆をかける宇治銀時丼とはまた違い、ご飯の上に大量のマヨネーズをかけた土方スペシャル…? をよく食べにきてたみたいだけど…。
(新)「あの…銀さん? お願いだからこんな所で喧嘩だけはやめましょうね?」
すると銀さんが真っ直ぐ真選組のお三方の方へ歩いて行く。
それに気付いた土方さん達も立ち上がると、銀さんと土方さんは顔をつき合わせて、頭を下げる。
(土)「…惜しい人を亡くしたな」
(銀)「…ああ。江戸の宝がまた一つ消えたな」
そう言って俯く銀さんと土方さん。
(新)「…何? いつになく大人しいんですけど、あの二人が……」
(あ)「まあ流石に今日はモメるような雰囲気じゃないし…」
そこは銀さんも土方さんも大人だからきっと解ってるハズだ。
(神)「よほど堪えてるようアルな」
(近)「あの味覚バカ二人の数少ない理解者だったようからな。今日ばかりは俺達もあの二人に倣って、しめやかに親父さんを送ってやろう」
けど今日は食べに来たのではない。そう…
(銀)「ご愁傷様です」
…定食屋の親父さんが亡くなってしまい、今日はみんなも喪服を着てそのお葬式なのだ。
(光)「アラ万事屋のみんな、来てくれたのね」
出迎えてくれたのは、親父さんの奥さんである光子さん。
(銀)「水臭ェ事言うなよ、オバちゃん。恩人の葬式にツラ出さねェ恥知らずがいるか」
(光)「恩人なんてそんな大げさな…」
(新)「いえ。親父さん、僕らが素寒貧の時でも何も言わずによくご飯食べさせてくれたもんですから。ホントに僕らがこうしていられるのは親父さんのおかげです」
(神)「美味しかったアル、酢昆布丼…」
(銀)「寂しくなるなぁ。もうあの宇治銀時丼が食えなくなると思うと…」
(あ)「親父さん、なんで死んじゃったの…? うっ…ひっく……」
この街に来た時もよく解らない私にお父さんのように接してくれてた、そんな人が…。
「よしてよ、みんならしくないわね。あの人が湿っぽいの嫌いなの知ってるだろ? 今日は祭り好きだったあの人のためにも、笑って送りだしてあげて。それが何よりだから」
(銀)「…そうだな。すまねェ。…ホラ、音莉もいつまで泣いてんだ」
(あ)「でも…でも……!」
死ってなんでこんなにもつらいんだろう…。人の死はホント…嫌だ……。
(銀)「音莉、大丈夫か? お前、身体震えてるぞ?」
(あ)「いや…やだ……恐い……」
人の死が…誰かが死ぬのは……。
(銀)「音莉! しっかりしろ!」
(あ)「………!」
銀さんに肩を揺さぶられてはっとなる。
(銀)「お前、ホント大丈夫か?」
(あ)「ごめ…なさい……」
銀さんが抱きしめて頭を撫でてくれるから、ちょっとずつ震えがおさまってくる。
(光)「音莉ちゃんも、あの人は音莉ちゃんの笑顔が大好きだったから、落ちついたら笑顔で見送ってやっておくれ」
(あ)「はい……」
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そしてしばらくして落ちつきを取り戻した私は、みんなと一緒に会場である二階へと階段を上る。
(銀)「音莉、お前ホントに大丈夫か? 無理しなくてもいいんだぞ?」
(あ)「ううん。だってお世話になった人だもん。そんな人のお葬式に顔を出さないような恥知らずにはなりたくないから」
(銀)「…そうか。苦しくなったらいつでも言えよ?」
(あ)「はい」
私はなんとか頑張って笑顔を作る。すると銀さんがクシャリと頭を撫でてくれた。
そうこうしているうちに二階につき、そこにはたくさんの人達が親父さんとの別れを悲しみながら集まっていた。
(新)「結構人来てるみたいですね」
(銀)「ああ。これも親父の人徳ってやつだよ。客一人一人に合わせた料理を出す物好きな定食屋なんて、そういねェからな。手間ばかりかかってそらァ儲けなんざなかったかもしれねーが、こうして金では得られーモン…」
とその時…
(?)「親父ィ!」
聞き覚えのある声に、祭壇の方を見てみると、そこには見慣れた隊服を着た人物が三人並んで座っていた。
(土)「なんで…なんでこんなに早く……なんでなんだぁ!」
珍しく泣き叫んでいる土方さん。そんな土方さんを困惑した表情で見つめる近藤さんと、冷たい目で見つめる総悟君。
(近)「トシ、落ちつけ。御霊前だぞ」
(土)「親父…例えアンタの肉体が滅びようと、土方スペシャルの味は…永久に不滅だ!」
(新)「…見知った顔が見えますけど」
(銀)「…そういや、アイツも来てたっけ」
(あ)「よく遭遇してましたよね。私と銀さんが行った時も」
確かご飯の上に大量の小豆をかける宇治銀時丼とはまた違い、ご飯の上に大量のマヨネーズをかけた土方スペシャル…? をよく食べにきてたみたいだけど…。
(新)「あの…銀さん? お願いだからこんな所で喧嘩だけはやめましょうね?」
すると銀さんが真っ直ぐ真選組のお三方の方へ歩いて行く。
それに気付いた土方さん達も立ち上がると、銀さんと土方さんは顔をつき合わせて、頭を下げる。
(土)「…惜しい人を亡くしたな」
(銀)「…ああ。江戸の宝がまた一つ消えたな」
そう言って俯く銀さんと土方さん。
(新)「…何? いつになく大人しいんですけど、あの二人が……」
(あ)「まあ流石に今日はモメるような雰囲気じゃないし…」
そこは銀さんも土方さんも大人だからきっと解ってるハズだ。
(神)「よほど堪えてるようアルな」
(近)「あの味覚バカ二人の数少ない理解者だったようからな。今日ばかりは俺達もあの二人に倣って、しめやかに親父さんを送ってやろう」
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