第百十一話(かぶき町四天王篇)
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~no side~
かぶき町にひっそり建つとあるバーの席に、その娘は座っていた。
「何? かぶき町最強の男は誰かって? お前さん、お上りさんかい。たまにいるんだ、この街で一旗あげようとやってくる命知らずのチンピラが。俺も若ェ頃はお前さんのように目ェギラつかせてたがやめとけ。この街は格が違う。江戸中からゴロツキ、凄腕、侠客、落ち武者が集まってくる、ならず者の梁山泊だ。伝説的なアウトローがウジャウジャひしめている。命が幾つあってもてっぺんなんざ見えやしねーよ。悪い事は言わねェ。コイツを一杯飲んだら田舎に帰んな」
そう言ってバーのマスターは、その娘にグラスに入ったカクテルを差し出す。
(?)「────。」
「何? 土産話にそのてっぺんの話聞かせろ? お前さんも好きだねェ」
そう言ってマスターは少々呆れ顔を浮かべながら、カクテルの瓶を机の上にゴト…と置いた。
「まず、別格の怪物共が四人。鬼神、マドマーゼル西郷。大侠客の泥水次郎長。孔雀姫、華陀。女帝お登勢。かぶき町四天王と恐れられるこの四人によって今のかぶき町は治められている。四つの勢力が互いに睨みあい、微妙な均衡状態を保っているんだ」
(?)「────。」
「何? 権力云々じゃなくて腕っ節? 喧嘩最強は誰だって? オメーじゃ足元にも及ばねェ猛者ばかりよ。特に西郷と次郎長は攘夷戦争の折、天人相手に大暴れした豪傑。まァ今じゃ歳食って表だって暴れる事はねェみてーだが。現役ってなると…泥水んトコの若頭、黒駒の勝男かねェ。キレたら何するか解らねェ、かぶき町の暴君。今最もかぶき町で恐れられてる男よ。見た目はアレだが西郷んトコにも元攘夷浪士の猛者達ががうじゃうじゃいやがる。華陀の所は噂じゃシャレにならねェ組織と繋がってるらしい。長年続いた均衡もそんな連中の細かいいざこざで崩れかけてきている。今この街は例年にない程緊張状態にあるんだ。化け物共の争いに巻き込まれる前にさっさと家路につくのが利口さ」
(?)「───。」
「何? お登勢の勢力? あそこはただの飲み屋だ。なのに何故四大勢力に入ってるのかって? 確かにお登勢は兵隊なんざ一人も抱えちゃいねェ。勢力争いなんざ意にも介さねェただの人情家のババアさ。だが一度、あのババアのシマで勝手なマネしようものなら…黙っちゃいねー奴がいるのさ。三大勢力とたった一匹で渡り歩いてきたとんでもねェ化け物が。いや、今となっては二匹か。…真っ白な頭をした夜叉(おに)と、その女が……」
かぶき町にひっそり建つとあるバーの席に、その娘は座っていた。
「何? かぶき町最強の男は誰かって? お前さん、お上りさんかい。たまにいるんだ、この街で一旗あげようとやってくる命知らずのチンピラが。俺も若ェ頃はお前さんのように目ェギラつかせてたがやめとけ。この街は格が違う。江戸中からゴロツキ、凄腕、侠客、落ち武者が集まってくる、ならず者の梁山泊だ。伝説的なアウトローがウジャウジャひしめている。命が幾つあってもてっぺんなんざ見えやしねーよ。悪い事は言わねェ。コイツを一杯飲んだら田舎に帰んな」
そう言ってバーのマスターは、その娘にグラスに入ったカクテルを差し出す。
(?)「────。」
「何? 土産話にそのてっぺんの話聞かせろ? お前さんも好きだねェ」
そう言ってマスターは少々呆れ顔を浮かべながら、カクテルの瓶を机の上にゴト…と置いた。
「まず、別格の怪物共が四人。鬼神、マドマーゼル西郷。大侠客の泥水次郎長。孔雀姫、華陀。女帝お登勢。かぶき町四天王と恐れられるこの四人によって今のかぶき町は治められている。四つの勢力が互いに睨みあい、微妙な均衡状態を保っているんだ」
(?)「────。」
「何? 権力云々じゃなくて腕っ節? 喧嘩最強は誰だって? オメーじゃ足元にも及ばねェ猛者ばかりよ。特に西郷と次郎長は攘夷戦争の折、天人相手に大暴れした豪傑。まァ今じゃ歳食って表だって暴れる事はねェみてーだが。現役ってなると…泥水んトコの若頭、黒駒の勝男かねェ。キレたら何するか解らねェ、かぶき町の暴君。今最もかぶき町で恐れられてる男よ。見た目はアレだが西郷んトコにも元攘夷浪士の猛者達ががうじゃうじゃいやがる。華陀の所は噂じゃシャレにならねェ組織と繋がってるらしい。長年続いた均衡もそんな連中の細かいいざこざで崩れかけてきている。今この街は例年にない程緊張状態にあるんだ。化け物共の争いに巻き込まれる前にさっさと家路につくのが利口さ」
(?)「───。」
「何? お登勢の勢力? あそこはただの飲み屋だ。なのに何故四大勢力に入ってるのかって? 確かにお登勢は兵隊なんざ一人も抱えちゃいねェ。勢力争いなんざ意にも介さねェただの人情家のババアさ。だが一度、あのババアのシマで勝手なマネしようものなら…黙っちゃいねー奴がいるのさ。三大勢力とたった一匹で渡り歩いてきたとんでもねェ化け物が。いや、今となっては二匹か。…真っ白な頭をした夜叉(おに)と、その女が……」
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