第五十五話
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(銀)「あ? 男?」
(長)「間違いねェ。ありゃあ男の声だった。そいつの声が聞こえた途端、電話切っちまってよ。どういう事だよ一体。俺よりそいつの方が大事だってのか? コレ不倫だよ、不倫」
朝の電車の中でそう愚痴をこぼすのは、髪の毛を七三分けにしてスーツを着こんでサングラスをかけた長谷川さんである。
なんでも昨夜、仕事が決まった事を奥さんに電話で話し、「安定したら二人でやり直そう」と長谷川さんが言うと、次の瞬間知らない男の人の声が受話器の向こうから聞こえてきたという。
(銀)「不倫って…。アンタら夫婦、とっくに別れてなかったっけ?」
(長)「人聞きの悪い事言うな! 別居してるだけだよ。離婚届に判を押した覚えはねェ」
(あ)「浮気調査の依頼ですか…」
(銀)「知り合いだけに気乗りしねーな…」
(長)「報酬は弾むぞ。もう俺はフリーターじゃない」
(銀)「フリーターじゃないって…。飲み屋で意気投合したダメ親父の会社だろ? アテになんのか?」
(長)「失礼な事言うなよ! 確かに一流企業とは言えねーが、グラサン通勤オーケーという今時珍しい好条件だぞ?」
(銀)「それってもしかして…グラサンだらけで白い粉などを販売する会社じゃね?」
(長)「よく解ったな。あとチャカとかとかいうのも売ってるらしい。よく解らんが何だろうな」
(あ)「いや、それってもしかしなくても…」
絶対アレだよね? 非合法薬物とか売っている闇取引の会社だよね?
(銀)「やめた方がよくね?」
(長)「心配いらねェ。グラサンかけてる奴に悪い奴はいねェ。みんなシャイなだけだよ」
(銀)「シャイな奴はそんな丈の短い恥ずかしいズボン穿かねーよ」
(あ)「ホントだ。足首より上の所までしかない…」
(長)「うるせーな。これは初就職の時、ハツが買ってくれたスーツなんだよ」
(銀)「フンッ、女の事ばっか考えてたらまた仕事失敗してヨリ戻すもクソもなくなっちまうぜ?」
(あ)「浮気調査の方は私達に任せてください!」
(銀)「アンタは精々またクビにならないよう気をつけるんだな」
すると電車が止まった。どうやら長谷川さんが下りる駅についたらしい。
(長)「フンッ、あんがとよ」
そして他のお客さん達と共に扉の方へ歩いて行く。
(長)「銀さん、嬢ちゃん、俺やるわ。今度こそ…今度こそ幸せをつかみ取る!」
(銀)「…ヘマすんなよ」
長谷川さんは人の波に流されながらも、手を高く上げて親指を立てた。
そしてその数時間後。長谷川さんが警察に捕まったという連絡が入ったのだった。
(長)「間違いねェ。ありゃあ男の声だった。そいつの声が聞こえた途端、電話切っちまってよ。どういう事だよ一体。俺よりそいつの方が大事だってのか? コレ不倫だよ、不倫」
朝の電車の中でそう愚痴をこぼすのは、髪の毛を七三分けにしてスーツを着こんでサングラスをかけた長谷川さんである。
なんでも昨夜、仕事が決まった事を奥さんに電話で話し、「安定したら二人でやり直そう」と長谷川さんが言うと、次の瞬間知らない男の人の声が受話器の向こうから聞こえてきたという。
(銀)「不倫って…。アンタら夫婦、とっくに別れてなかったっけ?」
(長)「人聞きの悪い事言うな! 別居してるだけだよ。離婚届に判を押した覚えはねェ」
(あ)「浮気調査の依頼ですか…」
(銀)「知り合いだけに気乗りしねーな…」
(長)「報酬は弾むぞ。もう俺はフリーターじゃない」
(銀)「フリーターじゃないって…。飲み屋で意気投合したダメ親父の会社だろ? アテになんのか?」
(長)「失礼な事言うなよ! 確かに一流企業とは言えねーが、グラサン通勤オーケーという今時珍しい好条件だぞ?」
(銀)「それってもしかして…グラサンだらけで白い粉などを販売する会社じゃね?」
(長)「よく解ったな。あとチャカとかとかいうのも売ってるらしい。よく解らんが何だろうな」
(あ)「いや、それってもしかしなくても…」
絶対アレだよね? 非合法薬物とか売っている闇取引の会社だよね?
(銀)「やめた方がよくね?」
(長)「心配いらねェ。グラサンかけてる奴に悪い奴はいねェ。みんなシャイなだけだよ」
(銀)「シャイな奴はそんな丈の短い恥ずかしいズボン穿かねーよ」
(あ)「ホントだ。足首より上の所までしかない…」
(長)「うるせーな。これは初就職の時、ハツが買ってくれたスーツなんだよ」
(銀)「フンッ、女の事ばっか考えてたらまた仕事失敗してヨリ戻すもクソもなくなっちまうぜ?」
(あ)「浮気調査の方は私達に任せてください!」
(銀)「アンタは精々またクビにならないよう気をつけるんだな」
すると電車が止まった。どうやら長谷川さんが下りる駅についたらしい。
(長)「フンッ、あんがとよ」
そして他のお客さん達と共に扉の方へ歩いて行く。
(長)「銀さん、嬢ちゃん、俺やるわ。今度こそ…今度こそ幸せをつかみ取る!」
(銀)「…ヘマすんなよ」
長谷川さんは人の波に流されながらも、手を高く上げて親指を立てた。
そしてその数時間後。長谷川さんが警察に捕まったという連絡が入ったのだった。
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