高嶺の黒薔薇と青薔薇
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「お待たせ」
ヒールの音を響かせながら、オシャレなカフェの一席に座っていたワカメ頭の男に声をかけると、その男はぱっと顔を上げ…
「あら凛、お待たせも何も、アタシは全然待ってないから大丈夫よ」
……そう、男前なセリフに似つかない女口調で返してくるのは、先日…私の人生初の恋人というものになった、ギャリー。
とりあえず彼の向かい側の席に座ると、店員さんがやってきて、ギャリーが紅茶二つとマカロンを注文する。
そして店員さんが去っていった所で、ギャリーが「はぁ…」とため息をつき…
「あのゲルテナ美術館に閉じ込められてから二週間…案外あっという間だったわね」
そう彼が零した言葉に、私も「そうだね」と短い言葉で返す。
あの謎の美術館…というのは、先日あったゲルテナ美術館の絵の中に閉じ込められてしまった事だ。
その日…私はあの美術館でスタッフとして働いていたのだが、大きな絵を眺めていると人が誰もいない事に気付き、そのまま館内を駆け回っているとある絵に吸い込まれてしまったのだ。
そしてそこで出会ったのが、イヴ、メアリー、そして…目の前の彼、ギャリー。
それぞれ色とりどりの薔薇を持っていて、私は黒薔薇だった。
一時はゲルテナの絵だったメアリーの陰謀によって大変な事になったけど、それもなんとか乗り越えて元の世界に帰ってくる事が出来たのだ。
「それで、あれからイヴには会ってるの?」
「ええ、まあ…ちょこちょこ。勉強も忙しいみたいだけどね」
どうもあの子、家が大きくてお金持ちのお嬢様みたいだし…。
ていうかそうじゃなかったら、あんな小さな子があの美術館にいたわけないもんね。
「あと…メアリーは?」
少し不安げな顔をして尋ねてくるギャリー。
そんなギャリーに私は…
「……メアリーも、今は反省してるのか、イヴの家でいい子にしてるよ」
…先日会ったばかりのメアリーの事を思い出し、ギャリーにそう話す。
そう…本来なら絵の世界から出る事が出来なかったメアリーが、どういうワケか、他の作品達がメアリーの想いに応えて、メアリーを私達一緒に外に連れ出してくれたのだ。
まあ反省してるって言っても、お転婆なのは変わらないけど。
「そう…ならよかった」
ほっと一息、安心したように言葉を紡ぐ彼。
そんな時、再び店員さんがやってきて、頼んだ紅茶と共に運ばれてきたのは、色とりどりのマカロンが入ったバスケット。
「あ、これ…ギャリーが美術館で言ってたマカロン?」
「そうそう。あそこを抜け出せたら、みんなで食べに行こうって話をしてたのよね。けどその前に、アンタを真っ先に連れてこようと思って」
私を見つめる熱視線にちょっと心臓が速くなるのを誤魔化すように、それを一口食べてみれば…
「ん…これ、美味しい」
甘過ぎず、甘くなさすぎず、丁度いいバランスの甘さが絶妙だ。
「でしょ?今度来る時はイヴとメアリーも連れてこなきゃね」
「そうだね」
…これだけ美味しいなら、きっとあの二人も喜んでくれるだろう。
しかし目の前の彼は、少しジト…っとした目で私を見つめていた。
「な、何?」
「……アンタ、相変わらず無表情よね。そんなんだから今まで彼氏なんか出来なかったんじゃないの?」
「はぁ!?う、うるさいわね!べ、別にいいじゃない…!」
「…まあ、アタシはそれでもいいかしら。アンタが良く笑うようになって他の男が寄ってくるのも困るし」
そういって少し微笑んだギャリーに、また心臓がドキリと高鳴った。
ヒールの音を響かせながら、オシャレなカフェの一席に座っていたワカメ頭の男に声をかけると、その男はぱっと顔を上げ…
「あら凛、お待たせも何も、アタシは全然待ってないから大丈夫よ」
……そう、男前なセリフに似つかない女口調で返してくるのは、先日…私の人生初の恋人というものになった、ギャリー。
とりあえず彼の向かい側の席に座ると、店員さんがやってきて、ギャリーが紅茶二つとマカロンを注文する。
そして店員さんが去っていった所で、ギャリーが「はぁ…」とため息をつき…
「あのゲルテナ美術館に閉じ込められてから二週間…案外あっという間だったわね」
そう彼が零した言葉に、私も「そうだね」と短い言葉で返す。
あの謎の美術館…というのは、先日あったゲルテナ美術館の絵の中に閉じ込められてしまった事だ。
その日…私はあの美術館でスタッフとして働いていたのだが、大きな絵を眺めていると人が誰もいない事に気付き、そのまま館内を駆け回っているとある絵に吸い込まれてしまったのだ。
そしてそこで出会ったのが、イヴ、メアリー、そして…目の前の彼、ギャリー。
それぞれ色とりどりの薔薇を持っていて、私は黒薔薇だった。
一時はゲルテナの絵だったメアリーの陰謀によって大変な事になったけど、それもなんとか乗り越えて元の世界に帰ってくる事が出来たのだ。
「それで、あれからイヴには会ってるの?」
「ええ、まあ…ちょこちょこ。勉強も忙しいみたいだけどね」
どうもあの子、家が大きくてお金持ちのお嬢様みたいだし…。
ていうかそうじゃなかったら、あんな小さな子があの美術館にいたわけないもんね。
「あと…メアリーは?」
少し不安げな顔をして尋ねてくるギャリー。
そんなギャリーに私は…
「……メアリーも、今は反省してるのか、イヴの家でいい子にしてるよ」
…先日会ったばかりのメアリーの事を思い出し、ギャリーにそう話す。
そう…本来なら絵の世界から出る事が出来なかったメアリーが、どういうワケか、他の作品達がメアリーの想いに応えて、メアリーを私達一緒に外に連れ出してくれたのだ。
まあ反省してるって言っても、お転婆なのは変わらないけど。
「そう…ならよかった」
ほっと一息、安心したように言葉を紡ぐ彼。
そんな時、再び店員さんがやってきて、頼んだ紅茶と共に運ばれてきたのは、色とりどりのマカロンが入ったバスケット。
「あ、これ…ギャリーが美術館で言ってたマカロン?」
「そうそう。あそこを抜け出せたら、みんなで食べに行こうって話をしてたのよね。けどその前に、アンタを真っ先に連れてこようと思って」
私を見つめる熱視線にちょっと心臓が速くなるのを誤魔化すように、それを一口食べてみれば…
「ん…これ、美味しい」
甘過ぎず、甘くなさすぎず、丁度いいバランスの甘さが絶妙だ。
「でしょ?今度来る時はイヴとメアリーも連れてこなきゃね」
「そうだね」
…これだけ美味しいなら、きっとあの二人も喜んでくれるだろう。
しかし目の前の彼は、少しジト…っとした目で私を見つめていた。
「な、何?」
「……アンタ、相変わらず無表情よね。そんなんだから今まで彼氏なんか出来なかったんじゃないの?」
「はぁ!?う、うるさいわね!べ、別にいいじゃない…!」
「…まあ、アタシはそれでもいいかしら。アンタが良く笑うようになって他の男が寄ってくるのも困るし」
そういって少し微笑んだギャリーに、また心臓がドキリと高鳴った。
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