第三十一話
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ある春の日の事。
家康像の前に真選組の人達が集まっている。像の前には近藤さんと、真選組の制服を着て『一日局長 寺門通』と書かれているたすきをかけたお通ちゃんが立っていた。その二人の前に他の隊士さん達が整列している。
(近)「いいか。今回の特別警戒の目的は、江戸市民に犯罪への警戒を呼び掛けると共に最近急落してきた真選組の評判を回復する事にある。こうしてアイドルのお通ちゃんに一日局長をやってもらう事になったのも一重にイメージアップのためだ!」
近藤さんの言う通り、最近真選組の評判がさらに悪くなってきている。この前も容疑者を捕まえるのに、沖田さんがバズーカで喫茶店を一つ破壊してしまったらしい。
そこで今日は、そんな真選組のイメージアップのためになんとお通ちゃんが真選組の一日局長を務める事になったのだ。
他の隊士さん達は、お通ちゃんを見てみんな頬を赤らめている。
(近)「いいか、お前ら! くれぐれも今日は暴れるなよ! そしてお通ちゃん…いや、局長を敬い、人心を捕らえる術を習え!」
お通ちゃんがニッコリほほ笑むと、隊士さん達が色紙を持って、一斉にお通ちゃんの方へ走り出す。
「やっほォォォォォ! 本物のお通ちゃんだ!」
「サイン、サインくれェェェェェ!」
(近)「バカヤロォォォォォォ!!」
そんな隊士さん達を殴り飛ばす近藤さん。
(近)「これから市民に浮かれるなと言う時にてめーらが疲れてどうするんだ! あくまで江戸を護る事を忘れるな」
すると態度が一変して、デレデレしながらお通ちゃんに言う。
(近)「すいませんねェ、私の教育が行き届いていないばかりに…。みんな浮かれてしまって。ちゃんと言っておきますんで」
こちらに背を向けた近藤さんの制服の背中には、ピンク色の文字でハートマークの中に『おつう』とお通ちゃんのサインが書いてあった。
「てめーもサイン貰ってんじゃねーか!」
「どーすんだよ、その制服!」
(近)「一生背負っていくさ! この命続く限り!」
隊士さん達に蹴られまくる近藤さん。そして次第に乱闘となっていくのだった。
列には入っておらず、横にはけていた土方さんと沖田さんがその様子を眺める。
(沖)「いやァ、すっかり士気が上がっちまって…」
(土)「士気が上がってんじゃねーよ…。舞いあがってんだ」
(あ)「まあお通ちゃんはカワイイから仕方がないですよね」
(土&沖)「「(お前が言うか!?)」」
(土)「……ってなんで万事屋の歌姫がここにいるんだ!?」
そう。実はちゃっかり土方さんと沖田さんの横にいた私。
えっと、あの事は言っちゃダメだから…。
(あ)「あ、あのですね…お通ちゃんの用心棒…みたいな?」
とりあえず適当にはぐらかす。理由は別にあるのだが、ただ単にしばらくお通ちゃんの仕事が忙しくて会えなかったから久々に会いたいっていうのもあった。
(沖)「でもなんでアンタが?」
(あ)「実は…」
(通)「あ、音莉!」
私に気付いたお通ちゃんがこちらに駆け寄ってくる。
(あ)「お通ちゃん!」
そしてお通ちゃんが私に飛びついてくる。
(通)「久しぶり! 会いたかった!」
(あ)「私も!」
(土&沖)「「……は?」」
(土)「あの……どーいう事?」
(通)「音莉は私の親友なの。スキャンダル騒ぎの時にいろいろ助けてもらったんだ」
(沖)「まさか万事屋の歌姫と親友だったとは…」
(あ)「頑張ってね、お通ちゃん!」
(通)「うん、ありがと!」
すると沖田さんが一枚の紙をお通ちゃんに手渡す。
(沖)「寺門さん、コイツが今日のスケジュールでさァ」
(土)「まァアンタは何もしないで笑って立っててくりゃあいいから、気楽に…」
(通)「あの、私やるからにはハンパな仕事は嫌なの。どんな仕事でも全力で取り組めって父ちゃんに言われてるんだ」
お通ちゃんが真面目な顔になって言う。
(土)「いや、しかし…」
(通)「例え一日でも局長の務めを立派に果たそうと思って、真選組のイメージ改善のために何が出来るか私なりにいろいろ考えてみたんだ」
(土)「いや、いいって。アンタはいるだけで…」
するとお通ちゃんは未だに乱闘を続けている近藤さん達に向かって叫ぶ。
(通)「ちょっと、アナタ達! いい加減にしてよ!」
お通ちゃんの声に隊士さん達は動きを止める。
(通)「そんな喧嘩ばっかりしてるからアナタ達は評判が悪いの。なんでも暴力で解決するなんて最低だよ。もう今日は暴力禁止! その腰の刀もは外して!」
(土)「オイオイ小娘がすっかり親玉気取りか? そいつらはそんのそこら中の奴に仕切れるような奴等じゃねーんだよ。それに武器なしで取締りなんてできるわけねーだろ」
(あ)「さすがに刀は外せないですよね。だって刀は武士の魂ですから」
(土)「ほォ…アンタ意外と解ってんじゃねーか」
(あ)「へへ、どうも」
カタカタ…
(あ&土)「「…アレ?」」
(近)「すいませんでした、局長!」
なんと隊士さん達は刀を地面に捨てて、お通ちゃんに敬礼していた。
(あ)「…武士の魂、あっけなく捨てちゃいましたけど、土方さん……」
(土)「アイツら…転職でもするか?」
(近)「トシ、総悟、何をやっているんだ! お前らも早く武装解除せんか!」
(土)「近藤さん、アンタは頭をもう少し武装する必要がある」
(近)「今日は一日イメージアップに尽力せんか。俺が何も考えずにお通ちゃんをお呼びしたと思うか?」
近藤さんが頬を赤らめ、手をどぎまぎさせながらお通ちゃんの肩に触れる。
(土)「いや、いやらしい事考えてお呼びしたと思う」
てかアンタ、お妙さんをストーカーする位好きなんでしょ!? 二股か!
(あ)「…汚い手でお通ちゃんに触るんじゃねーよ、ゴリラ!」
バコッ!!
近藤さんの顔面に私の拳がクリーンヒットする。
(あ)「アンタはお妙さんなのかお通ちゃんなのかハッキリしろや!」
(沖)「スゲー…近藤さんを殴りやしたぜ」
(土)「…もう局長はこの娘でいいんじゃねーの?」
近藤さんが顔面をさすりながら立ちあがる。
(近)「い、いや、すまん…」
近藤さんが咳払いをして話を続ける。
(近)「お通ちゃん…いや、局長はな、一度スキャンダルに干されて落ちる所まで落ちたにも関わらず、ネバーギブアップの精神でどんな場所でも歌い続け、音楽プロデューサーのつんぽにその才能を見込まれ、以前のイメージを見事に払拭し、今では江戸でも屈指のアイドルとして返り咲いた不死鳥のようなアイドルなんだぞ!?」
(通)「アナタ達が陰で『チンピラ警察24時』と言われているのは知ってるわ。私が局長になったからにはつんぽさんから叩きこまれた芸能戦術で徹底的にイメージ改善を図ってみせる! まずアナタ達に付きまとう物騒なイメージを取り払わなきゃ。そのためにはまず規則から改善していくのがいいと思うの」
お通ちゃんが一つの掛け軸を開く。
(通)「局中法度。『士道に背くまじきこと これを犯した者 切腹』。カッコいいけどやっぱりコレじゃ恐いよ。という事で、今日からコレでいきましょうが焼き!」
と、別の掛け軸を開くお通ちゃん。
(通)「『語尾になにかカワイイ言葉を付ける(お通語)こと これを犯した者 切腹!』ろーん(クローン)人間!」
コレにみんなが目を丸くする。
(土)「いや、カワイくねーし。一番物騒なもん丸々残ってるから! 切腹って…」
(通)「それは侍らしさを表現するのに削れないからくだのコブ」
(土)「侍らしさなんてもはや微塵も残ってねームーミン」
(あ)「土方さん!?」
(通)「そうそう、そういう感じ」
(土)「うるせーよ!」
(沖)「土方さん、仕方ありやせんぜィ。今日一日くらい我慢しやしょうゆ一リットル飲んで死ね土方コノヤロー」
(土)「お前が使うとより憎たらしさが増すんだけど…」
(通)「あと、やっぱり男だらけのムサいイメージが拭えないから親しみやすさのあるマスコット的キャラが必要だと思うのり弁。で、私なりに考えてみたんだけドメスティックバイオレンス!」
すると、パカ…という足音がした。
(通)「あ、こっちこっち!」
お通ちゃんに呼ばれて、手に弓矢を持った、上半身が人間で下半身が馬の髭が生えたケンタウロスがこちらにやってくる。馬の背には、背中に矢がささって死んでいる女の子を乗せていた。あぁ、ついにこの時が…。
(通)「真選組マスコットキャラ、誠ちゃん!」
(土)「だから全然カワイくねーし! これ真選組と何の関係があるんだよ! なんで死体背負ってんだ!? どっちだ? どっちが誠ちゃんだ!?」
(通)「馬の方だようかん」
(土)「こんな哀しげな瞳をしたマスコット見たことねーよ! カワイげ所からお前…うっすら悲劇性が見え隠れしてるじゃねーか!」
(誠)「あー、やっちゃったなぁ…」
誠ちゃんが手を額に当て、ガックリうなだれる。
(土)「やっちゃったって言ったよ、今!? 何!? どーいう事!?」
(近)「トシ、今の時代ストレートにカワイイだけじゃ通用しないんだよーグルト。よく見てみろ。なかなかキモカワ……がはっ!」
誠ちゃんが足で近藤さんの顔面を蹴り飛ばす。
(近)「てめー何しやがんだっふんだぁ、コノヤロー!」
(誠)「あぁ、やめてん津飯!」
近藤さんが誠ちゃんの足を掴むと、誠ちゃんは近藤さんを振り落とそうと宙でブラブラと振り回す。慌てて他の隊士さんが止めに入る。
(あ)「………」
実は今回私がここにいる目的は、誠ちゃんになりきった銀さん達をサポートしつつ見守ることだ。上半身は銀さん、後ろの死体役は神楽ちゃん、馬の中には新八君が入っている。
(あ)「(先が思いやられるよ…)」
家康像の前に真選組の人達が集まっている。像の前には近藤さんと、真選組の制服を着て『一日局長 寺門通』と書かれているたすきをかけたお通ちゃんが立っていた。その二人の前に他の隊士さん達が整列している。
(近)「いいか。今回の特別警戒の目的は、江戸市民に犯罪への警戒を呼び掛けると共に最近急落してきた真選組の評判を回復する事にある。こうしてアイドルのお通ちゃんに一日局長をやってもらう事になったのも一重にイメージアップのためだ!」
近藤さんの言う通り、最近真選組の評判がさらに悪くなってきている。この前も容疑者を捕まえるのに、沖田さんがバズーカで喫茶店を一つ破壊してしまったらしい。
そこで今日は、そんな真選組のイメージアップのためになんとお通ちゃんが真選組の一日局長を務める事になったのだ。
他の隊士さん達は、お通ちゃんを見てみんな頬を赤らめている。
(近)「いいか、お前ら! くれぐれも今日は暴れるなよ! そしてお通ちゃん…いや、局長を敬い、人心を捕らえる術を習え!」
お通ちゃんがニッコリほほ笑むと、隊士さん達が色紙を持って、一斉にお通ちゃんの方へ走り出す。
「やっほォォォォォ! 本物のお通ちゃんだ!」
「サイン、サインくれェェェェェ!」
(近)「バカヤロォォォォォォ!!」
そんな隊士さん達を殴り飛ばす近藤さん。
(近)「これから市民に浮かれるなと言う時にてめーらが疲れてどうするんだ! あくまで江戸を護る事を忘れるな」
すると態度が一変して、デレデレしながらお通ちゃんに言う。
(近)「すいませんねェ、私の教育が行き届いていないばかりに…。みんな浮かれてしまって。ちゃんと言っておきますんで」
こちらに背を向けた近藤さんの制服の背中には、ピンク色の文字でハートマークの中に『おつう』とお通ちゃんのサインが書いてあった。
「てめーもサイン貰ってんじゃねーか!」
「どーすんだよ、その制服!」
(近)「一生背負っていくさ! この命続く限り!」
隊士さん達に蹴られまくる近藤さん。そして次第に乱闘となっていくのだった。
列には入っておらず、横にはけていた土方さんと沖田さんがその様子を眺める。
(沖)「いやァ、すっかり士気が上がっちまって…」
(土)「士気が上がってんじゃねーよ…。舞いあがってんだ」
(あ)「まあお通ちゃんはカワイイから仕方がないですよね」
(土&沖)「「(お前が言うか!?)」」
(土)「……ってなんで万事屋の歌姫がここにいるんだ!?」
そう。実はちゃっかり土方さんと沖田さんの横にいた私。
えっと、あの事は言っちゃダメだから…。
(あ)「あ、あのですね…お通ちゃんの用心棒…みたいな?」
とりあえず適当にはぐらかす。理由は別にあるのだが、ただ単にしばらくお通ちゃんの仕事が忙しくて会えなかったから久々に会いたいっていうのもあった。
(沖)「でもなんでアンタが?」
(あ)「実は…」
(通)「あ、音莉!」
私に気付いたお通ちゃんがこちらに駆け寄ってくる。
(あ)「お通ちゃん!」
そしてお通ちゃんが私に飛びついてくる。
(通)「久しぶり! 会いたかった!」
(あ)「私も!」
(土&沖)「「……は?」」
(土)「あの……どーいう事?」
(通)「音莉は私の親友なの。スキャンダル騒ぎの時にいろいろ助けてもらったんだ」
(沖)「まさか万事屋の歌姫と親友だったとは…」
(あ)「頑張ってね、お通ちゃん!」
(通)「うん、ありがと!」
すると沖田さんが一枚の紙をお通ちゃんに手渡す。
(沖)「寺門さん、コイツが今日のスケジュールでさァ」
(土)「まァアンタは何もしないで笑って立っててくりゃあいいから、気楽に…」
(通)「あの、私やるからにはハンパな仕事は嫌なの。どんな仕事でも全力で取り組めって父ちゃんに言われてるんだ」
お通ちゃんが真面目な顔になって言う。
(土)「いや、しかし…」
(通)「例え一日でも局長の務めを立派に果たそうと思って、真選組のイメージ改善のために何が出来るか私なりにいろいろ考えてみたんだ」
(土)「いや、いいって。アンタはいるだけで…」
するとお通ちゃんは未だに乱闘を続けている近藤さん達に向かって叫ぶ。
(通)「ちょっと、アナタ達! いい加減にしてよ!」
お通ちゃんの声に隊士さん達は動きを止める。
(通)「そんな喧嘩ばっかりしてるからアナタ達は評判が悪いの。なんでも暴力で解決するなんて最低だよ。もう今日は暴力禁止! その腰の刀もは外して!」
(土)「オイオイ小娘がすっかり親玉気取りか? そいつらはそんのそこら中の奴に仕切れるような奴等じゃねーんだよ。それに武器なしで取締りなんてできるわけねーだろ」
(あ)「さすがに刀は外せないですよね。だって刀は武士の魂ですから」
(土)「ほォ…アンタ意外と解ってんじゃねーか」
(あ)「へへ、どうも」
カタカタ…
(あ&土)「「…アレ?」」
(近)「すいませんでした、局長!」
なんと隊士さん達は刀を地面に捨てて、お通ちゃんに敬礼していた。
(あ)「…武士の魂、あっけなく捨てちゃいましたけど、土方さん……」
(土)「アイツら…転職でもするか?」
(近)「トシ、総悟、何をやっているんだ! お前らも早く武装解除せんか!」
(土)「近藤さん、アンタは頭をもう少し武装する必要がある」
(近)「今日は一日イメージアップに尽力せんか。俺が何も考えずにお通ちゃんをお呼びしたと思うか?」
近藤さんが頬を赤らめ、手をどぎまぎさせながらお通ちゃんの肩に触れる。
(土)「いや、いやらしい事考えてお呼びしたと思う」
てかアンタ、お妙さんをストーカーする位好きなんでしょ!? 二股か!
(あ)「…汚い手でお通ちゃんに触るんじゃねーよ、ゴリラ!」
バコッ!!
近藤さんの顔面に私の拳がクリーンヒットする。
(あ)「アンタはお妙さんなのかお通ちゃんなのかハッキリしろや!」
(沖)「スゲー…近藤さんを殴りやしたぜ」
(土)「…もう局長はこの娘でいいんじゃねーの?」
近藤さんが顔面をさすりながら立ちあがる。
(近)「い、いや、すまん…」
近藤さんが咳払いをして話を続ける。
(近)「お通ちゃん…いや、局長はな、一度スキャンダルに干されて落ちる所まで落ちたにも関わらず、ネバーギブアップの精神でどんな場所でも歌い続け、音楽プロデューサーのつんぽにその才能を見込まれ、以前のイメージを見事に払拭し、今では江戸でも屈指のアイドルとして返り咲いた不死鳥のようなアイドルなんだぞ!?」
(通)「アナタ達が陰で『チンピラ警察24時』と言われているのは知ってるわ。私が局長になったからにはつんぽさんから叩きこまれた芸能戦術で徹底的にイメージ改善を図ってみせる! まずアナタ達に付きまとう物騒なイメージを取り払わなきゃ。そのためにはまず規則から改善していくのがいいと思うの」
お通ちゃんが一つの掛け軸を開く。
(通)「局中法度。『士道に背くまじきこと これを犯した者 切腹』。カッコいいけどやっぱりコレじゃ恐いよ。という事で、今日からコレでいきましょうが焼き!」
と、別の掛け軸を開くお通ちゃん。
(通)「『語尾になにかカワイイ言葉を付ける(お通語)こと これを犯した者 切腹!』ろーん(クローン)人間!」
コレにみんなが目を丸くする。
(土)「いや、カワイくねーし。一番物騒なもん丸々残ってるから! 切腹って…」
(通)「それは侍らしさを表現するのに削れないからくだのコブ」
(土)「侍らしさなんてもはや微塵も残ってねームーミン」
(あ)「土方さん!?」
(通)「そうそう、そういう感じ」
(土)「うるせーよ!」
(沖)「土方さん、仕方ありやせんぜィ。今日一日くらい我慢しやしょうゆ一リットル飲んで死ね土方コノヤロー」
(土)「お前が使うとより憎たらしさが増すんだけど…」
(通)「あと、やっぱり男だらけのムサいイメージが拭えないから親しみやすさのあるマスコット的キャラが必要だと思うのり弁。で、私なりに考えてみたんだけドメスティックバイオレンス!」
すると、パカ…という足音がした。
(通)「あ、こっちこっち!」
お通ちゃんに呼ばれて、手に弓矢を持った、上半身が人間で下半身が馬の髭が生えたケンタウロスがこちらにやってくる。馬の背には、背中に矢がささって死んでいる女の子を乗せていた。あぁ、ついにこの時が…。
(通)「真選組マスコットキャラ、誠ちゃん!」
(土)「だから全然カワイくねーし! これ真選組と何の関係があるんだよ! なんで死体背負ってんだ!? どっちだ? どっちが誠ちゃんだ!?」
(通)「馬の方だようかん」
(土)「こんな哀しげな瞳をしたマスコット見たことねーよ! カワイげ所からお前…うっすら悲劇性が見え隠れしてるじゃねーか!」
(誠)「あー、やっちゃったなぁ…」
誠ちゃんが手を額に当て、ガックリうなだれる。
(土)「やっちゃったって言ったよ、今!? 何!? どーいう事!?」
(近)「トシ、今の時代ストレートにカワイイだけじゃ通用しないんだよーグルト。よく見てみろ。なかなかキモカワ……がはっ!」
誠ちゃんが足で近藤さんの顔面を蹴り飛ばす。
(近)「てめー何しやがんだっふんだぁ、コノヤロー!」
(誠)「あぁ、やめてん津飯!」
近藤さんが誠ちゃんの足を掴むと、誠ちゃんは近藤さんを振り落とそうと宙でブラブラと振り回す。慌てて他の隊士さんが止めに入る。
(あ)「………」
実は今回私がここにいる目的は、誠ちゃんになりきった銀さん達をサポートしつつ見守ることだ。上半身は銀さん、後ろの死体役は神楽ちゃん、馬の中には新八君が入っている。
(あ)「(先が思いやられるよ…)」
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