どうしても今日は学校に行く気になれなかった。
　することもなく、だからといって家でじっとしていたくない。そんな陰鬱な気分を紛らわせるために、僕は外に出た。
　特になにも考えず、景色を眺めながらゆっくりと歩き続ける。今日は雨が降っていた。この辺りは住宅街で、朝ということもあり車通りも多い。

　きっと優しい彼女のことだから、こんな僕を見たら怒るだろう。
　『なにしてるの！』とか、『私のことなんか気にしないで、ちゃんと学校にいきなさい！』とか、そんなことを言ってる姿が、優に想像できた。
　それでも、これは仕方のないことだった。
　僕はいくら取り繕うとも、彼女のことが忘れられないから。
　彼女のことが、好きだから。この気持ちは、永遠に変わらない。

　きっとこんなこと、彼女は望んではいない。でも、こうも思ってしまうのだ。
　もし、彼女が僕のこんな姿を見て、叱ってくれるのなら。

「それは、もしそうだったら……嬉しいな」

　彼女にひとしきり叱られた後、また二人で笑い合う。そんな夢みたいな未来を願って。
　僕は永遠の眠りに落ちる。