「では、いただきます」

　紅魔館の主、レミリア・スカーレットの声とともに食事はスタートした。

「あ、これ美味しいですね」

　わいわいと、紅魔館の人達とどうでもいいような話を始める。並べられた洋食を皆で囲み、のんびりと食べるこの時間だけは皆全員がちゃんと集まるので、僕はこの食事の時間が大好きだ。

「あ、フランお嬢様。口にソースがついてますよ」

　そう言ってフランの口に付いているソースを拭う。

「あ、ナナシありがとう！」

　フランは笑顔で僕にお礼を言ってまた目の前の食べ物に目を移した。その笑顔はあの吸血鬼とは思えず、それはもう太陽のようでとても可愛らしい、そして暖かかった。

「相変わらずね......」

　レミリアが苦笑混じりに呟いた事には無視する。
　元々僕とフランが付き合えたのはレミリアのおかげだった。僕のフランに対する恋愛感情に一番最初に気づいたのは僕ではなくレミリアだったし、それに気づかせてくれたのもレミリアだ。

　少しだけお節介過ぎたんじゃないかと今なら思うが、そのおかげで告白する事が出来たので気にしないでおこう。

「ごちそうさまでした」

　朝の僕の仕事は皆が食べ終わった後の後かたづけだ。
　終わったらフランから部屋に呼ばれているため急がなければ。