クリスマスは寂しがり屋な君と
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「こいしも今日の宴会は行くんでしょ?」
「うん、そのつもりだよ! はい、これ!」
そう言って手渡された手紙には、こいしの姉である古明地さとりの直筆のもので、ちゃんと宛名付きだった。もちろんナナシと書いてある。
簡単にまとめると『すみませんが、妹をよろしくお願いします……』ということだった。
こいしは無意識で行動してしまうので、この手紙を的確に持たせられるさとりは本当にすごいと思う。
「まあ、いつも通りだな」
「うん、お願いね、お兄ちゃん!」
「あんまりさとりを心配させるなよ……?」
不安なわけではないが、そう言うとこいしは元気に頷いた。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「うん!」
そう言って、一緒に立ち上がった。
戸を開けて外を見ると、あたりは白で染まっていた。
薄いベールのように雪が被さった道はまだ誰の足跡もなく、幻想郷の名にふさわしい幻想さを醸し出していた。
日も落ちてきていて、外は寒いだろう。
僕は隣にいる少女の名前を呼ぶ。
「こいし」
「なに、お兄ちゃん……って、なにこれ?」
そう言って両手で箱を受け取って首を傾げながら上目遣いでこちらを見るこいしに、僕は言った。
「クリスマスプレゼントだよ、開けてみて」
「うん! ……これって、手袋?」
「そうだよ、いつも手だけ何もつけてなかったから」
暖かそうな格好をしているこいしだけど、唯一手袋だけはつけていなかったから、クリスマスプレゼントはこれだろうとずっと考えていた。
「あ、ありがとう……!」
こいしは手袋を胸のあたりに当てて、本当に嬉しそうに抱きしめた。
その表情を見て、必死に選んだかいがあったと、見てるこっちも嬉しくなる。
「でも、今は片方だけでいいかな」
しかし、なぜかこいしは右手の手袋をつけずにポケットに入れた。
「どうしたの、寒くない?」
「だって、ナナシお兄ちゃんと手を繋ぎたいから、手袋があったら感触もわからないし暖かくないよ!」
こいしは手袋の付いていない右手を僕の目の前に向ける。
僕はその小さな手を握る。
「ほらね、暖かい……!」
こいしが僕の手を握り返す。その手はこいしの言うとおり、とても暖かかった。
「じゃあ、行こうか」
「うん、ナナシお兄ちゃん!」
そして、僕たちは博麗神社へと向かった。
白い地面に、二人分の足跡を並べながら。
~END~
あとがき→
「うん、そのつもりだよ! はい、これ!」
そう言って手渡された手紙には、こいしの姉である古明地さとりの直筆のもので、ちゃんと宛名付きだった。もちろんナナシと書いてある。
簡単にまとめると『すみませんが、妹をよろしくお願いします……』ということだった。
こいしは無意識で行動してしまうので、この手紙を的確に持たせられるさとりは本当にすごいと思う。
「まあ、いつも通りだな」
「うん、お願いね、お兄ちゃん!」
「あんまりさとりを心配させるなよ……?」
不安なわけではないが、そう言うとこいしは元気に頷いた。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「うん!」
そう言って、一緒に立ち上がった。
戸を開けて外を見ると、あたりは白で染まっていた。
薄いベールのように雪が被さった道はまだ誰の足跡もなく、幻想郷の名にふさわしい幻想さを醸し出していた。
日も落ちてきていて、外は寒いだろう。
僕は隣にいる少女の名前を呼ぶ。
「こいし」
「なに、お兄ちゃん……って、なにこれ?」
そう言って両手で箱を受け取って首を傾げながら上目遣いでこちらを見るこいしに、僕は言った。
「クリスマスプレゼントだよ、開けてみて」
「うん! ……これって、手袋?」
「そうだよ、いつも手だけ何もつけてなかったから」
暖かそうな格好をしているこいしだけど、唯一手袋だけはつけていなかったから、クリスマスプレゼントはこれだろうとずっと考えていた。
「あ、ありがとう……!」
こいしは手袋を胸のあたりに当てて、本当に嬉しそうに抱きしめた。
その表情を見て、必死に選んだかいがあったと、見てるこっちも嬉しくなる。
「でも、今は片方だけでいいかな」
しかし、なぜかこいしは右手の手袋をつけずにポケットに入れた。
「どうしたの、寒くない?」
「だって、ナナシお兄ちゃんと手を繋ぎたいから、手袋があったら感触もわからないし暖かくないよ!」
こいしは手袋の付いていない右手を僕の目の前に向ける。
僕はその小さな手を握る。
「ほらね、暖かい……!」
こいしが僕の手を握り返す。その手はこいしの言うとおり、とても暖かかった。
「じゃあ、行こうか」
「うん、ナナシお兄ちゃん!」
そして、僕たちは博麗神社へと向かった。
白い地面に、二人分の足跡を並べながら。
~END~
あとがき→