「ちょっとっ！　やめてくれない！」

　霊夢は絡んでくる奴らに強く言い放つ。そんな霊夢の発言など耳に入っていないのか執拗にベタベタと触る不良たち。肩に手を回してくる者もいる。

「名前なんて言うの？　可愛いね」

　気持ち悪くて吐き気がする。可愛いといわれてここまで不快になることは普通ないだろう。

「近寄らないで！」

　そう言って霊夢は掴んでいる手をどけようとする。しかし相手は自分よりも年上の男だ。たかが女子高生の力では到底かなわない。

　どうしようもない、逃れることは出来ないんだ。

「男数人が一人の女相手に何やってるんだよ」

　そう思ったそのとき、彼が現れた。ナナシだ。

　その表情は凄く怒気が籠もっている。しかしそんな彼に向かって不良たちは舌打ちをし、束になって殴りかかった。

　自分よりも大きい人を数人相手にする。誰もが勝ち目がないと思った。

「ナナシっ......！？」

　霊夢は心配になって叫ぶ。がしかし予想していなかった光景に思わず目を疑った。

　彼が不良数人を全て吹っ飛ばす、そんな光景に。