ある寒い日の事だった。学校も終わり、部活組が精を出す時間。帰宅組である霊夢は帰り道を歩いていた。

　今日は特に用事などもなく真っ直ぐ帰れる。少し寒くなってきた秋道をのんびり歩く。

　霊夢の住んでいるところは学校からは少し遠い場所にある。人の少ない道も彼女の帰る道だ。



　人の少ないところには、何をしたとしてもばれることがあまりないからか不良が集まる。



　真っ直ぐ帰れる”はずだった”。


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　ナナシは歩いていた。

　転校してきて一週間が経った。相変わらず彼の周りには人がいない。その中で唯一彼に話しかけてくる存在がいる。

　《博麗　霊夢》だ。

　転校して間もない彼の為に霊夢はいろいろ手助けをしてくれる。彼からは一度も頼んでいない、それに頼んだとしても誰も助けてなどくれないが。

　ナナシも嫌いだから周りを突き放す訳ではない。少なくとも霊夢の事は本当に助かっているし少し冷めているがとても良い人だと思っている。

「俺には.......無理なんだよ」

　誰もいない場所で小さく呟いた。

　そんなとき、誰かの叫び声が聞こえた。それは唯一ナナシに話しかけてくれた人。

　”博麗　霊夢”の声だった。

　その瞬間、ナナシは駆けだした。