暑くてうるさい夏も終わりを告げて、紅が綺麗な秋に差し掛かろうとしている頃。ここ、○○学校に転校生がやってくる。

　この学校に転校生が来ることは滅多にない。誰もがその珍しい転校生に興味を持っていた。


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　転校生が来るクラスの人たちは彼がどんな人なのか、格好いいのか、はたまた可愛いのかと大騒ぎをしている。人気を取られるのではと有りもしない人気を気にしたり、もしも転校生が格好よかったらと勝手に妄想を膨らませたりと本当に自由なクラスだ。

　そして先生が教室に入ってくる。クラスの騒がしさはゆっくりと形を潜めた。

「ではナナシ君、自己紹介お願いします」

　担任の先生はそう言うとナナシと呼ばれる男はゆっくりと前を向く。

「ナナシだ、よろしく」

　内容は名前だけのすごく短く纏められた自己紹介。場は彼の雰囲気からか静まり返っている。

「で...では、ナナシ君。あそこの空いてる席に座って下さい」

　そう言う先生には目もくれずに軽く頭を下げると彼は机の間を通り与えられた席に着いた。

　クラス内はまたざわつき始めた。